CBDを取り巻く日本国内の規制をまとめました。
目次
CBDは日本国内で合法
世界では大麻が合法な国もありますが、日本ではそうではありません。
しかし、大麻に含まれるCBDという成分に関しては日本国内でも合法で、主に健康食品として取り扱われます。
しかし、日本では規制が多い
- 大麻や麻薬に関する規制
- 医薬品に関する規制
- 健康食品に関する規制
ただし、事業者がCBD製品を日本国内で取り扱うには規制が多くあります。
CBDを取り扱うためには大きく3つの規制を通らなければいけません。
1つ目が大麻や麻薬に関する規制で、認められていない原料やTHCが含まれていると規制を受けます。
2つ目が医薬品に関する規制で、一定の条件を満たし医薬品に該当してしまうと規制を受けてしまいます。
3つ目が健康食品に関する規制で、製造・輸入・販売方法や表示等が適切でないと規制を受けてしまいます。
CBDは日本のどの法律で規制されているのか
CBDが規制を受ける法律は7つあります。
これからそれぞれがどのような法律なのか解説していきます。
大麻取締法
大麻取締法は特別な免許を所持していない限り大麻草を所持、栽培、譲渡してはいけないという法律です。
日本の違法的な大麻の定義は大麻草の成熟した茎および種子以外の部分です。
そのため、大麻草の成熟した茎および種子を原料としたCBDの場合や化学的に合成されたCBDの場合は大麻取締法違反にはなりません。
麻薬及び向精神薬取締法
麻薬及び向精神薬取締法は全般的な麻薬や向精神薬の生産や流通などを取り締まる法律です。
大麻に含まれる成分の1つであるTHCには精神的な作用があるため、取り締まり対象の成分として加えられています。
そのため、取り扱っているCBD製品にTHCが含まれていると法律違反になります。
薬機法
薬機法は正式には医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律と言います。
基本的にCBD製品は健康食品に該当するため、直接的な関わりはありません。
しかし、医薬品にしか使えない成分が含まれていたり、広告で医薬品のような効果を標榜すると、医薬品のラインに踏み込んでしまい、薬機法違反となってしまいます。
食品衛生法
食品衛生法は食品の品質や安全性に関わる法律です。
製造から流通までの一連の流れの中で、不衛生な部分が無いか、また規定に則っているかどうかを取り締まります。
健康増進法
健康増進法は国民の健康維持を目的とした法律です。
タバコの喫煙に関する事柄や特定保健用食品の表示についてを取り締まります。
景品表示法
景品表示法は商品やサービスの品質、内容、価格等の表示や景品類を制限する法律です。
嘘が混じった表示や誇大な表示を取り締まると共に、くじ引きや懸賞といった景品類が過大ではないか取り締まります。
特定商取引法
特定商取引法は事業者の違法的で悪質な勧誘行為等を防止する法律です。
訪問販売や通信販売等を規制の対象とし、クーリングオフや契約の取り消し等に関するルールを定めています。
厚生労働省の見解
CBDは大麻に含まれる成分のため、一般的にグレーな商品と見られることもあります。
大麻に関係する事柄は厚生労働省の麻薬取締部の管轄になりますが、CBDは麻薬取締部からも認められている成分です。
ただし、いくつか条件があるため、これからCBDの概要と共に解説します。
CBD(カンナビジオール)
CBD(カンナビジオール)は大麻に含まれる成分の1つで、精神的な作用が無く、様々な疾患・症状を改善する効果を持っているとされています。
日本国内で認められているCBDは大麻草の成熟した茎又は種子から抽出されたものと化学的に合成されたものに限定されています。
また、認められた製法のCBD製品であってもTHCが含まれた製品の場合は麻薬に該当してしまい、法律違反になります。
これらの事柄を検査するため、CBD製品を輸入する際は厚生労働省や税関に対して資料を提出する必要があります。
参考 CBD(※)オイル等の CBD 製品の輸入を検討されている方へ 厚生労働省 地方厚生局 麻薬取締部大麻の栽培免許について
大麻取締法において、大麻取扱者は大麻栽培者と大麻研究者と定義していて、いずれの場合も大麻の栽培免許が必要になります。
1954年には全国の大麻栽培者は37,313人と多かったものの、2014年時点で33人まで減少しました。
この原因としては化学繊維が台頭してきたことにより、従来の麻繊維製品の魅力が失われたためにあると考えられます。
大麻の栽培免許の審査基準
栽培目的の基準 | 大麻の吸食、鑑賞等、個人の趣味・趣向ではないこと |
大麻そのものを使用するものでないこと | |
地域の伝統的祭事等伝統文化の継承のために必要不可欠で社会的有用性が認められるものであること(申請者が伝統文化を継承する者である場合のみ) | |
必要とする大麻製品の代替品として適当なものが無い等、その栽培目的に十分な必要性が認められること | |
大麻製品の供給が途絶える等、大麻製品を必要とする者が自ら大麻栽培者免許を受けて大麻栽培をしなければならない緊急の必要があると認められること | |
衛生的な基準 | 薬物乱用の助長等、保健衛生上の危害が発生する恐れが無いこと |
栽培地関係の基準 | 栽培地の面積が栽培目的に照らして妥当であること |
大麻栽培に係る全ての作業が栽培地内でできるものであること | |
申請者は栽培地について、大麻を栽培するための正当な権原を有すること | |
栽培する大麻の所有権が、申請者以外の者に帰属する恐れが無いこと | |
廃棄・警備関係の基準 | 栽培する大麻の廃棄処分の方法が、盗取等される恐れの無い方法であること |
栽培地は大麻栽培者が常に管理でき、何らかの異変が生じたときには大麻栽培者自らが直ちに対応できる場所であること | |
大麻栽培者以外の者が進入できないよう、栽培地の四方を頑強な柵及び鉄条網で囲うこと | |
