BAD HOP川崎から東京ドームへ。その後も続く八つの声
BAD HOP(バッド・ホップ)は、川崎の仲間を中心に活動した8人組のヒップホップクルーです。T-PablowとYZERRの双子、幼い頃からの友人たち、東京から加わったVingo。出会い方も声も異なる8人が、曲ごとに組み合わせを変え、自分たちの街を全国へ届けました。
2024年2月19日の東京ドーム公演をもって解散しましたが、メンバーの音楽は続いています。年齢や名前、各人の持ち味を押さえたうえで、解散の理由、代表曲、2026年10月22日時点で確認できるソロや共同制作の動きをたどります。
CHAPTER 01BAD HOPとは|名前の由来と川崎の背景

写真:BAD HOP Information
BAD HOPは最終的に8MCとなりました。活動初期にはAKDOWやDJ KENTAも参加しており、解散時の顔ぶれを全期間の編成として考えることはできません。
イベント名からクルーの名前へ
グループ名の直接の由来は、地元の先輩が開いたイベント「BAD HOP」です。YZERRは、そのイベントでステージに上がったことが本格的にラップを始めるきっかけだったと振り返っています。上のMASTA SIMONとの対談にも、名前の由来を話す章があります。
英語のbad hopは、野球のイレギュラーバウンドを指す言葉。決まった方向へ素直には転がらない球というイメージは、既存の道筋に収まらないクルーの歩みとも重なります。単純に「BADなHIP HOP」を縮めた名前ではありません。
MADE IN KAWASAKI|街と仲間を知るドキュメンタリー
VICE Japanが2015年に制作した「MADE IN KAWASAKI」は、工業地帯や住宅街、メンバーの言葉からBAD HOPの背景を紹介する映像です。紹介文にはAKDOW、DJ KENTAや双子の兄MASAも登場し、初期のつながりをたどる資料にもなります。
歌詞に現れる家庭の困難や少年期の経験は、本人たちが生きた場所と切り離せません。ただし、川崎の住民全体を同じ境遇でくくることも、全員が同じ学校の幼なじみだったと説明することもできません。Vingoが東京から加わったことも、クルーの幅を作りました。
CHAPTER 02BAD HOPの8人|プロフィールとそれぞれの役割
解散時の8人はいずれもMCです。T-Pablowが人前で示す存在感、YZERRが担った制作と運営、各人の声や言葉の違いを追うと、人数だけでは見えない役割が分かります。表の「未確認」は、本人公表の原資料を特定できていない項目です。生年だけの人に誕生日を補わず、MBTIは後述する編集部の弱い仮説として示しています。
T-Pablow(ティーパブロ)|バトルの経験をクルーへ
T-PablowはYZERRの双子の兄。K-九名義で第1回高校生RAP選手権を制し、改名後には第4回でも優勝しました。「フリースタイルダンジョン」の初代モンスターとしても知られ、バトルを入り口にBAD HOPへたどり着いた人にとって、クルーの顔となる存在です。双子のユニット2WINでも作品を発表してきました。
少年期には大勢の不良を率いていた過去が本人取材で紹介されています。一方、2024年の地元訪問では、中学生へ無料で使えるスタジオに来るよう声をかけています。かつての経験を語ることと、次の世代へ音楽の場所を渡すこと。その両方が、この人を知る手がかりです。
「Mobb Life」では、自分を不器用な存在として捉えながら、似合う音と仲間に出会ったことを語ります。「Kawasaki Drift」の犯罪とラップを対置する強い表現も、街で名を上げたい切迫感として読むべきもので、地域の人々全員の現実を説明する言葉ではありません。

YZERR(ワイザー)|制作と運営をつなぐ頭脳
YZERRはラップに加え、作品の方向、映像、ライブ、物販などをつなぐ役割を担いました。2019年の本人取材では、アイデアを決めてメンバーやスタッフへ割り振る自主運営の仕組みを説明しています。Barkも後年、声の出し方やフロウについてYZERRから助言を受けていたと振り返りました。
2019年にはソロのミックステープ「Rich or Die」を発表。クルー全体をまとめる立場と、自分一人の作品を作る立場を並行させていました。「Mobb Life」のフックにある、厳しい環境から仲間と抜け出す発想は、個人の成功だけで終わらないクルーの目標にも重なります。
