SHAKKAZOMBIEはMCのOSUMI、HIDE-BOWIE、トラックメーカーのTSUTCHIEからなるグループです。
1990年代から活動をスタートして伝説の野外イベント「さんぴんCAMP」への出演、クラシック「大怪我」「空を取り戻した日」を残しています。
2000年代に入るとファッションブランド「SWAGGER」「PHENOMENON」をスタートさせ、世界を席巻するムーブメントを起こしました。
2021年1月24日にOSUMIが敗血病により逝去しましたが、今もなお音楽、ファッションの両面で世界中から愛されるSHAKKAZOMBIEを紹介します。
目次
SHAKKAZOMBIE(シャカゾンビ)とは
この投稿をInstagramで見る
OSUMI、TSUTCHIEともう1人のMCでSHAKKAZOMBIEの前身グループを結成
もう1人のMCが脱退、HIDE-BOWIEが加入してSHAKKAZOMBIEを結成。
4月24日にシングル「手のひらを太陽に」をcutting edgeからリリースしてメジャーデビュー
OSUMI、HIDE-BOWIEでアパレルブランド「SWAGGER」をスタート
アルバム「THE GOODFELLAZ」をリリースしてSHAKKAZOMBIEとしての活動を休止
6月25日にDEV LARGEの追悼イベント「D.L PRESENTS HUSTLERS CONVENTION NIGHT」で楽曲「大怪我」を披露
1月24日にOSUMIが敗血病により逝去
SHAKKAZOMBIEはMCのOSUMI、HIDE-BOWIE、トラックメーカーのTSUTCHIEからなる3人組のグループです。
HIDE-BOWIE
1993年にOSUMIとTSUTCHIEで前身グループを結成して、1994年にHIDE-BOWIEが加入したことでSHAKKAZOMBIEとしての活動がスタートします。
BUDDHA BRANDやキングギドラ、RHYMESTERなどとともに日本語ラップ黎明期を盛り上げました。
また、SHAKKAZOMBIEの大きな特徴として、BRAHMANやNORTHERN BRIGHT、くるりといったロックバンドと楽曲やイベントで頻繁に共演し、ジャンルを超えて活動していたことが挙げられます。
2000年代に入るとOSUMI、HIDE-BOWIEでファッションブランド「SWAGGER」を立ち上げ、SupremeやNUMBER (N)INE、A BATHING APEとともに裏原系の中心ブランドとして、世界を巻き込むムーブメントを起こしました。
音楽、ファッションをベースとしたストリートカルチャーの中心人物として、今もなお高い影響力を持ち続けています。
SHAKKAZOMBIEのメンバープロフィール
各メンバーのプロフィールをまとめました。
OSUMI(大澄剛史)のプロフィール
この投稿をInstagramで見る
出生名 | 大澄 剛史(おおすみ たけし) |
アーティスト名 | OSUMI(オオスミ)、BIG-O(ビッグ・オー) |
年齢 | 1974年5月30日 |
身長 | 非公開 |
血液型 | 非公開 |
出身地 | 静岡県 |
事務所 | A HIP HOP DNA/ユニバーサルミュージック |
レーベル | A HIP HOP DNA/ユニバーサルミュージック |
公式サイト | https://www.instagram.com/takeshiosumi/ |
OSUMIは1974年5月30日生まれ、2021年1月24日に逝去した、ラッパー、ファッションデザイナーです。
SHAKKAZOMBIEのアルバムコンセプトや楽曲構成も担当する中心人物であり、ソロ名義でも1998年12月23日に「control (the spiritual matters)」と2007年4月25日に「Straight To Next Door」の2枚のアルバムをリリースしています。
TSUTCHIE
2000年代以降はファッションブランド「SWAGGER」「PHENOMENON」「MISTERGENTLEMAN」のディレクション、デザインに携わり、国内外のアーティスト、俳優、モデルなどから支持を集めます。
デザイナーとして確固たる地位を確立し、SHAKKAZOMBIEとしての活動も待望される中、2021年1月24日に敗血病のため逝去しました。
敗血症により47歳で逝去
「ミスター・ジェントルマン」のデザイナー オオスミタケシ氏、47歳で逝去https://t.co/f43x9cVx9W pic.twitter.com/oZLQXeJ9sW
— FASHIONSNAP.COM (@fashionsnap) February 3, 2021
OSUMIは2021年1月24日に敗血病のため、47歳という若さでこの世を去りました。
敗血病は、感染症をきっかけに体内で様々な臓器に機能不全を起こす病気です。
HIDE-BOWIE
2021年3月に開催されるファッションイベント「東京ファッションウィーク」に向けて、亡くなる直前まで病室で自身のブランド「MISTERGENTLEMAN」の制作に取り組んでいました。
