言xTHEANSWER北海道から、言葉を届けるリズムを探して
言xTHEANSWER(ユウ・トゥ・ザ・アンサー)は、北海道出身のラッパー。高校生RAP選手権での活躍から知られ、速いラップでも言葉の輪郭を伝えるリズム感を持ち味としてきた。高校生のころには自主レーベルから作品を出し、上京後はEINSHTEINとのユニットでもメジャーデビュー。バトルの受け答えだけでなく、仲間との日常や同世代へ向ける言葉も曲にしている。
CHAPTER 01 / SECTION 01言xTHEANSWERのプロフィール

本名は橋本悠汰。2015年の十勝毎日新聞では、帯広北高校1年の生徒として取材されている。全国のバトルで名前を広めた一方、音源制作、録音、ライブへも活動を広げてきた。過去にはプラチナムプロダクション所属として紹介されているが、自主作品のFLOWMOTION、ユニット作品のAndRec/ビクターは、それぞれ役割が異なる。
CHAPTER 02 / SECTION 02ムシキング、50 Cent、MEISOとの出会い

5歳のムシキングと、小学生で借りたCD
5歳のころに夢中になったのがムシキング。父親も本気になり、大会へ出るなら負けるなと背中を押され、地元でチャンピオンになったという。楽しいことが好きで、にぎやかな子供だった。
ヒップホップとの出会いは、母親と行ったレンタルCD店だ。小学校4年くらいのころ、50 Centのジャケットが目に留まった。最初は音楽の内容も知らず、格好いいものを聴く自分への憧れから借りたが、家で鳴らした重低音にも惹かれた。そこからYouTubeで関連するアーティストを探すようになる。
中学2年でラップを始める
日本語でもラップができると気付かせてくれたのがMEISOだった。B-BOY PARK2003で優勝したMEISOの表現に憧れ、2012年、中学2年のときに自分でも始める。2013年にはデモを作り、2014年にはアルバムを出すまでになった。
中学時代は、小さなコミュニティの中で強がっていたとも振り返っている。ヒップホップを通していろいろな大人と出会い、自分の強がりは通用しないと感じ、高校では一人で弁当を食べるような静かな生徒だったという。ステージの姿だけでは分からない、当時の自分への見方だ。
地元から全国へ出るためのアルバイト
当時の地元の人口は、本人の話でも1万8000〜1万9000人ほど。全員が応援してくれても、その人数までしか届かない。もっと多くの人に知ってもらうため、高校生RAP選手権へ挑んだ。出場の旅費をためるため、カレー店で3カ月働いたエピソードもある。
CHAPTER 03 / SECTION 03名前の由来と、好きなもの・服装
言・x・THE・ANSWERをつなぐ読み方
ニートtokyoによる、名前の由来を話すインタビュー。本名の悠汰の悠を手がかりに、ラッパーは色々と言うから言という字を選んだ。xは縦に見ると十で、とおからトゥへ読みを変える。THEをザと呼び、自分なりの答えを持つ人が格好いいという思いからANSWERを付けたという。
言/x/THE/ANSWERの4つが読みにつながる、工夫のあるMC名だ。会話ではアンサーとも呼ばれている。
映画、ゲーム、食べ物にも広い関心
好きなものとして挙げてきたのは、「耳をすませば」「紅の豚」、ゲームの「龍が如く」、漫画、ケンタッキー。好みの話にはギャルや黒ギャル、泉ピン子の名前も登場する。音楽だけに関心が閉じない、雑多な楽しみがある。
DOEKで選ぶ服と、自分の見せ方
よく着る服を扱う店として紹介されてきたのがDOEK(ドゥック)だ。DOEKそのものを、着ている服すべての製造ブランドと捉える必要はない。友人や店員へ相談し、服の提供を受けることもある。自分をどうおしゃれに見せるかを意識して選ぶという。
2019年のDOEKの投稿には、FIRSTDOWNの襟なしフリースボアジャケットの案内も残る。これは当時の店の発信であり、本人がすべての商品を着用したことまでを示すものではない。
ちゃんみなとの企画と、過去の恋愛投稿
ちゃんみなへプロポーズするような映像が、交際の噂につながったことがある。ただしエイプリルフールの企画として紹介されたもので、実際の交際を裏付ける話ではなかった。二人の共演や冗談と、恋人としての関係は区別したい。
