Tohjiプロフィール
Tohji(トージ)は、1996年にロンドンで生まれ、東京・横浜で育ったラッパーだ。麻布高校を中退した後、高卒認定を経て武蔵野美術大学へ進み、仲間との共同生活からMall Boyzの活動へつながった。「Higher」や「GOKU VIBES」で知られ、2026年をもって音楽活動を引退する意向を表明。11月17日には、東京ドームで最終公演「TOKYO MALL」を予定している。
CHAPTER 01 / SECTION 01Tohjiのプロフィール|読み方・年齢・出身・学歴
Tohjiの読み方は「トージ」。ロンドンに生まれて3歳頃まで暮らし、その後は東京や横浜で育った。本名と正確な誕生日は公表されておらず、生年は1996年とされる。
公式Instagramは@_tohji_。Mall Boyzの活動に加え、単独名義やLootaとの共同作品も発表している。
身長173cmは推定値で、本人・所属の公表値ではありません。生年のみを掲載し、誕生日や現在年齢の確定値は補っていません。結婚・配偶者、兄弟姉妹、逮捕歴の「情報未確認」は、事実がないという意味ではありません。
Tohjiを知る4つの言葉
Tohjiの来歴では、生まれ育った地域だけでなく、仲間と過ごす家やインターネットも重要な場所になる。まず、活動を知るうえでよく出てくる言葉を押さえておこう。
フッドとは、ヒップホップにおいて自分の地元や育った地域を指す言葉である。多くのラッパーが出自を示す拠り所にするが、ロンドン生まれで各地を移って育ったTohjiには、ひとつの地域だけをフッドとして名乗る感覚が薄い。
トラップとは、細かく刻んだハイハットと重い低音を特徴とする2010年代以降のヒップホップの様式である。国内でトラップがまだ広く浸透していない時期に活動を始めたTohjiは、クラブやライブハウスで自身の音楽が受け入れられにくい経験をした。その音楽性が十分に共有されていなかったことも、当時の受容を難しくした一因だ。
ヤサとは、Tohjiが大学時代に仲間と借りた一軒家に付けた呼び名である。数人が住み、それ以外の仲間も常時出入りする場所で、Mall Boyzの楽曲やイベントはここから生まれた。
SoundCloudとは、誰でも音源を投稿できる音楽配信プラットフォームである。レーベルやクラブを経由せずに作品を発表できるため、Tohjiのように既存の流通の外側から出てくるアーティストの入口になった。
地元のつながりだけに頼らず、住まいや投稿先を自分たちの居場所にしていく。その発想が、ヤサでの共同生活とMall Boyzの名前にもつながっている。
CHAPTER 02 / SECTION 02Tohjiの生い立ち|ロンドン生まれ、地元を持たない少年期
ロンドンで生まれたTohjiは、3歳頃に日本へ移り、東京や横浜で育った。ひとつの街に根を張るより、移動先で自分の居場所を探してきた来歴がある。
自分たちの居場所を作ることは、Tohjiの活動を貫く主題のひとつだ。生まれ育った土地をひとつに絞って名乗る代わりに、ヤサで過ごす時間や、ショッピングモールの記憶を仲間と共有してきた。
Tohjiの学歴|麻布高校中退から武蔵野美術大学へ
Tohjiは麻布中学校・高等学校に進学し、高校3年で退学した。その後に高等学校卒業程度認定試験に合格し、2015年に武蔵野美術大学へ入学している。
麻布高校での中退|本人が語った理由
中学1年の頃、高校の先輩から妄走族やキングギドラを教わったことが、日本語ラップに触れるきっかけになった。学校は音楽との出会いの場でもあったが、高校3年で離れることになる。
高校を辞めた理由については、刺激を求めて行動するうち、倫理観が崩れ、自分でも状況が分からなくなっていたという本人の説明が紹介されている。
退学後は1年ほど家に引きこもっていた。その時間のなかで音楽による自己表現へ関心が向かい、後にSoundCloudなどで曲を発表するようになる。2019年のRed Bullのインタビューでは、本格的にラップを始めたのは2年前だったと振り返っている。
武蔵野美術大学へ|高卒認定を取得して2015年入学
アートへの関心から選んだ進路が、武蔵野美術大学だった。高卒認定を経て2015年に入学し、感覚の合う仲間と出会うことにも期待していたという。
大学時代には友人と一軒家を借り、「ヤサ」と呼んで共同生活を始めた。住んでいたのは3人ほどだが、7〜8人が集まることも多く、住人以外も出入りしていた。曲を作り、イベントを考え、遊ぶ場所が重なり、Mall Boyzが生まれる土台になった。
