JNKMN仲間との遊びを、次の音源へ変える
JNKMN(ジャンメン、ジャンクマン)は、青森県藤崎町出身のラッパーで、Chaki ZuluとともにYENTOWNの発足を進めた一人だ。MonyHorse、PETZとのMONYPETZJNKMN、ゆるふわギャングらとのJODY、DOGMAやDJ JAMとの共同作など、仲間と音楽を作る場をいくつも持つ。曲を作る速さだけでなく、客演のフロウを調整し、アルバムの出す順番まで考える姿勢にも、この人の役割が見える。
CHAPTER 01 / SECTION 01JNKMNのプロフィール
本名の大二は、仲間とのインタビューでも呼ばれている名前だ。以前は4649dz、Tokarevなどの名義でも活動した。現在のJNKMNと、初期の客演クレジットをたどるときには、これらの表記も手がかりになる。
CHAPTER 02 / SECTION 02青森からラップ、YENTOWNへ
替え歌とメロコアから、日本語ラップへ
小学生のころに初めて買ったCDは、本人の記憶では嘉門達夫の「替え歌メドレー2」。給食の時間に流したいほど替え歌が好きだった。後になって父親の車で原曲を聴き、先に知っていた替え歌の元がこれだったのか、と驚く。既にある曲を別の形で楽しむ面白さを、ラップ以前から知っていた。
学生時代にはメロコアのカバーバンドでドラムを担当。日本語ラップへの入り口として語るのは、SUPER STUPIDとキングギドラによる曲や、先輩から借りた「さんピンCAMP」のCDだ。2024年のインタビューでは、ANARCHY、M.O.S.A.D.、MIC JACK PRODUCTION、THA BLUE HERBも影響源に挙げている。
BIG-Tが残した、ラップを続けるきっかけ
LUCK-ENDのBIG-Tは、JNKMNに繰り返しラップを勧めた存在だった。一緒に遊ぶなかで、歌詞を書いてやるからやってみろと言われ、やがて書き方を教えてほしいと思うようになる。だが、その話をしていた矢先にBIG-Tが亡くなってしまう。
BIG-Tがいなければ、自分はプロデュースだけをしていたかもしれない。後年の本人インタビューでは、ラッパーとしての影響の大きさをそう振り返っている。教わり始めたことを続けると同時に、残った思いを音楽として外へ出すことが、YENTOWNへもつながった。
「十人十色」と、YENTOWNの始まり
2013年、Tokarev名義でKOHH、PETZと作った「十人十色」が注目された。ビートはY.G.S.Pによるもの。そのころからの人間関係が、後の活動の土台になっている。
2015年には、Chaki Zuluと、周りのイケている仲間を集めて何かを作ろうと動き出した。ラッパーだけでなく、DJ、ビートメイカー、映像、アパレル、イベントを作れる人まで集まるクリエイター集団にしたかったという。YENTOWNという名前は、もともとChaki Zuluが服のブランドに使おうとしていた名でもあった。
PETZと関わっていたJUNKMANIAにはkZmが働きに来て、MonyHorseはKOHHと遊びに来ていた。Chaki ZuluやU-LEEも加わる関係のなかから、MONYPETZJNKMNによる「Higher Part II」が生まれた。AwichやkZmが大きな舞台へ進んでも、JNKMNにとってYENTOWNはホームであり、自分は別の役割でその説得力を高めたいと語っている。
CHAPTER 03 / SECTION 03ラーメン・服装・タトゥー
ラーメン好きから、店を作る構想へ
2016年12月1日の本人投稿では、1年のうち300日以上がラーメン日和だと表現していた。ラーメンの情報を教わる相手には、DOWN NORTH CAMPのPENNY-Oの名前もある。以前のおすすめとして挙げた順番は、3位がビンギリ、2位がラーメン二郎目黒店、1位が中華そば屋伊藤だった。
店の現在の順位を決める話というより、どんな食べ物を好んできたかが分かるエピソードだ。2024年のレッドブルの取材でも、食事が好きなので自分の飲食店をやりたい、JNKMNだからジャン麺、と構想を話している。好きなものが、曲だけでなく次の仕事のアイデアにもなる。
服は、もらったものを着るという距離感
パーカー、ベースボールキャップ、白いTシャツといったストリートの定番が、JNKMNの着こなしの軸だ。着用ブランドとしてBLACK BRAIN、JUNKMANIA、BlackEyePatch、NEW ERA、NIKEが紹介されてきた。
JUNKMANIAを運営し、アパレルの知り合いも多い一方、本人は、自分から服を買うことはあまりなく、もらった服を着ていると話す。撮影でもらったBlackEyePatchのジャケットを着ていた、という具体的な話もある。高価な服で成功を示すより、ストリートらしい服を着続ける姿に魅力を感じるという。
タトゥーと、自分で語った職務質問の経験
洋彫りと和彫りの要素を持つタトゥーも、外見の特徴のひとつだ。2015年には本人がタトゥーを入れたいと投稿している。渋谷のEASYINK TATTOOに通うことも紹介されてきた。
