漢 a.k.a. GAMIプロフィール
漢 a.k.a. GAMI(かん えーけーえー がみ)は、新潟県長岡市生まれ、新宿育ちのラッパー。本名は川上国彦で、1978年6月7日生まれ。高校で始めたラップをMSCの活動へつなぎ、B BOY PARK 2002で優勝した。9SARI GROUPを立ち上げ、UMBやKING OF KINGSなど、次のMCが挑戦できる場も作ってきた。
生活から離れない言葉を、会話に近い調子でラップする。本人が掲げる「新宿スタイル」は、地元、家族、仲間との関係を歌う作品に表れている。2026年10月2日にはD.Oとの共同シングル「GOOD LUCK」を発表した。
CHAPTER 01 / SECTION 01漢 a.k.a. GAMIのプロフィール
漢 a.k.a. GAMIは、本名・川上国彦、1978年6月7日生まれの48歳。新潟県長岡市に生まれ、幼少期から東京都新宿区で育ったラッパーである。ラップクルーMSCのリーダーであり、2012年に自身のレーベル9SARI GROUPを立ち上げた。
MSCのリーダーとして知られる一方、9SARI GROUPでは作品の発表やイベントを通じて仲間と活動してきた。2020年には株式会社鎖グループの代表を辞任しており、レーベル創設者という経歴と現在の役職は区別したい。
別名義にはGAMI、漢、MC漢がある。本人のInstagramは@kan_9sari。MSCはクルー、9SARI GROUPはレーベル・活動組織であり、同じものを指す名前ではない。
漢の歩みをたどるうえで欠かせないのが、MSC、9SARI GROUP、そして本人の言う「新宿スタイル」だ。
漢 a.k.a. GAMIがリーダーを務める、東京・新宿を拠点とするラップクルーである。2000年に前身のMS CRUとして活動を開始し、のちにMSCへ改称した。クルー名の「MS」は明治通りに由来する。
漢 a.k.a. GAMIが2012年に立ち上げたヒップホップレーベルである。同年に株式会社鎖グループを設立し、アパレルブランド「9SARI GEAR」やカフェ事業も展開している。
本人が提唱するラップの姿勢を指す語である。「できるだけ会話に近い言葉でラップすること」「自分の身の回りのことや生活についてラップすること」という2つの規律からなり、言葉と行動に矛盾を作らないことを条件とする。
漢 a.k.a. GAMIの名前の由来|不動明王の梵字と本名
「漢」は不動明王を表す梵字の読み「カーン」から、「GAMI」は本名の川上に由来するあだ名から来ている。2つの名義が別々の出どころを持っているのが、この名前の特徴だ。
ラップへ誘った友人が付けた最初のMCネームは「MCコング」。しかし、本人はその名前を気に入らず、自分で付け直したと話している。
そこで自分で付け直したのが「漢(カーン)」。険しい怒りの表情で人の煩悩を焼き尽くし、願いを浄化するとされる不動明王。その梵字の読みが「カーン」であることが由来になっている。のちに背中一面へ不動明王を彫ることになるのも、この名義と地続きだ。
「a.k.a.」は also known as(別名)の略。「GAMI」は、本名の川上から友人たちに「ガミちゃん」と呼ばれていたことに由来する。
CHAPTER 02 / SECTION 02漢 a.k.a. GAMIの生い立ちとMSCまでの歩み
新潟で生まれ、新宿で育った漢は、幼少期には裕福な暮らしを送っていた。中学時代の親族の会社の倒産で家庭環境が変わり、街で過ごす時間が増えていく。高校ではアメフトに打ち込みながらラップを始めた。
高校1年でラップに誘われ、翌年にはライブへ。MSCの結成、ソロ作品、バトル大会の運営へと進む過程には、演者と主催者の二つの顔が見える。
B BOY PARK 2002の優勝から約10年後には、自分たちのレーベルを立ち上げている。バトルで名を上げたことと、作品を作り続ける仕組みを持ったことは、別々の転機だった。
幼少期から中学時代|裕福な家庭からストリートへ
