FORK3人分の韻を背負う、ICE BAHNのMC
FORK(フォーク)は、神奈川県横浜市出身、ICE BAHNのMC。UMB2006とKING OF KINGS2021で優勝し、「フリースタイルダンジョン」では2代目・3代目モンスターを務めた。押韻へのこだわりは、ひとりで完成させた技だけではない。玉露、KITと何時間もラップを交わし、互いの予想を超える言葉を探してきたことが、その土台にある。2026年にはICE BAHNの6枚目のアルバム「SURFACE」を発表し、般若の「バカ」にも参加している。
CHAPTER 01 / SECTION 01FORKのプロフィール
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自ら横浜のシティボーイと呼ぶこともある、横浜を拠点とするラッパーだ。FORK個人のバトルを入り口に知った人にも、まず聴いてほしいのが、玉露、KIT、BEAT奉行と作るICE BAHNの音源である。
CHAPTER 02 / SECTION 02スケートボードから日本語の韻へ
高校1年でDJを始め、高校3年でラップへ
中学時代は野球部に所属する一方、スケートボードにも夢中になった。ストリートカルチャーへの憧れから見ていたスケートビデオで、アメリカのヒップホップに出会う。高校1年のときにターンテーブルを買い、最初はDJとして音楽を掘っていった。
日本語ラップを聴くようになって気付いたのが、韻を踏む面白さだ。英語のラップでは意識していなかった言葉同士のつながりが、日本語では分かる。その驚きから、高校3年のころに自分でもラップを始めた。
キングギドラ「空からの力」と「さんピンCAMP」
これは2015年6月25日のKGDRによる「空からの力」のライブ映像で、FORK本人の楽曲ではない。FORKの入り口となったのは、Zeebra、K DUB SHINE、DJ OASISによるキングギドラのアルバム「空からの力」だった。日本語でもこんなふうに韻を踏める、という発見が、その後の姿勢につながっている。
1996年7月7日に日比谷野外音楽堂で開かれた「さんピンCAMP」も影響源だ。2017年のインタビューでは、Zeebraからモンスター出演の電話を受けた際、ヒップホップに触れるきっかけになった人からの依頼に驚いたことを語っている。
CHAPTER 03 / SECTION 03名前・服装とステージの外での一面
TAKAからFORK MASTER、そしてFORKへ
ニートtokyoによるFORKのインタビュー。名前の由来は、玉露、KITと同じ職場でしていたフォークリフトのアルバイトにある。操縦がうまかったことからKITにフォークマスターと呼ばれ、その呼び名がMC名になったという。
それ以前は本名に由来するTAKAとして活動していた。ICE BAHNへ加わってからFORK MASTERを名乗り、後に短くしてFORKへ。技術を競い合う仲間との関係が、名前にも残っている。
帽子とシンプルなストリートスタイル
ベースボールキャップに太めのデニム、マウンテンジャケットやコーチジャケットという着こなしが印象的だ。ニットキャップやチューリップハットをかぶる姿もあり、帽子だけでも選び方に幅がある。
着用ブランドとして紹介されてきたのは、THE NORTH FACE、WILL、Lafayette、COCOLO BLAND。自身がプロデュースするRHYME SAVERも、そのスタイルを知るうえで欠かせない。
笑わないイメージと、冗談を言うFORK
クールな表情には、以前はライブで基本的に笑わないという仲間内の決まりもあった。本人は後に柔らかくなったとも話しており、いつでも笑わない人物だと捉えると、その変化を見落としてしまう。
真顔で自分を拙者と呼んだり、「フリースタイルダンジョン」の審査で隣のLilyのメモをのぞいたりする、ユーモラスな一面もある。韻を思い付くテーマとしてエロを挙げた受け答えも、硬派なラップとの落差を感じさせた。
酒の席での3人の役割
