不可思議/wonderboy(フカシギワンダーボーイ)は、日本のポエトリーリーディング・アーティストです。
大学在籍時にKICK THE CAN CREWの影響でラップを始め、詩人・今村知晃のパフォーマンスを見たことをきっかけにポエトリーリーディングのスタイルを確立します。
残念ながら24歳という若さでこの世を去りましたが、痛々しいほどに心に突き刺さるリリックは、時を超えて多くのリスナーの心を掴んで離しません。
自らの人生すらもひとつのストーリーと感じさせてしまう、孤高かつ唯一無二のポエトリーリーディング・アーティストとして、今もなおリスナーの心の中で生き続けています。
目次
不可思議/wonderboyのプロフィール
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出生名 | 石田剛(いしだ つよし) |
アーティスト名 | 不可思議/wonderboy(フカシギワンダーボーイ) |
年齢 | 1987年12月30日(2011年6月23日逝去) |
身長 | 非公開 |
血液型 | O型 |
出身地 | 埼玉県 |
事務所 | LOW HIGH WHO? |
レーベル | LOW HIGH WHO? |
公式サイト | http://hukashigi.blogspot.com |
不可思議/wonderboyは1987年12月30日生まれ、2011年6月23日に24歳という若さで逝去しました。
本名は石田剛で、埼玉県出身です。
日本語ラップシーンにポエトリーリーディングという価値観を浸透させ、のちに多くのフォロアーを生み出しました。
自ら、そして人間の本質をも考えさせられる深いリリックと鬼気迫るライブパフォーマンスは、まさに孤高と呼ばれるにふさわしいアーティストです。
1987年12月30日に埼玉県に生まれる
埼玉大学に進学する
ラップを始める
3年生の時に不可思議/wonderboyとして活動を開始
死因は交通事故
不可思議/wonderboy は、2011年6月23日に交通事故で24歳という若さでこの世を去りました。
ファーストアルバム「ラブリー・ラビリンス」のリリースから約1か月後の「まさにこれから」という時期、24歳という若さでの突然の死は、シーンに大きな闇を落としました。
原因は同じポエトリーリーディング・アーティストの狐火のPV撮影現場に向かう途中に車に轢かれてしまったことで、不慮の事故だけに悔やまれます。
不可思議/wonderboyの伝説の路上ライブ
2011年1月10日に新宿駅南口での路上ライブは、今も伝説として語り継がれています。
不可思議/wonderboy
たった6人の観客、目の前には振り向くことなく無数の人が通りすぎていく中で、枯れた声で感情的に叫び、時にはマイクを通さずに想いを伝える不可思議/wonderboyの姿がありました。
この路上ライブの約5か月後に亡くなってしまいますが、画面を通して、時を超えて多くの人の心を掴んで離さないライブです。
不可思議/wonderboy
きゃりーぱみゅぱみゅや有名人も絶賛
今一緒に聞いてる。彼は新宿で数人のお客さんの前で「いつか売れた時に、ここで見たことを自慢にして下さい」と叫んでいた。若くして交通事故で亡くなってしまった。RT @pamyurin: 悲しいhttp://t.co/0lFyHwQP5Y
— Saori(SEKAINOOWARI) (@saori_skow) April 21, 2014
SEKAI NO OWARIのSaoriがFukase、きゃりーぱみゅぱみゅとお酒を飲みながら、この路上ライブの動画を見たことをTwitterで明かしました。
Saori
きゃりーぱみゅぱみゅ
Fukase
不可思議/wonderboyの楽曲、パフォーマンスが、ヒップホップという枠を超えて、様々な人の心を打っていることがわかるエピソードです。
ファッションブランドのまとめ
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不可思議/wonderboyは、古着系のようなカジュアルなファッションです。
クラウンが長い帽子を愛用していて、トレードマークにもなっていました。
ブランドものなどで固めたり、着飾ることがなく、あくまで自然体なファッションは、まるで不可思議/wonderboyの音楽性、人間性を投影するようなファッションです。
不可思議/wonderboyのラップスタイルはポエトリーリーディング
不可思議/wonderboyのラップスタイルはフロー、韻を度外視して自らの詩を読み上げるポエトリーリーディングです。
ただ他のポエトリーリーディングアーティストと徹底的に違う点は、自らの体験、想いを偽ることなく、痛々しく言葉に吐き出すことで、偽りの世界観を作り上げずに「あくまでリアル」であるところです。
物語の舞台が自分の住む世界を置き、決して目を背けてはいけない現実を曲に反映させていることが、多くのリスナーの共感を呼ぶ理由と言えます。
デビューまでの道のり
ラップを始めたきっかけはKICK THE CAN CREW
意外ですが、不可思議/wonderboyはKICK THE CAN CREWからラップを聴くようになりました。
