空音ダンスからラップへ。生い立ちと音楽
空音(そらね)は、兵庫県尼崎市出身のラッパー。「Hug feat. kojikoji」や「Brighter」で知られ、ダンスで培ったグルーヴと、身近な物を想像の世界へつなぐ歌詞が持ち味だ。やさしい曲でも、ただ明るく励ますだけでなく、傷つく気持ちや別れにも目を向ける。
2018年の高校生ラップ選手権を経て音源制作に軸を移し、2019年に「Fantasy club」を発表。2026年には「Not Laughing Yet」、avex ROYALBRATSとの「We know」へと作品を重ねている。
CHAPTER 01 / SECTION 01空音のプロフィール
本名や身長、血液型については、公表情報から断定できない。「—」の項目も、家族や経歴が存在しないという意味ではない。SORANEは初期作品の発売元表記として知られ、現在の事務所所属と同じ意味では使っていない。
CHAPTER 02 / SECTION 02空音の生い立ち
2001年、尼崎市に生まれる。近所のダンススクールへ小学2年から高校2年まで通い、海外のヒップホップ、ソウル、R&B、ジャズなどを、まず踊るための音楽として聴いた。練習の成果が見えることや、コンテストで特別賞をもらう経験も、踊りを続ける力になったという。
母親が教えてくれたKREVA、父親が好きだったDragon AshやRIP SLYMEなどから、日本語の音楽にも親しんだ。言葉を韻でつなぐ面白さが、自分でも曲を作りたいという気持ちにつながっていった。
CHAPTER 03 / SECTION 03空音の高校時代とラップの始まり
ドラムとサイファーの両方を経験
高校では軽音楽部に入り、ドラマーとしてバンドを組んでいた。ゲスの極み乙女。やクリープハイプをコピーし、オリジナル曲を演奏した時期もある。一方で、ヒップホップ好きの友達の家で音楽を流してラップし、やがて外のサイファーへ足を運ぶようになった。
高校2年の夏ごろには、地元でのサイファーやオーディションへ参加。ダンスで曲への入り方を学んだ経験が、自分なりのリズムを出す土台になった。次第にフリースタイルが楽しくなり、軽音楽部へ行く機会は減ったという。
第14回高校生ラップ選手権で気づいたこと
この映像は、2018年の第14回高校生ラップ選手権に向けた自己紹介ラップ。藤Koosとの対戦本編ではない。大会では初戦で藤Koosに敗れたが、独特のフロウが印象を残した。
本人は、各地から選ばれた相手と対戦して、即興を競うより時間をかけて音源を作る方が自分に合うのではないかと感じた。そこから、YouTubeやSoundCloudへ曲を作っては公開する活動に力を入れる。
高校卒業時に就職内定を辞退
卒業前には会社から内定をもらっていたが、音楽一本で進みたいと考え、2019年2月に断ったという。働きながら続ける選択肢もあったものの、同世代が腕を磨く時間を自分も音楽へ使いたかった。学校の先生には強く怒られたと振り返っている。
CHAPTER 04 / SECTION 04空音が影響を受けた音楽
唾奇は特に大きな存在だ。Sweet Williamとのアルバム「Jasmine」を聴き、歌詞に触れたことで、日本語のヒップホップをさらに好きになった。ラップを曲として書くうえでも、影響を受けたと話している。
KREVAは、両親の影響から聴き始めた音楽の一つ。空音の自然な言葉の乗せ方を考える際にも、幼いころから日本語の韻やメロディーに触れていた背景がある。
尾崎世界観については、恋愛や人間の弱さを扱う比喩に惹かれた。気持ち悪いと感じかねない題材まで、すてきなものに感じさせる。その変換の仕方を、表現の参考にしてきたという。
CHAPTER 05 / SECTION 05空音の恋愛の話と歌詞への姿勢
2019年に語った恋人と「Love ya all」
2019年のインタビューでは、看護の専門学校に通う交際相手がいると話した。「Love ya all」は、恋人や尼崎の仲間へ、今よりよくなると伝えたかった曲だという。これは当時の制作背景で、現在も同じ相手と交際しているという情報ではない。
「Love ya all」はEPの名前ではなく、「Mr.mind」に収録された曲。自分の個人的な体験を歌うと、身近な人が傷つくかもしれないという迷いも、同じ取材で言葉にしている。
