DELTA9KIDプロフィール
埼玉県深谷市出身のDELTA9KID(読み方:デルタナインキッド)は、3MCクルー舐達麻のなかで一番口数が少ない男だ。BADSAIKUSHのような声の凄みも、G-PLANTSのような野太さもない。ただ淡々と、抒情的なラインを置いていく。それなのに、舐達麻の音像から彼の声を抜くと、急に景色が薄くなる。1989年生、深谷育ち、本名・廣井大輔。BADSAIKUSHとは中学から「家族」だ。2009年の金庫破りで4年服役、3度の逮捕歴、全身を埋め尽くす和彫り——それでも、やかましく語らない。本記事では本名・年齢・身長・血液型・MBTIから刺青・私生活・行きつけまで、寡黙なMCの人物軸を整理する。
この記事でわかること
- 本名・生年・出身地など、公表情報をベースにした基本プロフィール
- 「廣」から「DELTA9KID」へ改名した理由と、BADSAIKUSHによる命名
- BADSAIKUSHとの中学時代から舐達麻結成までの経歴
- 声を張らないフロウと中性的な声質というスタイルの特徴
- 報道で確認できる3度の逮捕と、それぞれの内容
- 全身の和彫り・愛用ブランド・眼鏡・愛猫といった私生活のディテール
よくある疑問と、短い答え
検索して真っ先に確認したい項目だけを、1行ずつ先に置いておく。根拠と詳細はそれぞれの章で扱う。
※上表は2026年8月時点で確認した内容です。身長・血液型・MBTIは本人が公表した数値ではなく、Djtube編集部が公開情報から整理した推定を含みます。
CHAPTER 01 / SECTION 01DELTA9KIDのプロフィール|本名・年齢・身長・血液型
本名・廣井大輔(ひろい だいすけ)。1989年、埼玉県深谷市生まれ。HIP-HOPクルー舐達麻(なめだるま)の3MCのうち、寡黙担当だ。
口数の少なさと、抒情的なリリックと、中性的で芯のある声。BADSAIKUSHのカリスマやG-PLANTSの存在感に比べて目立ちにくいが、舐達麻の楽曲を聴き込むほど、フックの支柱を担っているのがこの男だと気づく。
CHAPTER 01 / SECTION 02DELTA9KIDの名前の由来|大麻成分とBADSAIKUSHからの命名
名付け親はBADSAIKUSH。由来は、大麻の主成分の正式名称、delta-9-tetrahydrocannabinol(デルタナインテトラヒドロカンナビノール/THC)。カンナビノイド受容体に結合して効きを出す、あの成分だ。「DELTA9」と「KID」(小さくてイケてる)を組み合わせた。
つまり、舐達麻のMCネームは結局ぜんぶ大麻から生えている。BADSAIKUSHの「KUSH」、G-PLANTSの「PLANTS」、そしてDELTA9KIDの「DELTA9」。クルーの世界観が、3人の名前で完結している。
49(フォーティーナイン)時代の名義は「廣」(ヒロ)。本名「廣井大輔」の「廣」一文字をそのまま使っていた。舐達麻として本格始動する時、BADSAIKUSHの命名で「DELTA9KID」に切り替わった。改名のタイミングが、クルーの名前変更(舐達磨’s → 舐達麻)と重なっているのは偶然じゃない。
BADSAIKUSH・G-PLANTS・DELTA9KIDの3人で構成される、埼玉県熊谷市を拠点とする日本語ラップクルーである。前身は「舐達磨’s」で、2013年に現在の表記へ改めた。
NANCYが率いていた埼玉県北部のHIP HOPクルーである。DELTA9KIDは「廣」名義でここに所属していた。舐達麻の母体にあたる。
舐達麻が自主運営するレーベル兼ブランドである。略称はAGH。作品のリリース、物販、YouTubeチャンネルの運営を自前で行う体制を指す。
CHAPTER 01 / SECTION 03DELTA9KIDの生い立ち・経歴|BADSAIKUSHとの出会いから舐達麻まで