きっかけは中学生の頃に不良っぽい子が教室で爆音でKICK THE CAN CREWをかけていたことで、初めて耳にしてからKICK THE CAN CREWにハマりました。
リリックを書き、ラップを始めたのは遅く大学生の頃で、ヒップホップの自由な音楽性に楽しさを覚え、ラップにのめり込んでいきました。
不可思議/wonderboy
ポエトリーリーディングを始めたきっかけ
ラップを始めた当初の不可思議/wonderboyは、ポエトリーリーディングとはかけ離れたスタイルでした。
ですが声と言葉のバトルトーナメント・SSWSで詩人・今村知晃のパフォーマンスにこれまでのヒップホップ観をひっくり返される衝撃を受けました。
今村知晃は自分の働いている会社の商品であるイスについて、ビートとライムもなく、時に叫び、時にマイクを通さずに熱く語る姿に、自由な「ポエトリーリーディングの可能性」を感じました。
そして自らもポエトリーリーディングアーティストとして歩み始めることとなりました。
谷川俊太郎との関係
中学校で合唱が盛んだったこともあり、谷川俊太郎の歌詞に毎日のように触れていました。
不可思議/wonderboy
一晩中、谷川俊太郎の詩の解釈に挑むなど、不可思議/wonderboyのポエトリーリーディングのスタイルを構築する初期衝動ともいえる人物です。
谷川俊太郎の作品をリミックスするイベント・俊読に出演したことがきっかけで交流もスタートしています。
生きる
イベント・俊読~shundoku7~で谷川俊太郎と共演した際に披露した、谷川俊太郎の詩・生きるをラップにした楽曲です。
自らのルーツともいえる谷川俊太郎の詩を、不可思議/wonderboyの解釈、表現でリミックスされた曲です。
のちに谷川俊太郎本人の承諾を得て音源化されています。
不可思議/wonderboy
谷川俊太郎
音源化を快諾した谷川俊太郎の理解の深さに、不可思議/wonderboyは感動しました。
リリックの源はセンチメンタル
不可思議/wonderboyのリリックのコアとなっているのが「センチメンタル」です。
不可思議/wonderboy
自身の生活、そして周りの世界で「足りないと感じたパーツ」を、作品として埋めるために表現をしています。
不可思議/wonderboy
熱い楽曲、パフォーマンスが魅力ですが、リリックは意外と冷静に、PCでWORDを使って書きます。
普段から考えすぎる性格ということもあり、意図的に深く考えてリリックを書くわけではありません。
不可思議/wonderboyのおすすめの楽曲厳選3選
不可思議/wonderboyの世界観に引きずり込まれるおすすめの楽曲を厳選して3曲紹介します。
Pellicule
地元の仲の良い、就活もしないでサッカーのためにタイに行ったきり帰ってこない友達に向けて作られた楽曲です。
Pelliculeとはフランス語で映画という意味で、何気ない言葉一つ一つがストーリーを展開していくような、そのストーリーに自分を重ねてしまうような不思議な魅力を持っています。
不可思議/wonderboy
世界征服やめた
相対性理論の「バーモントキッス」をサンプリングした楽曲です。
「世界征服」に対し「やめた」というイメージの違う言葉を組み合わせたタイトルが示す通り、シンプルに音と言葉のみで日常的な歌詞を使いながら葛藤や失敗を表現しつつ、さらにその先に差し伸べられる希望さえも感じさせられます。
人生に疲れた時に聞きたい名曲です。
不可思議/wonderboy
銀河鉄道の夜
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をそのままタイトルにした、幻想的な楽曲です。
手紙2通のやり取りが描かれていて、1通は男性から女性に、もう1通は女性から男性に贈られた手紙です。
小説「銀河鉄道の夜」からは引用こそされていませんが、宮沢賢治の魂をスピットしたような美しい言葉で描かれるストーリーに耳と心を傾けてください。
不可思議/wonderboy
不可思議/wonderboyと仲のいいラッパーのまとめ
- 神門
- 狐火
- Paranel
- Yuji Otani
- MOROHA
不可思議/wonderboyは同じポエトリーリーディングアーティストや所属レーベルであるLOW HIGH WHO?のアーティストと頻繁に交流がありました。
その交流は幅広く、音楽家だけではなく詩人など、様々な人と交わり、影響を受け、時に影響を与えていました。
交流のあった仲間たちで毎年、追悼イベントとしてSPOKEN WORD BOYが開催されています。
神門
神戸出身のポエトリーリーディングアーティスト・神門とは、初めて会ったときにお互いに泥酔して語り合うなど意気投合し、交流が深かったラッパーです。
そんな神門は不可思議/wonderboyの死後、不可思議/wonderboyに向けて「Pellicule」をカバーしています。
不可思議/wonderboyへの深い愛、リスペクトが伝わる楽曲、パフォーマンスで、心を打つこと必須です。
タイムマシーンに乗って先週に戻って1つだけ未来を変えていいって言われたら ロト6買わずお前に1本電話入れる 近々事故には気をつけろよ
声よ 距離を超え響き渡れよ 次交差点出たならば右に曲がれよ
神門