少年期を振り返ったリバトークの切り抜き
これは「リバトーク」の少年院に関する話を紹介した第三者チャンネルの切り抜きです。本人公式の完全版とは異なります。少年院での生活や施設間の移動などを振り返るトークへの入口として残し、処分や全員の経歴を確定する資料とは分けています。
YZERRはForbes JAPANやABEMAの本人出演番組で、14歳当時の逮捕、少年院から医療少年院へ移された経験を語っています。収容中は兄たちと歌詞のような手紙をやり取りしていたとも回想しました。2024年の母校訪問では、G-k.i.dとともに中学3年時を少年院で過ごしたことに触れています。施設名から病名や現在の健康状態を推測することはできません。
当時の投稿には、YZERRの装飾やアクセサリーへの関心が表れています。現在の仕事上の契約を示すものではありません。

Benjazzy(ベンジャジー)|知識と言葉の密度
Benjazzyは、双子たちより一つ上の世代です。T-PablowとYZERRの兄MASAを通じてつながったという紹介があり、技術だけでなく海外の音楽を仲間へ伝える存在でもありました。Barkは2026年の本人取材で、若い頃からBenjazzyに流行や音楽を教わっていたと話しています。
Kendrick Lamarへの関心も従来から紹介されてきました。父が英語教師でBarkの担任だったというエピソードも、仲間同士の意外な接点として知られる話です。ただし、その回想の原発言は今回特定できておらず、家族の現在の勤務先や職業へ話を広げることはできません。
「Chain Gang」では、街の景色から抜けにくい連鎖と社会の仕組みへ視点を広げます。「Handz Up」では、DJ KENTAへ呼びかけながら、現場の主役は自分たちだと押し出す。社会を見る言葉と観客を動かす言葉の両方が、技巧派という短い紹介の中身です。

Tiji Jojo(ティージージョジョ)|声と録音で支えた個性
Tiji Jojoは双子たちと幼少期から付き合ってきたメンバー。声やメロディだけでなく、初期の録音でも力を発揮しました。Barkの回想では、みんなで買った機材をJojoが覚え、エンジニアのような役目も担っていたといいます。2019年には初のソロEP「PLAYER 1」を発表しました。
生年は本人側の配信プロフィールに1995年と記載されています。1996年2月12日という紹介もありますが、ここでは両者を混ぜて誕生日を作らず、年齢を自動計算しません。
眼鏡とお団子ヘアは当時の見た目の特徴で、柴田理恵に似ているという仲間内の冗談も従来から紹介されてきました。声の魅力や制作能力とは別の親しみやすい面です。日韓のルーツを持つという従来紹介については、本人の原公表を確認できておらず、外見から確定できる属性ではありません。
曲では、街から上を目指す切迫感と、「White T-Shirt」のミルクにたとえた白さや新鮮さのような、軽やかな遊び心が共存します。Barkが振り返った少年院の時期は過去の回想であり、現在の人物像を一言で決める材料にはなりません。

Vingo(ビンゴ)|東京から持ち込んだ華やかさ
Vingoは、Tokyo Young Visionでの活動を経て、YZERRとの出会いからBAD HOPに加わりました。1996年生まれという本人取材のプロフィールがあり、従来の1995年という紹介とは異なります。東京のイベントで自らYZERRに声をかけたという出会いの経緯も、川崎の幼なじみだけではないクルーの成り立ちを伝えます。
高い声を生かしたラップや、華やかな場面を描く言葉が持ち味。「Born This Way」では次の時代を自分たちで開こうとする姿勢が出ています。従来採録された、音楽を趣味ではなく環境を抜け出す武器として捉えるフレーズにも、楽しげな表面だけではない切実さがあります。
GQの2025年の本人取材では、服を重ねてシルエットを変える面白さや、友人の言葉から「楽笑」という曲とタトゥーが生まれたことを説明しています。自由な発想を、音楽と服の両方へ移していく人です。

Bark(バーク)|低い声から、表現の幅を広げる
