数々のHIP HOPクラシックを生み出してきた稀代のHIP HOPアーティストであるNasの経歴やファッション、女性関係、楽曲の解説などについてまとめました。
目次
Nasのプロフィール
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出生名 | Nasir bin Olu Dara Jones(ナズ・ビン・オル・ダラ・ジョーンズ) |
アーティスト名 | Nas(ナズ) |
年齢 | 1973年9月14日(現在49歳) |
身長 | 173cm |
血液型 | |
出身地 | アメリカ合衆国 ニューヨーク州 ブルックリン |
事務所 | |
レーベル | Mass Appeal(マス・アピール・レコード) |
公式サイト | https://www.nasirjones.com |
- グラミー賞ノミネート 13回
- MTVビデオ・ミュージック・アワードノミネート 6回
アメリカ合衆国のニューヨーク州出身のイーストコーストを代表するNasは御年49歳を迎えます。
これまで数々の名作をリリースしてきましたが、中でも「Illmatic」はHIP HOPクラシックとして語り継がれているアルバムで、アメリカでの人気はもちろんのこと、日本のオリコンチャートにもランクインしたことがありました。
そのキャリアの中でグラミー賞やMTVビデオ・ミュージック・アワードなど、数多くの賞にノミネートを果たしました。
Nasの驚愕の年収
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HIP HOPのレジェンドNasともなると驚愕の金額を1年で稼いでいて、2018年には年間約38億円を稼いだといわれています。
この額は同年のドクター・ドレー(Dr.Dre)やJ.コール(J.Cole)の年収に相当し、カニエ・ウェスト(Kanye West)やエミネム(Eminem)、ミーゴス(Migos)、DJ・カリード(DJ Khalid)といったHIP HOPアーティスト達よりも多い額に当たります。
アメリカでは特にHIP HOPがアツい音楽ジャンルになっていることも影響し、他のジャンルの音楽アーティストよりも稼いでいます。
Nasのファッション
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NasはHIP HOPのテイストが強く感じられるファッションをしていますが、その中でも特に愛用しているのがダッパー・ダン(Dapper Dan)がデザインした服の数々です。
Nasはダッパー・ダンがHIP HOP業界にもたらした功績を高く評価していて、普段の服装にもダッパー・ダンがデザインしたアイテムを着用しています。
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また、Gucciを始めとしたその他のハイブランドも着こなし、NikeやPumaといったスポーツブランドもライブ衣装で着ています。
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Nasの愛用車はBMW M3
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- BMW M3
- Mercedes Maybach 62s
- Rolls Royce Phantom
一方で車のコレクションも目を見張るものがあり、5,000万円を超えるMercedes Maybach 62sやRolls Royce Phantomといった多くのハイエンドな車を所持しています。
そういった車の中でも特にBMW M3はNasを象徴する車の1つとして認知されていて、Nasのベストヒット曲の1つでもある「If I Ruled the World」の歌詞の1節にも登場するほどNasが好んでいる車です。
Nasの彼女歴
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Nasはこれまで3人の女性と交際関係に発展し、中には結婚まで至った女性もいました。
カーメン・ブライアン(Carmen Bryan)
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1人目の女性がカーメン・ブライアンです。
お互いに愛し合い結婚まで発展した後、Nasの初めての子供デスティニー(Destiny)も授かりましたが、カーメン・ブライアンが他の男性との関係性を持っていたことが発覚し、関係性が破綻してしまいました。
後々、他の男性との関係が違う問題に火をつけていくことになります。
ケリス(Kelis)
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その後に交際関係に発展したのがケリスというアメリカのシンガーでした。