出生時の体重は4160グラムだったという。東京の祖父母の家に預けられ、幼少期には新宿区高田馬場へ移った。本人は小学生のころに公文式へ通い、計算が得意だったと振り返っている。幼少期の家庭には経済的な余裕があった。
小学校5年生のころ、仲間と万引きをして初めて警察の世話になったことは、自伝「ヒップホップ・ドリーム」や「新宿ストリート・ドリーム」の歌詞でも語られている。不良として名を上げることよりも、仲間と一緒にいることを求めていたという。
盗みを面白がり、行動がエスカレートしていったという本人の回想もある。家庭の変化だけを唯一の原因とせず、仲間と過ごす時間に何を求めていたかも、その生い立ちを読む手がかりになる。
中学2年のころ、親族の会社が倒産し、保証人だった両親にも影響が及んだ。家庭環境が一変し、家で過ごす時間が減る一方で、新宿の街にいる時間が増えた。本人が自伝で描くのは、華やかさだけではない地元の姿だった。
高校時代|アメフトとラップの両立
新宿区立西戸山中学校を卒業し、堀越高等学校の体育コースへ進学。芸能人の出身校としても知られる学校だが、漢が打ち込んだのはアメリカンフットボールだった。
本人は、入学しやすいと噂されていた別の高校の試験に落ち、堀越のスポーツコースへ進んだと自嘲を交えて振り返っている。希望どおりの進学ではなかったという話だ。
高校ではアメリカンフットボール部に所属し、最終的に副キャプテンを務めた。東京の選抜に選ばれるほどの実力で、大学から特待生推薦も受けている。本人によれば、その選抜チームにはお笑いコンビ・オードリーの春日俊彰も同じチームにいたという。だが進学はせず、ラップの道を選んだ。
ラップを始めたのは高校1年、友人に誘われたことがきっかけだ。最初に組んだラップクルーの名前は「LO-FI-Q」。高校2年からライブに出るようになり、自分でイベントを打つようになるのも高校時代だ。
MSCの結成|北新宿の制作ルームから
2000年、漢・TABOO1・GO・PRIMAL・O2・SATELLITEらのメンバーで、北新宿に制作ルームを構えて活動を始めたのがMS CRU。グループ名の「MS」は明治通りに由来する。その後「CRU」が付いているのはダサいという理由でMSCへ改称した。
2002年6月10日、MS CRU名義の1st EP「帝都崩壊」を発表。同年8月には「B BOY PARK 2002 MC BATTLE」の決勝で般若を破り優勝した。それ以前にも本選に出場し、2回戦でKREVAに敗れた経験がある。
MSCでの活動とB BOY PARK 2002の優勝は、クルーのリーダーとしての認知を広げた転機だった。後のMCバトル出演だけではなく、北新宿の制作ルームから始まった集団の歩みも、漢 a.k.a. GAMIの人物像を知るうえで欠かせない。
CHAPTER 03 / SECTION 03漢 a.k.a. GAMIの家族・刺青・ファッション
地元の名前を刻んだ刺青、自分のレーベルの服、家族と過ごす時間。漢の人物像は、音楽活動の外側にも新宿や身近な人々とのつながりが見える。
結婚・子ども|本人がSNSで公開している範囲
家族については、結婚して子どもがいることを本人がSNSで公表してきた。2020年のクリスマスには、家族とケーキを作る様子をInstagramに投稿している。舞台での険しいイメージとは違う、家庭での時間を伝えるエピソードだ。
刺青|背中の不動明王と新宿の文字
上半身に和彫りが広く入っている。名義の由来でもある不動明王を背中一面に彫っているのが最も大きな絵柄だ。
| 部位 | モチーフ | 備考 |
|---|---|---|
| 背中 | 不動明王 | 名義「漢(カーン)」の由来と対応 |
| 左腕 | 不動明王の真言の梵字 | 背中のモチーフと連続する |
| 右腕 | 菊の花 | 和彫りの定番モチーフ |
| 腕 | 狛犬・家族の名前の頭文字・「新宿」の文字 | 人物像を最も端的に示す箇所 |
不動明王は名義の由来、新宿の文字は地元、頭文字は家族と結び付く。絵柄の迫力だけでなく、本人の生活とつながるモチーフが並ぶことにも目が向く。
