ILL-BOSSTINO年齢・結婚、THA BLUE HERBと代表曲
ILL-BOSSTINO(イル・ボスティーノ)は、札幌を拠点にするTHA BLUE HERBのラッパー。BOSS THE MC、tha BOSSなどの名義でも活動し、東京から離れた場所でレーベルを運営しながら、全国の現場へ言葉を届けてきた。
語りかけるようなラップは、長い練習と、言葉を何度も練る制作に支えられている。生い立ち、結婚、かつてのビーフだけでなく、DJ KRUSHとの2026年のアルバム「XO」まで、活動のつながりを見ていく。
CHAPTER 01 / SECTION 01ILL-BOSSTINOのプロフィール
1971年生まれで、2026年中の年齢は54〜55歳。生まれた月日は確認できていない。「BOSS」はラッパーとして活動を始めたころからの呼び名だが、ILL-BOSSTINOという名義の詳しい由来は明らかではない。
本名と血液型は、記載できる情報が揃っていない。THA BLUE HERB、tha BOSS、ILL-BOSSTINOの活動は、作品ごとの名義と合わせてたどりたい。近況とライブの予定は、THA BLUE HERB RECORDINGSの公式サイトで発信している。
CHAPTER 02 / SECTION 02七飯町から札幌へ、生い立ちとラップの始まり
北海道亀田郡七飯町で育ち、函館北高校へ進学。休学して配管工の仕事を経験した後、札幌大学へ進むため札幌に移った。すすきので遊ぶ中、キャバクラやクラブで流れるヒップホップに夢中になる。Biggie、Nas、Gang Starrなど、アメリカのラッパーを聴いていた。
大学を卒業した後は、ダンサーを目指したものの挫折した。パーティーを企画し、すすきのでウェイターとして働く生活の中で見たB.I.G. JOEのライブが、進路を変える。日本人のラップを目の前で聴き、自分もここで何かできるのではないかと感じた。その後はB.I.G. JOEのサイドMCも務め、札幌の現場で経験を重ねていく。
以後も札幌に残って活動し、東京へ移ることを成功の前提にしない音楽を作った。1997年に始まるTHA BLUE HERBとレーベルの活動は、その立場を実際の制作とライブで形にする歩みでもある。
CHAPTER 03 / SECTION 03ファッションと結婚
LIBE、NEW ERA、SOPH.
- LIBE
- NEW ERA
- SOPH.
LIBEはプロスケーターの森田貴宏が手がけるブランドで、森田はTHA BLUE HERBの映像制作にも関わっている。キャップではLIBEや、1920年にニューヨークで創業したNEW ERAを愛用してきた。
SOPH.の清永浩文とも親交があり、本人の希望でTHA BLUE HERBの映像の衣装に取り入れたこともある。ステージで着る服も、音楽を一緒に作る人や、長く付き合う人との関係に結びついている。
2020年5月には、SOPH.の「Stay Home, Stay Safe」企画にも登場した。ブランド公式XがILL-BOSSTINOへ謝意を伝え、映像を紹介している。
妻との新婚旅行、仲間との交流
妻との新婚旅行やライブ観覧のエピソードが伝わっている。漢 a.k.a. GAMIが京都でフリースタイルを仕掛けて親しくなったとき、新婚旅行で訪れていたという。京都での出会いは、後にラッパー同士の交流としても語られるようになった。
2014年に般若が札幌でライブをした際には、ILL-BOSSTINOと妻、SHINGO★西成、B.I.G. JOEらでTwiGyのライブを観に行った話もある。結婚の有無を知る手がかりはあるが、妻の職業や子供のことまで想像して広げることはできない。
CHAPTER 04 / SECTION 04ILL-BOSSTINOのMBTIを編集部が考える
Djtube編集部は、長期の制作とライブへの取り組みからINTJを仮説として挙げる。本人が公表した診断結果ではない。
根拠は、札幌を拠点に独立レーベルを運営し続けてきたことと、DJ DYEとの練習、ジム、走り込み、家での練習を組み合わせてステージへ備えるという具体的な習慣だ。拠点を移すことより、自分たちが続けられる仕組みを作る姿勢に注目した。
ただし、練習を積むことから性格の全体像までは判定できない。言葉で人を励ます面を中心に見ればINFJなど別の解釈もある。ビーフの有無や強い歌詞を人格判定に使わず、仕事上の選択から考えた仮説としている。
CHAPTER 05 / SECTION 05THA BLUE HERBとラップの特徴
THA BLUE HERBは、ILL-BOSSTINO、トラックメイカーのO.N.O、ライブDJのDJ DYEによるグループ。シンガーのJERRY “KOJI” CHESTNUTSも、繰り返し作品に参加して支えてきた。
