Moment Joon(モーメント・ジューン)は、韓国出身のトリリンガルの移民者ラッパーとして日本で活躍しています。
2014年にリリースしたシングル「Fight Club (Control Remix)」にて、日本のHIP HOPシーンに一石を投じ、注目を集めました。
2020年には2ndアルバム「Passport & Garcon」をリリースし、その独自の世界観から話題を呼んでいます。
今回は、Moment Joonの生い立ちやラッパーになるまでの経緯など、Moment Joonに関する詳細な情報をまとめました。
目次
Moment Joonのプロフィール
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出生名 | キム・ボムジュン |
アーティスト名 | Moment Joon / Moment(モーメント・ジューン) |
年齢 | 1991年生まれ(現在32歳) |
身長 | 不明(160cm前後) |
血液型 | 不明 |
出身地 | 韓国 ソウル |
事務所 | 不明 |
レーベル | GROW UP UNDERGROUND RECORDS |
公式サイト | https://twitter.com/MOMENT_JOON?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor |
Moment Joonは、韓国人の両親の下、韓国のソウルで生まれ育ちました。
小学生の頃はアメリカのロサンゼルスに一時的に住んでいましたが、生活が合わず帰国し、高校卒業まで韓国で育つことになります。
その後、大学受験を機に、音楽の道へ進むか、大学に進学するかで悩みましたが、教育熱心な親の希望を汲み取り、大学進学を目指しました。
当時のMoment Joonは、日本語を専攻していたため、韓国を離れ、日本の大学に進学しました。
その後、音楽活動を始めたものの、韓国では兵役が義務化されているため、2012年から2014年までの2年間を韓国の軍隊で過ごすことになりました。
2014年に兵役が終わり、日本へ帰国し、シングル「Fight Club(Control Remix)」をリリースしました。
そのHIP HOPシーンへの鋭い批判から注目を集め、音楽活動を再開させました。
Moment Joonはハーフ?移民?
Moment Joonは、韓国人の両親を持つ、れっきとした韓国人です。
しかし、小学生の頃はアメリカ、大学進学時には日本へと移り住んでいて、韓国語と日本語、英語の3か国語を話すことができます。
音楽活動を開始してからは、自らのことを「移民者ラッパー」と呼称していて、
Moment Joon
と明かし、日本で活動する韓国人ラッパーというアイデンティティを前面に押し出して活動しています。
Moment Joonは大阪大学に通っている
Moment Joonは、大阪大学に進学し、大学院で音楽学を学んでいます。
大学入学後にMastermindというHIP HOP / R&Bサークルに入り、2011年にラッパーMomentとして「I LOVE HANDAI」をYouTubeで公開し、音楽活動をスタートさせました。
同年にはミックステープ「Joon Is Not My Name」、2012年に初EP「Up Down」をリリースし、音楽活動を本格化させました。
Moment Joonは元軍人?
Moment Joonは、2012年から2014年まで韓国に戻り、兵役に務めていました。
軍隊在籍中は暴力に苦しみ、軍から抜けるために自傷行為を試みるほどに追い込まれていました。
その後、無事に普通の生活に復帰し、音楽活動を再開させました。
軍での経験はMoment Joonの価値観を前進させ、Moment Joonの音楽活動の節々に反映されています。
Moment Joonの小説
Moment Joonは、ラッパーとしての活動だけでなく、小説を書いたことでも注目を集めました。
1933年から創刊されている日本の文芸雑誌文藝の2019年秋季号にて「韓国・フェミニズム・日本」をテーマにした特集が組まれました。
その際にMoment Joonの小説「三代 兵役、逃亡、夢」が掲載されました。
「三代 兵役、逃亡、夢」では、Moment Joonの兵役中のリアルな経験について書かれています。
「三代 兵役、逃亡、夢」は文藝とi-D Japanのコラムで全編読むことができます。
また、岩波書店のWEBマガジンたねをまくでは「日本移民日記」が公開されています。
「日本移民日記」では、音楽活動に関することから、日本在住の外国人としての意見など、Moment Joonの日本社会に対する思いが綴られています。
Moment Joonのファッションブランドまとめ
MOMENT comingsoon… @MOMENT_JOON pic.twitter.com/HlTq7IBrue
— ニートtokyo (@neettokyo) December 5, 2017
Moment Joonが着用しているファッションブランドの中で印象的なブランドは、el_conductorHです。
el_conductorHは、ニートtokyoのインタビュー時に着ていたパーカーのブランドで、そのデザインからA BATHING APEのパーカーと間違われることが多くあります。
他にもMoment Joonは、NIKEとiD Japanのコラボ企画フューチャーチェイサーズに選出されたり、NANCY.ALLRIGHTSRESERVEDのモデルを務めたりなど、ファッションの分野にも進出しつつあります。
Moment Joonのラップスタイル
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- 批判的で鋭いリリック
- 日本語と英語、韓国語の3か国語を駆使している
Moment Joonのラップは、批判的で鋭いリリックが最大の特徴です。
そういったリリックは、兵役や韓国の学歴社会、日本在住の韓国人に対して受けた扱いなど、Moment Joonの様々なバックグラウンドが下支えになっています。