Barkは低音のラップで曲に重心を作るMCです。仲間からは天然なキャラクターとして親しまれ、ラッパーでなければ保育士になりたかったという本人の話もあります。ステージでの低い声と、普段の親しみやすいトークの差も印象に残ります。
BAD HOP時代はYZERRの助言を受け、できることを伸ばす制作に取り組んだといいます。解散後は、自分で表現の答えを決められる楽しさを感じ、歌やメロディにも挑戦。Tiji Jojoとは曲を送り合い、ゲームをしながら助言し合う関係も続いています。
「No New Friends」では、過去の痛みを名声や磨いたフロウへつなげ、仲間とつかもうとする成功を描きます。筋肉質な体格や女性人気といった外見上の評判だけでは、この制作上の試行錯誤は見えてきません。

Yellow Pato(イエローパトー)|サッカー少年からMCへ
Yellow Patoはハスキーな声と、地元から外へ向かうまっすぐな言葉が持ち味です。2023年10月20日の川崎フロンターレの試合では、自分がアカデミーでサッカーをしていたことを振り返り、始球式でもゴールを決めました。「ユース」という一語から、在籍カテゴリーをU-18に限定することはできません。
学生時代にバレンタインのチョコを多くもらったという親しまれる逸話も従来から紹介されてきました。現在の人気順位を示す話ではありません。ラップでは、「Liberty」の信念とペンを握って人生の迷路を抜ける発想と、「Kawasaki Drift」で世代の枠を越えて世界へ向かう発想がつながっています。
G-k.i.d(ジーキッド)|クルーの声から、自分の物語へ
G-k.i.dは、落ち着いた存在感と迫力のある声でクルーを支えた一人です。T-Pablowの言葉をきっかけにラップを始めた経緯は、2foodsの本人インタビューでも扱われています。2024年の母校訪問ではYZERRとともに少年期を回想しましたが、施設の所在地や名前まで、その映像だけで確定できるわけではありません。
従来紹介された歌詞には、家族をめぐる周囲の視線を背負う語りと、「No Sleep」の夢を諦めない語りがありました。前者の歌詞の語り手を、そのまま家族の職業や資産の証拠へ置き換えることはできません。後者は、疲れがあっても理想を遠ざけないという音楽上の表現として読めます。
ソロでは2025年に「Hood Melody」を発表し、俳優としてABEMAのドラマ「警視庁麻薬取締課 MOGURA」にも出演。情報の少なさを「謎」という人物像で終わらせず、本人が表に出した作品から追える段階に進んでいます。
CHAPTER 03初期メンバーのAKDOWとDJ KENTA
初期にはAKDOWとDJ KENTAも参加していました。2015年のVICEの紹介に両名の名前があり、2017年の本人取材には8MC+1DJという体制が記されています。解散時の8MCから逆算して、活動初期もずっと同じ人数だったと考えると、二人の役割が見えなくなります。
AKDOW(アクドウ)|初期に参加したラッパー
Benjazzyと同じ年の世代で、結成前からの交友関係がある初期参加者です。指に入れたBAD HOPの文字のタトゥーがジャケットにも使われたという従来紹介があり、クルーの名前を文字どおり身につけていた姿が伝えられてきました。2016年頃に離れたと紹介されますが、正確な日付や理由は確認できていません。
DJ KENTA|初期のステージを支えたDJ
小学校からメンバーと付き合いがあり、DJのいなかったクルーでその役割を務めるようになったと紹介されてきました。「Handz Up」に名前を呼ぶフレーズが残っているのも、MCとDJが一緒に現場を作っていた距離の近さを伝えます。
2017年頃に離れたという紹介がある一方、同年9月の取材プロフィールには在籍者として名前が残っています。具体的な脱退日は未確認です。AKDOWも含め、本人たちによる説明を確認できない脱退理由を、他人の歌詞や時期の一致だけで決めることはできません。
CHAPTER 04BAD HOPの解散理由と東京ドームまでの道のり
POP YOURSの解散発表と、8人の説明
BAD HOPは2023年5月27日、POP YOURSのステージで解散を発表しました。主催者が公開した上のインタビューでは、武道館、自主運営、川崎、解散、これから残すものについて8人が語っています。発表日と、実際に活動を終えた日は別です。