2年間の交際期間を経て2005年に結婚し、ケリスも子宝に恵まれ(後にナイトと名付けられる)、幸せな関係が続くかと思われました。
しかし、前妻のカーメン・ブライアンとの子供と密に関係を取っていたことから不和な関係になり、その結果2009年に離婚となってしまいました。
ニッキー・ミナージュ(Nicki Minaj)
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そして2017年に話題になったのが女性レジェンドラッパーであるニッキー・ミナージュとの関係性でした。
最初はアーティストとしてのコラボから始まり、ニッキー・ミナージュの楽曲「Right By My Side」のMVでNasがボーイフレンド役として出演したりもしていた中で、彼氏と彼女の関係にあることが明らかになりました。
ニッキー・ミナージュにとってNasとの交際はとても大きく、初めて恋に落ちたとも述べたほどでしたが、2017年の末に分かれてしまいました。
しかし、現在も互いの関係性は良好で”友人”としての関係性は続いています。
Nasの生い立ちからデビューそして・・成功まで
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音楽に囲まれた環境とストリートの環境
1973年9月14日にアメリカ合衆国 ニューヨーク州 ブルックリンでNasは生まれました。
父親はジャズ・ブルースのミュージシャンとして活動していて、幼少の頃から音楽に囲まれた環境で育ってきました。
それと同じくして、ニューヨーク州クイーンズに移住し学生時代を過ごしますが、中学2年生で学校を退学することになります。
しかし、移住先出会った師匠的な存在であるウィリー・イル・ウィル・グラハムと出会い、HIP HOPへの興味を抱いていくことになりました。
最初はウィリー・イル・ウィル・グラハムのDJとして活動を始めましたが、徐々にNasの実力が知れ渡ったことで、音楽プロデューサーラージ・プロフェッサーとの出会いに発展し、アーティスト活動を本格化させていきます。
その活動の中でMC・サーチ(MC Search)からアプローチを受け、Nasのマネージャーとしての関係になり、それを経由してコロンビアレコードと契約を結ぶまで発展しました。
そして1992年にデビューシングル「Halftime」が映画のサウンドトラックに収録され、デビューを飾りました。
デビューから成功まで
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Nasのデビュー後
デビューシングルリリースの後、1994年に「Illmatic」がリリースされ、HIP HOPシーンに名を刻む最高傑作を世に残しました。
セカンドアルバム制作の際には、今は亡きノトーリアス・B.I.G.のアドバイスを受け、商業的なアプローチを変えた結果、自身のキャリアで初めてビルボードチャートで1位を記録します。
1999年には「I Am…」と「Nastradamus」の2作品がリリースされることになりましたが、急遽「Nastradamus」のトラックを全てを録りなおすことになり、批評家の間の評価はあまり良くない結果に終わりました。
その後「Stillmatic」や「God’s Son」、「Street’s Disciple」という名作で前作の評価を覆しましたが、8枚目・9枚目のアルバムで一気に空気が変わります。
「Hip Hop Is Dead」はHIP HOPシーンから、「Untitled」は世間一般的に非難を浴びましたが、いずれもビルボードチャートで1位を記録するほどの大ヒットになりました。
その後10枚目のアルバムの制作には、ボブ・マーリー(Bob Marley)の息子ダミアン・マーリーを招き「Distant Relatives」としてリリースされ、続けて11枚目のアルバム「Life Is Good」をリリースしました。
12枚目のアルバム「Nasir」にはカニエ・ウェストが制作に携わり、HIP HOPを代表する2大アーティストのコラボということで話題を呼びました。
Nasの音楽の特徴とおすすめの曲
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Nasの楽曲の特徴は圧倒的なリリックの完成度にあります。
HIP HOP界きってのリリシストと称賛されることも多く、詩的で難解な表現の数々にしっかりライミングすることで楽曲全体の深みを出しつつもHIP HOPらしさを存分に感じさせられます。
逆に、詩的な表現が難解すぎるため、かなり考察をしても読み解くのが難しいことも少なくなく、過去にはハーバード大学の教授に「It Ain’t Hard to Tell」歌詞の一部を解説するほどです。
Nasのデビュー曲は「Halftime」