CHAPTER 03 / SECTION 03Tohjiの私生活|ファッション・タトゥー
Tohjiの人物像は、服の選び方や身体に刻んだタトゥー、インタビューで語る友人との出来事からも見えてくる。一方、本名や家族構成の詳しい情報は公表されていない。
ニート東京での「終わりなきイキり」
「ニート東京」のこの回では、Tohjiが友人と自動車免許の合宿に行ったときの出来事を話している。SEEDAとの接点は「ラップスタア誕生!」で生まれ、その後も同チャンネルにたびたび出演。次々と話が進む語り口も、このエピソードの印象を強めている。
Tohjiは、自身と周囲を「終わりなきイキり」と表現している。
「終わりなきイキり」という短い表現には、友人と張り合いながら過ごす当時の空気がにじむ。曲やライブとは違う、仲間のなかでのTohjiを知る話だ。
ファッション|近未来的なブランドを選ぶ
Tohjiの装いには、モータースポーツ由来の服も、ヒップホップの定番も、前衛的なブランドも登場する。着用が紹介されてきたブランドは次のとおり。
| ブランド | 傾向 |
|---|---|
| GmbH | 近未来的・前衛的なコンセプト |
| FOX RACING | モータースポーツ由来 |
| 032c | ベルリンのファッションマガジン発 |
| 24karats | 国内ブランド |
| KARL KANI | 1990年代のヒップホップの定番 |
| Y / Project | フランスのブランド |
| REVOLVER | 国内ブランド |
| Eytys | スウェーデンのブランド |
サイジングと組み合わせで見せるのがTohjiのファッションだ。産地も年代も異なる服を選び、ひとつのジャンルの制服のようにはまとめない。既存の枠に合わせない姿勢は、音楽の作り方にも通じる。
タトゥー|背中の羽と腕の「FRISK」
人前でタトゥーを露出する機会は少ないが、知られているデザインには背中の羽や腕の文字がある。見えるデザインと、本人が意味を説明しているかどうかは分けて考えたい。
| 部位 | デザイン | 備考 |
|---|---|---|
| 背中 | 天使の羽 | 最も知られているもの |
| 腕 | 「FRISK」の文字 | 意味は公表されていない |
| 胸 | 動物のイラスト | 詳細は確認できていない |
背中の天使の羽は、Tohjiのタトゥーとしてよく知られるデザインだ。腕には「FRISK」の文字があり、「HI-CHEW」という曲名とのつながりを連想する見方もあるが、本人がその意味を説明したとは確認できていない。一部は東京・千駄ヶ谷のJoytown Tattooの彫り師Kajiが手がけている。
CHAPTER 04 / SECTION 04Tohjiの人物像とMBTI|ENFP(編集部の見解)と判断の根拠
Djtube編集部は、TohjiのMBTIをENFP(運動家型)と推定している。本人が公表した診断結果ではなく、音楽・映像・イベントを横断する活動や、制作をめぐる言葉から人物像を読むための見解だ。
| 観察された言動 | 対応する傾向 | 出典の性質 |
|---|---|---|
| 前例のないことに挑みたいという制作姿勢 | 新しい可能性に目を向ける | 本人発言として紹介されてきた内容 |
| フッドという既存の枠を使わず、ショッピングモールを代わりに置いた | 与えられた型に乗らず、概念を作り替える | 本人インタビュー・作品 |
| クラブで相手にされない時期もSoundCloudで発表を続けた | 外部の評価より自分の基準で進める | 本人MC |
| 楽曲・映像・イベントと領域を横断し、映画では監督も務めた | 一つの形式に留まらない | 報道・公式発表 |
| 引退を「船を降りることではない」と表現した | 区切りを終わりではなく移行として意味づける | 本人MC |
| 「今までやれることは全てやってきた」と語った | 区切りを次の表現へ向かう契機として言葉にする | 本人MC |
ショッピングモールをフッドとして捉え直す発想や、音源に映像・イベントを組み合わせる行動から、新しい可能性を外へ広げる傾向を読み取った。ただし、活動上の役割や作品の演出から、日常の性格まで言い切れるわけではない。
別の読み方|作品だけで型を決めない
初期作品の内向きな感覚表現に注目すれば、INFPのような別のタイプ像を思い浮かべる余地もある。ここでのENFPは成人後の公の活動に基づく推定であり、心理検査の代わりにはならない。A/Tの枝分類までは判断しない。