特に、自身を「移民者ラッパー」と呼称しているように、人種についてのアイデンティティを押し出したリリックが多く、日本人のラッパーには書けないようなリリックが特徴です。
また、Moment Joonは、日本語と英語、韓国語の3か国語を駆使して楽曲を制作しています。
その中でも特に日本語と英語を使い、
Moment Joon
と明かしていて、3つの言語を意識的に分けて、リリックが作られています。
Moment Joonがラップを始めたきっかけ
Moment Joonは、中学生の頃にラップを始めました。
Moment Joonの育った韓国のソウル北部は、教育熱が強く、親はもちろん、周囲からの学業に対する圧が強く蔓延る環境でした。
Moment Joonは当時を振り返り、
Moment Joon
とラップを始めたきっかけについて語っています。
Moment Joonが影響を受けたラッパー
Moment Joonがラップに興味を持った頃の韓国では、韓国とアメリカのHIP HOPの楽曲しか流通していませんでした。
当時のMoment Joonの周りでは、EMINEMが特に流行っていましたが、周りと一緒になるのを嫌い、JAY-Zを聴くことにしました。
それから、ラップを聴き始めてしばらく経ち、日本のラップが韓国でも流通し始めます。
その時にMoment Joonが手に取ったアルバムがZeebraの「THE NEW BEGINNING」で、日本のラップに興味を持つきっかけになりました。
その他にも、SEEDAや韓国のラッパーであるDrunken Tigerの楽曲にも影響を受けていることを明かしています。
一方で、ラップ以外の部分では、ECDから影響を受けていて、
Moment Joon
とインタビューで明かしています。
Moment Joonが起こしたムーブメント
Moment Joonは兵役から帰ってきた2014年に 「Fight Club (Control Remix)」をリリースしました。
「Fight Club (Control Remix)」は、BIG SEANの「Control (feat. Kendrick Lamar, Big Sean & Jay Electronica)」のビートを使った楽曲で、日本のHIP HOPシーンに一石を投じる楽曲になっています。
「Fight Club (Control Remix)」では、日本のHIP HOPシーンで活躍するラッパーを名指しして、それぞれに対するDisが投じられています。
- Jinmenusagi
- Kiano Jones
- R-指定
- MATCH
- Ry-lax
- RAq
- Kojoe
- チプルソ
- KEN THE 390
- AKLO
- ISH-ONE
これにより「#FightclubJP」のハッシュタグが付けられたアンサーソングが各方面から公開され、ヒップホップゲームのような大きなムーブメントになりました。
後にMoment Joonは「Fight Club (Control Remix)」について、
Moment Joon
とインタビューで明かしています。
SIMON JAPとの壮絶なバトル
Moment Joonは、WREPが開催した音源のMCバトルMURDER GPに参戦し、SIMON JAPと対決しました。
SIMON JAPとのバトルでは「Simon -jab-(Murder GP 2017)」と「Simon Says(Murder GP 2017)」の2曲を披露し、
Moment Joon
後輩のつばとザーメンがお前のHenessy
など強烈なDisを送り、熾烈な争いになりましたが、SIMON JAPが票数を多く獲得し、勝利しました。
Moment JoonとSIMON JAPの他には、孫GONGやMEGA-Gを筆頭に、総勢8人のラッパーが参加し、SIMON JAPがグランプリに輝きました。
後にMoment Joonは、MURDER GPのSIMON JAP戦について、
Moment Joon
とコメントしています。
Moment Joonのおすすめ楽曲【厳選3選】
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リリース日 | |
Joon Is Not My Name | 2011年12月5日 |
Up Down | 2012年3月12日 |
The Game Waits Me Vol.1 | 2013年6月14日 |
The Game Waits Me Vol.2 | 2013年9月30日 |
M O M E N T S | 2015年3月4日 |
Immigration EP | 2019年4月30日 |
Passport & Garcon | 2020年3月13日 |
Moment Joonは「Joon Is Not My Name」を始めとして、ミックステープを中心に7つの作品をリリースしてきました。
Moment Joonは「Fight Club (Control Remix)」から話題を呼び、満を持して1stアルバム「M O M E N T S」をリリースしました。
その後、2020年に入り、2ndアルバム(Moment Joonとしては初のアルバム)「Passport & Garcon」をリリースしました。
「Passport & Garcon」では、外から見えるラッパーや外国人としてのMoment Joonと内に潜む子供っぽいMoment Joonが描かれています。
Moment Joon / Stress ‘1618
Moment Joonのおすすめの1曲目は「Stress ‘1618」です。
「Stress ‘1618」は、2018年にリリースされたシングルで、Jay Parkの「Want It (ft. Genius Nochang, B-Free)」をサンプリングしています。
「Stress ‘1618」では、人種を中心として世界的な問題に触れられていて、メッセージ性の強い楽曲に仕上がっています。
Moment Joon
実は誰とも仲良くない でもFuck that 何か良くない?