2021年の投稿には、声をかけられた理由を警察官に尋ねるやり取りがあった。取材でも、渋谷で顔を覚えられ、フードとヘッドホンでもすぐ職務質問を受けると話している。ただし、タトゥーが理由だと本人が疑問を持ったことと、警察側の理由が確認できたことは別だ。外見から犯罪歴や性格を説明するものでもない。
CHAPTER 04 / SECTION 04JNKMNのMBTIを編集部が推定
Djtube編集部は、公開された制作の選択からESTPを候補に挙げる。本人公表の診断結果ではない。ビートを聴いてその場で録り、仲間に曲を聴かせて参加者を決める方法や、「たげ」で客演2人に曲のリズムへ合わせるよう具体的に伝えた話を手がかりにした。
目の前の音と人の反応に応じて形を変える面を重く見た。一方、自分にとってリアルであることを大切にする姿勢からESFPとも読める。音楽制作での振る舞いについての限定的な見方であり、私生活や健康、過去の事件を類型の根拠にはしない。
CHAPTER 05 / SECTION 05制作の方法と仲間との関係
速く作ることと、雑に出すことは違う
2021年の取材では、1回スタジオに入ると2〜3曲できることもある、と話していた。KOHHやShowyが、歌詞を書かずにビートから録る方法にも刺激を受けている。ただ早さを競うのではなく、頭に浮かんだものを間に何かを挟まず音へ出すことに魅力を感じたのだという。
「GOOD JUNKEE」は、2020年夏には曲がそろっていたが、仲間の発表との順番を考え、前作から1年を空けて2021年2月22日に出した。2枚目を2月22日にすれば覚えやすい、という本人らしい理由もあった。制作の速さと、発売を待つ判断が両立している。
U-LEEとDJ JAMは、ビートだけでなくミックスや歌のメロディでも支える仲間だ。曲を作るには多くの人の時間がかかるから、少し書き直せば出せるものを簡単にお蔵入りにしたくない、という考えもある。思い付きから始まっても、完成させる場面では細かな判断を重ねている。
ハードさより、自分の言葉であること
ドラッギーな主題は表現の一部だが、本人は、わざと悪い方へ行く必要はないとも話している。dodoを例に、ハードコアな内容ではなくても、ありのままの言葉が格好いいと評価した。
自分の制作について、気分が高まったときに書くと説明する一方、「Jailbird」は刑務所の中でしらふで書いた特別な曲だと区別している。どの作品も同じ状態から生まれたと決め付けず、曲ごとの作り方を見たい。
フリースタイルへの距離を変えたAuthority
2015年11月29日には、フリースタイルを仕掛けてこないでほしいと本人が投稿した。バトルへの関心が薄く、自分もその方法ではできないという距離感があった。
だが青森のイベントでAuthorityのフリースタイルを聴き、楽屋からフロアへ出るほど驚いたという。その後「たげ」ではAuthorityと、同じ藤崎町出身のJ.Breezeを迎えた。最初に届いた勢いの強いラップをそのまま使うのではなく、フックのゆるいリズムを踏まえて技術を見せてほしいと頼み、録り直して完成させている。
DOGMAとの「DARC」、ゆるふわギャングとのJODY
ニートtokyoによる、DOGMAとJNKMNが二人の出会いや共同アルバム「DARC」を話す取材映像。2021年当時には5〜6年の付き合いと紹介され、出会ったきっかけは互いにはっきり覚えていなくても、普段の感覚が合う関係だった。音源だけの客演相手というより、一緒に遊ぶところから作品を作る仲間だ。
ゆるふわギャングのNENE、Ryugo Ishidaとも交流が深い。JODYの制作では、他の仲間も含めてコテージへ機材を持ち寄った。JNKMNとゆるふわギャングの3人だけに固定された名称ではなく、広い集まりのなかで曲ごとに組み合わせが変わる。
ほかにもKOHH、Chaki Zulu、ANARCHY、MonyHorse、PETZらと長く交流してきた。親しい仲間の声を生かすことが、ソロ作品の広がりにもつながっている。
CHAPTER 06 / SECTION 06服役の経験と2024年の報道
2017年の大麻所持による逮捕・服役として紹介されてきた時期には、MONYPETZJNKMNの活動にも中断が生じた。2020年のメンバー取材では、2017年7月の「磊」のリリースパーティー直前に連絡が取れなくなり、開催をどうするかという話にもなったと振り返っている。
本人は2018年のクリスマスに戻り、翌年からソロ制作を始めたと説明した。服役中にご飯、お茶、きな粉で作ったずんだ餅が思い出に残ったという話もある。仲間へ迷惑をかけたことへの思いは「Jailbird」に入り、刑務所で過ごす時間や失うものの大きさも、公の取材で語っている。
これとは別に、2024年10月にはSNS投稿を巡る麻薬特例法違反の疑いで逮捕・送検されたと報じられた。報道では本人が容疑を否認していたことも伝えられている。2025年7月16日の音楽ナタリーの記者による取材記事は、その後の釈放と不起訴を記している。2017年の服役と、2024年のこの処分を混同しない。