2016年のクリスマスには、Pro Toolsで制作していると本人が投稿し、翌2017年には恋人のいない男友達だけで集まると書いていた。それぞれ当時の発信であり、現在の配偶者や恋人について確定する情報ではない。
CHAPTER 04 / SECTION 04言xTHEANSWERのMBTIを編集部が推定
Djtube編集部は、公開された作詞の選択からENFPを候補に挙げる。本人公表の診断結果ではない。EINSHTEINとその日に話したことを曲へ変える方法や、「花は咲く」で自分とは異なる新社会人の気持ちになって書いたという発言を手がかりにした。
身近な出来事を別の視点へ開き、人へ届く形を探す面を重く見た。一方、自分の価値観を言葉で検討し、挑発にも別の返し方を探す姿はENTPとも読める。曲の語り手やステージ上の態度から、私生活の性格全体を決める見方ではない。
CHAPTER 05 / SECTION 05高校生RAP選手権とバトルの歩み
第7回準優勝、第10回は全国人気投票1位
第6回はベスト8、第7回は準優勝、第8回はベスト4、第10回のオールスター戦もベスト4。優勝には届かなかったが、複数の大会で上位へ進んだ。第10回には、全国の視聴者投票1位で出場している。
名前が広がると、地元を歩くだけでラップをしてほしいと声をかけられたという。その後は音源とライブに力を入れ、2018〜2019年にはライブの機会に加え、U-22やUMBなどバトルへの出場も重ねた。
MC☆ニガリとのU-22 MCBATTLE FINAL 2019
戦極MCBATTLEが公開した、2019年8月16日のMC☆ニガリとの対戦。高校生RAP選手権以来、何度も向き合ってきた相手との一戦だ。速い言葉を詰めても拍を見失わず、相手と観客に言葉を届けるスタイルを振り返れる。
速いラップだけが目標なのではない。本人は、ただ上手いラップより説得力のあるラップが強いという考えを語っていた。リズムや滑舌と、聴く人を納得させる内容をどう合わせるかが、持ち味を考えるうえで大切になる。
OREO戦の後に起きた行き違い
OREOが対戦後に中指を立て、言xTHEANSWERが怒ったと紹介された場面がある。当時は観客のOREOへの声援や司会の進め方も、片方へ寄って見えたという反応があった。
後に司会者と話した企画では、本人は勝敗を決めないバトルと聞き、司会者は勝敗を決めると聞いていた、という認識の食い違いも語られた。短い対戦後の映像だけで、性格やその場の事情をすべて説明できるわけではない。
CHAPTER 07 / SECTION 07EINSHTEINとのユニットと交友関係
EINSHTEINと知り合ったのは、2015年の第7回高校生RAP選手権。2回戦で対戦した相手だったが、楽屋では優しく接してくれ、その後も大会前に応援のメッセージをくれる先輩になった。
EINSHTEINは2017年1月、言xTHEANSWERは同年4月に上京。毎日のように遊ぶなかで、音楽を仕事にできるのかという不安も話し合った。その時間を曲作りへ回すようになり、コンビニであったことや、その日の会話をそのまま曲のきっかけにしたという。
当時のRegeeRapの反応では、言xTHEANSWERとMC☆ニガリの二人の巧さが評価されていた。MC☆ニガリとはバトルだけでなく、ブラックサンダーのCMでも共演。ちゃんみな、裂固とも交流がある。対戦相手との関係も、勝敗だけでは終わらない。
ユニットは2017年8月30日、「SUMMER NIGHT BIKINI」でメジャーデビューした。二人のラップには、バトルから知った人が期待するものと違うとして辛辣な声もあった。裂固が2018年のバトルで触れたことも含め、受け止められ方は一様ではない。
本人たちも、その戸惑いを取材で語っている。ポップな曲が自分を知る入り口になり、そこから深いヒップホップへ進む人がいても、自分たちなりの魅力を伝えたいという。2018年の「Two Pawns」では、ラップの刻み方とEINSHTEINの歌うフックが補い合い、ソロでは選ばなかった曲調にも挑んだ。
CHAPTER 08 / SECTION 08アルバム・楽曲を聴く入口
言xTHEANSWER「ROADATLAS」
2014年11月17日、自主レーベルFLOWMOTIONから発売した最初のアルバム。ここに置いた動画はアルバムの発売告知で、表題曲1曲のMVとは異なる。公開された収録表には「NewWorld」「FLATWINER」から「ROADATLAS」まで9曲が並ぶ。