埼玉県深谷市、両親共働きの3人家族。家に親が帰ってこない時間が長く、自然と外にいる時間が増えた。中学に入ってすぐ、運命の出会いが来る。BADSAIKUSHだ。
BADSAIKUSHとの中学時代
中学1年で学校をサボるのが習慣化したDELTA9KID。同じく不登校気味だったBADSAIKUSHと出会い、即・親友になる。仲の良さは異常で、BADSAIKUSHの家に住み着いた。バダサイが居ない時間でも家にいて、バダサイの家族と飯を食っていた。
原付を買って暴走、地元スーパーでカツアゲして小遣い稼ぎ。典型的なやんちゃな10代だ。中学ではラグビー部に所属していたが、運動より遊びが優先された。
つまり、舐達麻という関係性の根は、ライブハウスでもスタジオでもなく、バダサイの実家の食卓にある。
高校進学とレゲエ・HIP-HOPとの出会い
高校はバダサイと同じ学校を受験。合格したのはDELTA9KIDだけだった。理由は所属していたラグビー部が全国大会の常連だったから、と本人は話している。
その後、バダサイから「もう一回受け直してくれ」と頼まれて、1つ上のG-PLANTSが通う高校を再受験。これも合格。だが入学式だけ顔を出して、すぐに通学をやめた。2回受験して2回受かって、2回辞めた。
10代後半でレゲエに傾倒し、18歳でHIP-HOPと出会う。きっかけは、キャデラックを買った先のアメ車屋の社長がHIP-HOPに詳しくて、車内で流したかったから——というのが本人の説明だ。同時期に49(フォーティーナイン)を率いるNANCYと出会い、バダサイと共に49に所属。49にはG-PLANTS、D BUBBLES、後輩の故104も居た。後の舐達麻メンバーが、ここに揃う。
2009年|金庫破り事件と4年の服役
2009年6月3日、深夜。深谷市榛沢付近。
運転していたのはDELTA9KIDだ。盗難車のレガシーで、BADSAIKUSHと後輩の故104(とし)を乗せて、金庫荒らしの帰り道だった。無灯火で走っていたところを覆面パトカーに発見され、時速140kmのカーチェイスへ。カーブを曲がり切れずコンクリートに激突、車は大破。
後輩が死んだ。
BADSAIKUSHは現行犯逮捕。DELTA9KIDは現場から逃げ切ったが、両親に説得されて翌日に家族と一緒に出頭、逮捕。20歳だった彼に下りたのは、自動車運転過失致死傷・道路交通法違反・窃盗罪で懲役4年の実刑判決。
運転していた男に4年。バダサイより3年長い。後輩の死を背負ったまま、独房で4年。これがDELTA9KIDのリリックの根だ。
2013年|出所と舐達麻の本格始動
2013年、4年の刑期を終えて釈放。先に出所していたBADSAIKUSHとG-PLANTSが組んでいた「舐達磨’s」(なめだるまーず)に合流、ユニット名を「舐達麻」に改めて本格始動した。
2015年12月3日、1stアルバム「NORTHERNBLUE 1.0.4.」。タイトルの「1.0.4.」は故104への追悼だ。事故から6年半。バダサイの最初のアルバムにも、DELTA9KIDの最初のアルバムにも、後輩の名前が刻まれている。
2019年8月31日、2ndアルバム「GODBREATH BUDDHACESS」。iTunesヒップホップ・カテゴリで1位。アンダーグラウンドから、ストリーミングのトップに躍り出た瞬間だ。その後、3度目の逮捕報道、D BUBBLESの活動停止と困難は続いたが、舐達麻は3MC体制で動き続けている。
CHAPTER 02 / SECTION 04DELTA9KIDのラップスタイルと代表バース|LOST BUBBLERS・BUDS MONTAGE・FUTURE
