SEEDAプロフィール
SEEDA(シーダ)は東京都練馬区出身、1980年生まれのラッパー。海外で育った英語力を生かす初期のスタイルから、「花と雨」で日本語を伝える書き方へ重心を移した。SCARSの一員であり、CONCRETE GREENとニートtokyoで若い世代の曲や言葉を届けてきた人でもある。EMI MARIAと結婚し、子供は3人。2025年の「親子星」に続き、2026年も「ADRENALINE 2」や「E.I.N」などの共同曲を発表している。
SEEDAのプロフィール|本名・年齢・身長
SEEDA(シーダ)は1980年11月17日生まれ、東京都練馬区出身のラッパー。本名は吉田なおひとで、デビュー時にはSHIDAと名乗っていた。SCARSでの活動、DJ ISSOと手がける「CONCRETE GREEN」、インタビュー番組「ニートtokyo」でも知られる。
身長164cmは推定で、本人の公表値ではない。MBTIも本人の検査結果ではなく、後述する編集部の見立て。「CCG」は「親子星」などの作品クレジットであり、現在の所属契約を示すものではない。逮捕歴は対象本人について確認できる公開報道の範囲で示している。
SEEDAの生い立ち|海外で育ち、ラップを始めるまで
SEEDAは1980年に東京都練馬区で生まれ、3歳から4歳頃をニュージーランドで、小学1年から中学1年までをイギリス・ロンドンで過ごした。英語が堪能なことで知られるのは、この経歴による。
幼少期の海外生活は、英語力という技術面だけでなく、日本のヒップホップとの距離の取り方にも影響している。国内のシーンの内側で育った書き手とは違う角度から言葉を扱えたことが、初期のスタイルの独自性につながった。
ラップを始めたきっかけ|遊びの延長から
ラップを始めたのは1996年頃、遊びの延長だった。当時はMANUVAというグループに所属していたが、メインのMCではなかった。本人の説明では、できる表現としてラップを選んだという。
遊びの延長で始めたラップが、やがて身の回りの生活を記す手段になった。初期のストリート描写と、後年の家族に向けた曲は、書く対象を身近なところに置く点でつながっている。
慶應義塾高等学校を中退し、神奈川大学を卒業
SEEDAは慶應義塾高等学校を中退し、その後、神奈川大学に入学して卒業している。高校中退と大学卒業は別々の経歴として押さえておきたい。
慶應義塾高等学校は神奈川県横浜市港北区日吉に所在し、慶應義塾が運営する進学校である。慶應の一貫教育から離れた後、神奈川大学へ進んだ。
なお大学時代の同期には、後に交友が続くサイプレス上野がいる。
SEEDAの家族と人物像|EMI MARIAとの結婚・服装
SEEDAは2012年にシンガーソングライターのEMI MARIAと結婚し、3人の子供がいる。2025年のアルバムのタイトル曲「親子星」は、自身の子供や家族に向けた曲である。
2人を引き合わせたのはBACHLOGICだった。SEEDAの楽曲のバックコーラスとして声をかけたのがきっかけで、その後EMI MARIAは「花と雨」にフィーチャリングアーティストとして参加している。
ファッション|ストリートとカジュアルの中間
服装はストリート系を中心とするカジュアルなスタイル。APPLEBUM、JOYRICH、ICHIRYU MADEなどを着用してきた。
| ブランド | 傾向 |
|---|---|
| APPLEBUM | 国内のストリートブランド |
| JOYRICH | ロサンゼルス発 |
| ICHIRYU MADE | 国内ブランド |
ブランド名だけで固めるより、カジュアルな組み合わせで見せるスタイルだ。足元のスニーカーまで含めた全体の作り方に注目する層が一定数いる。
SEEDAのMBTI|INTJという編集部の見立て
編集部では、SEEDAの人物像をINTJ(建築家型)寄りと捉えている。本人が公表したタイプではない。作品の伝え方を変えたり、若手が出てくる場を作ったりする活動からの仮説であり、心理検査や診断の結果とは区別したい。
| 具体的な活動・発言 | 編集部の読み方 | 解釈の限界 |
