Fuma no KTR早口に込めるイズム、曲で広げる家族の輪
Fuma no KTR(フウマノコタロウ)は、大阪府寝屋川市出身のラッパー。藤KooS、八咫烏としても知られ、第15回高校生RAP選手権で準優勝、U-22 MC BATTLE 2022で優勝した。速く言葉を詰めるだけでなく、ビートの上でリズムと意味を両立させるフロウが持ち味だ。2026年には百足との「Family」を含むEP「PULSE」を発表し、バトルで育てた表現を共同制作へ広げている。
CHAPTER 01 / SECTION 01Fuma no KTRのプロフィール
Fuma no KTR、藤KooS、八咫烏は同じラッパーの名義だ。初期にはバトルと音源で表記を使い分けていたが、Fuma no KTR名義でもバトルへ出場している。名前だけで音源専用、バトル専用と固定しないほうが活動を追いやすい。
CHAPTER 02 / SECTION 02ADECKと始めたラップ、名前の変化
幼なじみのADECKは、Fuma no KTRがラップを始めるうえで大きな存在だった。もともとネットラップを聴き、「イナズマイレブン」の主題歌やボーカロイド曲のラップリミックスにも親しんでいた。地元でその話をできる相手がADECKで、彼を通じて高校生RAP選手権やフリースタイルダンジョンを見始めた。
2021年のABEMA TIMESの本人インタビューでは、ADECKがラップやバトルを始めた姿を見て、自分にもできるのではと挑戦した時期を高校2年の初めと話している。高校1年の夏にオーディションへ一緒に行ったという話も伝わっている。オーディションへの同行と、自分がラップを始めた時期は分けて捉えたい。
藤KooS、八咫烏、Fuma no KTRの由来
藤KooSの「藤」と本名の藤岡を結び付ける説明があるが、命名時の本人の言葉とは区別が必要だ。八咫烏については、好きな雑賀孫市と、その雑賀衆が使っていた家紋から取ったと語っている。Fuma no KTRや「White NINJA」という作品名にも忍者のモチーフが現れる。
改名を単なる言葉遊びとして見るだけでは、当時の経緯を取りこぼす。2021年のKAI-YOUのインタビューでは、バッシングや活動休止の過去に触れ、そこから逃げるのではなく向き合おうとする姿勢を話していた。引退を口にした時期があっても、その後の活動が終わったわけではない。
CHAPTER 03 / SECTION 03妻と子供、北海道から東京への歩み
Fuma no KTRは若くして結婚し、子供が生まれたことを第16回高校生RAP選手権の場でも明かした。妻は3歳年上で、もともとリスナーだったという。交際の経緯としては、2018年春ごろに付き合い始め、同年夏に一度別れ、11月に復縁したと伝えられている。いずれも当時の話で、現在の家族関係を外見や動画の印象から推測する材料にはしない。
妻の地元で育児をするため北海道へ移ったことは、2021年の本人インタビューでも紹介された。その後、本人は同年12月に妻、娘と東京で3人暮らしを始めたと発信している。2026年の「PULSE」の公式プロフィールでは活動拠点が西東京となっており、北海道を現在地として固定すると、その後の歩みが見えなくなる。
2019年にはTERUとの「哀愁ラバーズ」も発表し、当時は妻へのラブソングとして紹介されていた。家族が活動の背景にあることと、曲の語り手の一言一句を実際の私生活へ置き換えることは別に考えたい。
CHAPTER 04 / SECTION 04服装・食べ物と身近なラッパー
RAPPAの帽子と、焼肉を挙げた企画
ファッションでは、一二三屋の「RAPPA」が話題になった。藤KooSがかぶっていた帽子を見たHIDADDYが、デザインを思い付いたという。ブランドを着る側にとどまらず、周囲の人の発想へもつながったエピソードだ。
MRJ TVの、1万円を30分以内に使い切る企画では、最初に焼肉へ行くことを提案した。肉好きとして紹介されるきっかけになった一場面だが、一度の企画の選択から、普段の食事全てを決めることはできない。
ADECK、百足、ONO-D、韻マンとの関係
ADECKは0歳のころからの幼なじみだ。White NINJAの活動後には関係が悪くなった時期もあったというが、のちに関係を戻している。2019年に北海道へ移る際、ADECKは一緒にラップをすることで楽しさを再認識したこと、大阪にも帰ってきてほしいことを発信した。
百足、ONO-Dとは「00の民」を組み、U-22 MCBATTLE SP 3on3へ出場した。2000年世代を指すだけでなく、百足の100、ONO-Dの二つのO、藤KooSの二つのoという読み方もある。戦極第18章の関西予選では、自分たちを00三連星と呼ぶ言葉も残した。韻マンとはプリクラやSNSの写真で一緒の姿が紹介されており、若い時期の親しい関係がうかがえる。
楽曲では虎の子大河、TERU、WAZGOGGらと組み、SoundCloudではTok10やDumb personとのコラボも紹介されてきた。共演があることと、私生活でどれほど親しいかは分けながら、作品を介した関係を追いたい。
尊敬する相手として挙げたShotaro
