SCARSは神奈川県川崎市を拠点に活動する、SEEDA、BES擁するラップグループです。
日本にハスリングラップの概念を持ち込み、キャラ立ちしたMCたちによるスキルの高いオリジナルなフロウ、パンチライン、革新的なサウンドプロダクションで日本語ラップシーンに衝撃を与えました。
メンバーの逮捕、脱退、ビーフ、死を乗り越え、今もなおシーンに多大な影響力を持つSCARSを紹介します。
目次
SCARSのメンバープロフィール
2006年、当時20代のSCARS
左上からSEEDA、Ari、”A”Dog(A-Thug)、Manny、Sac、bay4k、Sticky、I-DeA、BES 敬称略
※BLASTより pic.twitter.com/iOGTZHyEkL
— シスコ坂エクスクルーシヴ (@CISCOZAKA) November 2, 2020
SCARSは7人のMC、1人のトラックメーカーからなるラップグループです。
メンバーのほとんどが神奈川県川崎市出身で、同級生や先輩、後輩という関係です。
SCARSとしての活動だけでなく、それぞれのソロ活動でもシーンに大きなインパクトを残し続けています。
A-THUG
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出生名 | 非公開 |
アーティスト名 | A-THUG(エーサグ)、A-DOG(エードッグ)、TONY(トニー) |
年齢 | 1980年11月18日(現在43歳) |
身長 | 非公開 |
血液型 | 非公開 |
出身地 | 神奈川県川崎市川中島 |
事務所 | – |
レーベル | P-VINE |
公式サイト | https://twitter.com/a_high_044g |
A-THUGはSCARSの絶対的なリーダーです。
A-THUG
幼い頃からスケートボード、ダンスをしていて、高校時代に渡米した経験があります。
帰国後にラップを始め、同時にハスラーとしてドラッグディールも経験するなど、ヒップホップを体現したアティチュードがSCARSのメンバーや同業者、ヘッズからリスペクトを集めています。
決してラップスキルが高いとは言えませんが、オリジナリティのあるぶっ飛んだパンチラインがA-THUGの魅力です。
A-THUGのパンチライン
A-THUG
A-THUG
A-THUG
A-THUG
BES
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出生名 | 非公開 |
アーティスト名 | BES(ベス) |
年齢 | 1978年9月10日(現在32歳) |
身長 | 非公開 |
血液型 | 非公開 |
出身地 | 東京都青梅市 |
事務所 | – |
レーベル | P-VINE |
公式サイト |
- 日本人離れしたリズム感
- オリジナリティーのあるフロウ
- 自らの体験、想いをリアルに映し出した内省的なリリック
圧倒的なスキルと日本人離れしたリズム感から放たれるオリジナリティに溢れるフロウがBESの最大の特徴です。
I-DeA
ISSUGI
SCARSだけではなく、SWANKY SWIPE、ソロとしてもクラシックを量産し、日本語ラップシーンに多くのフォロワーを生み出しました。
一度はSCARSを脱退するものの、2012年にSCARSに復帰しています。
ドラッグにより2度の逮捕、刑務所での生活を余儀なくされましたが、出所後はSCARS、ソロ、ISSUGIとのユニットなど精力的に活動し、キャリアを重ねた現在もシーンに影響を与え続けるラッパーです。
SEEDA
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出生名 | 吉田直人(よしだ なおひと) |
アーティスト名 | SEEDA(シーダ) |
年齢 | 1980年11月17日(現在43歳) |
身長 | 非公開 |
血液型 | 非公開 |
出身地 | 東京都 |
事務所 | – |
EMIミュージック・ジャパン | |
公式サイト | – |
2001年10月16日にSHIDA名義でファーストアルバム「デトネイター」をリリースする。
- USのトレンドをいち早く取り入れる音楽性