|---|---|---|
| 「花と雨」で日本語を伝える書き方へ重心を移した | 目的に合わせて方法を組み替える | 作品上の変化だけで内面は決められない |
| DJ ISSOと「CONCRETE GREEN」を制作した | 自作だけでなく、若手が出る仕組みを作る | 共同制作の成果であり、本人だけの設計ではない |
| 2017年からニートtokyoを主宰した | 一時的な話題より証言の蓄積を重視する | 運営は仲間や出演者との協力による |
| VERBALとの和解で、双方の周囲に配慮したと語った | 自分の決断と周囲の合意を分けて考える | 他者への共感を重視する読み方もできる |
| 「L.P.D.N.」で「Luv(sic) Part 2」と同じサンプルを使った | 作品の意味と音の選択を結びつける | 一曲の選択から常時の思考様式までは断定できない |
| 遊びの延長からラップを始めた | できることを実際に形にする姿勢 | 自然な成り行きでも説明でき、類型の決め手ではない |
INFJとも読める理由
若手を紹介する活動や、和解にあたり周囲の感情も考えた姿勢には、INFJ的な読み方もできる。家族に向けた作品を重く見る場合も同様だ。ここでは制作方法と活動の場を組み替える面を重視してINTJを第一の仮説としたが、A/Tまで分ける根拠はない。性格タイプでビーフの原因や家族関係を説明するものでもない。
SEEDAの活動と仲間|SCARS・CONCRETE GREEN
SCARSは神奈川県川崎市を拠点に活動するヒップホップグループで、SEEDAはそのメンバーである。2000年代のストリートを描いた作品群で知られ、日本語ラップに大きな影響を与えた。
| 名前 | 担当 | 備考 |
|---|---|---|
| A-THUG | MC | リーダー |
| SEEDA | MC | — |
| BES | MC | — |
| STICKY | MC | 「親子星」収録の「Kawasaki Blue」が捧げられている |
| bay4k | MC | — |
| MANNY | MC | — |
| 林鷹 | MC | 「親子星 Deluxe」の「STARSCAR 2」に参加 |
| SAC | トラックメイカー | 舐達麻の楽曲も手がけている |
| I-DeA | トラックメイカー | SEEDAのデビュー作もプロデュース |
ラップを担うメンバーに加え、SACとI-DeAがビートを支える。SEEDAのデビュー作を手がけたI-DeAも、後にビートを提供するSACも、同じグループの内側にいる。作品の作り手と歌い手が同じ場所に揃っていたことが、この時期の作品の密度につながっている。


SCARSのSACは、舐達麻の「FUTURE」などでもビートを手がけている。
DJ ISSOと若手を紹介してきたCONCRETE GREEN
2006年からDJ ISSOと制作してきた「CONCRETE GREEN」は、既存の知名度だけに頼らず若手の曲を紹介するミックスCDシリーズだ。自分の作品を作るだけでなく、新しい声が届く場を増やしたこともSEEDAの活動の柱になっている。
2026年5月13日には、she’s roughも加わった「CONCRETE GREEN 12」が配信された。全34トラックのVarious Artists作品で、SEEDAのソロアルバムではない。またSCARSの「THE ALBUM」は2026年9月2日に赤盤アナログで再発された。こちらは2006年の作品を振り返るリイシューで、新録アルバムとは区別できる。
世代をまたぐ交友関係
SEEDAの交友は、同世代の盟友と、自分が世に出した後進の両方に広がっている。ミックスCDとインタビュー番組を続けてきた立場上、関わる範囲が世代をまたいでいる。
| 名前 | 関係 | 備考 |
|---|---|---|
| サイプレス上野 | 神奈川大学の同期 | 互いをリスペクトし合う関係。ストイックな面を高く評価されている |
| SCARSのメンバー | 同じグループ | A-THUG、BES、STICKY、林鷹ほか |