ファッション|9SARI GEARとシンプルなストリート
白Tにワークパンツ、スニーカーという、装飾を足さないストリートスタイルが基本だ。ブランドへのこだわりを前面に出すタイプではないが、自身のレーベル発のブランド9SARI GEARを好んで着ている。
9SARI GEARとは
9SARI GEARは、9SARI GROUPが展開するアパレルブランド。2ndアルバム「MURDARATION」以降は、ジャケットやMVのほとんどが9SARI GEARのアイテムでまとめられている。
販売を終えた9SARI GEARのアイテムには、中古市場で高値が付くものもある。なかでも「IX」のロゴや「IX SHINJUKU」のスナップバックキャップは、ブランドを象徴するアイテムとして知られてきた。
愛車|メルセデス・ベンツ
愛車として知られるのは、メルセデス・ベンツのSUV「GLクラス」。過去には「Vクラス」「Sクラス」も所有していた。
CHAPTER 04 / SECTION 04漢 a.k.a. GAMIのMBTIは? 編集部の見解
漢 a.k.a. GAMIのMBTIは、本人が診断結果を公表した情報ではない。ここでいうENTJは、MSC、UMB、9SARI GROUP、KING OF KINGSと、表現と同時に場の設計へ長く関わってきた活動から編集部が置いた見解である。
| 観察できる活動 | 見解につながる読み方 |
|---|---|
| MSC・UMB・9SARI GROUP・KING OF KINGSに、作り手として関わり続けている | 人を集める枠組みを作り、動かすことを重視する傾向 |
| 「新宿スタイル」を会話に近い言葉と生活の記録として言語化している | 自分の基準を言葉にし、作品や場に通そうとする姿勢 |
| 名義を自分で付け直し、土地と不動明王のモチーフを表現へ結びつけている | 自分の来歴に沿って表現の軸を組み立てる姿勢 |
一方で、「新宿スタイル」は抽象的な理念より身の回りの具体を重く見る考え方でもある。その点を強く読めばESTJと見る余地もある。性格を診断した結果ではなく、公開された活動を読むための補助線として扱うのが妥当だろう。
CHAPTER 05 / SECTION 05漢 a.k.a. GAMIと仲間たち
漢の交友関係には、小学校時代からの幼なじみ、バトルで競った相手、新宿を訪ねてきた他地域のMCがいる。過去に対立した相手と後に交流することもあり、ある時期のビーフだけで関係全体を決めつけることはできない。
般若|B BOY PARK時代からの盟友
般若とは、B BOY PARK時代にラップバトルで対戦した間柄。その後「フリースタイルダンジョン」でも共演しており、20年以上の付き合いになる。
BOSS THE MC|単身で新宿に来た戦友
ラップシーンが北海道と東京で対立していた時期に、BOSS THE MCが単身で新宿を訪ねてきたことに感銘を受けたと語っている。以降、同じシーンの戦友としてリスペクトを送り続けている。
また、若手ラッパーを呼んでBBQを開くなど、後輩の面倒見が良い先輩という一面もSNSで伝わっている。
TABOO1|小学校時代からの幼馴染
MSCのメンバーで、ヒップホップMC兼グラフィティ・ライターのTABOO1は、小学校時代からの幼馴染にあたる。幼い頃から絵を描くことが好きで、授業中も休み時間も描き続けていたという。その彼にラップを教えたのが漢 a.k.a. GAMIだった。
20歳のころ、ライブ前のプロレスごっこでTABOO1を負傷させ、病院へ行くことになったという逸話も、自伝で振り返られている。長い付き合いの中の失敗談であり、暴力を武勇伝として持ち上げる話ではない。
CHAPTER 06 / SECTION 06漢 a.k.a. GAMIの活動と現在の取り組み
2020年12月に「Start Over Again EP」を出した後も、漢は音源制作、MCバトル、映像番組と活動を続けてきた。2026年にはrkemishiの「闇バイト (feat. 漢 a.k.a. GAMI) [Remix]」への参加と、D.Oとの「GOOD LUCK」の発表がある。