ILL-BOSSTINOのラップは、同じ語尾を並べる快感だけではなく、語りの緊張感で聴かせる。韻をまったく使わないという意味ではなく、言葉の意味、息の置き方、聴き手へ向かう声の強さが前に出るスタイルだ。
ライブのために、DJ DYEと合わせ、身体を鍛え、走り、家でも練習する。その間に歌詞を書くという毎日を語っている。一小節に三日かけるほど言葉を練ることと、身体で言葉を届ける準備が、同じ表現を支えている。
THA BLUE HERB以外では、「ヤバスギルスキル PT.6」でラッパ我リヤと共演した際にILL-BOSSTINO名義を使い、CalmとのJAPANESE SYNCHRO SYSTEMではダンスミュージックにも取り組んだ。札幌で聴く音楽は、ラップの枠だけに収まらない。
CHAPTER 06 / SECTION 06TOKONA-X、RHYMESTERとのビーフはどうなったのか
D.O.I. feat. TOKONA-X「EQUIS.EX.X」とその後
「EQUIS.EX.X feat. TOKONA-X」は、D.O.I.名義で2002年5月29日に発売された曲。TOKONA-Xがラップで参加しており、動画は同曲の配信音源だ。
ILL-BOSSTINOとの間では、THA BLUE HERB「A SWEET LITTLE DIS」の言葉をTOKONA-Xが自身の刺青への批判と受け取ったことが、応酬の発端と伝えられてきた。
ILL-BOSSTINOは曲でアンサーを返さなかった。しかし、沈黙がそのまま最期までの対立を意味するわけではない。TOKONA-Xの没後、DJ RYOWの「OUTRO」で共演した際には、本人同士は生前に話し合い、和解して互いのライブを観に行っていたと明かした。
「OUTRO」への当時の反応にも、その時間の変化が表れている。2016年10月、Xの@KillX4Nは、ビーフの時代を自分は見ていないと断ったうえで、BOSSがTOKONA-Xへ向けて歌うことに時の流れを感じたと投稿していた。
RHYMESTER「ウワサの真相」と再会
RHYMESTERとの間には、ヒップホップの活動や立ち位置をめぐる衝突があった。「ウワサの真相」に対し、THA BLUE HERBの「SHINE ON YOU CRAZY DIAMOND」や「サイの角のようにただ独り歩め」が応じる曲として語られている。
後に宇多丸が「ウィークエンド・シャッフル」で再会の話をし、対立が解けていることが伝わった。過去の歌詞の応酬と、その後の人間関係を同じ時点に置かずに受け取りたい。
CHAPTER 07 / SECTION 07言葉から聴く代表曲
THA BLUE HERB「未来は俺等の手の中」
2003年のシングル。働く日々と、自分たちで道を作ってきた歩みを結ぶ曲だ。
仕事の合間の短い休憩が、抽象的な「自由」という問いへつながる。遠い理想を掲げる前に、窓のない場所と変わらない毎日が描かれるからこそ、このままで終わらないという決意に重みがある。
THA BLUE HERB「あの夜だけが」
ファーストアルバム「STILLING, STILL DREAMING」の収録曲。札幌の夜と、そこで音楽に出会っていく時間が刻まれている。
ライムという言葉に、ラップの韻だけでなく酒の記憶が重なる。すすきので次の週末を待っていた生活が、一人のラッパーの原風景として立ち上がる。抽象的な成功談より、夜の手触りを先に伝える言葉だ。
THA BLUE HERB「STILL STANDING IN THE BOG」
2002年のアルバム「SELL OUR SOUL」に収録。続けることの負荷を、情熱に問いかける言葉で表している。
情熱を燃やす気持ちだけで終わらせず、すり減った後にも続けられるのかと問い返す。長く活動することの厳しさを、消耗の感覚から言葉にしている。聴き手自身が続けていることにも重ねられる一節だ。
THA BLUE HERB「サイの角のようにただ独り歩め」
「SELL OUR SOUL」の収録曲で、自分の足で進む姿勢を強く示す一曲。RHYMESTERとの応酬という背景を離れても、決断を引き受ける言葉として響く。
勢いだけで突き進むのではなく、冷静さと度胸の両方を置くところに緊張感がある。一人で歩くことは、孤立を美化するだけの言葉ではなく、自分で選び、進む責任まで引き受ける姿として読める。
CHAPTER 08 / SECTION 08共演曲と仲間
SEEDA「Mic Story feat. ILL-BOSSTINO」
SEEDAの2007年のアルバム「街風」に収められた、二人の初共演曲。上の参考PVに加え、AWAの配信音源からもたどれる。
一つのバースを引き受けるという短い言い方に、共演相手へ応える責任が表れる。街で生き抜いてきた経験を持ち寄り、客演を単なる顔合わせで終わらせない曲になっている。