誰のことも傷つけたくない
だから、なるべくポジティブなことを歌いたい。ただし、誰も傷つかない表現が必ずできるとは考えておらず、作品によっては攻撃的に受け取られる可能性も引き受けると話していた。空音のやさしさは、葛藤のない明るさというより、何を歌うかを選ぶ姿勢として見ると分かりやすい。
落ち着いた声と、現実を広げる比喩
チルな音に合う落ち着いた声と、メロディーを行き来するフロウも持ち味。失恋や別れの題材でも、聴き手を置き去りにせず、前へ進む余地を残す。想像上の世界を使いながら、生活の感情へ戻ってくるところに魅力がある。
自分の曲に出てきた言葉を別の曲へ移す、セルフサンプリングも使う。「Brighter」は、初めてYouTubeに上げた「yummy」の続きのような曲だと説明していた。曲名や同じ言葉の再登場を追うと、一曲ずつがつながる楽しさもある。
CHAPTER 06 / SECTION 06空音のファッション
ストリートブランドと日常の服
- LMC(エルエムシー)
- BlackEyePatch(ブラックアイパッチ)
- UNIQLO(ユニクロ)
初期に着用が紹介されていたブランドは、LMC、BlackEyePatch、UNIQLOなど。BlackEyePatchは東京のストリートと結びつく日本のブランドで、BADSAIKUSH、Ryugo Ishida、WILYWNKAらの着用でも知られる。空音も、音楽の場で着る服と日常の服を組み合わせてきた。
CHAPTER 07 / SECTION 07空音のMBTIを編集部が考える
Djtube編集部ではENFPと推定する。本人の診断結果ではなく、公開された制作や活動から考える仮説だ。根拠は、空を木、惑星を実と見立てる「planet tree」の発想や、自分の作品の言葉を別の曲へ展開する制作。そして、目の前の恋人だけでなく地元の友人にも届く応援へ、私的な感情を広げる書き方にある。
ダンス、ドラム、サイファー、音源制作を経験し、そのとき面白いと感じた方向へ移ってきた選択も手がかりにした。ただし、作品の想像力や人を応援する歌詞だけで、普段の社交性は決まらない。個人的な価値観を深く掘る作り手としてINFPとも読め、性格の確定や人柄の優劣を示すものではない。
CHAPTER 08 / SECTION 08空音の活動歴とアルバム
「Fantasy club」には、kojikojiとの「Hug」や、BASIを迎えた「相棒」を収録。2019年から2020年にかけて、「planet tree」「Hug」に続くレコード化の告知も行われた。デジタルだけでなく、作品を手元に置く形でも音楽を届けてきた。
2020年6月時点の紹介にあるアルバム2枚という数は、「Fantasy club」と「19FACT」までの時点の話。その後、「TREASURE BOX」や「Life Teller」、2025年の「WINGS」、2026年の作品へと続いている。
2026年2月18日の「Not Laughing Yet」は、「No School Rules」「DAAANCE!」「Car Stereo」「Lullaby」「友達」の5曲。CHAN4やRhymeTubeが制作に参加した。以前の自分が今の自分を見てもなりたいと思える姿でいたいという、作品に向かう基準も示している。
2026年には2月4日の先行曲「DAAANCE!」、4月15日の「Sugar High」も発表。客演ではdanjoの「karabina」、SOMAOTAとFunny Facturesの「Alter Ego」などにも名前があり、自分名義の作品と並んで共作も続けている。
CHAPTER 09 / SECTION 09空音の代表曲と近作
Brighter
「Mr.mind」の2019年7月発売の全国流通盤に、ボーナストラックとして収録された曲。RhymeTubeのトラックに、目の前の人が主役だと呼びかける。空音らしい世界の見立て方と、背中を押す言葉がよく表れている。
愛されない今日も含めて愛せるようにという言葉は、嫌なことをなかったことにはしない。そのうえで、草木や風を脇役、相手を主役に見立て、目の前の場面を踊り出せる世界へ変えていく。
Hug feat. kojikoji