高校生RAP選手権での名前が広まるころから、既に自分の作品をまとめていたことが分かる一枚だ。ソロの出発点と、2017年のユニットでのメジャーデビューは分けて捉えたい。
言xTHEANSWER feat. 碧「FlyNaked」
「3onME」収録の、碧との曲。Alknoidがトラックを手がけ、録音はFLOWMOTION STUDIO、ミックスはSMASH STUDIO、映像はIKW FILMによる。ポップなユニット曲とは別の角度から、初期の言xTHEANSWERを聴ける。
早口の滑らかなラップと、爽やかな曲調だけで捉えられがちな印象から離れた一曲としても紹介されてきた。制作の役割や共演者を見ながら、本人の表現の幅をたどりたい。
EINSHTEIN & 言xTHEANSWER「フルボッコ」
ビクターが公開したPromotional Video。2017年12月6日の「フルボッコ/WeAre-A」に入り、翌2018年1月31日の「Two Pawns」にも収録された。日常のストレスや、誰にもぶつけられない自分への苛立ちを、勢いのある曲へ変えている。
出典:EINSHTEIN & 言xTHEANSWER「フルボッコ」(AWA掲載歌詞)。窮屈という言葉をすぐ重ね、相棒の言葉を受けて不満を強めていく。二人の会話がラップになる曲だ。本人も、日常の鬱憤を発散し、一緒に乗り越える気持ちを込めたと話している。
EINSHTEIN & 言xTHEANSWER「Two Pawns」
2018年1月31日発売の、ユニット初のアルバム。「Two Pawns」は全10曲。「WeAre-A」「To U」「BE」「花は咲く」などが並ぶ。「花は咲く」では、同世代の新社会人の気持ちになってバースを書き、EINSHTEINがフックを歌う形にしたと本人が説明している。バトルの強さを曲へ移すだけではない、共同制作での選択だ。
言xTHEANSWER「Two-time feat. K-FORCE & Young SEX」
2019年3月5日配信の、K-FORCEとYoung SEXを迎えた版。「Walking My Life」に入る2018年の「Two-time」とはクレジットを区別したい。作曲はK-FORCEとSlenderman beatによる。ライブの光やフロアでの出会いを描くなかに、離れた相手から届く連絡が入り込む。
出典:言xTHEANSWER「Two-time (feat. K-FORCE & Young SEX)」(プチリリ掲載歌詞)。携帯電話そのものではなく、震えるものを声として表す。目の前の華やかな場面へ、見えない相手の存在が入ってくる短句だ。曲の語り手が揺れる場面として読み、本人の現在の交際を説明する材料にはしない。
Charlu・Amateras・言xTHEANSWER「PLAY WITH ME」
2020年12月23日配信の、3人による初のセッション。beefyが作曲し、Charlu、Amateras、言xTHEANSWERが作詞に名を連ねる。本人の配信カタログで確認できる後年の共同作品で、ソロ曲と同じ名義ではない。
同年4月6日にはソロの「Long Road」も配信された。2018年の6曲EP「Walking My Life」、同年の「あの雲の上 Remix『揺らぎ』」、2019年の客演入り「Two-time」など、原曲とリミックス、ソロと共同名義を分けて聴くと活動をたどりやすい。
CHAPTER 09 / SECTION 09当時のリスナーの反応
2018年のゆいぴは「所詮」をライブでも何度も聴いたとして、癖になる曲だと反応した。2019年には、みおりんがパーマ姿の変化に、苗がパブロにも触れつつ言xTHEANSWERが好きだと書いている。かみつきは、歌詞や映像から感じる真面目さと素直さを好意的に受け止めていた。
2016年の請藏響香は、聴き始めて以来繰り返しラップを聴き、声の良さも応援の理由に挙げた。一方、2017年のFENNECのGADORO戦への反応は、相手のディスの強さを取り上げたものだ。対戦への感想を、すべて本人への称賛へ置き換える必要はない。これらはそれぞれ当時の感想で、現在の評価全体を代表するものではない。
CHAPTER 10 / SECTION 10よくある質問
速さだけでなく、届く言葉を選ぶ
Djtube 編集部