OSUMIが敗血病を患っていることは公式アナウンスされていなかったことから、ファンだけでなくラッパー、DJやバンドマン、デザイナーなど、様々な分野で活躍するアーティストから追悼コメントが多数寄せられます。
2021年6月にリリースされたトリビュートEP「BIG-O DA ULTIMATE」にはヒップホップ、ロック問わず様々な著名アーティストが参加し、OSUMIがいかにジャンルを超えてリスペクトを集めていたかを証明しました。
HIDE-BOWIEのプロフィール
この投稿をInstagramで見る
出生名 | 井口 秀浩(いぐち ひでお) |
アーティスト名 | HIDE-BOWIE(ヒデ ボウイ)、IGNITION MAN(イグニッションマン) |
年齢 | 非公開 |
身長 | 非公開 |
血液型 | 非公開 |
出身地 | 東京都 |
事務所 | A HIP HOP DNA/ユニバーサルミュージック |
レーベル | A HIP HOP DNA/ユニバーサルミュージック |
公式サイト | https://www.instagram.com/iggy1924/ |
HIDE-BOWIEはSHAKKAZOMBIEのMC、SWAGGERのデザイナーです。
子供の頃は全く友達ができないほどの人見知りで、親からもよく心配されていました。
MCネームは子供の頃からのあだ名が「ヒデ坊」から、四街道ネイチャーのKZAが「MCネームはヒデボウイにしよう」と発案して、キミドリの石黒景太が「ボウイはDAVID BOWIEのBOWIEにしよう」と提案したことが由来です。
HIDE-BOWIE
ラップを始めたきっかけは、ロンドンのアシッドジャズからの流れで名作ヒップホップ映画「Do The Right Thing」を見て、Public EnemyやGangstarrを聴いたことです。
その後、LOW IQ 01が所属するバンド「アクロバットバンチ」のキミドリやMICROPHONE PAGERなどの日本語ラップのアーティストが参加している音源を聴いて衝撃を受け、本格的にラップを始めています。
SHAKKAZOMBIEとして活動する初期からニューヨークのヒップホップの最先端を意識したテクニカルなフロウが持ち味で、ビジュアル、ファッションも含めて、当時のヘッズに衝撃を与えました。
TSUTCHIEのプロフィール
この投稿をInstagramで見る
出生名 | 土屋 伸一(つちや しんいち) |
アーティスト名 | TSUTCHIE(ツッチー) |
年齢 | 非公開 |
身長 | 非公開 |
血液型 | 非公開 |
出身地 | 東京都 |
事務所 | A HIP HOP DNA/ユニバーサルミュージック |
レーベル | A HIP HOP DNA/ユニバーサルミュージック |
公式サイト | https://www.instagram.com/tsutchie/ |
TSUTCHIEはSHAKKAZOMBIEのトラックメーカーです。
SHAKKAZOMBIEの中で最年長で、DJを始めたばかりの頃にDJ BAR InkstickのイベントでOSUMIと出会い、SHAKKAZOMBIEの前身グループを結成しました。
アメリカのアングラレーベル「Rawkus」に多大な影響を受けていて、専門学生時代に50万円の借金をしてサンプラー、シーケンサーなどの機材を揃えてトラックメイキングを始めます。
トラックメーカーとして、AKAIのMPC3000を使ったサンプリング主体のトラックが特徴です。
2002年12月26日にリリースしたソロアルバム「THANKS FOR LISTENING」には、DABOやスチャダラパー、サニーデイ・サービスの曽我部恵一など豪華アーティストが参加しました。
くるり、BACK DROP BOMBなどのロックバンドのリミックスも手掛け、ソロでもジャンルに囚われない活動で多くのアーティストから信頼を集めています。
SHAKKAZOMBIEのラップスタイル
- ヒップホップをベースにロック、ダンスミュージックを取り入れた自由な音楽性
- 緻密に構成された楽曲
- 日本語を大事にしたリリシズム
TSUTCHIE
SHAKKAZOMBIEの最大の特徴は、ヒップホップをベースにメロコアやパンクなどのロック、ダンスミュージックを取り込んだジャンルレスなラップスタイルです。
多様なジャンル、カルチャーと積極的にリンクしてきたSHAKKAZOMBIE独自のアンテナから自由な発想で放たれる音は、ジャンルという枠を超えてヘッズを魅了しました。
また、楽曲の構成は全てOSUMIが担っていて、ビートのスネア、バスの音の配置まで計算されています。
勢いやフロウに逃げずに日本語本来の味を大切にしたリリックも魅力的です。
OSUMIが経営していた伝説のHIPHOP居酒屋「龍宮」
龍宮のフライヤーを2021年にGETするという奇跡#SHAKKAZOMBIE pic.twitter.com/WnJfMajAHQ
— ʏ.ᴀ.s (@y_a_s_info) February 17, 2021
居酒屋「龍宮」は、SHAKKAZOMBIEが1996年に原宿でオープンさせたHIPHOP居酒屋です。