「Fantasy club」に収録された、kojikojiとの共同曲。ここで紹介するMVはAlbum ver.で、別に発表された版とは分けて聴きたい。空音のオートチューンを使う歌声と、穏やかなトラック、kojikojiの声が交わる。
心の傷に対する絆創膏を音に置き換え、パンやミルク、お菓子の家へと像をつないでいく。日常の食べ物と音楽が一緒になる比喩が、曲のやわらかな感触を作っている。共同曲の歌詞として紹介し、各行の歌唱者をここでは断定しない。
You GARI feat. SUSHIBOYS
2020年5月に発表され、「19FACT」に収録されたSUSHIBOYSとの曲。RhymeTubeのトラックへ、3人のユニークな言葉が乗る。肩の力を抜いて聴ける軽さも、この共演の持ち味だ。
平日にあった嫌なことと、週末においしいご飯を食べる時間を並べる。英語の短い反復も交え、重い気分に別のリズムを与えるような展開だ。掲載部分は共同曲として扱い、特定の行を空音一人の歌唱と決めつけない。
celebration
「Fantasy club」収録曲。ポジティブな歌を、泣かないための強がりにしない姿勢が伝わる。ライブ版では、会場で人に向けて歌う形の違いにも目を向けたい。
曲をハンカチに見立て、つらいときは泣いてもよいと伝える。悲しみを消すのではなく、その時間を一緒に過ごす道具として音楽を差し出すところに、空音の応援の仕方が表れている。
We know/avex ROYALBRATS & 空音
2026年9月21日配信。ダンスチームavex ROYALBRATSの新シーズンのタイトル曲として、ディレクターJUMPEIからの依頼で空音が書き下ろした。作詞は空音、作曲は空音とRhymeTube、プロデュースはRhymeTubeが担当する。
チームが経験や悔しさを力へ変え、再び王座を目指す意思を託した曲。個人の生活を描く初期曲とは異なり、踊る集団が舞台へ向かうための歌として作られている。小学生からダンスに親しんだ空音が、今度はその舞台を音で支える仕事へつながった。
CHAPTER 10 / SECTION 10CIRCLE 6 CLANと共演者
尼崎のサイファーから続く仲間
- 土遁
- Hiroto
- 5lowly
- 空音
- EAGLEYE
- NeVGrN
- Pri2m
CIRCLE 6 CLAN(サークルシックスクラン)は、尼崎を拠点とするクルー。高校時代のサイファーで腕を磨いた仲間たちで、空音も中心メンバーとして活動していた。TERUがメンバーのリリースを祝う投稿をしたこともある。
EAGLEYEはソロでも活動し、2020年1月に大阪で開催したリリースパーティーには空音も参加。トラックメイカーのPri2mも空音に音を提供してきた。「planet tree」などの制作を考えるうえでも、地元の仲間とのつながりは欠かせない。
クボタカイとの「Juicy kiss」
クボタカイと空音が2020年に共演した、O.B.Sの「Juicy kiss」。同世代の交流が作品につながった例だ。クボタカイやMega Shinnosukeとは、食事をする私生活のつながりと、互いの曲から刺激を受ける関係の両方があったという。
共同曲の歌い出しからの短句。SNSの向こうの人を眺める時間と、目の前にいる相手との今を対比して、記録したいのは何かを問いかける。各行の個人歌唱を断定せず、二人の曲としての表現を見ている。
BASIに教わった同じ目線
BASIとは「相棒」や「月ひとつ」で共演。曲作りだけでなく、相談にも乗ってもらったと語る。長いキャリアがありながら、空音の地元の仲間にも同じ目線で話してくれる。その接し方を尊敬していた。
初期の反響には、「月ひとつ」のMVで3分51秒から聞こえる空音の返事を好む声や、kojikojiとのライブを喜ぶ声があった。カフェのBGMに合う穏やかさを挙げる人も、夜の街でレモネードを片手に歩きながら聴く場面を語る人もいた。音源だけでなく、誰と、どんな場所で聴くかまで広がった曲の楽しみ方だった。
CHAPTER 11 / SECTION 11空音のよくある質問
空音の音楽は、踊る身体から、サイファーの言葉、物語を描く音源へと広がってきた。代表曲を聴いたあと、同じ言葉の再登場や仲間との共演をたどると、やさしい印象の奥にある制作の工夫も見えてくる。
Djtube 編集部