健康面では、2024年の治療に続き、2025年2月17日に手術を終えて退院したと鎖GROUPの公式Xを通じて報告したことが、日刊スポーツで伝えられた。これは当時の退院報告であり、現在の病状や治療の終了を示すものではない。
KING OF KINGSは「漢 a.k.a. GAMI presents」を掲げるMCバトル大会。2026年10月19日時点の公演案内では、2026年11月21日に渋谷HARLEMで全国大会、2027年1月9日に豊洲PITでGRAND CHAMPIONSHIP FINALが予定されている。
- 2020年12月|「Start Over Again EP」をリリース
- 2022年11月|料理番組「漢 Kitchen」のレギュラー配信を開始
- 2026年3月|「漢 Kitchen」は般若を招いた最終回を配信
- 2026年5月|8月11日の「BATTLE SUMMIT III」へDABOとの出場を発表
- 現在|MCバトルイベント「KING OF KINGS」を主催
2005年のUMB立ち上げからKING OF KINGSの主催へ。自分がバトルに出るだけでなく、大会を続ける側にも立っていることが、漢の活動を特徴づけている。
2025〜2026年の共同作・客演
- 客演「できたらいいな」/「Tele倶楽部II」収録 / ピーナッツくん feat. 漢 a.k.a.GAMI
- 客演「Ghetto Dreams」 / 札幌のギャグ男 feat. SATORU & 漢 a.k.a. GAMI
「できたらいいな」は2025年8月20日発売の「Tele倶楽部II」、「INSPIRATION」は2026年1月1日発売の「善悪」への客演。「Ghetto Dreams」は2025年12月14日、rkemishiの「ロベリア」は2026年4月15日に配信された。自身のソロ名義だけでなく、異なる世代や作風のラッパーの曲にも参加している。
CHAPTER 07 / SECTION 07漢 a.k.a. GAMIのラップスタイル
漢 a.k.a. GAMIが重んじるのは、言葉と生活を切り離さないこと。「新宿スタイル」は技巧を放棄するという意味ではなく、自分が知る場所と人間関係を、どうラップの言葉にするかという姿勢だ。
- できるだけ会話に近い言葉でラップすること
- 自分の身の回りのことや生活についてラップすること
- 言葉と行動に矛盾を作らないこと
この三つが「新宿スタイル」の軸になる。日本のギャングスタ・ラップ、ハスリング・ラップの先駆的な人物と呼ばれてきたのも、自分の暮らしから題材を選ぶ姿勢と関係している。ただし、歌詞に現れるすべてを、個々の出来事の事実証明として読むこととは違う。
拍にきれいに収めるだけでなく、会話のように少しずらして言葉を置くフロウ。具体的な描写の中にウィットとダークさが同居し、その不揃いさが緊張感につながる。
ラップを始めたきっかけ|アメフト部の高校生への誘い
高校1年のとき、友人に「ラップをやってみないか」と誘われたのがきっかけだった。当時はアメフト部に打ち込んでいた時期でもある。誘われた友人と活動を始め、やがて自分でイベントを打つまでのめり込んでいく。
リアルの追求へ向かわせたMICROPHONE PAGER
ラップを始めた当初に強く惹かれたのがMICROPHONE PAGERだった。そこから日本語ラップを聴き込むなかで、嘘くささや矛盾を感じ、それを黙認するリスナーにも違和感を持つようになる。「新宿スタイル」の出発点はこの違和感にある。
制作については、2018年のMikikiの取材で、10曲のうち大半は事前にリリックを書かず、2小節か4小節ずつその場で録る方法を説明している。
10曲のうちたぶん8曲、9曲はリリック書かなかった
漢 a.k.a. GAMIMikiki/「ヒップホップ・ドリーム」インタビュー
初期には当事者として同時代の生活を書き、後年には若い世代へ残したい言葉や視点へ比重を移したという。即興性を制作手順にまで持ち込みながら、土地と関係の具体を手放さない姿勢がここにも出ている。