DELTA9KIDのラップで一番強いのは、声を張らないことだ。BADSAIKUSHのカリスマ的な低音や、G-PLANTSの野太い咆哮の隣で、彼は淡々とラインを置いていく。中性的で芯のある声質は、舐達麻という荒々しい音像のなかで逃げ場として機能している。
抒情的に生活を歌う。煙、木漏れ日、刑務所、メリージェーン、後輩の名前。日常の道具と感情の道具を等価に並べていく。リリックの行間を読みたいタイプのリスナーが、結局DELTA9KIDのフックに引き戻される理由はそこにある。
- 煙の向こうの木漏れ日を待てる人
- 全身に物語を彫り込みたいタイプ
- 喋らない男が一番何か考えている、と知っている人
- 沈黙が気まずくて埋めたくなる人
- タトゥーは「就活で困るからやめなさい」と言われて納得した人
- 猫派より犬派、を譲れない人
入門ガイド|聴く順番と3つのバース
DELTA9KIDのバースを知るなら3曲が入口になる。何を確かめたいかで順番が変わるので、右端の判断列は上書きして使ってほしい。
※判断列を上書きしてお使いください。発表年は各配信サービスの表記に基づき、2026年8月時点で確認したものです。
向いていないリスナー|手数と勢いを求める人との相性
正直に書くと、DELTA9KIDは分かりやすい聴きどころを作らないMCだ。譜割りを細かく刻む手数型のフロウを求める人、サビで一気に上がる展開を期待する人には、まず物足りない。
彼の役割は前に出ることではなく、曲の温度を一段下げて全体を支えることにある。舐達麻を初めて聴く人がBADSAIKUSHのバースに耳を持っていかれるのは自然で、DELTA9KIDの良さは2周目以降に効いてくるタイプだ。
代表バース①「LOST BUBBLERS」|DELTA9KIDのフック
失踪したメンバーD BUBBLESを想って書かれたとされる楽曲で、DELTA9KIDがフックを担当。「麻の葉の煙と浴びる木漏れ日」——煙と陽光、過去と現在、不在と継続。彼の中性的な声でこのフックが流れた瞬間、楽曲全体の温度が一段下がる。
代表バース②「BUDS MONTAGE」|DELTA9KIDのフック
舐達麻のシグネチャーソングのひとつ。DELTA9KIDのシンプルで力強いフックが楽曲を支える。「降ろすRHYME」「あげるLIFE」と動詞を起点にする構造が、彼のフロウの軸だ。畳みかけない、押し出さない、ただ置いていく。
代表バース③「FUTURE」|DELTA9KIDのバース
「裁判向かう4時20分に出廷」「切れない縁メリージェーン」——時間と空間を行き来しながら、ラップする。「4:20」は世界中のスモーカーが知る記号で、ここで出廷時刻として使うのは、ほとんど詩の構造だ。獄中体験を経てきた彼の言葉の重みが、淡々としたフロウにのって伝わってくる。
結局、DELTA9KIDがやっているのは、刑務所の朝も、出廷の朝も、煙の朝も、ぜんぶ同じ重さの朝として並べることだ。
CHAPTER 02 / SECTION 05DELTA9KIDの盟友・交流関係|BADSAIKUSH・阿修羅MIC・孫GONG
DELTA9KIDは寡黙でメディア露出も少ない。それでもInstagramのストーリーや投稿から、シーン内の交流関係は十分に見える。
- BADSAIKUSH|中学からの親友。「家族」と呼び合う関係
- G-PLANTS|舐達麻の最年長MC
- 孫GONG|ジャパニーズマゲニーズ・盟友クルー
- TAKABO|ストーナーラッパー仲間
- 阿修羅MIC|舐達麻周辺の仲裁役
- JNKMN|ストーナーラッパー仲間
- 漢a.k.a. GAMI|2021年逮捕時に擁護コメントを発信
DELTA9KID × BADSAIKUSH|兄弟同然の絆