Moment Joon / IGUCHIDOU
Moment Joonのおすすめの2曲目は「IGUCHIDOU」です。
「IGUCHIDOU」は、2019年にリリースされた「Immigration EP」に収録されている楽曲の1つで、2ndアルバム「Passport & Garcon」にも再録されました。
「IGUCHIDOU」では、Moment Joonの住所がリリックに組み込まれていて、そのインパクトから話題を呼びました。
Moment Joon
文句あんなら会いに来い 文句あるやつらは会いに来い
SKY-HI / Name Tag feat. SALU, HUNGER, Ja Mezz, Moment Joon
Moment Joonのおすすめの3曲目は、SKY-HIの「Name Tag feat. SALU, HUNGER, Ja Mezz, Moment Joon」です。
「Name Tag feat. SALU, HUNGER, Ja Mezz, Moment Joon」は、2018年にリリースされたSKY-HIのフリーミニアルバム「FREE TOKYO」の収録曲の1つです。
Moment Joonは、日本の社会体制や韓国の徴兵制についてのトピックを挙げつつ、Moment Joonにしかできないラップの世界観を繰り出しました。
Moment Joon
俺がDog Tag歌う瞬間 Game set
Moment Joonと仲の良いラッパー
#WREP 水曜19時
Jinmenusagi「ジメサギの任せちゃって医院ですか?」渋谷WREPスタジオより生放送!
今夜はIttoとMoment Joonをゲストに迎えてお送りします!ゲストへの質問や感想などはハッシュタグ #医院ですか をつけてツイートお願いします!https://t.co/T2NyPDFkqX pic.twitter.com/HnT89YeUIQ
— WREP (@WrepRadio) November 29, 2017
- Jinmenusagi
- Kiano Jones
- Justhis
Moment Joonと仲の良いラッパーはJinmenusagiとKiano Jonesです。
それぞれ「The Game Waits Me Vol.1」と「The Game Waits Me Vol.2」でコラボを果たして以来、楽曲でのコラボも多く、Moment Joonがライブのゲストとして出演したこともありました。
「Immigration EP」のジャケ写のコラージュには、Jinmenusagiの頭部とKiano Jonesの首部分を用いていて、ラッパーとしてリスペクトを感じ取ることができます。
他にも、韓国のラッパーであるJusthisとは同い年で出身も同じであり「Seoul Doesn’t Know You」を代表として、楽曲でのコラボも多くあります。
Moment Joonは、Justhisについてインタビューで質問された際に、
Moment Joon
と明かしていて、強い関係性が伺えます。
RHYMESTER 宇多丸との関係
【Moment Joonラジオライブ】
来週の水曜日、宇多丸さんのアフター6ジャンクション【LIVE&DIRECT】でライブします!
『Immigration EP』の曲はもちろん、新曲も含めて20分歌います!19時から!
#アトロク #ImmiGang pic.twitter.com/oYCy6abcde— Passport & Garcon DX #AOTY (@MOMENT_JOON) July 14, 2019
Moment Joonは、RHYMESTERの宇多丸のラジオ番組アフター6ジャンクションにゲスト出演したことがあり、宇多丸からも一目を置かれています。
ゲスト出演したのは合計3回で、番組内ではライブをしたり、アルバムについてトークを交わしました。
しかし、アルバム「Passport & Garcon」の収録曲「Losing My Love」にて、
Moment Joon
というリリックがあったことから「Passport & Garcon」リリース以降、Moment Joonと宇多丸の関係性が悪化したと思われていました。
しかし、2020年4月30日放送の回でMoment Joonが出演した際に、アルバムのテーマを汲み取った結果出来上がったリリックだったことを明らかにし、誤解を解いています。