| Tohji / Mall Boyz | 後進 | 2018年配信の「Cool running」で共演。ラップスタア誕生でTohjiを見出した側でもある |
| VERBAL | かつてのビーフ相手 | 2025年に和解し、「L.P.D.N.」で共演 |
| ☆Taku Takahashi(m-flo) | 仲介者 | VERBALとの和解を取り持った |
| R-指定 | 共演 | 「親子星 Deluxe」の「ちょっちゅね!!!」で共演 |
サイプレス上野やSCARSの仲間との関係に、Tohjiらとの共演が重なる。VERBALとは対立を経て共作へ進んだ。一方的に若手を育てるだけでなく、共演相手から新しい刺激を受ける関係でもある。


SEEDAの作品履歴と2009年の引退・復帰
SEEDAは1999年にSHIDA名義でデビューし、ソロ作品と共同作品を発表してきた。あわせて、ミックスCDシリーズ「CONCRETE GREEN」の制作も長く続けてきた。
| 年 | 作品 | 備考 |
|---|---|---|
| 1999 | デトネイター | SHIDA名義の1stアルバム。プロデュースはI-DeA。廃盤扱いの初期作 |
| 2006 | 花と雨 | 4thアルバム。スタイルの転換点。1曲目が「ADRENALINE」 |
| 2006〜 | CONCRETE GREEN | DJ ISSOと制作したミックスCDシリーズ。若手を世に出す場になった |
| 2012 | 23edge | 「親子星」以前のオリジナルアルバム |
| 2025.03.21 | 親子星 | 全13曲。客演にVERBAL、LEX、IO、D.Oほか |
| 2025.12 | 親子星 Deluxe | 全23曲。R-指定との「ちょっちゅね!!!」などを追加 |
「13年ぶり」は、2012年の「23edge」から数えたオリジナルアルバムの間隔である。2015年の「BUSSIN」や2017年の「Come Back」など、その間にも音源は発表されていた。ニートtokyoで他者を映す仕事と、自分の音楽活動は並行していた。
一度の引退と復帰|2009年
SEEDAは2009年5月に活動をやめることを発表し、同年10月に公式ブログでラッパーへの復帰を宣言している。引退から復帰までは約5か月だった。その後のアルバム制作の間隔と、このときの引退表明は別の出来事である。
復帰後の2009年12月には、ILL-BOSSTINOとEMI MARIAを迎えた「WISDOM」を発表し、オリコン週間シングルチャート8位を記録した。
SEEDAの現在|親子星から2026年の共同作品へ
2025年にアルバム「親子星」で自身の歩みをまとめ直したSEEDAは、2026年も共同曲や客演を発表している。10月16日にはZen Masuta、Alenoiseとの「E.I.N」が配信された。ニートtokyoの区切りと、ラッパーとしての活動終了は同じ意味ではない。
| 時期 | 作品・出来事 | 活動の区分 |
|---|---|---|
| 2020 | 映画「花と雨」公開 | SEEDAの半生をもとにした映画 |
| 2025.03.21 | 親子星 | ソロ名義のアルバム・全13曲 |
| 2025.12.10 | 親子星 Deluxe | 全23曲のデラックス盤 |
| 2026.01.28 | ADRENALINE 2 | SEEDA・TIGHTBOOTHの共同名義 |
| 2026.02.25 | Ya Boy!! | L-VOKAL・SEEDA・C.H.E.T.の共同曲 |
| 2026.03.11 | 春夏秋冬 | EMI MARIAの曲にSEEDAが客演 |
| 2026.05.13 | CONCRETE GREEN 12 | DJ ISSO、she’s roughと手がけるミックス作品 |
| 2026.09.02 | 紙とペンと俺とお前 | Masato Hayashi「ICONIC」収録。SEEDA・RYKEYが参加 |
| 2026.10.16 | E.I.N | Zen Masuta・SEEDA・Alenoiseの共同曲 |