中学時代、暴走族時代、49時代、金庫破り事件、服役、出所、舐達麻結成。20年以上、同じ船に乗っている。SNSにはおそろいのロレックスを身につけたツーショットが上がるし、2020年にはバダサイがDELTA9KIDの手首と足首に「麻」の一文字を自分で彫り入れた。タトゥーアーティストではない人間が彫った和彫りが、いまも彼の身体に残っている。
つまり、2人の関係は契約じゃなく、もっと粘着的な、何か別のものだ。
DELTA9KID × 阿修羅MIC
阿修羅MICは舐達麻周辺で仲裁役として何度も登場するMC。DELTA9KIDとも楽曲共演やSNSのツーショットが頻繁にあるし、2023年のYZERR/BAD HOPビーフでも舐達麻側で動いていた。
ただ、ストリート目線では評価が割れる人物でもある。「仲介に首を突っ込みすぎ」「ラッパーよりネゴシエーター」というワック扱いの声も一定数ある。一方、舐達麻側からすれば、毎回現れて手を打ってくれる便利な男、という事実は変わらない。同じ振る舞いが、立ち位置で180度評価が変わる。HIPHOPで一番面白いのは、こういう位置の問題だ。
CHAPTER 03 / SECTION 06DELTA9KIDの逮捕歴|2009・2018・2021の3度
DELTA9KIDは公表されている範囲で3回の逮捕歴を持つ。10代の頃からカツアゲや金庫泥棒で生計を立てていた時期があり、2009年の事件を境にラップで生きていく決意を固めた。
2009年6月3日|金庫破り事件と懲役4年
1度目。生い立ちのセクションで詳述したので、ここでは結末だけを置く。
運転していたDELTA9KIDに下りた判決は、自動車運転過失致死傷・道路交通法違反・窃盗罪で懲役4年の実刑。少年刑務所で4年。
4年間の刑務所で一番美味かった食べ物は何か、と聞かれて即答したのが「善哉」だった(YouTube「DELTA 9 KID (舐達麻) : 刑務所のメシについて」)。配食工場で作る側にいて、鍋から盗み食いしていたという。盗み食いがバレれば即懲罰。それを承知で、ばれない時間に砂糖を多めに入れて食う。
20歳の男が、後輩の死を背負ったまま、独房で善哉を盗み食う。これがDELTA9KIDの原点だ。
2018年|大麻取締法違反で逮捕
2度目。D BUBBLES、BADSAIKUSHと3人で大麻取締法違反(所持)で逮捕。実刑判決を受けたと報じられたのはD BUBBLESのみで、DELTA9KIDとBADSAIKUSHについては実刑には至らなかったとされる。両名の処分の内訳は本記事では確認できていない。
D BUBBLESはこの服役後、公の活動が確認できていない。舐達麻が現在3MC体制で動いているのは、ここに直接の理由がある。
2021年4月14日|大麻0.012g所持で逮捕・半月で釈放
3度目。2021年4月、G-PLANTSとともに大麻取締法違反(所持)の疑いで逮捕されたと報じられた。音楽ナタリーの報道によれば、DELTA9KID(廣井大輔容疑者)の容疑は2020年9月に大麻を所持していた疑い。日刊スポーツの報道では、熊谷市内のビルで大麻片約0.01グラムを所持していた疑いと伝えられた。
出典:音楽ナタリー「舐達麻のG-PLANTSとDELTA9KID、大麻所持で逮捕」(2021年4月16日公開/2026年8月9日確認)https://natalie.mu/music/news/424726
報じられた所持量は0.01グラム台で、SNS上では量の少なさに驚く声が多く上がった。ただし、量の多寡と立件の可否は別の問題であり、本記事は捜査や処分の妥当性について編集部の評価を示さない。
その後、BADSAIKUSHとの2ショットがInstagramに投稿され、ファンのあいだで釈放が伝わった。ただし釈放日および起訴・不起訴などの処分について、公式発表および報道は2026年8月9日時点の検索でも確認できなかった。確認でき次第、本章に追記する。