MSCというクルー|新宿拡声器集団
ここで紹介する「幻影」は、MS CRU名義の1st EP「帝都崩壊」に収録された曲。2002年のクルーの初期作品から、新宿の生活をラップに持ち込む姿勢をたどれる。2026年1月21日には、同EPがP-VINEから初めてアナログ盤で発売された。新録のアルバムではなく、初期作の再発である。






漢、TABOO1、GO、PRIMAL、O2と、少佐・DOGMA・SAWによるSATELLITEなどが関わり、北新宿の制作ルームを拠点に活動してきた。MSCの音楽は、個人の技巧を披露するだけでなく、新宿という場所で起きることを記録する役割も担っている。
聴き方|固有名詞の背景を追う
漢 a.k.a. GAMIのラップは、譜割りの整合性よりも、生活の言葉をどう置くかに重心がある。滑らかさだけを基準にするより、言葉が指す場所や関係を追うことで輪郭が見えやすい。
また、リリックの多くは新宿の具体的な場所・人間関係・出来事に紐づいている。背景を知らずに歌詞だけを追うと、固有名詞の羅列に見える可能性がある。逆に言えば、その背景を追う気がある人ほど返ってくるものが大きいタイプだ。
CHAPTER 08 / SECTION 08漢 a.k.a. GAMIの代表曲と新作
代表曲の入口は3rdアルバム「ヒップホップ・ドリーム」収録の「ワルノリデキマッテル」だが、現在の位置から聴くならD.Oとの「GOOD LUCK」も外せない。初期の宣言、土地と仲間を振り返る曲、2020年の継続、そして2026年の共同作を並べると、漢 a.k.a. GAMIが生活と言葉をどう更新してきたかを追える。
新作|D.O & 漢 a.k.a. GAMI「GOOD LUCK」
「GOOD LUCK」はD.Oと漢 a.k.a. GAMIの共同シングル。2026年10月1日に9SARI GROUPがリリックビデオを公開し、翌2日に配信した。作詞とラップは2人、作曲はI-DeAとFACE OFF、プロデュースはJUNIOR Y.A.K.U.Z.A。互いへの手紙のように組まれた言葉が、苦しさを知る相手と支え合う関係を描く。
「今のまま」と「今を変える」を二者択一の形で置くため、この一節は状況の説明よりも、動くかどうかを自分へ問い直す言葉になっている。2人がお互いへ向けた手紙として組んだ曲だからこそ、その問いは一人だけの決意ではなく、相手にも返される言葉として残る。
代表曲|ワルノリデキマッテル
3rdアルバム「ヒップホップ・ドリーム」収録。ヒップホップMCのUZIが大麻取締法違反で逮捕されたことを受けて制作された楽曲だ。UZIは、漢 a.k.a. GAMIが出演していたテレビ朝日「フリースタイルダンジョン」の司会も務めており、初代モンスター就任時から関わりが深い人物にあたる。MVは、関係のある人物の出来事を自分の曲で受け止める、この代表曲の背景とあわせて見ることができる。
「しかいない」と言い切ることで、UZIを代わりの利く司会者として扱わず、同じ番組を支えた一人として指名している。曲名の豪快さの奥にあるのは、固有名を出して相手への思いを示す率直さだ。漢 a.k.a. GAMIが自分の周囲で起きた出来事を、具体的な人間関係のまま曲へ持ち込む姿勢が表れている。
デビューアルバム|導 〜みちしるべ〜
2005年1月、1stアルバム「導 〜みちしるべ〜」でソロデビュー。ジャケットはNASの「Illmatic」をオマージュしたものだ。漢の作品の中でも、とりわけ大きな売上を記録したアルバムとして語られてきた。
一方、本人は売上をめぐって当時所属していたLibraとの間にトラブルがあったと語っている。後にレーベルを離れ、自ら9SARI GROUPを立ち上げた経緯へつながる話だ。
おすすめ楽曲3選|言葉の位置を追う
「漢流の極論」は路上で生きる覚悟を、「新宿ストリート・ドリーム」は人生の分岐を、「Do it till I die」は再出発後も続ける意志を描く。発表順に聴くと、初期の宣言が仲間との記憶や約束へつながっていく。