CHAPTER 05 / SECTION 05TohjiとMall Boyz|ショッピングモールをフッドに変えたクルー
Mall Boyz(モールボーイズ)は、Tohjiとgummyboyを中心とするクルー。プロデューサーのstei、アートディレクターのSahashiを含む4人で活動してきた。ラップだけでなく、音とビジュアルを一緒に作っていく集まりだ。
| 名前 | 役割 | Tohjiとの出会い |
|---|---|---|
| Tohji | MC | — |
| gummyboy | MC | 大学の共通の友人が家に連れてきたのが最初。好きな音楽について6時間話し込んだ |
| stei | プロデューサー | SoundCloud経由。Tohjiのアカペラと声質に惹かれて連絡を取った |
| Sahashi | アートディレクター | Tohjiの昔からの友人。gummyboyのジャケットも手がけている |
4人の出身地は同じではない。それでも、小さい頃にショッピングモールで過ごした記憶には共通点があった。街の名前ではなく、モールでの体験をフッドにする。Mall Boyzという名前には、その発想が込められている。
ニートtokyoでgummyboyがラップを始めたきっかけと名前の由来を語るインタビュー。Mall Boyzの相方が音楽へ入った背景を知る映像である。
gummyboyにラップを勧めたのはTohjiだ。共通の友人を通じて出会い、好きな音楽の話を6時間も続けたという。gummyboyは初対面のTohjiを「怖かった」と振り返るが、音楽の好みを話すうちに距離が縮まった。

作品|「Mall Tape」から2026年の「Mall Tape 3」まで
Mall Boyzは2018年の「Mall Tape」から作品を重ね、2026年には初のフルアルバム「Mall Tape 3」を発表した。EPとフルアルバムを区別すると、作品の流れが分かりやすい。
| 年 | 作品 | 備考 |
|---|---|---|
| 2018.12.26 | 「Mall Tape」 | フッドを持たないクルーの発想を示したEP |
| 2026.04.08 | 「MとBを」 | Tohjiとgummyboyが参加するシングル |
| 2026.06.03 | 「mutant ninja turtles」 | Tohji、gummyboy、ralph、JUMADIBAが参加 |
| 2026.06.10 | 「Mall Tape 3」 | 初のフルアルバム。6月13日にYouTubeでリスニングパーティを実施 |
| 2026.08.21 | 「Higher [2026 in 東京ドーム]」 | 2018年収録曲とは区別される2026年版 |
引退を発表した後も、Mall Boyzとしてのリリースは続いた。「Mall Tape 3」が出たのは、2026年8月のアリーナ公演の2か月前。さらに「Higher」の2026年版も配信し、11月17日の東京ドーム最終公演へ向けて活動を重ねている。
Tohjiと仲の良いラッパー
ヤサにはクルーの外からもアーティストが訪れ、共演や友人関係が広がった。Tohjiの活動は、同じ地元のつながりだけでは説明できない。
KamuiがTohjiとの思い出を語るニートtokyoのインタビュー。交友相手の視点から、Tohjiの人物像を知る材料になる。
| 名前 | 関係 | 備考 |
|---|---|---|
| gummyboy | Mall Boyzの相方 | Tohjiがラップを勧めた |
| ELLE TERESA | 共演 | 「GOKU VIBES」で共演 |
| fuji taito | 同世代 | 共演多数 |
| 釈迦坊主 | 同世代 | 「RASEN」で共演 |
| Kamui | 同世代 | 互いの芸術性をリスペクトし、ヤサにも出入りしていた |
| SEEDA | 「ラップスタア誕生!」から | 審査員として才能を見出した側 |
| kZm | 同世代 | 「TEENAGE VIBE」でTohjiに呼びかけた |
オーディションの審査員だったSEEDA、同じ曲に参加したElle Teresa、ヤサを訪れたKamui。出会い方はそれぞれ違い、仲間との生活と作品づくりが交わるところで関係が育っている。

CHAPTER 06 / SECTION 06Tohjiの引退|2026年での音楽活動終了とラストライブ