逮捕歴を巡る言説は、楽曲リリック、インタビュー、報道記事など複数のソースで断片的に語られているが、時系列が混在して整理されていないケースが多い。本記事では、報道で確認できる事実と、楽曲・SNSで言及された内容のみを採用し、噂レベルの未確認情報は意図的に除外している。
CHAPTER 03 / SECTION 07DELTA9KIDの結婚・彼女・子供の噂
DELTA9KIDの結婚・彼女・子供に関する公式発表は2026年8月時点で無い。寡黙な性格で私生活はほぼ発信しない。SNSにも家族や交際相手と思しき投稿はほぼ無い。守る、というよりも、最初から見せないタイプだ。
2022年10月、バダサイとG-PLANTSが静岡で逮捕された時、それぞれの交際相手の女性2名も同時に逮捕されている。一方、DELTA9KIDはこの事件には関わっていない。同じクルーの3人で、私生活の写り方が三者三様、というのも興味深い。
CHAPTER 03 / SECTION 08DELTA9KIDのファッション・刺青・髪型・愛猫|私生活ディテール
口数は少ないのに、見た目は静かに目立つ。これがDELTA9KIDのスタイルだ。派手な柄のアロハシャツに、シンプルなボトムス。白山眼鏡のクラシックなフレーム。全身を埋めた和彫り。それぞれは別のレイヤーから引っ張ってきた要素なのに、ぜんぶ彼の身体の上で噛み合っている。
DELTA9KIDの愛用ブランド
- APHRODITE GANG / BUDSPOOL|自身のクルー発のブランド
- WACKO MARIA|ラッパー御用達のアロハシャツブランド
- THE BLACK EYE PATCH|東京発・コラボ展開も多数
- F-LAGSTUF-F|ストリートブランド
- GAKKIN(花罰)|彫師GAKKINのアパレルライン
- VANS|スニーカー
- Supreme|定番ストリート
SNSで一番頻度が高いのは、元Jリーガー・森敦彦がプロデュースするWACKO MARIAのアロハ。バダサイや阿修羅MIC、ラッパー界隈で人気のブランドで、舐達麻クルー全員の定番。彫師GAKKINが手掛ける「花罰」(FLOWER PUNISHMENT)のロゴアパレルでは、DELTA9KIDがファッションモデルも務めている。
DELTA9KIDのメガネ|白山眼鏡 LINDY ARM
DELTA9KIDのトレードマークの一つが、白山眼鏡(はくさんめがね)の「LINDY ARM」というシリーズの眼鏡。1883年創業の老舗ブランドで、1946年に上野で誕生した日本産眼鏡の名門。「デザインしすぎないこと」をコンセプトにシンプルで高級感のあるアイウェアを提供し続けている。
DELTA9KIDの髪型|スキンフェード × サイドパート
髪型は綺麗に刈り込まれたスキンフェードに、サイドパート(横分け)を組み合わせたスタイル。シンプルかつ知的な印象を与えるカットで、DELTA9KIDの寡黙な雰囲気との相性が抜群。バーバーはMR.BROTHERS CUT CLUBのKENSHI(@kenshi098)が担当している。
DELTA9KIDの刺青|全身和彫りと「麻」の文字
- 首|猫
- 右胸|龍
- 左胸|虎
- 背中|竹松虎退治(武松虎退治)
- 腕|鯉
- 右手の甲|青蛙神(カエル)
- 左手の甲|琉金(金魚)
- 手首・足首|BADSAIKUSHが彫った「麻」の文字
和彫りは中学卒業直後から始まり、現在も増え続けている。彫師は新潟・Silk Needle TattooのTOMOが主担当。背中の「竹松虎退治」(武松が虎を素手で殴り殺す水滸伝の逸話)が一番大きい絵柄だ。
そして、手首と足首の「麻」。これは2020年にBADSAIKUSHが直接彫り入れたものだ。タトゥーアーティストではない、ラッパーの友人が彫った針の跡が、いまも彼の身体に残っている。