栽培地の入り口には頑強な扉を設置し、施錠できるものとすること |
大麻の栽培免許には審査基準があり、例えば千葉県だと栽培目的や栽培地、廃棄処分方法、警備・盗難防止措置など、様々な項目が加味されます。
特に、栽培目的の部分では大麻の吸食、鑑賞等、個人の趣味・趣向ではなく、大麻そのものを使用するものでないことが条件として挙げられています。
基本的には祭祀で大麻を使う必要があったり、必要な大麻製品の代替え品が無い場合などの目的の場合認められる可能性があります。
そのため、嗜好用大麻製品の製造は現実的ではなく、国内で栽培した大麻でCBD製品を作ろうとしても同様のことが言えます。
日本国内におけるCBDの事件のまとめ
- エリクシノールのCBD製品からTHCが検出された事件
- こころのCBD製品からTHCが検出された事件
日本国内においてCBDには違法性はありませんが、事件になることもあります。
これまで日本国内で起きたCBD製品に関係する主な事件は2つあります。
エリクシノールのCBD製品からTHCが検出された事件と専門商社こころのCBD製品からTHCが検出された事件です。
エリクシノールのCBD製品からTHC検出
2020年2月20日にCBD製品を扱うエリクシノールが取り扱っている3つの製品から微量のTHCが検出されたことが公表されました。
その3つの製品はそれぞれナチュラルドロップス3000、シナミントドロップス3000、プロフェッショナル2000というCBDオイルで、いずれもアメリカから輸入されていました。
しかし、エリクシノールは故意にそれらの製品を取り扱っていないかったことや原料や含有成分の詳細が不明瞭であったため、立件はされていません。
参考 大麻成分THCを含有する製品について厚生労働省 参考 厚生労働省、三製品からTHCを検出日本流通産業新聞こころのCBD製品からTHC検出
2020年7月28日にCBD製品の販売や卸売りを事業とする専門商社こころが取り扱っているCBDオイルから微量のTHCが検出されたことが公表されました。
この事件はライバル社の勝手な製品分析により、こころの製品にTHCが含まれている可能性が浮上したことが発端となりました。
その情報がこころの耳に入り、その後自ら厚生労働省に申告し、2020年3月に製品を提出しました。
その結果、CBDオイル Pro 900とCBDオイル Pro 2700の2種類からTHCが検出されました。
意図してTHCを含有した訳ではないことや抽出されたTHCが大麻に該当するか判別が難しいため、立件はされていません。
参考 大麻成分THCを含有する製品について厚生労働省 参考 厚労省、こころ社のCBDから違法成分を検出 エリクシノールに続き2社目マイナビニュースPharmaHemp(ファーマヘンプ)のCBDオイルからTHC検出
ファーマヘンプ(Pharma Hemp)、厚生労働省により「大麻成分THCを含有する製品について」に掲載される。
エリクシノール(Elixinol)
こころ(原料はEndoca)
に続き、3例目大麻取締法の改正で
THCの基準が定められることが求められます。https://t.co/U4f9kA8yhe— 柴田耕佑(CBD社長) |ワンインチ (@oneinch_ceo) November 8, 2021
ファーマヘンプが…. pic.twitter.com/V2kjz7cRBP
— 🍁ファッキン420ジャーナリスト東日本特派員ジャスティンミッキー🇯🇵 (@y_mickey93) November 8, 2021
PharmaHemp(ファーマヘンプ)のCBD製品21種類21製品のうち5種類5製品から、微量の大麻成分THC(テトラヒドロカンナビノール)が検出されました。
THCが堅守されたのは下記の製品です。
CBD DROPS 15% HEMP SEED OIL | 10mL | Batch number DR15020322A |
CBD DROPS 15% OLIVE OIL | 10mL | Batch number DR15020324B |
CBD PASTE 20% | 5mL | Batch number PA20020324A |
CBD PASTE 30% | 5mL | Batch number PA30020247A |
CBD PASTE 40% | 5mL | Batch number PA40020197A |
日本国内におけるCBDの事案のまとめ
事件ではなく、事案をまとめました。
「HEMP Baby CBD」からメラトニンが検出される
恐らく日本で一番売れているCBDグミ「HEMP Baby CBD」が厚生労働省の検査で「CBDグミ1個当たりメラトニン1.5mg〜3.7mg含有している」と発表されました。
【注意】CBDグミの「HEMP Baby CBD」にメラトニンが含まれていた? 参考 医薬品成分を含有する製品の発見について厚生労働省合法だったHHCが規制により違法になる
厚生労働省は、本日付けで危険ドラッグに含まれる別紙の6物質を新たに「指定薬物」(※1)として指定する省令(※2)を公布し、令和4年3月17日に施行することとしましたので、お知らせします。
厚生労働大臣は、中枢神経系への作用を有する蓋然性が高く、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれのある物を「指定薬物」として指定する(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項)。指定薬物は、製造、輸入、販売、所持、使用等が禁止されている(罰則:3年以下の懲役または300万円以下の罰金。業としての場合は5年以下の懲役または500万円以下の罰金)
参考 危険ドラッグの成分6物質を新たに指定薬物に指定厚生労働省ドリブルX