OSUMIが経営を担当して、NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDのSUIKENがバーテンダーとしてアルバイトをしていました。
宇多丸
キングギドラやRHYMESTER、DJ HASEBE、NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDなど、錚々たるメンバーが客として訪れています。
現在では残念ながら閉店していますが、当時はSHAKKAZOMBIEと交流のあるアーティストの憩いの場として有名でした。
SHAKKAZOMBIEのおすすめの楽曲【厳選3選】
SHAKKAZOMBIEのジャンルやカルチャーを超越した、今聴いてもフレッシュなおすすめの楽曲を厳選して3曲紹介します。
SHAKKAZOMBIE & NORTHERN BRIGHT / GET YOURSELF ARRESTED
正統派ギターロックバンドのNORTHERN BRIGHTとコラボレーションした楽曲です。
NORTHERN BRIGHTのドラムの原秀樹がSHAKKAZOMBIEのサポートを努めたことがきっかけで、このコラボレーションが実現しました。
ヒップホップとロックが本気でぶつかる、異種格闘技戦のようなアツい音のふぶつかり合いがたまりません。
新井仁
大神 – 大怪我 (SHAKKAZOMBIE & BUDDHA BRAND)
SHAKKAZOMBIEとBUDDHA BRANDのスペシャルユニット「大神(オオカミ)」による楽曲です。
伝説のヒップホップ野外イベント「さんぴんCAMP」でも披露され、日本語ラップ史に燦々と輝くクラシックとして語り継がれています。
元ネタは1980年代クラシックとして有名なNice And Nasty 3の「The Ultimate Rap」とA Taste of Honeyの「Rescue Me」です。
ECDのシャウトから、大峠雷音(DEV LARGE)〜OSUMI〜CQ〜秀法師(HIDE-BOWIE)〜飛葉飛火(NIPPS)の順番で5人のMCがマイクを繋ぎ、DJ MASTERKEYとTSUTCHIEがスクラッチで援護射撃をします。
SHAKKAZOMBIEとBUDDHA BRANDの「7人の魔人」による圧巻のパフォーマンスは、現在も色褪せません。
DEV LARGE
SHAKKAZOMBIE / 空を取り戻した日
1997年にリリースしたアルバム「HERO THE S.Z.」に収録曲で、トラックを聴いたOSUMIが「このトラックはソロでラップしたい」と発言したため、HIDE-BOWIEは参加していません。
エモーショナルなリリックにOSUMIの文学的なリリックが乗り、言葉一つ一つが心までしっかり届きます。
OSUMIがリリシストであることを改めて再確認できるクラシックです。
OSUMI
SHAKKAZOMBIEのファッション
この投稿をInstagramで見る
OSUMI
SHAKKAZOMBIEはヒップホップをベースに、様々な音楽、カルチャーを取り入れたファッションスタイルです。
1990年代から2000年代初頭のヒップホップファッションは、ルーズでカジュアルなスタイルが主力でした。
しかし、OSIMIとHIDE-BOWIEで立ち上げたSWAGGERのデザインも含め、当時のストリートファッションには珍しい蛍光色のグラフィックやスキニージーンズを使ったタイトシルエットをいち早く取り入れています。
SWAGGER、PHENOMENONは様々な文化が交差する大都市である東京を象徴する独特なデザインで、日本だけでなく世界中を巻き込むムーブメントを起こしました。
音楽だけでなくファッションでもジャンルをクロスオーバーさせ、ファッショニスタ、デザイナーとしても世界規模で評価されています。
OSUMI、HIDE-BOWIEによるSWAGGER
ジャパンストリートブランド【SWAGGER】より、ストリートライクなデザイン/シルエットが随所に落とし込まれた春夏最新作、PAST AND FUTUREが到着。https://t.co/eHLBKMJveS pic.twitter.com/MGeryHH3oj
— NUBIAN (@nubian_tokyo) June 13, 2019
SWAGGERは、1999年に立ち上げたOSUMIとHIDE-BOWIEがディレクションを務めるストリートファッションブランドです。
ブランドコンセプトは「最高級のストリートウェアの提案」で、Kanye WestやVirgil Ablohも愛用していました。
ヒップホップやロックに影響された都会的なデザインで、2000年代を代表するストリートブランドとして、コレクションの立ち上げ日には整理券が配られるほど世界中のファッショニスタから人気を集めます。
2013年には惜しまれつつ倒産してブランドの幕を閉じましたが、2019年にブランド「DIPSET Couture」とのコラボレーションで完全復活を果たしました。
OSUMIのプロジェクト「PHENOMENON」
この投稿をInstagramで見る
藤原ヒロシ