| 曲名 | 発表 | 収録作 | 言葉から読む入口 | 聴く順番 |
|---|---|---|---|---|
| 漢流の極論 | 2005 | 導 〜みちしるべ〜 | 路上で生きる覚悟をどう言い切るか | 1 |
| 新宿ストリート・ドリーム | 2017 | 同名シングル/2018年にLIBRO REMIXをアルバム収録 | 過去を「分かれ道」として置く自伝性 | 2 |
| Do it till I die | 2020 | Start Over Again EP | 継続の意思をどう言い直すか | 3 |
漢流の極論
不穏な三味線の音から始まる、1stアルバム「導 〜みちしるべ〜」の収録曲。新宿の裏路地で生きていく覚悟を、装飾のない言葉で置いていく。決意を語る前に、その代償を身体の言葉で並べる構成がこの曲の核にある。初期ソロ作にあるこの宣言の強さは、曲全体の流れでも確かめたい。Apple Musicで「漢流の極論」を聴く。
「アスファルト」と「骨」を並べることで、ここでいう生き様は抽象的な信念ではなく、場所と身体を切り離さない覚悟として言い切られる。その前では、身動きの取れなさを表す言い回しのすぐそばに、爪を剥がす痛みが置かれる。抽象的な状態と爪・骨という身体の言葉を隣り合わせにする配置が、覚悟を観念だけで終わらせない。そこから後半は、考え方を変えて核心をつかみ、前進する意志へと移る。
新宿ストリート・ドリーム
「新宿ストリート・ドリーム」の原曲は2017年3月14日に発表された。ここに掲載するのは、そのシングル版の公式配信音源。2018年のアルバム「ヒップホップ・ドリーム」にはLIBRO REMIXが収録されている。幼少期から新宿での経験をたどる自伝的な曲で、過去を美化するのではなく、進路を変えた分岐点として語る。
「分かれ道だった」は、過去を連続した思い出としてではなく、以後の進路を変えた一点として区切る言い方だ。前後では仲間と痛みを分かち合った新宿での日々を振り返り、一度の過ちがその後を分けたと語る。仲間との記憶と本人の選択を結び付けるところに、この曲の自伝性がある。
Do it till I die
2020年12月4日発売の「Start Over Again EP」に収録され、同日にMVも公開された曲。プロデュースはLORD 8ERZが手がけた。MVは新宿の若手ラッパーたちのサイファーに漢が加わり、フリースタイルを始める場面から進む。逮捕後の再出発を、若い世代のいる現場と結び付けた作品だ。
「あきらめねえ」に「くたばるまで」を重ねることで、継続の意思は期限のない強い言い方になる。続くくだりでは、ある相手と交わした約束や、ともに笑える日への思いを語る。自分の意志が他者との関係につながるため、孤立した決意表明では終わらない。
2020年末の取材では、「Start Over Again EP」の制作について、本人は次のように説明している。
4分の3は留置場で書きましたね。
便箋を買い、ペンを借りられる時間に歌詞や手紙を書いたという。過去をなかったことにするのではなく、その場所で生まれた言葉を作品へ持ち帰った制作背景が、「Do it till I die」の継続の宣言にも重なる。
3曲の先へ進みたい人向けに、代表曲を10曲まで広げて整理したランキング記事。アルバム単位で追うときの入口としても使える。

CHAPTER 09 / SECTION 09漢 a.k.a. GAMIの2020年の逮捕と処分
漢 a.k.a. GAMIは2020年5月2日に大麻取締法違反の疑いで逮捕され、同年8月に懲役1年6か月・執行猶予4年の有罪判決を受けたと報じられている。7月の再逮捕分については不起訴処分となった。逮捕を受けて株式会社鎖グループの代表を辞任している。
9SARI GROUPが2020年6月5日に公開した、逮捕に関する本人の説明動画。5月の逮捕後の発信であり、7月の別件や8月の処分より前のものだ。後日の判決や不起訴については、次の時系列とあわせて読む必要がある。