- 日本語と英語を混ぜたバイリンガルスタイル
- アメリカのコピーで終わらせない高いスキル
SEEDAは幼少期をロンドンで過ごした帰国子女で、日本語を英語を織り交ぜたバイリンガルスタイルを日本でスタンダードにしたラッパーです。
ソロのラッパーとして「GREEN」「花と雨」「HEAVEN」などのクラシックを世に送り出し、日本語ラップシーンで確固たる地位を築きました。
USのトレンドをいち早く取り入れた音楽性、早口ラップからメロディアスなフロウまで対応できる高いスキルが魅力です。
一時はラッパーとして引退を宣言しましたが、すぐに復帰しています。
現在までに音楽活動だけでなくYouTubeチャンネル「ニート東京」の運営、自伝的映画「花と雨」の公開、オーディション番組「ラップスタア誕生」に審査員として出演するなど、常に最前線でシーンに貢献し続けています。
bay4k
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出生名 | 韓よしお(かん よしお) |
アーティスト名 | bay4k(ベイフォーケー) |
年齢 | 1978年 |
身長 | 非公開 |
血液型 | 非公開 |
出身地 | 神奈川県川崎市川崎区 |
事務所 | – |
レーベル | P-VINE |
公式サイト | https://twitter.com/bay4k_2408 |
ラップグループ・練マザファッカーに加入し、バラエティ番組「リンカーン」に出演する。
- 在日コリアン三世として生まれたバッググラウンドを大切にしている
- 攻撃的なフロウとライミング
- ストリートのリアルな実情を綴ったリリック
bay4kはラッパーとしてのキャリアは26歳からと遅咲きなものの、在日コリアン三世として虐げられてきた苦悩や実情をバッググラウンドにした攻撃的なフロウとライミングが魅力です。
ストリートのリアルな実情を綴ったリリックも特徴で、ストーリーテリングも得意としています。
2児の父で、ミニ四駆チーム・チームBIGでも活動をするなど、意外な一面もあります。
bay4k
SCARS、ソロ活動以外にも、D.O率いる練マザファッカーのメンバーとしてバラエティ番組「リンカーン」に出演し、話題になりました。
2019年4月2日に脳出血で倒れ、右半身と言語障害というハンデを背負ったものの、見事にシーンに返り咲いた不屈のラッパーです。
STICKY
また来年必ず…会いに行きます。
R.I.P STICKY
もう一度レコード流して火を着けよう。 pic.twitter.com/tm5EDpd4d5
— 梵頭a.k.a.鷲 (@fromhikigane) January 16, 2021
出生名 | 松本 恭平(まつもと きょうへい) |
アーティスト名 | STICKY(スティッキー) |
年齢 | 1980年8月15日(現在43歳) |
身長 | 非公開 |
血液型 | 非公開 |
出身地 | 神奈川県川崎市 |
事務所 | – |
レーベル | P-VINE |
公式サイト |
- クールで淡々と言葉を吐き出すフロウ
- 社会や世の中に対しての不満を包み隠さず落とし込むリリック
STICKYは、クールな出で立ちで淡々と言葉を吐き出すようなフロウと、人間不信とも捉えられる程にネガティブな感情を包み隠さずに落とし込むリリックが魅力です。
bay4k
A-THUG
幼稚園からの幼馴染であるA-THUGのに誘われる形で、SCARSを結成した初期メンバーです。
bay4k
SCARSも再始動し、これからという2021年1月13日に脳梗塞により逝去してしまいます。
MANNY
SCARSのMANNY氏といえばTERIYAKI BEEF直後くらいに堂々とBAPEの服を着て「My Block」のMVに出演していたのが衝撃的だった。#SCARS#NEXTEPISODE pic.twitter.com/0cYDgZzyIm
— シスコ坂エクスクルーシヴ (@CISCOZAKA) May 29, 2019
出生名 | 非公開 |
アーティスト名 | MANNY(マニー) |
年齢 | 1980年 |
身長 | 非公開 |
血液型 | 非公開 |
出身地 | 非公開 |
事務所 | – |
レーベル | – |