ILL-BOSSTINO × OLIVE OIL × B.I.G. JOE「MISSION POSSIBLE」
2010年7月21日発表。OLIVE OILのビートに、札幌の二人のラップが重なる。公式映像は、普天間基地移設問題と日米共同声明への応答として、この曲を紹介している。
平和を願うメッセージを、遠くからの評論で終わらせず、北と南の音楽家が同じ作品にする。その組み合わせにも、地元に立ちながら外の出来事へ声を出す姿勢が見える。
発売当日のXでArtemisは、525円のCDを聴き、OLIVE OILの個性的なトラックとラップが合うかという心配が解けたと記していた。2012年には@analogkiyoc7もBOSSのラップを称賛している。いずれも、それぞれの聴き手の感想だ。
クラムボン featuring ILL-BOSSTINO「あかり from HERE」
紹介するのはKAIKOO POPWAVE FESTIVAL’10のライブ映像。クラムボンの演奏と歌にラップが交わり、普段のTHA BLUE HERBとは違う音の広がりが生まれる。共演が表現を変える瞬間を聴ける一曲だ。
録音版のこの言葉は、他人との勝負へ向きがちな視線を、自分へ戻す。理不尽さを歌う中でも、最後に誰と向き合うのかがはっきりするから、励ましがただの楽観にならない。録音版と並べて、ステージでは演奏とラップがどう交わるかにも耳を向けたい。
このライブ映像を繰り返し観たという反応も残っている。maru.oは組み合わせの意外さと心を動かされる感覚を、あさじ船長はBOSSを好きになったきっかけだと記した。ほりは映像のエネルギーと感動を、@kugayachitsuは何度観ても幸せな気持ちになると伝えていた。
B.I.G. JOE、漢 a.k.a. GAMIとの関係
B.I.G. JOEは、ラップを始めるきっかけになった人であり、サイドMCを務めた相手でもある。BOSSが突然ディスを受けた際には、何らかの誤解から起きたことだと考え、ビーフへ持ち越さず、後に公式サイトで経緯を説明するにとどめたと伝えられている。その後も互いを尊重し、共演を重ねてきた。
札幌のB.I.G. JOEに加え、漢 a.k.a. GAMI、YOU THE ROCK★らとの交流も続いてきた。過去の衝突だけで人間関係を区切らず、同じ現場や作品で何を重ねてきたかを見ると、交友の広がりが分かる。
漢 a.k.a. GAMIとは、京都でのライブ後、深夜の路上で出会った。漢と仲間たちのフリースタイルにBOSSも応じ、サイファーの後には握手を交わしたという。その一部はMC漢とDJ琥珀のアルバム「MURDARATION」にある「これがFREE STYLE」に収められている。漢は著書「ヒップホップ・ドリーム」でも、一人の人間としてILL-BOSSTINOを尊敬する気持ちを語っている。
CHAPTER 09 / SECTION 09DJ KRUSHとの2026年作「XO」
2026年8月5日、DJ KRUSHとのジョイントアルバム「XO」をTHA BLUE HERB RECORDINGSから発表した。DJ KRUSHがビートとスクラッチ、ILL-BOSSTINOが言葉を担い、BACHLOGICがミックスとマスタリングを担当。「THE OWNER」を含む全十五曲で、J-REXXX、JERRY “KOJI” CHESTNUTS、曽我部恵一がゲストに参加している。
tha BOSS名義のソロ作「IN THE NAME OF HIPHOP II」(2023年)では、複数のビートメイカーやラッパーと制作した。一方、「XO」のビートはすべてDJ KRUSH、ラップはすべてILL-BOSSTINO。名義だけでなく、誰とどの部分を作るかにも作品ごとの違いがある。
DJ KRUSH × ILL-BOSSTINO「THE OWNER」
「XO」から2026年8月21日に公開されたMVで、監督は丸山雄大。アルバムの現在地を映像から知る入口になる。
「XO」全体では、ゲストボーカルを招きながらも、ラップはILL-BOSSTINO一人が引き受ける。「THE OWNER」のMVは、その分担から生まれた一曲を知る入口だ。別の音楽家と組みながら自分の言葉を通すという作り方を、アルバムの曲へ進む手がかりにしたい。
2026年末も札幌から各地へ
「XO」のリリースライブは9月に大阪と東京で行われた。THA BLUE HERBとしては「YEAR END TOUR 2026」を告知しており、12月20日札幌、24日大阪、26日沖縄、29日東京の四公演を予定している。日程と詳細は、公式のツアー案内で確認できる。
配管工やウェイターの仕事を経てマイクを握り、独立レーベルを続け、今も別の音楽家と新しい曲を作る。ILL-BOSSTINOを知る面白さは、強い一節と、それを支えてきた日々がつながるところにある。
「札幌で練り上げた言葉を、次の現場へ」
Djtube編集部