つまりDELTA9KIDの肌は、シーンの正規ルートで彫られた美しい和彫りと、友人の手で刻まれた素人の針の両方を、同じ温度で受け入れている。これがこの男の在り方を一番よく表している。
DELTA9KIDの愛猫
家で猫を飼っている。Instagramには頻繁に愛猫の姿がアップされている。BADSAIKUSHもコラット種のリュウ、ベンガル種のzerry。舐達麻の3MCは全員、猫を飼っているラッパーだ。マッチョな男性性を売り物にするタイプじゃない、という共通点がここに出ている。
CHAPTER 03 / SECTION 09DELTA9KIDの行きつけのお店|熊谷Q-CHANG CURRY
舐達麻の活動拠点・埼玉県熊谷市に、メンバーがよく口にする店がある。スパイスから本格的に作るカレー店「Q-CHANG CURRY」(キューチャンカレー)。熊谷駅から徒歩圏内、人気店だ。
カレー店なのに、麻婆丼。しかも肉抜き。3つの選択がぜんぶ意外で、それを淀みなく即答するのがDELTA9KIDだ。
つまりこの男は、店の看板メニューに従わない、肉も食わない、説明もしない。それが寡黙という言葉の中身だ。
CHAPTER 04 / SECTION 10DELTA9KIDに関するよくある質問(FAQ)
CHAPTER 04 / SECTION 11DELTA9KIDの最新の活動状況|2025〜2026年の動き
DELTA9KIDは2026年8月時点も舐達麻の3MC体制で活動を継続している。本人名義での発信は少ないが、クルーとしてのリリースは動いている。
2025年6月1日、配信停止となっていた2ndアルバム「GODBREATH BUDDHACESS」が「GODBREATH BUDDHACESS (THE RE-UP EDITION)」として再配信された。同月5日には収録曲「THE SEQUEL」(プロデュース:GREEN ASSASSIN DOLLAR & 7SEEDS)がシングルカットされ、2023年12月以来およそ1年半ぶりの新曲となった。
出典:THE MAGAZINE(TuneCore)「舐達麻、未発表曲『THE SEQUEL』シングルカット」(2025年6月公開/2026年8月9日確認)
また2023年12月、舐達麻が渋谷のクラブでライブを行っていた際に第三者が立ち入る騒動があり、2024年12月にこの件を巡って複数名が建造物侵入などの疑いで逮捕されたと報じられている。逮捕段階の報道であり、有罪が確定したものではない。
寡黙なMCの記事ほど、書き手が推測で行間を埋めたくなる。本記事の編集方針は逆で、本人が語っていないことは書かない。私生活・交際・処分の内訳を空欄のまま残しているのは、情報が足りないからではなく、確認できないものを確認できたことにしないためだ。
CHAPTER 04 / SECTION 12まとめ|DELTA9KIDが舐達麻に残してきたもの
口数の少ないやつは、シーンで損をする。普通は、声がでかいやつ、フロウが派手なやつ、ビーフを起こすやつが目立つ。DELTA9KIDはそのどれでもない。
でも、舐達麻の音から彼を抜くと、急に景色が薄くなる。BADSAIKUSHのカリスマも、G-PLANTSの存在感も、淡々と置かれるDELTA9KIDのフックの上に乗っている。それに気づいた瞬間、舐達麻の聴き方が変わる。
20歳で4年。出所してから舐達麻として10年以上。3度の逮捕歴、全身を覆う和彫り、手首と足首にバダサイが彫った「麻」の文字、麻婆丼の肉抜き、寡黙、Instagramの愛猫。説明しない。ただラップする。たまに猫を撮る。それが彼の在り方だ。
結局、DELTA9KIDがやってきたのは、シーンに「静かに居続ける」という方法を持ち込むことだった。