YZERRが説明してきたのは、クルーが一つのグループとして固定され、個人で動きにくくなった状態を見直したいという考えです。仲間同士の関係まで終わらせるためではなく、それぞれが活動できる形へ戻るための判断でした。不仲説だけでは、この説明を捉えられません。
2023年6月からはラストツアー「THE LAST SUMMER」を展開し、地元のCLUB CITTA’にも立ちました。CITTA’はツアーの文脈にある会場であり、クルーの最後の単独公演は翌年の東京ドームです。
2024年2月19日|東京ドームでの最終公演
「BAD HOP THE FINAL at TOKYO DOME」には約5万人が集まりました。日本のヒップホップグループによる初の東京ドーム単独公演として紹介され、チケットも完売。YZERRが完売時に示した、観客と仲間で最後の伝説を作るという決意は、実際のステージにつながりました。
解散発表から最終公演までに約9か月をかけ、ツアーと最終アルバムを重ねたことにも意味があります。勢いの有無だけで終わりを決めるのではなく、最後にどこへ立つかまで作品とライブで示しました。以後のベスト盤やライブ映像、元メンバー同士の共演は、継続的なグループ活動の再開とは区別されます。
2024年11月3日のAH1では、T-PablowとYZERRの誕生日に8人が一夜限りで再集結しました。解散後に同じステージへ立った例はありますが、これを継続的なグループ活動の再開とする発表ではありません。
CHAPTER 05BAD HOPの音楽と、歌詞に残る街の記憶
BAD HOPの曲は、全員が毎回同じ順番でラップするものではありません。フックで曲の顔を作る人、密度の高いヴァースを置く人、低音で重心を作る人。参加するMCと声の組み合わせを変えることが、クルーの音楽的な幅になりました。
オートチューンや海外のヒップホップへ接続するビートを取り入れながら、歌詞には川崎の地名や仲間が残ります。「Lift Off」で海外のプロデューサーと組んだ制作も、その延長です。背景の物語だけを読んでも、流行の音だけを追っても、片側がこぼれてしまいます。
暴力、薬物、金銭、性に関する露骨な表現があるため、刺激の強い内容を避けたい人には合わない曲もあります。同時に、仲間への思いや生活を変えたい願いも描かれています。歌詞の語り手、本人の回想、第三者についての事実は区別して読む必要があります。
クレイジージャーニー|2019年の出演から東京ドーム密着へ
TBS「クレイジージャーニー」への出演は、街と生い立ちを広く知られる機会になりました。従来記録の出演日は2019年8月28日と9月4日。当時の視聴者投稿にも、「Black Bandana」に登場する人物が地元ロケに現れたことへの反応が残っています。
“タクヤ”が通りかかったシーン
これは当時の視聴者の反応であり、登場人物の詳しい身元を証明する資料ではありません。番組は2019年に休止した後、2022年にレギュラー放送を再開。2024年7月15日にはBAD HOPの東京ドーム公演への密着も放送されており、2019年の回を現在までの「最終回」とする説明は当たりません。
CHAPTER 06代表曲と個人の色が分かる曲
まず聴きやすい入口となる3曲から、初期曲や個人の色が出る曲へ進みます。曲によって参加者が異なるため、BAD HOP名義の曲を、8人全員が歌う曲という意味で捉えないことがポイントです。
Kawasaki Drift|街の名前を背負って前へ
2018年のEP「BAD HOP HOUSE」に収録。理貴が制作し、公式MVは同年4月5日に公開されました。車やバイク、道や移動の言葉を通して、川崎から全国へ向かう意志を刻む曲です。EPのデジタル配信日である6月15日と、MV公開日は区別されます。
振り切る相手は、別の街ではなく昨日の自分です。T-Pablowの極端な成功への二択や、Yellow Patoの世代の枠を越える言葉も、地元を名乗ったまま次へ行く曲の中で響き合います。過去を消すのではなく、出発点を持って速度を上げるという読み方ができます。
High Land|今日だけ日常を離れる