Tohjiは2025年10月18日、大阪城ホールの「POP YOURS OSAKA」で、2026年をもって音楽活動を引退すると発表した。翌2026年8月9日にLaLa arena TOKYO-BAYで最後のアリーナ公演を開催し、その日に東京ドームでの最終公演「Tohji Last Live “TOKYO MALL”」を告知。開催予定日は11月17日だ。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2025.10.18 | 「POP YOURS OSAKA」(大阪城ホール)のステージで引退を発表。MC全文が公開された |
| 2026.04.04 | 「POP YOURS 2026」出演時に、本人のMCでラストライブの開催を発表 |
| 2026.06.16 / 06.18 / 06.23 | ラストツアー(Zepp Osaka Bayside/Zepp Nagoya/Zepp Haneda) |
| 2026.08.09 | 引退前最後のアリーナ公演「Volcanic Summer 頂上 Dimension」(千葉・LaLa arena TOKYO-BAY) |
| 2026.11.17(予定) | キャリア最終公演「Tohji Last Live “TOKYO MALL”」(東京ドーム) |
| 2026.08.09 | チケット即完売を受け、最後のアリーナ公演をYouTubeで全編無料生配信 |
引退発表から最終公演までは1年あまり。その間にツアーも新曲も続いているため、「引退を発表した」と「活動を終えた」は分けて捉える必要がある。2026年10月19日時点では、東京ドーム公演を控えている。
引退のMC|「晴れ晴れとした雲ひとつないような気持ち」
引退を告げたMCでTohjiが振り返ったのは、曲を入れたUSBをクラブで配っても相手にされなかった頃からの8年間だった。仲間とアリーナ公演を実現し、幼い頃に母親とはぐれたショッピングモールでは自分の映画が上映された。世界各地で仲間が待っていたことも、歩んできた道のりとして語っている。
今までやれることは全てやってきた
音楽活動の引退を、自分自身まで終えることとは捉えていない。同じMCでは、自分という船を降りるつもりはないことや、これからも聴き手と人生が交差する可能性に触れた。
人生が交差することはあると思います。
引退後の活動は?
引退後の具体的な仕事や活動時期は、2026年10月16日までに公表された内容からは明らかになっていない。再び聴き手と交わる可能性を語ったMCも、特定の新事業や復帰を約束した言葉とは区別したい。
Tohjiの2026年作品
2026年8月5日には単独曲「Amelie」、9月30日にはLootaとの共同作品「KUUGA β」を配信した。グループ活動ではMall Boyzの「Mall Tape 3」、客演ではgummyboyの「G mode」にも参加している。ソロだけを追うと見落としやすい動きだ。
CHAPTER 07 / SECTION 07Tohjiのラップスタイル|フッドを持たない表現
Tohjiは、自分の感覚に合う音や映像を優先してきた。ひとつの地元を名乗る自己紹介だけではなく、仲間との時間、インターネットで共有した文化、身体の動きを作品に持ち込む。
前例のないことに挑みたいという姿勢は、ラップだけでなく映像やイベントにもつながる。Red Bullの2019年の取材では、音楽と映像の両方で道を切り開いた北野武への敬意も語っている。
初期の発表先はYouTubeやSoundCloudだった。自分の音楽がクラブやライブハウスで受け入れられず、ヘッズからも反応を得られない時期があったが、2017年の「ラップスタア誕生!」でファイナルへ進み、知ってもらう機会を広げた。
ラップスタア誕生|無名の美大生がファイナルへ
2017年、ラップスタア誕生!のSeason1に出場した。優勝賞金は300万円、審査員にはANARCHYやSEEDAが名を連ねた。即興のMCバトルではなく音源を競うオーディションで、曲づくりを軸にしていたTohjiにとって力を示せる場だった。
応募の理由として語られているのは、自分のラップが周囲に理解されないなかでも、SEEDAなら分かってくれるのではないかという期待だ。
当時まだ広く知られていなかった美大生が、ファイナルステージまで進出した。番組を通して生まれたSEEDAとの接点も、その後の活動につながっている。
フリースタイル|RASENでの反響
2019年の「RASEN」では、釈迦坊主、dodo、Daichi Yamamotoとマイクリレーを行った。Tohjiのバースをめぐっては、何を言っているのかという反応も集まり、同席した釈迦坊主の呼びかけも話題になった。