PHENOMENONは、2004年にSWAGGERから派生したOSUMIの個人ブランドです。
OSUMIが影響を受けたヒップホップやロック、ダンスミュージックなどの音楽をバックボーンに「自分個人を表現して、本当に着たい洋服を作る」というコンセプトでスタートしました。
SWAGGERよりトレンド寄りで、エッジの効いた個性的なデザインが特徴です。
ストリートブランドでありながらショーを開催するなど、革新的なアプローチも話題になりました。
しかし、2016年に運営側との方向性の違いを理由にOSUMIがデザイナーを退任しています。
OSUMIと吉井雄一のプロジェクト「MISTERGENTLEMAN」
この投稿をInstagramで見る
MISTERGENTLEMANはOSUMIとショップ「THE CONTEMPORARY FIX」のオーナーの吉井雄一が2012年に立ち上げたブランドです。
OSUMI
OSUMIと吉井雄一の共通点である音楽をコンセプトに、シンプルなデザインと鮮やかなカラーリングでファッションシーンで人気を集めます。
2021年1月24日にOSUMIが逝去したことで、2022年春夏コレクションの発表は見送られました。
SHAKKAZOMBIEと仲の良いラッパー
この投稿をInstagramで見る
- BUDDHA BRAND
- NITRO MICROPHONE UNDERGROUND
- キミドリ
- スチャダラパー
- 四街道NATURE
- キングギドラ
SHAKKAZOMBIEの交友関係の大きな特徴は、メディアでも敵対図が取り上げられていた「さんぴんCAMP派閥」と「LB Nation派閥」の両方のラッパーと仲が良いというところです。
1990年代当時はEAST END×YURIの「DA.YO.NE」やスチャダラパーの「今夜はブギー・バック」などのヒットで日本語ラップが盛り上がる一方で、硬派なヒップホップを提案するさんぴんCAMP周辺のラッパーがポップな日本語ラップに異議を唱えていました。
TSUTCHIE
その中でもSHAKKAZOMBIEは、さんぴんCAMP派閥、LB Nation派閥の壁を取っ払って仲良くしていた杞憂な存在です。
また、ラッパーだけでなくロックバンドやDJ、ダンサー、デザイナーなど、様々なカルチャーのアーティストと仲が良く、ジャンルレスな交友関係を持っています。
BUDDHA BRAND
SHAKKAZOMBIEとBUDDHA BRANDは、合体ユニット「大神」でさんぴんCAMPに出演した関係です。
BUDDHA BRANDとは大神を結成する以前から友達で、プライベートでも頻繁に遊んでいました。
残念ながら大神としてはシングル「大怪我」のみのリリースですが、以降も楽曲で頻繁に共演しています。
しかし、2015年6月25日に開催されたDEV LARGEの追悼イベントで、久しぶりに大神でクラシック「大怪我」を披露するなど、熱い絆で結ばれたクルーです。
NITRO MICROPHONE UNDERGROUND
この投稿をInstagramで見る
SHAKKAZOMBIEとNITRO MICROPHONE UNDERGROUNDは、 NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDがまだクルーを結成する前から、それぞれのメンバーと交流があります。
HIDE-BOWIE
OSUMI、HIDE-BOWIEが経営するHIPHOP居酒屋「龍宮」でSUIKENはアルバイトをしていて、他のメンバーも毎日のように遊びに来ていました。
NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDはSHAKKAZOMBIEに音楽、ファッションの両方で影響を受けています。
SHAKKAZOMBIE / 共に行こう (Ver.Pure) feat. GORE-TEX, SUIKEN, DABO, MACKA-CHIN
1997年にリリースしたSHAKKAZOMBIEのクラシック「共に行こう」のヴァージョン違いです。
NITRO MICROPHONE UNDERGROUND結成前のGORE-TEX、SUIKEN、DABO、MACKA-CHINが客演で参加しています。
「龍宮での出会いがなければ、この楽曲は存在しなかった」とHIDE-BOWIEは語っていて、NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDとSHAKKAZOMBIEの豪華で抜群のコンビネーションが発揮されたマイクリレーは圧巻です。
SHAKKAZOMBIE
キミドリ
HIDE-BOWIE
キミドリとは、HIDE-BOWIEがまだラップを始めたばかりでMCネームも決まっていない頃から頻繁に遊んでいた関係です。
SHAKKAZOMBIEはプライベートで交流があるだけでなく、音楽的にもキミドリから大きな影響を受けています。
オフィシャルにSHAKKAZOMBIEとしてキミドリの名曲「白いヤミの中」をカバーしていて、SHAKKAZOMBIEのキミドリに対するリスペクトを感じられる名カバーとしてヘッズから人気です。