Tiji Jojo、Vingo、YZERRが参加し、JIGGが制作した曲。2020年7月31日の先行配信を経て、8月7日の「BAD HOP WORLD」に収録されました。公式MV公開は8月28日です。Apple Musicのトラック解説でYZERRは、3人の声のバランスや、ラップをビートに埋もれさせないことを説明しています。
「今日だけ」という区切りが、永遠の逃避とは違う時間を作っています。高さ、空、旅を思わせる言葉が、日々働く暮らしから仲間と一時的に離れる解放感を広げる。勝ち負けを競う顔だけではないBAD HOPへの入口です。
Last Party Never End|最高と最後が並ぶ夜
2024年2月9日の最終アルバム「BAD HOP」から公開された曲。Tiji Jojo、YZERR、Yellow Pato、Vingoが参加し、JIGGが制作しています。2月14日のBHG Editionなど後続の版とは分けて捉えたい一曲です。
一字違いの「最高」と「最後」が、楽しい夜に終わりの寂しさを差し込みます。祝杯や笑顔、涙、その先の明るい未来が一緒に描かれるから、解散を喪失だけで終わらせない曲になる。夜は終わっても、そこから受け取ったものは続いていくと読めます。
Mobb Life|不器用な自分に似合う音
2017年の同名アルバムの表題曲で、YZERR、Benjazzy、T-Pablowが参加しています。全国流通盤の第一弾MVとして公開され、公式説明欄には歌詞と各ヴァースの担当も掲載されています。
T-Pablowのパートでは、出来損ないだと感じていた自分にも居場所となる音があったこと、仲間が寄せ集めではないことを語ります。冒頭のフックは街から仲間と抜け出す目標を示す。成功の誇示を支えるのは、そこへ来るまでの歯がゆさと、変わらない人間関係です。
Chain Gang|抜けたい連鎖と、切れない仲間
初期曲「Chain Gang」を、2020年の横浜アリーナ無観客ライブで披露した公式映像です。T-Pablow、Vingo、Tiji Jojo、Benjazzyが参加。初期の録音と、この後年のライブ版は同一の映像ではありません。
Benjazzyの、負の連鎖や出る杭を打つ仕組みを変えようとする語り。Tiji Jojoの、街から上がろうと足を止めない語り。Vingoの、ラップを趣味ではなく抜け出すための武器とする語り。従来採録された各人の言葉は、街のしがらみと仲間の結束を一緒に読む手がかりです。同じ「鎖」でも、断ちたいものと失いたくないものが重なります。
Handz Up|DJと観客を巻き込む
「Mobb Life」に収録されたBenjazzyとTiji Jojoの曲。上は権利者からYouTubeへ提供されたTopicの公式音源で、MVではありません。制作はLil’YukichiとZot on the WAVEです。
DJの名前を呼ぶ短い一声が、ラップを一人の自己紹介から、その場の共同作業へ変えます。現場では自分たちが主役だという強気な続きも含め、観客の手を上げさせる曲です。名前が残ることと、現在も同じ体制であることは別です。
White T-Shirt|白さで描く若さ
MONBEE制作のTiji Jojoの曲で、BAD HOPの公式チャンネルが「BAD HOP 1 DAY」の収録曲として紹介した映像です。2026年の「White T-Shirt 2」には、元の「White T-Shirt」も配信されています。続編の名前と、初期からある曲を混同したくありません。
ミルクの白さや搾りたての新鮮さを、自分の若さや服の清潔感へ重ねる比喩です。その一方で、底から始めたことは忘れないと続く。軽い冗談に見える白Tシャツにも、出発点を失わずに新しくいるという姿勢が入っています。
Born This Way|次の時代を自分たちで開く
2019年7月4日配信、YZERR、Vingo、Barkが参加したKM制作の曲。上はポニーキャニオンから提供されたTopic音源です。Vingoの従来採録パートは、誰が組んでも負けないという強気な姿勢と、時代のページを自分でめくる意志を伝えます。曲全体の参加クレジットと、一人のヴァースの言葉は分けて捉える必要があります。
No New Friends|流行と仲間を分ける