家族、盟友、かつての対立相手を迎えた親子星
2025年3月21日に出た「親子星」は全13曲。客演にTiji Jojo、Myghty Tommy、LEX、IO、D.O、VERBAL、Jinmenusagiら、制作陣にD3adStock、ZOT on the WAVE、Chaki Zulu、BACHLOGIC、KMらが名を連ねる。家族に向けたタイトル曲に加え、SCARSの盟友STICKYに捧げた「Kawasaki Blue」も収めた。
12月10日の「親子星 Deluxe」は全23曲。R-指定との「ちょっちゅね!!!」、JJJとBESを迎えた「Kawasaki Blue Remix」、林鷹とA-THUGが参加した「STARSCAR 2」などが加わった。「WOLF CHILDREN」ではSieroと共演し、Bardin Beatzがプロデュースしている。
ニートtokyo|ノーカットの証言を残す番組
ニートtokyoは、ラッパーを中心としたヒップホップ関係者へのノーカットインタビュー番組。2017年11月、ライター・編集者の山田文大がSEEDAに持ちかけたことをきっかけに始まった。出演者の言葉を短い問いごとに残す形式で、音源だけでは見えにくい人物像を伝えてきた。
この回の話し手は孫GONGで、テーマは「人生で一番やめて良かったこと」。SEEDA自身の引退談ではなく、SEEDAが作ってきた番組の一例である。人の選択を一つの問いから引き出す、ニートtokyoの形式が分かる。
毎日投稿から不定期投稿へ移った2023年、SEEDAは運営の負担にも言及した。KAI-YOUが報じた説明では、毎日投稿し、翻訳も付け、細部までこだわる体制を続ける難しさを挙げている。
お金も時間も人材も足りなくて
KAI-YOU「ニートtokyo、毎日投稿の休止を宣言」SEEDAニートtokyoでの発言をKAI-YOUが報道
2026年6月末には第三者による不正アクセスでチャンネルが削除され、7月7日に復旧。ksr:3のインタビューが公開された。その後、8月初旬に「第一幕」を8月末で区切る方針を発表し、特別なゲストを迎える連日投稿を告知した。これは当時の告知内容であり、SEEDA個人の引退発表ではない。
SEEDAの歩みは、自分のリリースだけを並べても見えてこない。CONCRETE GREENで若手の曲を届け、ニートtokyoで話す場を作った。自作と並行して、ほかの人の表現を世に出す仕事を続けてきた点に、この人の活動の広さがある。
SEEDAのラップスタイル|伝える言葉と共同制作
SEEDAのスタイルは、キャリアの途中で明確に変わっている。初期は英語を多用した早口のバイリンガルスタイル、2006年の「花と雨」以降はゆっくりとした日本語で伝えることに軸足を移した。
| 時期 | フロウ | 言語 | 主題 | 聴こえ方 |
|---|---|---|---|---|
| デビュー〜2000年代前半 | 早口 | 英語の比率が高い | ハスリングや裏切りなど、ストリートの描写 | スラングが多く聞き取りづらいという声もあった |
| 「花と雨」(2006年)以降 | ゆっくり | 日本語中心 | 同じ題材を、伝わる形に整理して書く | 一語ずつ届く。サンプリングを用いた曲も増える |
ストリートの生活を扱いながら、その伝え方を変えたことが大きい。ただし、日本語を中心にした後も英語は使っており、速さや言語が一度に切り替わったわけではない。身近な人に言葉を届けようとする姿勢が、家族や喪失を扱う後年の曲にもつながっていく。
FNMNLの2025年6月のインタビューでは、言葉が出ない時期を経て、若い作り手と書く方法を取り入れた経緯を語っている。「親子星」も一人ですべてを抱え込んだ作品ではない。D3adStockらとフロウや言葉を組み立て、曲によって共同制作者が加わる。歌っている人と、作詞クレジットに並ぶ人を分けて見ると、現在の制作姿勢がよく分かる。
曲を知るための4つの言葉
バイリンガルスタイルとは、日本語と英語を混ぜてラップする書き方である。SEEDAは幼少期を海外で過ごした英語力を用いて早口で両言語を行き来し、初期のラップに生かした。