2020年5月|1度目の逮捕と代表辞任
2020年5月2日、新宿区の路上で乾燥大麻を所持していたとして、警視庁戸塚署に現行犯逮捕されたと報じられた。FRIDAYは乾燥大麻の所持容疑、スポニチは戸塚署による逮捕と同月22日の起訴を伝えている。尿から覚醒剤成分が検出され、警視庁が追送検する方針とも伝えている。これは尿検査と捜査方針の報道であり、それだけで別の再逮捕があったことにはならない。
この件を受けて、本人は株式会社鎖グループの代表を辞任し、「MC漢」として再出発する意向を明らかにした。テレビ朝日「フリースタイルダンジョン」からも降板している。
2020年7月|保釈中の再逮捕と不起訴
保釈中の2020年7月6日、別件の大麻所持容疑で再び逮捕された。再起を表明する楽曲の発表から約10日後のことだった。この件については、千葉地検が8月14日付で不起訴処分としたことが報じられた。不起訴の理由は公表されていない。
2020年8月|懲役1年6か月・執行猶予4年の判決
5月の事件については、2020年8月に懲役1年6か月、執行猶予4年の判決が言い渡されたと報じられている。直ちに刑務所へ収容される実刑判決ではなく、同年12月には「Start Over Again EP」をリリースした。
2020年の逮捕について、報道の内容を時系列で整理した専用記事。当時の経緯を詳しく確認したい場合はこちら。

CHAPTER 10 / SECTION 10漢 a.k.a. GAMIのビーフと関係の変化
漢は晋平太、DABO、KNZZ、シバター、DOGMAらとの対立を経験してきた。言葉と行動の一致を重んじる姿勢が応酬の話題になることはあるが、個々のビーフにはそれぞれの発端と当事者の説明がある。
ビーフでは相手との発信や関係の変化まで含めて経緯を見る必要がある。個別の流れは、それぞれの関連記事で確認できる。
自伝「ヒップホップ・ドリーム」の第9章には、対立を「食う」ものにたとえた題が付けられている。
これはビーフだ、ガッツリ食うぜ
漢 a.k.a. GAMI「ヒップホップ・ドリーム」第9章/河出書房新社
避けるのでなく受け止めるという語感は、漢の率直な言葉遣いを示す。ただし、章題が表す姿勢と、個別の争いでどちらの主張が正しいかは別の問題だ。
それぞれの経緯は、専用記事で時系列に整理している。
発端から収束までを時系列で追った専用記事。両者の発信を並べて確認したい場合はこちら。

KNZZとの対立について、経緯と背景を整理した専用記事。

DOGMAとの対立の経緯をまとめた専用記事。

CHAPTER 11 / SECTION 11漢 a.k.a. GAMIについてのよくある質問
CHAPTER 12 / SECTION 12まとめ|新宿の言葉と、仲間が集まる場所
漢 a.k.a. GAMIは、新潟県長岡市に生まれ、新宿で育ち、高校で始めたラップをMSCの活動へつないだ。作品では生活から離れない言葉を選び、活動ではMSC、UMB、9SARI GROUP、KING OF KINGSという場を作ってきた。
家族、幼なじみ、クルーの仲間、対立した相手との関係までを新宿の時間とともに語るからこそ、「新宿スタイル」は技法の名前だけで終わらない。代表曲を聴くときは、言葉の後ろにある土地と人間関係もあわせて追うと、この人物の輪郭がつかめる。
この記事の要点
- 本名は川上国彦、1978年6月7日生まれ、新潟県長岡市生まれ・新宿育ち
- MBTIは本人未公表。編集部の推定はENTJ(指揮官型)
- ラップクルーMSCのリーダーで、9SARI GROUPの創設者
- B BOY PARK 2002優勝、UMB立ち上げ、フリースタイルダンジョン初代モンスター
- 「新宿スタイル」は、会話に近い言葉・身の回りの題材・言行一致の3条件
- 2020年5月に逮捕、8月に懲役1年6か月・執行猶予4年の有罪判決(報道による)
- 現在も9SARI GROUPのラッパーとして活動し、KING OF KINGSを主催
「新宿の言葉を曲にし、仲間の集まる場を作る」
Djtube 編集部 / 2026.08