YZERRとBarkが参加し、JIGGが制作。2018年の武道館公演で無料配布された「BAD HOP ALL DAY vol 2」から公開された曲です。単に新しい人を拒む題名としてではなく、苦労を分け合った関係と、噂や利益で近づく関係の違いを歌います。
PainとFameを接続する言葉は、痛みをなかったことにせず表現へ変える発想です。続く磨いたFlowと仲間でつかむという語りまで読むと、名声だけを目的にした孤独な成功とは違う像が見えます。
Liberty|信念とペンを握る二人
2015年のアルバム「BAD HOP」の全5部作MVの第三弾として、公式チャンネルが公開した曲です。T-PablowとYellow Patoが参加し、Astro Houndが制作しています。Yellow Patoの従来採録パートでは、信念とペンを握り、仲間と人生の迷路を抜けようとする意志が語られます。武器としてのペンという発想が、自由を求める題名とつながります。
No Sleep|理想を遠ざけない
BAD HOP公式チャンネルの「No Sleep」掲載ページ/Spotifyで「No Sleep」を聴く
G-k.i.d、YZERR、Tiji Jojoが参加する曲です。公式YouTubeの掲載ページは今回、題名などの情報を取得できなかったため、公式配信への導線も添えています。
従来採録ではG-k.i.dの歌詞として紹介されてきた短句です。疲れた目をこすりながらも、夢の途中にいるという語りが続きます。理想がまだ見えているという粘りの表現として読めます。
CHAPTER 07BAD HOPの作品とライブの歩み
2016年には、音源の無料ダウンロードやCDの無料配布で作品を届けました。従来紹介では「BAD HOP 1 DAY」が12曲、「BAD HOP ALL DAY」が16曲とされます。曲数は従来の紹介に基づく値ですが、無料で広げる展開そのものは公式略歴にも残っています。翌年の「Mobb Life」は、お金を払って聴いてもらう全国流通盤となりました。
2018年の「BAD HOP HOUSE」と武道館公演を経て、2019年の「Lift Off」では海外の制作陣と協働しました。彼らのライブを見たApple Musicとの企画をきっかけに、ロサンゼルスでの制作が実現しました。Drake、Migos、Kendrick Lamarらを手がけたプロデューサーの参加と、そのスター本人が客演したことは別です。2017年の初全国流通盤を「Lift Off」とする説明は、二つの作品の混同になります。
| 作品 | 記録 | 集計・補足 |
|---|---|---|
| Mobb Life | iTunes総合1位/オリコン最高21位 | 前者は公式略歴、後者は週間アルバム商品記録 |
| BAD HOP HOUSE | iTunes総合1位 | 公式略歴に記載 |
| YZERR「Rich or Die」 | Billboard JAPAN Download Albums 1位/オリコン週間デジタルアルバム4位 | 2019年4月1日付の記録 |
| Lift Off | Billboard JAPAN Download Albums 3位 | 2019年11月25日付の記録 |
ストアの順位、ダウンロードだけの集計、CDなどを含むアルバム順位は条件が異なります。順位の数字だけを並べて、作品の規模を同じ物差しで比較することはできません。
CHAPTER 08ファッションと映像から見るBAD HOP
MVでの衣服やアクセサリーも、声の違いと同じように各人の輪郭を作っています。VingoがGQの本人取材で語った重ね着の面白さや、YZERRの投稿に見える装飾への関心は、その入口です。
High Landなどの着こなしをたどる解説
HIPHOP脳による第三者のファッション解説です。「High Land」「Bayside Dream」「Chopstick Remix」のMVを題材にしています。音楽の公式MVや本人のブランド契約を示す映像とは違い、服装を見ていく補助的な入口です。説明中の価格を現在の販売価格として扱うこともできません。
Friendsの衣装を紹介する解説
こちらもHIPHOP脳の解説で、題材はVingo、JP THE WAVY、Benjazzy、YZERR、LEXが参加する「Friends」のMVです。曲ごとの出演者や着こなしの違いを追うために残しています。紹介された商品を全員の愛用品や公式な提携商品と断定する資料ではありません。