Nasのデビュー曲は「Halftime」です。
鮮烈なデビューアルバム「Illmatic」のリリース前に出された楽曲で、若かりし頃のNasがこれからトップに躍り出る意気込みが感じられる楽曲に仕上がっています。
リリース後ビルボードのHIP HOP/R&Bチャートで25位、ラップチャートで8位を記録し、頭角をあらわにしていきました。
Nasの人気曲は「If I Ruled the World(Imagine That)」
Nasの楽曲の中でも特に人気なのが「If I Ruled the World」です。
「If I Ruled the World」はカーティス・ブロウ(Kurtis Blow)の楽曲やフーディニ(Whodini)の「Friends」のビートがベースになっていて、ストリートでのライフスタイルやNasが感じた世界への不満などが反映された楽曲になっています。
「If I Ruled the World」はアメリカはもちろんのこと、イギリスやヨーロッパ圏でも人気を博し、フランスとドイツで25万枚以上の売り上げをたたきだしました。
Nasのおすすめの曲は「The World Is Yours」
Nasの楽曲の中でおすすめしたいのが「The World Is Yours」です。
「The World Is Yours」はアーマッド・ジャマル(Armad Jamal)の「I Love Music」とT・ラ・ロック(T La Rock)の「It’s Yours」をサンプリングしていて、映画スカーフェイスからもインスピレーションを受けて制作されました。
1994年にリリースされた後、ビルボードのHot R&B/Hip-Hopチャートで67位を記録し、RIAAからはGold認定を受けました。
Nasがフィーチャリングしているおすすめの曲は「Hot Boyz feat. Lil Mo, Nas, Eve and Q-Tip」
Nasがフィーチャリングしている楽曲の中でおすすめしたいのが「Hot Boyz feat. Lil Mo, Nas, Eve and Q-Tip」です。
「Hot Boyz feat. Lil Mo, Nas, Eve and Q-Tip」はアメリカのラッパー兼シンガーであるミッシー・エリオット(Missy Elliott)の楽曲でNasの他にも3人のアーティストがフィーチャリングとして携わっています。
元々原曲版がありましたが、それよりもこちらのリミックス版の方が圧倒的に人気を博し、ビルボードHot 100チャートで5位、イギリスでは18位を記録し、RIAAからPlatinum認定を受けるまで至りました。
伝説として語り継がれる名アルバム「Illmatic」
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Nasがこれまで手掛けてきた作品の中でも「Illmatic」は映画化もされ、Nas本人も
Nas
と言ってしまうくらい称賛されたHIP HOPの歴史のマスターピースとして知られています。
「Illmatic」では貧困や薬物、暴力、ギャングの覇権争いなど、Nasがストリートで体験してきた出来事をベースに制作されていて、Q-ティップ(Q-Tip)やDJプレミア(DJ Premier)など、腕利きのプロデューサーを募った集大成としてリリースされました。
また、歌詞についても音楽家やファンなどから称賛を受けていて、Nasらしい詩的な表現の数々が世界中の人々の心を魅了しました。
Nasの名言と伝説
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Nasはこれまでのキャリアで多くの名言を残してきました。
特にリリシストとして有名なこともあり、曲中の歌詞の節々には心に響くパワーを持っています。
名言のテーマは様々ですが、人の真理や世界の性といった大きいテーマに対してのメッセージが印象的です。
Time is a luxury. To waste it on the wrong people or staying around bad energy is a slap in the face, to God.
— Nasir Jones (@Nas) June 27, 2019
Nas
それを間違った人間に使ったり、悪い雰囲気で過ごすのは神に対する侮辱だ
I think they’re scared of us. When I say that I’m saying “they” as in the evil fucks that divide all of us. All good Mf’s are The People. While all the evil doers are THEY. So to u evil bastards all over the world. You want divide The People.