FORKと玉露は酒を飲めず、KITが飲んで周囲と打ち解ける、というエピソードがある。その話ではFORKが喫煙の場に付き合い、玉露が風俗へ誘う係という冗談交じりの役割分担まで語られていた。個々の私生活を証明する話ではなく、3人の掛け合いの一例として受け止めたい。
2017年3月18日には、高崎の会場へ着くと大学時代の友人から聖酒造の日本酒が届いていた、と本人が投稿している。贈り物の投稿と、本人が飲めるかどうかは分けて読む必要がある。
結婚と子供について本人が公表したこと
2020年の番組で結婚を公表し、同年1月22日の本人投稿では、前年に5歳の男の子の父親になり、その前月に娘を授かったことを報告した。発信から分かるのは、本人が伝えたこの家族の出来事までだ。子供との血縁関係や配偶者の詳しい情報を、年齢から推測することはできない。
メンバーの玉露にも結婚についての公表があるが、クルーの活動と家族の詳しい生活を重ねて語るものではない。
CHAPTER 04 / SECTION 04FORKのMBTIを編集部が推定
Djtube編集部は、公開された制作と練習の話からISTPを候補に挙げる。本人公表の診断結果ではない。2023年の対談で語った、3人で何時間もラップを続けて既に使った韻を越える方法や、韻を増やすだけの段階から引き算へ進んだという選択を手がかりにした推定だ。
言葉を実際に組み、相手の反応で確かめながら表現を磨く面を重く見た。一方、長期にわたって独自の方法を組み立てる姿はINTPとも読める。静かな表情だけで内向性を決めたり、舞台上の態度を私生活の性格に広げたりする見方ではない。
CHAPTER 05 / SECTION 05ICE BAHNと3人で作る理由
玉露・KIT・FORKとBEAT奉行
現在のICE BAHNは、玉露、KIT、FORKの3MCと、ビートメイカー兼ライブDJのBEAT奉行によるクルーだ。2001年に結成され、2003年8月23日にアナログ盤「IB法」、12月25日に最初のアルバム「STARTREC」を発表した。
FORKは大学時代、BIG SWELLに所属していた。メンバー間の仲違いからグループを離れたとされ、その時期に、同じ大学に通っていたKITから誘われる。初期にはDJ BOLZOI、MEGU BURSTも在籍し、玉露とKITは高校、KIT・FORK・DJ BOLZOIは大学、MEGU BURSTと玉露は予備校というつながりがあった。MEGU BURSTは2005年に脱退し、DJ BOLZOIも後に離れている。
3MCの結び付きは今も活動の軸だ。メンバー同士でけんかはなかったという話や、共通の趣味のサッカーで他のアーティストとチームを組んだエピソードもある。BEAT奉行は2012年に正式メンバーとなり、2013年の「RHYME GUARD」では13曲中12曲を担当した。
ソロを競うより、3人で価値を作る
この映像で話すのはKITだ。3人でひとつのものを作り続けることが、それぞれの価値にもつながるという考えが、ICE BAHNの活動を支えている。FORKも、自分たちの価値を自分たちで作る姿勢を示してきた。丸々1曲を書くのは大変だから、という冗談も、その話に添えられていた。
だからといって、ソロ曲や個人の客演が一切ないわけではない。「Loose Blues」には玉露の「KIZUNA 13」があり、「現盤」にはFORK作詞の「P.L.J.」もある。クルーを中心にすることと、各人の表現の場をなくすことは別だ。
3人で蓄えた韻から、気付かれない韻へ
FORKのリリックへのこだわりを扱うニートtokyoの映像。韻と韻の間の文章を崩さず、何度か聴いて初めて気付く韻も残す、という姿勢がある。踏んだ数だけを見せるのではなく、言葉の意味を追った先で音のつながりも発見できるようにする。
2023年のKEN THE 390との対談では、2〜3時間も3人でフリースタイルを続けると、既に使った韻が嫌になり、そこを越えて新しい言葉が出ると説明した。誰かが出した韻を別のメンバーが拾い、思わぬ方向へ進む。ひとりの出番にも、3人で作った蓄積がある。