言葉の意味を追うより先に、声の速度と音の置き方が届く。出演者の反応も含めて、Tohjiのラップを語る際にたびたび振り返られる回だ。
本人はRed Bullの取材で、前日は風邪で寝込んでおり、会場へ向かう車のなかで歌詞をざっくり考えたと説明している。準備をまったくせずに臨んだ、という話ではない。
あとは現場でフィーリングを掴んでやってみようって感じでした。
「ちょっとまってTohji」という反応は、聴き手が言葉を追いきれない感覚を表すフレーズとして広がった。kZmも2020年のアルバム「DISTORTION」に収めた「TEENAGE VIBE」で、Tohjiに呼びかけている。
「TEENAGE VIBE feat. Tohji」|kZmからの呼びかけ
「TEENAGE VIBE」は、kZmがTohjiを客演に迎えた曲。Chaki Zuluがプロデュースし、YENTOWNの公式チャンネルでMVが公開されている。曲中のTohjiへの呼びかけも、同時代のラッパー同士で反応が行き交っていたことを伝える。
名前を直接呼び、「待ってた」と迎える言葉が、共演そのものを曲のなかに置く。Tohji自身の独白ではなく、彼を迎える側の呼びかけとして読むと、ふたりのつながりが伝わる。
CHAPTER 08 / SECTION 08Tohjiの代表曲|「Higher」・「GOKU VIBES」・「プロペラ」
「Higher」は、Tohjiが2019年のインタビューで自身の代表曲に挙げた曲のひとつだ。ここでは、その曲と「GOKU VIBES」「HI-CHEW」「プロペラ」「Oreo」に加え、2026年の単独曲「Amelie」とLootaとの「Yodaka β」を紹介する。
- EP「Mall Tape」 / Mall Boyz
- MIXTAPE「Angel」 / Tohji
- ALBUM「Mall Tape 3」 / Mall Boyz
- SINGLE「Amelie」 / Tohji
- ALBUM「KUUGA β」 / Tohji & Loota
「Higher」の2018年配信、2019年のMV、2026年版は同じ日付の作品ではない。「Angel」の2026年再配信も新作の発表とは分けると、初期から現在までの流れを追いやすい。
「Yodaka β」|「KUUGA β」に入ったTohji & Lootaの共同曲
「Yodaka β」は、TohjiとLootaが共同名義で歌う「KUUGA β」収録曲。2026年9月30日配信の7曲入り作品に入り、YouTubeではTohji提供の自動生成公式配信音源が9月29日に投稿された。作詞とボーカルはTohjiとLoota、作曲はTohjiとgentoku、プロデュースはTohji、gentoku、Brodinskiが担う。
「何者」という肩書きを退けてから「俺ら」という複数形へ移る。何かになることより二人でいる状態に重心を置く言葉であり、個別の歌唱パートではなくTohjiとLootaの共同曲全体の短句として読む。
「Amelie」|関係の変化を置く2026年の単独曲
「Amelie」は、Le Makeup、RY0N4、Tohjiが共同でプロデュースした2026年8月5日配信の単独名義曲。公式MVは翌8月6日にTohji Official Artist Channelから公開された。
「友達」という関係名を否定形にして、親密さが同じ場所に留まれないことを短く置く。実在の相手へ結び付けず、曲のなかで距離が変わる場面を示す語として読む。
「Higher」|「成し遂げて死ぬ」という宣言
「Higher」はMall Boyzの「Mall Tape」に2018年12月26日配信で収録された。MVは2019年3月14日にTohjiの公式チャンネルで公開され、ダンスを含むパフォーマンスも印象を広げた。2019年のRed Bullの取材で、Tohjiは音楽を通じた出会いによって他人を前向きに信じられるようになり、この曲ができたと振り返っている。
「成し遂げる」と「死ぬ」を結び、達成を人生の有限さのなかに置く短い宣言だ。単なる金額や順位では語りきれない切実さがある。人との出会いを経て生まれたという本人の説明と合わせると、ひとりで勝つことだけではない広がりも読み取れる。
「GOKU VIBES」|TikTokから広がった1曲