ミックスCDとは、DJが複数のアーティストの楽曲を選曲・編集して1枚にまとめた作品である。SEEDAがDJ ISSOと2006年から手がけた「CONCRETE GREEN」シリーズは、当時の若手を世に出す場として機能した。
スキットとは、アルバムの曲間に置かれる短い寸劇や語りのトラックである。作品を通した物語性を作る役割があり、SEEDAのアルバムにも複数収録されている。
ハスリングとは、ヒップホップにおいて生活のために稼ぐ行為を意味し、文脈によって非合法な稼ぎ方も含む言葉である。SEEDAの初期のリリックはこの領域の生活を描写しており、本記事はその行為を推奨する立場を取らない。
SEEDAの代表曲と新作|言葉からたどる変化
初めて聴くなら「花と雨」の頃の曲と、家族を歌う「親子星」を比べたい。共演曲では、相手に合わせて自分の立ち位置が変わる。「ADRENALINE 2」や「E.I.N」まで進むと、昔の代表作を持つだけでなく、新しい相手と曲を作るSEEDAが見えてくる。
Adrenalin
2006年の4thアルバム「花と雨」の1曲目「Adrenalin」。鮮烈な出だしには初期の荒々しく早いフロウの気配が残り、一方でビートへのアプローチとリリックの細部には、長い活動で積んだものが出ている。言葉を届かせる方向へ移る、転換期の一曲だ。映像はSPACE SHOWER TVの番組「BLACK FILE」で2007年1月16日に放送されたスタジオライブで、「Adrenalin」「不定職者」「花と雨」の3曲を含む。単独曲のMVではなく、当時の演奏をまとめて見られる。
何者かを大きく名乗るより、ラップする行為に立ち戻る短句だ。ストリートの描写に加えて、マイクの前で何をするのかという自己確認が曲の芯にある。後の「ADRENALINE 2」にも、この言葉が受け継がれる。
花と雨
「花と雨」はアルバム名であると同時に、その最後に収められたタイトル曲でもある。EMI MARIAが参加し、姉への思いやロンドンの記憶を歌う。SEEDA公式チャンネルのMVは「Higanbana in the rain (花と雨)」として公開され、アルバム音源全編とは尺が異なる。以下は2006年のアルバム版の言葉を取り上げる。2020年には、この作品を軸にSEEDAの半生を描いた同名映画も公開された。
後悔の中心にあるのは、特別な言葉ではなく、話せたはずの日常だ。海外で育った経歴が単なるプロフィールではなく、離れた相手や場所を思い返す言葉になる。家族への思いを曲に残すという点で、後年の「親子星」にも続く作品である。
91 feat. SEEDA
EMI MARIAが2015年に発表した「91 feat. SEEDA」は、夫婦の共演を楽曲として聴ける一曲。「花と雨」に参加した関係から、生活をともにする二人の歌へ進んでいる。EMI MARIA公式チャンネルの動画で、結婚衣装、年を重ねる二人、けんかの後の暮らしが歌詞の題材になる。
条件になっているのは、豪華な場所や出来事ではなく「君」といること。日々をハネムーンになぞらえる曲全体の言葉として読める。これをSEEDA単独の発言や、歌詞に出るすべてが実際に起きたという証言に置き換えず、二人で描く関係の歌として受け取りたい。
Cool running
「Cool running」は、2018年12月26日配信の「Mall Tape」に収録されたMall BoyzとSEEDAの共演曲。Tohji公式チャンネルの映像でも、Tohji、gummyboy、SEEDAという組み合わせが明示されている。SEEDAが若手を紹介する側にとどまらず、相手の作品に入ってラップする関係を示す。
繰り返す主語は「俺」ではなく「俺ら」。一人の経歴より、仲間と一緒に世界へ出ていく感覚を前に置いた曲だ。引用は共同曲の反復句として扱い、SEEDAだけの自伝的な発言とはしない。世代の離れた共演相手と同じ曲に立つこと自体が、この曲を人物紹介で聴く理由になる。
親子星