CHAPTER 09解散後の現在|2026年の8人の活動
解散後の活動は、8人が一斉に同じ計画で進めているわけではありません。2026年10月22日までに確認できる作品と公演を、個人や共同名義ごとに挙げます。ここに載るものが全リリースではなく、作品の再配信日やライブ映像の公開日を、グループ再始動の日付と取り違えないことも大切です。
| メンバー | 確認できる動き | 作品・公演の区分 |
|---|---|---|
| T-Pablow | 2026年1月2日、武道館「ON THE ROAD」。6月末にはアルバム延期を発表 | 先行視聴会の開催とアルバム発売は別 |
| YZERR | 4月23日「Rich or Die 3」、4月28日から初ソロワンマンとツアー。6月10日「THE GAME」 | 個人名義の作品・公演 |
| Benjazzy | 8月28日、Bonberoとの「B2B」 | 2人の共同アルバム。過去のBAD HOP同名曲とは別 |
| Tiji Jojo | 5月29日「LONG LIVE LOUD」。6月に日本武道館で初ソロワンマン | 個人アルバムと公演 |
| Vingo | 2025年「VINNY」に続き、2026年10月14日「LET’S GO」 | 個人名義。作曲はfoux |
| Bark | 6月「Bling 2 Tape」、9月30日「After Summer」、10月11日CLUB CITTA’で初ソロワンマン | 個人の作品と公演 |
| Yellow Pato | 5月30日EP「Show Must Go On」、8月13日「Summer Time Tokyo」 | 後者はMABU、KOWICHIとの共同名義 |
| G-k.i.d | 2025年「Hood Melody」に続き、2026年10月16日「THE ROLLING LIFE」 | 制作中の2ndアルバムからの先行シングル |
T-Pablowは、6月30日に予定していた1stアルバムを延期すると発表しました。1月の武道館で先行視聴会を開催したことと、作品全体が発売済みであることは同じではありません。10月25日のFORCE FESTIVAL 2026にはT-PablowやYZERRらの出演予定が案内されていますが、確認日の10月22日時点では今後の公演です。
Barkのソロ公演|クルーの後に広がった声
BAD HOP公式チャンネルが10月20日に公開した、10月11日のBark初ワンマンからのライブ映像です。概要では全国16公演のクラブツアーの集大成と説明されています。昔のグループ映像の再公開ではなく、解散後の個人活動を示す映像です。
「Bling 2 Tape」はクラブで観客と熱を交わすことを考えて作ったとBarkは説明しています。グループ時代に各人が担当した部分を、ソロでは一人の作品全体へ広げていく。その変化は、8人の新作を追うときにも面白い視点になります。
CHAPTER 10メンバーのMBTI|編集部の推定とその根拠
以下は本人による検査結果ではなく、Djtube編集部が公開発言、歌詞、制作上の選択から考えた推定です。4軸を読む材料は限られ、いずれも確度は低い仮説です。ステージ上の仕事と日常の性格は同一ではなく、少年院、家族、民族的ルーツなどを型の根拠にはしません。未測定のA/Tは付けていません。
T-PablowはENFJという仮説
Eはバトルや中学生との対話へ自ら入る姿、Nは自分たちの後に続く世代へ音楽の場所を渡す発想、Fは無料スタジオへ誘う関係志向、Jは仲間との目標を活動へつなぐ姿に着目したものです。特にNとJは活動の解釈に頼る弱い軸。目の前の観客への反応を重視するESFPという読みもでき、カリスマ性だけでENFJと決められるわけではありません。
YZERRはENTJという仮説
本人が説明したアイデアの決断と役割の割り振り、武道館までを週単位へ分ける計画が中心材料です。Eは他者を巻き込んで実行する姿、Nは到達点から道筋を描く発想、Tは予算や結果を結びつける判断、Jは工程へ落とす方法から読んでいます。単にリーダーだからではありません。ただしこれは仕事上の戦略で、本人の日常まで示しません。既存の手順を生かす面を重く見ればESTJも別解になります。