「GOKU VIBES」はDJ CHARI & DJ TATSUKIの曲に、Tohji、Elle Teresa、韓国のUNEDUCATED KIDとFuturistic Swaverが参加した共同曲。MVは2020年10月に公開された。Tohjiが「#gokuvibeschallenge」でサビのダンスを投稿し、TikTokで曲が広がるきっかけにもなった。
「孫悟空」という固有名を「vibes」と結び、強さや勢いを一言の合言葉にする。言語も活動拠点も異なる客演陣を「We」で束ねる、共同曲のフックとして読むことができる。
「HI-CHEW」|ミックステープ「Angel」収録
「HI-CHEW」は2019年のファーストミックステープ「Angel」収録曲。現在の配信クレジットは作詞Tohji、作曲・プロデュースMall Boyzとなっている。ANTIANTIARTが監督した2019年のMVは、2026年9月21日にTohjiの公式チャンネルへ掲載された。制作年と再掲載年が異なる、初期の1曲だ。
リムジンの中で食べ物をこぼす場面や、見慣れた街から離れたい気持ち、自転車で進む感覚が並ぶ。高価なものを汚したくなる気持ちも歌われ、高級な乗り物と雑然とした日常が同じ流れに入る。価値のあるものを丁寧に扱うという約束事から外れるところにも、初期Tohjiの奔放さが表れている。
「見飽きた」が日常の反復への倦みを置く一方、行き先は「どこか」のままだ。明確な目的地よりも、今いる場所から動きたい衝動が先に立つ。リムジンと自転車が同じ曲に入る奔放さともつながる。
「プロペラ」|Danny Diedプロデュース
「プロペラ」は2020年8月公開の楽曲。初期から組んできたDanny Diedがプロデュースし、MVも同月に公開された。
身体の動きをプロペラになぞらえ、伸びる音や弾む音節を反復する。性的な言葉も意味の説明だけに閉じず、声をビートの一部のように使うところが、この曲の推進力になる。
「I feel」で自分の感覚を語り、その自分を「propella」になぞらえる。身体の動きを回転する物へ置き換える言葉が、伸びる音や弾む音節を反復する書き方と結び付いている。
「Oreo」|トラックも本人が制作
「Oreo」は2020年9月発表の楽曲で、Tohjiがトラックも手がけた。ラップだけでなく、自分の声を置く音の側も作る1曲だ。
菓子や飲み物の名前、浜辺の場面、性的な連想を軽い反復でつなぐ。日常の商品名が声のリズムになり、夏の場面が断片として流れていく。
「I gotta go」は、動き出す必要を一人称で短く示す言葉だ。夏の風景や商品名が次々に並ぶ曲のなかで、立ち止まらず先へ進もうとする動きが表れる。
入門ガイド|どの曲から聴くかの判断表
どこから聴くか迷ったら、曲の役割で選ぶと入りやすい。まず「Higher」、客演の広がりなら「GOKU VIBES」、声と言葉の感触なら「プロペラ」という違いがある。
| 曲名 | 発表 | 性格 | 聴きどころ | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|---|
| 「Higher」 | 2018年配信/2019年MV | 代表曲 | 「成し遂げて死ぬ」という基準の提示。ダンスを含むパフォーマンス | 本人が代表曲に挙げた曲から入りたい人 |
| 「GOKU VIBES」 | 2020年10月 | 客演入りのヒット曲 | TikTokでも広がった。韓国のラッパーとの共演 | 知名度のある曲から入りたい人 |
| 「HI-CHEW」 | 2019年 | 初期作 | ミックステープ「Angel」収録。初期の質感が濃い | 出発点から追いたい人 |
| 「プロペラ」 | 2020年8月 | 実験的 | Danny Diedのトラック。言葉を音として並べる書き方 | 言葉の扱い方を聴きたい人 |
| 「Oreo」 | 2020年9月 | セルフプロデュース | トラックも本人。軽快で夏の質感 | 音作りの側面から入りたい人 |
2018〜2020年の作品だけでも、宣言を掲げる曲、ダンスで広がる客演曲、言葉の響きを試す曲、トラックまで自作する曲が並ぶ。ひとつの方向へ順番に変化したというより、複数の方法を同時に試してきたことが分かる。
歌詞の意味と、声の響きのどちらから入るか
歌詞をひとつの物語として追いたい人は、最初に戸惑うかもしれない。Tohjiには、言葉の意味だけでなく、音節の反復や声の動きで聴かせる曲がある。「RASEN」で言葉の聞き取り自体が話題になったことも、その特徴と無関係ではない。
地元や生い立ちを語る自己紹介型のラップを期待するなら、まず主題が見えやすい「Higher」から入り、別の曲へ進む方法もある。意味を追う聴き方と、声を音として受け取る聴き方を行き来すると、曲ごとの差が見えてくる。