2025年のアルバム「親子星」のタイトル曲は、子供の成長と、その先にも続く思いを歌う。公式MVのクレジットにはSEEDAのほか、作詞にZOT on the WAVE、Homunculu$、SHOSENSEI!!が並ぶ。父親として歌う曲であると同時に、複数の作り手と形にした一曲でもある。
子供に自分の道をそのまま歩かせるのではなく、相手の幸せを中心に置く言葉だ。小さな乗り物から自転車へと育つ日々の描写が、遠い将来への願いにつながる。家族の人数を知るだけでは見えない、親として何を大事にしたいかが伝わる。
ADRENALINE 2
2026年1月28日配信の「ADRENALINE 2」はSEEDAとTIGHTBOOTHの共同名義。TIGHTBOOTH PRODUCTION公開の公式映像で、灸夏がプロデュースし、Shinpei UenoとSEEDAが作詞した。2006年の「Adrenalin」の言葉を引き継ぎながら、過去を懐かしむだけではない大人の視点を加えている。
過去へ戻る手段はないと認めたうえで、今をどう過ごすかへ向き直る一節だ。若い頃を否定するのでも、昔の自分だけを称えるのでもない。代表曲を続編として作り直す行為と、歌詞の時間への向き合い方が重なっている。
E.I.N
「E.I.N」は2026年10月16日に出たZen Masuta、SEEDA、Alenoiseの共同曲。Dap RecordsからYouTubeに提供された公式音源で、Zen MasutaとSEEDAが作詞・歌唱、Alenoiseが作曲とプロデュースを担う。SEEDAのソロ新作ではなく、ラッパーとプロデューサーが役割を分けたコラボレーションとして聴きたい。
THE MAGAZINEのリリース紹介では、自分の道を切り開く野心や信念がテーマとされている。家族を歌う「親子星」だけで近年のSEEDAを捉えず、新たな相手と前向きな姿勢を共有する曲として並べると、活動の幅が見える。
WOLF CHILDREN
「WOLF CHILDREN」は2025年12月10日の「親子星 Deluxe」に収録されたSEEDAとSieroの共同曲。Bardin Beatzがプロデュースし、SEEDA公式チャンネルでも映像を公開している。自分の生い立ちを問い直す声と、相手を励ます声が同じ曲に並び、世代をまたぐ共作が作品のテーマに重なる。
孤独を感じることと、自分の居場所がないと決めつけることを切り離す短句だ。「WOLF CHILDREN」という呼び名も、境遇をただ不幸の証拠にするのではなく、仲間と自分を肯定する響きを持つ。共同曲全体の言葉として読み、家族についての描写をSEEDA一人の経歴へ当てはめない。
入門ガイド|どこから聴くかの判断表
時期によってスタイルが違うため、どこから入るかで印象が変わる。作品と時期を、性格・聴きどころ・向く聴き方の軸で並べたのが次の表である。
| 作品 | 時期 | 性格 | 聴きどころ | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|---|
| Adrenalin | 2006年 | 転換点 | 初期の速さと後期の練度が同居している | まず代表曲から入りたい人 |
| 花と雨(アルバム) | 2006年 | 代表作 | 日本語で伝えることに舵を切った1枚 | 作品単位で聴きたい人 |
| デトネイター | 1999年 | デビュー作 | SHIDA名義。初期のジャジーで荒い質感 | 出発点から追いたい人 |
| 親子星 | 2025年 | 13年ぶりの新作 | 家族を主題にした曲と、和解曲を収録 | いまのSEEDAから入りたい人 |
| CONCRETE GREEN | 2006年〜 | ミックスCDシリーズ | 当時の若手が並ぶ。シーンの見取り図になる | 時代ごと知りたい人 |
1999年のデビュー作から2025年の「親子星」までは、制作方法も歌う対象も変わっている。デトネイターと親子星を続けて聴くと、同じ人物とは思いにくいほど手触りが違う。
向いていないケース|明るく聴き流せる音楽を探している人
作業中に流す音楽を探している人には、SEEDAの楽曲は重く感じられる可能性がある。初期はハスリングや裏切りといった題材が中心で、後期も家族や喪失を正面から扱うことが多く、言葉を追うほど受け取り方が変わる。