初期にはKREVAのスタイルを参考にしつつ、もっと細かく多く韻を踏む方向へ進んだ。その後は引き算をし、厳選した韻や表現の妙を目指すようになったという。RHYME至上主義は、同じ踏み方を守り続けることだけを意味していない。
CHAPTER 06 / SECTION 06バトルでの歩みと仲間
最初の相手は般若だった
雑誌「BLAST」の記事からMCバトルに興味を持ち、初めて出たのが2001年のB-BOY PARK。その予選1回戦の相手が般若だった。負けた悔しさから本格的に練習を始め、翌2002年には本戦へ進んだが、再び般若と対戦している。
2003年B-BOY PARKの般若戦
2003年のベスト8での般若戦として原記事が紹介していた映像だ。この対戦ではFORKに上がった判定を巡ってステージ上が混乱した。後年の本人対談でも、この出来事がICE BAHNの名を広めた機会だったと振り返っている。
当時の出場は、曲を作ってライブをする自分たちの名前を売るためでもあった。横浜の週末のパーティーへ新しいラップグループが入り込むのは簡単ではなく、バトルはその入り口だったという。
UMB2006と、ダンジョンへの復帰
2005年にはICE BAHNで3on3の大会を制し、2006年のUMBでは神奈川予選から全国優勝へ進んだ。HIDADDYと何度も延長した対戦はDVDを通して広がり、後輩にも長く語られる一戦になった。
その後、バトルの前線から距離を置いても、ICE BAHNとしてのラップやライブをやめていたわけではない。復帰のきっかけには、「フリースタイルダンジョン」で崇勲と戦う般若の熱量に刺激されたことがある。昔と変わらず挑む姿を見て、自分はこのままでいいのかと思ったという。
2017年には2代目モンスターとなり、3代目でも続投。Zeebraからの依頼を断るより挑む方を選び、韻を掲げる自分だからこそ話の筋を通す姿勢を見せたいと語った。KING OF KINGS2021でも優勝し、長い活動の中で再び大きなタイトルを手にした。
呂布カルマへの影響と、続いてきた交流
3歳年下の呂布カルマは、UMB2006のFORKを見て、同じ押韻の方法ではかなわないと感じ、別のやり方を探したと語っている。韻を重く置くFORKと、言葉の切れ味を別の方向へ伸ばした呂布。違うスタイルへ進むきっかけにも、FORKのラップがあった。
玉露、KITに加え、アルファのTSUBOIは5人目のメンバーと呼ばれるほどの盟友だ。サイプレス上野は本名からタカ君と呼ぶ間柄。般若については2019年5月の本人投稿でも、初戦の悔しさと、再び同じ番組で一緒にできた思いを振り返っている。
CHAPTER 08 / SECTION 08FORKの楽曲と2026年の活動
ICE BAHN「越冬」
2003年12月25日発売の「STARTREC」収録曲。映像のタイトルにもTWIN-Bによるトラックと記されている。厳しい季節を越えることと、活動を続けることを重ねた一曲で、FORKのパートでは生活の時間が逆転するところから言葉が連なっていく。
出典:ICE BAHN「越冬」(JOYSOUND掲載歌詞)。成果への期待を置いた直後に、似た響きを持つ別の言葉へ進む。意味の流れを止めずに音の接点を増やすところに、FORKの押韻の面白さがある。
ICE BAHN「LEGACY」
2018年11月21日に発売された5枚目のアルバムの表題曲。正規配信ページは11月27日表記で、CDの発売日とは分けて捉えたい。全トラックをBEAT奉行が手がけ、ダンジョン出演後のICE BAHNを、独自性と仲間への信頼の両面から示している。
出典:ICE BAHN「LEGACY」(AWA掲載歌詞)。言葉で刺激するという宣言に、互換性という異なる領域の語をつなぐ。意味を説明するだけでなく、音の接続そのものでも聴き手を楽しませようとする一節だ。
DJ NAPEY「韻守運転 feat. ICE BAHN」
「韻守運転 feat. ICE BAHN」の元公開音源を見る
DJ NAPEYのアルバム「FIRST CALL」(2006年4月21日発売)に収録された客演曲。運転、アクセル、カーチェイスといった語彙をラップの技術や現場での活動へ重ね、3MCでつないでいく。荒っぽい運転を描く歌詞を、本人の実際の行為や犯罪歴へ読み替えるものではない。