一部楽曲の配信停止と「Angel」の再配信
「Angel」を含む一部楽曲には、配信を停止していた時期がある。2021年8月に楽曲提供者の逮捕が報じられたことを受け、Tohjiはその人物が関与した作品の配信を停止した。その後、「Angel」は2026年9月に再配信され、公式チャンネルにも「HI-CHEW」のMVと音源が掲載されている。これは楽曲提供者についての経緯であり、Tohji本人の逮捕を示すものではない。

CHAPTER 09 / SECTION 09Tohjiのライブと映画|ロンドン公演からぴあアリーナまで
音源を作って終えるのではなく、海外での公演、アリーナのステージ、映画へと表現を広げてきた。初期のライブ映像と後年の公演を並べると、その規模の変化が見えてくる。
ロンドン公演|2020年3月
2020年3月のロンドン公演では、ほぼ日本語でパフォーマンスしながら現地の観客の反応を得た。海外で活動する手応えにつながった公演である。この時期にはSNSで現地のヒップホップ文化への姿勢に苦言を呈し、DJや文化への敬意を重視する考えも示していた。
海外へ行くこと自体だけでなく、そこで音楽を支えている人や場所とどう関わるか。ロンドン公演の前後の発信には、そうした問題意識も表れている。
ライブのまとめ映像|売れる前の記録
このまとめ映像には、2018年4月から2019年3月までのライブが収められている。広く知られる前の現場から、ビジュアルやラップが変わっていく過程をたどる記録だ。
劇場版 Tohji Pia Arena|アリーナ公演と自身が監督した短編
2025年2月、神奈川・ぴあアリーナMMで当時最大規模のソロ公演を開催した。そのライブ映像、素顔に迫るドキュメンタリー、Tohji自身が監督したショートフィルムを組み合わせたのが「劇場版 Tohji Pia Arena」だ。2025年6月に全国のイオンシネマで公開され、同年10月24日からU-NEXT、Hulu、Prime Video、FODなどで配信が始まった。
引退MCで触れた、幼い頃に母親とはぐれたショッピングモールで20年後に映画が上映されたという話は、この作品につながる。2025年8月には4都市を巡る「zero-tour」も行い、ライブと映像の両方で活動を広げていた。
CHAPTER 10 / SECTION 10Tohjiに関するよくある質問(FAQ)
引退の予定、学歴、Mall Boyzとの関係など、よくある疑問に短く答える。詳しい経緯は、それぞれの章を参照してほしい。
CHAPTER 11 / SECTION 11Tohjiのまとめ|船を降りないと言った男
Tohjiの活動をたどると、地元という枠だけに頼らず、自分たちの居場所を作ってきたことが分かる。ヤサ、ショッピングモール、SoundCloud。それぞれが仲間や聴き手とつながる場所になった。
麻布高校を離れて家で過ごした時期を経て、美大へ進み、曲を発表するようになった。USBを配っても反応がなかった頃から、「ラップスタア誕生!」、ロンドン公演、アリーナ、映画へ。その歩みは、決まった道をそのまま進んだものではない。
2025年10月に引退を告げたとき、本人が示したのは、やれることをやってきたという実感だった。音楽活動には区切りをつけても、自分自身の人生まで終えるわけではないという言葉が残る。
2026年8月9日のLaLa arena TOKYO-BAY公演は、チケットの即完売を受けてYouTubeでも全編無料生配信された。次の大きな区切りは、11月17日に予定されている東京ドームでの最終公演だ。
Tohjiの歩みを振り返る
- Tohjiは1996年イギリス・ロンドン生まれ。3歳頃まで現地で過ごし、東京・横浜で育った
- 麻布高校を3年で退学し、高卒認定を取得して2015年に武蔵野美術大学へ入学
- 大学時代の共同生活「ヤサ」からラップクルーMall Boyzが生まれた
- 2017年「ラップスタア誕生!」Season1でファイナルステージまで進出
- MBTIはENFP(編集部推定)。本人公表ではなく公開情報からの整理
- 「Higher」は2018年配信・2019年MV公開。本人が代表曲のひとつに挙げている
- 2025年10月18日に引退を発表し、2026年11月17日の東京ドーム公演を最終公演として予定している
- 引退後の具体的な予定は公表されていない
「変わる景色を、自分で選び続ける」
Djtube 編集部 / 2026.10