また、初期作品はスラングと英語の比率が高く、意味を追いながら聴くと負荷が高い。その場合は「花と雨」以降から入るほうが接点を作りやすい。本記事の入門ガイドでも、初期作は「出発点から追いたい人」向けとして分けている。

SEEDAとVERBALのビーフ|16年後の和解を曲にする
SEEDAのビーフで最も知られているのが、2009年のTERIYAKI BOYZへのディスソング「TERIYAKI BEEF」である。そしてこの対立は、16年後の2025年に和解という形で決着している。
| 相手 | 時期 | 概要 | 現在の状況 |
|---|---|---|---|
| VERBAL(TERIYAKI BOYZ) | 2009年 | ディスソング「TERIYAKI BEEF」を発表 | 2025年に和解。「L.P.D.N.」で初共演 |
| ギネス | — | アンサー曲のやり取り | 該当記事で詳述 |
| 晋平太 | — | — | 該当記事で詳述 |
表のとおり、複数の相手との経緯があるが、最も長く尾を引いたのがVERBALとの一件だった。以下では和解に至る経緯を扱う。
L.P.D.N.|対立から16年後の初共演
2025年3月21日にリリースされたアルバム「親子星」に、「L.P.D.N. ft. VERBAL」が収録された。2009年の当事者同士による初のコラボレーションである。プロデュースはHOLLYが手がけている。
KAI-YOUが2025年3月27日に報じた本人の説明では、Fat Joeと50 Centが握手した姿を見たことが、和解を人に示したいと思うきっかけになった。
俺もこれを見せたいと思って
KAI-YOU「SEEDAとVERBAL、16年越しの和解」SEEDAニートtokyoでの発言をKAI-YOUが報道
ただし、本人が過去のものとして水に流せても、それで完結する話ではなかった。ビーフに巻き込んでしまった双方の仲間や周囲の人間まで納得させるには時間がかかったことを、本人が明かしている。仲介役を担ったのは、SEEDAと少し交流があったm-floの☆Taku Takahashiだった。
楽曲には仕掛けもある。日本語ラップにおける平和の象徴として受け止められてきたNujabesの「Luv(sic) Part 2 feat. Shing02」と、同じサンプリング元の曲が使われている。和解を主題にした曲に、その文脈を持つ音を選んだことになる。

L.P.D.N.
「L.P.D.N.」は「親子星」に収録されたSEEDAとVERBALの初コラボ。SEEDA公式チャンネルのMVは、二人の参加を示す作品だ。HOLLYが作曲し、作詞クレジットにはSEEDA、VERBAL、LUNV LOYAL、L-VOKALが並ぶ。対立の記録だけでなく、共作するところまでがこの二人の経緯になった。
相手との対立を、相手そのものの否定で固定しない言葉だ。恨みを持ち続ける関係ではなく、道が交差した出来事として見直す。「Luv(sic) Part 2」と同じサンプリング元を使い、かつての相手と実際に声とクレジットを並べたことが、和解を説明ではなく作品にしている。
SEEDAに関するよくある質問
まとめ|SEEDAは自分の言葉と、ほかの人の声を届けてきた
練馬に生まれ、ニュージーランドとロンドンで育ったSEEDA。慶應義塾高校を中退して神奈川大学へ進み、1999年にSHIDAとしてデビューした。SCARSで仲間と曲を作り、「花と雨」では身近な人への思いを、日本語で伝わる形にしていった。
その後も音源を発表しながら、CONCRETE GREENで若手を紹介し、ニートtokyoでシーンの証言を残した。自分が前に出る仕事と、他者に話してもらう仕事が並んでいる。2025年の「親子星」では家族、盟友、かつて対立したVERBALとの関係を曲へ刻み、2026年には新しい共同作品へ進んでいる。
「対立を曲にした人が、同じ相手と和解の曲を作った。その間の時間も、SEEDAの音楽の一部だ。」
— Djtube 編集部 / ドリブルX