CHAPTER 07 / SECTION 07JNKMNの代表曲と新しい作品
JNKMN「Jailbird」
LostFaceがプロデュースし、Takuto Shimpoが映像を監督した曲。「JNKMN NOW」では10曲目に収録されている。本人によれば、刑務所内のノートへ書きためたものを出所後に録音した、普段の制作とは異なる一曲だった。
差し入れや仲間を待つ時間を描いた曲には、仲間へ迷惑をかけたことへの懺悔がある。ただ、差し入れの本についての後年の取材では、食べられないのに料理の本が届くことへの文句でもあったと笑っている。重い経験を曲にしながら、ひとつの意味に閉じ込めないところにも語り口が見える。
JNKMN & DJ JAM「TAMAROU」
DJ JAMによる曲で、2021年2月22日発売の「GOOD JUNKEE」にも収録された。スタジオや店の前、友達の家に集まる日々を、繰り返す呼びかけでつなぐ。MVはIKが監督した。後年のリミックスとは、まずこの原曲を分けて聴きたい。
出典:JNKMN & DJ JAM「TAMAROU」(公式MV説明欄掲載歌詞)。集まる場所を具体的に挙げる短句だ。大きな成功の宣言より、友人と会って話し、食事へ出るという日々の動きが曲を進める。その身近な場所の積み重ねが、タイトルの呼びかけに説得力を持たせている。黙り込む人がいる一方で熱く語る人もいて、日々学びながらタトゥーが増えるという描写もある。集まる場所だけでなく、そこでの人の様子まで曲に残している。
MONYPETZJNKMN「How Many feat. kZm」
2020年10月20日の「Gimme Da Dope」収録曲。MonyHorse、PETZ、JNKMNに、フックを担当するkZmが加わり、U-LEEのビートでマイクをつなぐ。服役後に再び3人で発表したEPの一曲として、ソロとは違う声の組み合わせを聴ける。
出典:MONYPETZJNKMN「How Many (feat. kZm)」(TuneCore Japan掲載歌詞)。自分の名を示して続くパートで、限界が見えない感覚を物語の人物へ重ねる。数字の満点や完全体といった言葉と並び、現実の評価の物差しから離れていくイメージを作っている。
JNKMN「Smoke Ambassadors」
2020年2月7日発売の「JNKMN NOW」収録曲。BADSAIKUSH、G-PLANTS、DOGMAが参加し、GREEN ASSASSIN DOLLARが作曲した。ここに置いた映像は、YENTOWNから提供された自動生成の正規配信音源で、実写MVとは異なる。
JNKMNがYENTOWN、DOGMAがSTONEDZ、BADSAIKUSHとG-PLANTSが舐達麻という、それぞれの居場所を持つ声が合流する曲だ。JNKMNは、舐達麻へはDOGMAを通して声をかけたと説明している。歌詞に現れる危険な場面を、出演者の実際の犯罪や現在の生活の証明として読むものではない。
JODY「555 feat. NENE, JNKMN & Ryugo Ishida」
2021年4月6日発売の「JODY」に収録。NENE、JNKMN、Ryugo Ishidaがラップし、DJ JAMとU-LEEが制作した曲で、映像の監督はKosuke Aokiだ。サッカー場や雪の上で遊ぶ姿も紹介されてきたMVからは、日常の交流と音楽を切り離さない関係が伝わる。
JNKMN「OD」
2026年5月18日には、ソロの「OD」とDJ EZELとの共同作「ZERO」を発表した。「OD」にはCHOUJI、ILL-BOSSTINO、DOGMA、剣 桃太郎、Deech、Lunv Loyal、YTG、Jaggla、孫GONGらが参加。タイトルを、仲間、音楽、感情やエネルギーがあふれる瞬間として捉え直す作品だという。
JNKMN & DJ EZEL「ZERO」
「ZERO」は原曲とChopped & Screwed版を含む9曲。単独の新曲だけでなく、同じラップを別の速度や構成へ置く共同制作も続けている。「TAMAROU」も2023年のYTG、GORE-TEX参加版、2026年のDJ OGANIK REMIXやRyuw参加版などがあり、参加者と版を見分けると活動の広がりが分かる。
JNKMN「西に東に feat. YUNGSTAお仲間」
2026年10月17日発表のシングル。プロデュースはU-LEEで、正規クレジットにはJNKMNとYUNGSTAお仲間のラップが記されている。長く組む制作者との曲に、別の声を迎えた新しい一曲だ。
ソロの後にも客演は続き、10月21日のrirugiliyangugili「CRAZY JAPAN 3」では「GIVE ME SOME」、同日のCityBaby「NO MORE PAIN」では「Real Money」に参加している。別のアーティストのアルバムを、全曲JNKMNの作品として扱うわけではない。
CHAPTER 08 / SECTION 08よくある質問
仲間と集まる場所から、次の曲が生まれる
Djtube 編集部