冒頭は、スタートから検問、追走へと場面が進む。乗り物の動作を描きながら音を連結していく点を残し、長い歌詞の転記は避けた。動画は既存の公開音源で、権利元の公式投稿とは確認できていない。
ICE BAHN「MAKE or BREAK」
2026年3月3日に単曲とMVが発表され、3月9日のアルバム「SURFACE」にも収録された。作詞・ラップは玉露、KIT、FORK、作曲はBEAT奉行。やるかやられるかという選択を中心に据え、対になる語を並べながら、過去の存在では終わらないという姿勢を示す曲だ。MVはTOSATSUMA FILMSがディレクションを手がけた。
「SURFACE」は全11曲で、企画から録音までのほぼ全工程を、自分たちのSOUND HILLS STUDIOで進めた作品。CORN HEAD、句潤、TSUBOI、HIKIGANE SOUNDのVAAK、梵頭、泰斗 a.k.a. 裂固が参加している。新曲でも3MCとBEAT奉行を軸にし、仲間との制作を広げている。
ICE BAHN「LOYALTY」
2018年の「LEGACY」収録曲に、2026年4月4日付で新たなMV配信が加わった。新曲の発売日と動画の公開時期は同じではない。Rap La Movie(万寿)が監督し、THE BRIDGE YOKOHAMAなどを舞台に、クルーの看板とそれぞれの名前を結び付ける曲へ映像を添えている。
出典:ICE BAHN「LOYALTY」(AWA掲載歌詞)。個人名より先にクルー名を名乗る。その後に続く、メンバー同士の反応を判断材料にするという歌詞ともつながり、ひとりの技を3人の関係の中へ置く一節になっている。
般若「バカ feat. FORK(ICE BAHN)」
2026年7月1日発売の般若「2000%HIPHOP」に参加した曲。作詞は般若とFORK、作曲は般若とT.B.S、MVの監督はYuuukizmだ。ヒップホップに夢中であり続けることを、繰り返すタイトルの言葉で引き受ける。初めてのバトル相手だった般若と、今度はひとつの音源を作る関係も聴きどころになる。
同作のCD「Bonus Track Edition」は8月1日発売で、7月の配信アルバムとは版を区別したい。FORKがアルバム全曲に参加しているという意味ではない。
個人の客演と、クルーの広がり
2026年3月11日発売のANSA MONSTA「RPG」では、「Underground Railway」に参加した。2025年4月8日のSIMON JAPとDJ YUTAKAによる「Bounce Back」では、DELIとともに「光と闇」へ客演している。
2021年8月27日にはKARAMUSHIと「JAH GUIDANCE」を共同名義で発表し、i-Watchも作曲に参加した。2024年6月12日には、FORK、Donatello、句潤、SHEEF THE 3RDが参加する「One Up 4 Rap」がHAMMER HEAD RECORDSから配信された。ICE BAHNとしても、CORN HEAD「マイク廻師」、HIKIGANESOUNDの作品などで交流を重ねている。2025年には横浜DeNAベイスターズのシーズンスローガン「横浜奪首」の楽曲も提供した。
CHAPTER 09 / SECTION 09リスナーが反応してきたところ
2017年にはZAKIが、2バース目で韻を重ねながら話の筋がぶれないところを評価した。2019年にはよーへーが番組での聴き応えを、ラップ好きの動画がSIMON JAP戦の2バース目を取り上げている。技の数だけでなく、対戦の中で何を言うかも注目されてきた。
同じ2019年、被害妄想なナンバーはPONEY戦を好試合として挙げ、あと1ぽんはライムへの驚きを投稿した。グングニルの格好よさを強く推す反応、ラプレゲ☆Japanの魅RIン戦での韻を評価する投稿も原記事に残る。少数の当時の反応から、現在のリスナー全体の評価までを決めるものではない。
CHAPTER 10 / SECTION 10よくある質問
ひとりの言葉に、仲間と磨いた韻がある
Djtube 編集部