公式サイト | – |
- 一時は活動休止していたものの、現在はSCARSに復帰
- 帽子セレクトショップ・ONSPOTZのオーナー
MANNYはSCARSの中でも謎の多い存在ですが、結成初期より活動をともにしているラッパーです。
一時は活動を休止していましたが、SCARSのセカンドアルバム「THE EPISODE」からラッパーとしての活動を再開しています。
ラッパーとしてだけでなく、帽子セレクトショップ・ONSPOTZを経営するオーナーとしてもストリートに貢献しています。
林鷹
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出生名 | 非公開 |
アーティスト名 | 林鷹(ハヤシタカ)、GANGSTA TAKA(ギャングスタ タカ) |
年齢 | 非公開 |
身長 | 非公開 |
血液型 | 非公開 |
出身地 | 神奈川県横浜市中区元町 |
事務所 | – |
レーベル | – |
公式サイト |
林鷹は2012年頃にSCARSに正式加入したラッパーです。
SCARS加入以前は、GANGSTA TAKAとしてソロ活動をしていて、SCARSやSD JUNKSTAなどの客演でも知られている存在でした。
SCARSの最年少メンバーで、加入以前からメンバーに可愛がられていて、SCARSのファーストアルバム「THE ALBUM」にも客演参加しています。
サブメンバーのような立ち位置でしたが、A-THUGに誘われてSCARSに加入しました。
SAC
【新入荷】SEEDA、A-THUG、STICKY、BAY4K、BES…etcを要する神奈川のLEGENDS “SCARS” の屋台骨「SAC」が実に7年ぶりにアルバムをリリース! http://t.co/dUlepyvRAN pic.twitter.com/BlmUGpFEsT
— Manhattan Records®︎ (@ManhattanR) March 6, 2014
出生名 | 非公開 |
アーティスト名 | SAC(サック) |
年齢 | 非公開 |
身長 | 非公開 |
血液型 | 非公開 |
出身地 | 非公開 |
事務所 | – |
レーベル | P-VINE |
公式サイト | – |
- ドラマチックな展開のトラックメイク
SACは「音の殺し屋」の異名を持つ、SCARSのトラックメーカーです。
I-DeAとともにSCARSのサウンドを支える屋台骨として暗躍し、SCARSのサウンドプロダクションの一翼を担う存在です。
ドラマチックな展開を武器とするトラックメイクが最大の魅力です。
SCARSの脱退メンバー
SCARSをすでに脱退しているメンバーを紹介します。
I-DeA
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出生名 | 非公開 |
アーティスト名 | I-DeA(アイデア) |
年齢 | 非公開 |
身長 | 非公開 |
血液型 | 非公開 |
出身地 | 青森県 |
事務所 | 非公開 |
レーベル | 徳間ジャパンコミュニケーションズ |
公式サイト | https://twitter.com/flashsounds |
I-DeAはSCARS関連の作品のみならず、鬼の「小名浜」やBUDDHA BRAND、舐達麻、漢 a.k.a. GAMI、NORIKIYOなど、数え切れないほどのクラシックを世に生み出したトラックメーカー、プロデューサーです。
プロデューサー主体で楽曲、アルバムを制作するスタイルを日本語ラップシーンに定着させ、一切妥協を許さない厳しすぎるサウンドプロダクションから、同業者から「I-DeA塾」「塾長」「先生」と呼ばれています。
I-DeA
DJになる夢を挫折した専門学校時代にエンジニアのD.O.I.と出会い、その後、DEV LARGEとの出会いを経て、プロデューサーとしてのあり方を確立しました。
I-DeA
サンプリングを多用した黒く煙たいトラック、固定観念に囚われない自由なサンプリングは、世界基準と言っても過言ではありません。
2011年にSCARSを脱退していますが、脱退以降もSCARS関連の作品をプロデュースするなど、SCARSのメンバーと交流は続いています。
SCARSとは?