— Nasir Jones (@Nas) June 20, 2018
Nas
俺が”あいつら”と言うときは悪が俺らを引き裂こうとしているということだ。
マジで最高な奴らは人間で、悪に染まっている奴らが”あいつら”だ。
だから世界中の邪悪なクソ野郎ども、お前らは人間を引き裂きたいんだろ。
Whose world is this? #askpopstar
— Nasir Jones (@Nas) June 1, 2016
Nas
People fear what they don’t understand, hate what they can’t conquer Guess it’s just the theory of man
ー Hate Me Now
Nas
それが人間の理論だろ。
Life is Parallel to Hell, but I must maintain
ー New York State of Mind
Nas
でも俺はこれを維持していかなけりゃ生きていけないんだ。
「Hip Hop Is Dead」に込められた意味
Nasは「Illmatic」の他にも様々なアルバムをリリースしてきましたが、中でも話題を呼んだのが「Hip Hop Is Dead」です。
「ヒップホップは死んだ」という過激なタイトルですが、このアルバムは全体を通して昔の魂を感じるようなHIP HOPからビジネス的な展開を見せ、楽曲に政治的な声明だったり自己の表現が薄い現在のHIP HOPへの移り変わりに対する危機感や悲しみが込められています。
アルバムに収録されている同じタイトルのシングル「Hip Hop Is Dead」の最後のバース部分でこのように述べられています。
Verse 3
Everybody sound the same, commercialize the game
Reminiscing when it wasn’t all business
It forgot where it started
So we all gather here for the dearly departed
どいつもこいつも同じスタイル、金儲けの道具としか思ってないのか?
今とは真逆だったあの頃は良かった
それが今やその起源も忘れられてんだ
だから最高だったあの頃のHIP HOPのために俺らはここに集まってるんだ
また、こういったメッセージは特に南部のHIP HOPアーティストに対してフォーカスされていて、過去にはヤング・ジーズィー(Young Jeezy)とのビーフ(2008年で和解)にまで発展するほどHIP HOP界隈に衝撃を与えました。
「I Can」に込められた意味
他にメッセージ性に富んだ楽曲の1つとして有名なのが「I Can」です。
「I Can」は6枚目のアルバム「God’s Son」に収録されていて、夢の実現についてや薬物には手を出さないための警告など、子供たちに対してのメッセージが詰め込まれています。
また、Nasの楽曲は学校の卒業式の時に使われたり、自身にも子供ができたこともあり、これまでの楽曲の中には聞かせたくないものもあったということも背景にあり、ポジティブなメッセージを詰め込んだと言われています。
Verse 1
Be, b-boys and girls, listen up
You can be anything in the world, in God we trust
An architect, doctor, maybe an actress
But nothing comes easy, it takes much practice
B・ボーイとガールのお前ら、いいか
この世界では何でもなりたいものになれるんだ、俺たちは神を信じる(アメリカの公式標語)
建築士でも医者でも、俳優にだって何でもなれる
でもな、全て上手く行くなんか思うな、何だって鍛錬あってのものだから
Nasと仲のいいアーティストとビーフ
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Nasの交友関係はHIP HOPアーティストとのものが多く、ディディー(Diddy)やエリック・B(Erick B)、レイクウォン(Raekwon)、ゴーストフェイス・キラ(Ghostface Killah)など、個人で活躍している凄腕アーティストから、グループでも活動しているアーティストとも関係を持っています。
その中でも一番印象的なのがラキム(Rakim)との関係性で、Nasが活動し始めた当初はよく第2のラキムとも言われたほどお互いリリシストの腕があり、リリシストの代名詞的な存在として君臨していました。
世間的には比較されることが多いものの、お互いは特にライバル視することはなく、ともに楽曲制作を進めたりなど、良い関係性を築けています。
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Nasとジェイ・Z(Jay- Z)のビーフについて
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Nasとジェイ・Zの2人の関係性の悪さはビーフの話の中でも有名ですが、初めから仲が悪かったわけではなく、最初は友人としての関係からスタートしました。
しかし、ジェイ・Zが自身の楽曲「Bring it On」にNasを起用したいということでスタジオに呼んだのをNasが拒否し、レコーディングに参加しなかったことで関係が悪化しました。
その報復としてジェイ・ZがNasの楽曲「The World Is Yours」を無断サンプリングしたり、ライブでNasをディスったりなどの仕返しをし、またNasが楽曲でディスり返すというのを繰り返していました。
また、先ほど出てきたカーメン・ブライアンの浮気相手はジェイ・Zで、その関係性が発覚してから一層激しさを増していきました。
しかし、ジェイ・Zの母親がビーフを良く思わなかったことをきっかけに、お互い冷静になったところで関係性は改善されていきました。