BenjazzyはINTPという仮説
「Chain Gang」で街の景色から社会の仕組みへ視点を広げる語りと、Barkが振り返った音楽知識の深さが材料です。Iは言葉を掘り下げる方向、Nは個別の景色から構造へ広げる方向、Tは連鎖や仕組みを捉え直す視点、Pは流行を取り込みながら表現を更新する姿として読んでいます。IとPは特に弱い推測です。仲間や出自への価値判断を重視すればINFPにも読め、INTP/INFPの二つの読み方が残ります。
Tiji JojoはISFPという仮説
2017年の本人取材で、歌詞を書いて仲間から率直な指摘を受けた経験や、観客が増えて制作への責任を感じた変化を話しています。Iは自分の表現を点検する方向、Sは声やフロウ、録音を具体的に磨く姿、Fは観客への実感を制作の動機にする点、Pは「White T-Shirt」の遊び心やソロへの表現の広がりからの読みです。表現者なら広く当てはまりうる材料でもあり、特にI/Pは低確度。ライブでの外向性を重く取るESFPも残ります。
VingoはESFPという仮説
GQ本人取材の、服を重ねて見え方を変える説明、友人の言葉を「楽笑」の曲とタトゥーへ移した話が中心です。Eは出会いを表現へ開く方向、Sは質感やシルエットへの具体的な関心、Fは友人の言葉の意味を大切にする姿、Pはそこから予定外の形へ広げる柔軟さと読みました。私生活での行動や恋愛を推定したものではありません。連想やSFへの関心を重視すればENTPにも読め、特にF/Tは弱い軸です。
BarkはISFPという仮説
2026年の本人取材で話した、一人で制作して自分の感情に気づくこと、声の制約を踏まえてメロディを考えること、曲ができてから作品の構成を探る方法を材料にしています。Iは一人で内面を言葉にする制作、Sは声や現場の感触を基準にする工夫、Fは伝えたい感情を大切にする判断、Pは曲から全体像を作る進め方からの読みです。内面の意味を重視すればINFPも候補で、仲間がいう天然という評判は根拠にしていません。
Yellow PatoはISTPという仮説
自分のアカデミー経験を振り返った挨拶と、「Liberty」でペンを握って進もうとする従来採録の表現を手がかりにしています。Sは具体的な経験を足場にする姿、Pは状況の中で動いて道を開く読み、Iは自己の信念を持つ語り、Tは行動を道具へ結びつける読みです。ただしI/T/Pを直接支える発言は少なく、8人の中でも特に弱い仮説です。信念と仲間を重く読めばISFPもあり、サッカー経験だけで型は決まりません。
G-k.i.dはINFPという仮説
「No Sleep」の理想を見失わない語りと、「Hood Melody」という個人の物語へ踏み出す作品選択を手がかりにします。Iは内側の願いを語る方向、Nはまだ届かない未来像、Fは願いを手放さない価値志向、Pは夢の途中を進む開かれた語りとしての解釈です。歌詞の人物像に依存するため、本人の心理への推定としては極めて弱く、ISFPも別解になります。旧推定INTJの根拠だった「情報をあまり明かさない」というだけではN/T/Jは読めず、今回はこの仮説へ見直しています。
AKDOWとDJ KENTAは、本人の考え方を4軸で検討できる発言や担当曲の材料を十分に確保できず、型の推定を保留しています。在籍時期やMC/DJという役割だけでタイプは作れません。
CHAPTER 11BAD HOPのよくある質問
CHAPTER 12BAD HOPのまとめ
川崎の仲間を中心に集まり、東京からの視点も受け入れ、自分たちで作品とステージを作ったBAD HOP。そこへ至る歩みには、無料で音源を届ける試みも、海外の制作陣との仕事もありました。大きい会場へ進んだ結果だけでなく、そのために何を組み立てたかにもクルーの個性があります。
解散後は、一人で歌う範囲が広がったり、新しい相手と共同制作したり、8人それぞれに次の曲が生まれています。初期曲で声が交代する瞬間を覚え、その人のソロへ進む。集合と個人を行き来すると、BAD HOPが残したものを、終わった物語だけにせず聴けます。
同じ街から跳ねた声は、別々の道にも、その街の響きを残す。
Djtube 編集部 / 2026.10