SCARSはA-THUG、BES、SEEDA、bay4k、STICKY、MANNY、林鷹の7人のMC、トラックメーカーのSACからなる、神奈川県川崎市を拠点に活動するラップグループです。
ドラッグディールを綴ったハスリングラップを日本に持ち込み、プロデューサー主体でアルバムを制作するスタイルでシーンに衝撃を与えました。
SCARSとしての活動は疎らであるものの、それぞれのソロ活動やメンバー内のビーフ、逮捕、A-THUGの弁護士費用を捻出するために再集結するなど、日本語ラップにおける「新たな価値観」を提示しました。
すでにベテランと言えるキャリアを持ちながら、メンバー個人でもグループとしても存在感を放つ、伝説的グループです。
グループ名の由来はあの名作映画
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SCARSのグループ名の由来は、1983年公開の名作映画・SCARFACEです。
SCARFACEはアル・パチーノが演じる主人公のトニー・モンタナが、コカインの密売で成り上がり、破滅していく姿を描いた映画です。
トニー・モンタナ
トニー・モンタナ
などの名言も有名で、MCバトルや楽曲のリリックによく登場することからもわかるように、ヒップホップシーンに多大な影響を与えました。
ハスリングラップを全面に押し出したスタイルのSCARSに、ピッタリなグループ名です。
SCARSの音楽はハスリングラップ
- リアルなドラッグディールの現実を描写したリリック
- キャラ立ちしたMCによるマイクリレー
- SEEDA、BESの圧倒的なスキル
- I-DeAの妥協なきサウンドプロダクション
SCARSのスタイルは、ドラッグディールがトピックのハスリングラップです。
SCARS以前にも日本語ラップでドラッグディールについてラップした楽曲はありましたが、本格的にハスリングラップを日本語ラップに持ち込んだのはSCARSです。
ドラッグディールをリアルに描写したスリリングなリリックが最大の特徴ですが、キャラ立ちしたMCたちによる個性の光るパンチライン、フロウで、ヒップホップとしてのエンターテイメントに昇華させています。
また、I-DeAによる妥協のないサウンドプロダクションは、ヒップホップにおけるサウンドとしての完成度、価値を高め、ヘッズだけでなく同業者からも高い評価を得ています。
【ビーフの真相】STICKY vs bay4k【グループ内】
STICKYとbay4kはSCARSのメンバー同士であり、bay4kにとってSTICKYは同じ中学校の後輩です。
そんな2人がお金のやり取りで、グループ内ビーフが発生しました。
その真相はセカンドアルバム「THE EPISODE」の収録曲「曝けだす」で、包み隠さずに語られています。
2人には修復不可能かと思われるほどの溝ができましたが、セカンドアルバム「THE EPISODE」のリリースのために再集結したことをきっかけに和解しています。
bay4k
bay4kは楽曲内で謝罪、懺悔の気持ちをラップしています。
bay4k
ネガティブなメンバー間のトラブルも曝け出し、楽曲にするところもSCARSらしさです。
SCARSのおすすめの楽曲【厳選3選】
SCARSの珠玉のクラシックを、厳選して3曲紹介します。
SCARS / COMEBACK
リーダーのA-THUGの逮捕、BESの脱退、STICKYとbay4kのグループ内ビーフと、SCARSにとって向い風の中で発表されたセカンドアルバム「THE EPISODE」のリードトラックです。
最集結したSEEDA、STICKY、bay4k、MANNYによるマイクリレーは、タイトル通り「シーンにカムバック」したことを印象付けるには十分過ぎるほどのインパクトです。
bay4k
BES,SEEDA,STICKY / 日付変更線
the controllersのif tomorrow never comesをサンプリングしたスリリングなトラックに、BES、SEEDA、STICKYの三者三様のフロウ、パンチラインが堪能できる楽曲です。
ドラッグよりも高価で中毒性の高いパンチラインが散りばめられた、SCARSを語る上で欠かせないクラシックです。
BES
SCARS / STARSCAR
2012年にライブ会場限定でリリースされ、2020年に待望のデジタルシングルとして正式リリースされた楽曲です。
ライブ会場限定シングルはオークションなどで高値で取り引きされていて、長らくSCARSの「幻のクラシック」でした。
ハスリングラップのスタイルを貫きつつ、進化を遂げたSCARSの魅力が詰まっています。