こちらはShotaro本人がトロントの思い出を話すニートtokyoの映像。Fuma no KTRのインタビュー映像ではない。Fumaは、本音を隠す人への不信感があったが、好悪をはっきり伝えるShotaroに出会い、尊敬するようになったという。2019年の百足戦でも、東京への苦手意識が、相手と出会って楽しいものへ変わったという意味の言葉を返している。一つの都市の人全体を評価するより、人との出会いによる変化が表れた話として受け止めたい。
CHAPTER 05 / SECTION 05Fuma no KTRのMBTIを編集部が推定
Djtube編集部はESFPを候補に挙げる。本人が公表した診断結果ではなく、公開作品での表現からの推定だ。「Stray Express」の本人パートで、さまざまなジャンルを混ぜ、記憶を燃料に音楽で景色を変えるという発想を示す点、バトルでは速さの中にも自分の考えを込めようとする点へ着目した。身体で捉えるリズムと、その場にいる仲間へ向かう表現が特徴的に見える。
一方、「Heartbreak」の内面へ向かう語りや、作品の細部を自分で練る姿からはISFPという読みもできる。フロウの快活さは舞台上の技術でもあり、普段の性格を直接証明しない。家族や過去の苦労を性格型の原因にしたり、歌詞を健康状態の診断に使ったりする推定ではない。
CHAPTER 06 / SECTION 06MCバトルでのフロウと戦績
藤KooSのベストバース集
戦極MCBATTLEが公開した藤KooSのバース集。言葉を速く並べるだけでなく、ビートに対する間の置き方や韻の着地が、早口を音楽として聴かせる。初期のバトルをまとめて知る入口になる。
じょう戦:早口に込める考え
2018年7月14日のU-22 MCBATTLE SP 3on3では、じょうと対戦した。早口の中にあるのはリズムだけではなく自分のイズムだ、と返す一節が、藤KooSのラップを端的に示している。速く発音できることと、何をどう乗せて伝えるかを切り離さない姿勢だ。
第15回高校生RAP選手権で準優勝
第14回の初出場でベスト4に入り、第15回では決勝へ進んだ。1回戦の我琉戦では、相手のネタを重ねるスタイルに対しリズムを保って勝利。2回戦のLil bei戦では双方が早口で乗せ、最後の落とし方も含めて競り合った末に藤KooSが勝った。準決勝のMOGURA戦では、スキルを見せるだけでなく対話として言葉を返している。
第15回決勝:藤KooS対百足
決勝は00の民の仲間でもある百足との一戦。フロウと技術を持つ二人が競い、百足が優勝、藤KooSが準優勝となった。以前の記事は百足の安定感を評価していたが、これは当時の編集評だ。引退を口にした時期の発言と、その後の出場を同じ時点の出来事にまとめず、その後も活動を続けた経緯まで追いたい。
フリースタイルダンジョンのACE戦
二代目モンスターのACEと対戦した際には、Round1を先取し、Round3まで競った。Round2、Round3はACEが取り、結果は一回戦敗退。勝敗だけを見ると敗戦でも、得意のフロウで先に一つを取っている。2020年にはハイスクールダンジョンのラスボス役にも選ばれた。
U-22 MC BATTLE 2022で優勝
2022年11月12日のU-22 MC BATTLEでは、出場資格の最後の年に優勝した。1回戦でSHABAZ、準々決勝でMCリトル、準決勝で前年王者のYella Goat、決勝で11’Backを破っている。順にOddy lozy&Yvng Patra「B.G.P」、ICE BAHN「JACK HAMMER」、Fuji Taito「Crayon」、eyden「HOUSE PARTY」というビートで戦ったことも、試合ごとの乗り方を振り返る手がかりになる。
本人は最後の年にきっちり優勝できた喜びを表した。この優勝で得たのは、2023年1月22日に豊洲PITで開催された「KING OF KINGS 2022」の決勝大会出場権。開催年と大会名の年が異なるため、KOK 2023への出場権とは区別する。
CHAPTER 08 / SECTION 08Fuma no KTRの曲を聴く
White NINJA「White NINJA」
ADECKと組んだWhite NINJAの初期作品。枚方サイファーのチャンネルから公開された。高校2年の冬の発表とされ、和風とサイバー感のあるビートに、韻を着実に置くラップが特徴だ。銀魂の画像を背景に使った当時の投稿形式も、映像を見た人の記憶に残る要素だ。
同じユニットでは「Massproduction」も制作。その後の「Technic」や「生涯駄作」REMIXも含め、初期はアップテンポの中で社会の偽善へ反発する言葉を前へ出していた。バトルに通じるリズムと韻の感触を持つ一方、後の曲とは語りの対象が変わっている。
Fuma no KTR「Heartbreak」
「。airplaneモードにする」から公開された作品で、公式配信日は2019年6月30日。ビートはモントリオール在住のvxnylが手がけた。外へ反発を向ける初期曲に対し、自分の内面や弱さをさらけ出す曲として発表されている。バトルでの明るい印象だけでは見えにくかった語りの面を聴ける。
比較の参考曲:Lil Xan「Betrayed」
こちらはFuma no KTRの曲ではなく、Lil Xanの「Betrayed」。以前の記事は、Fumaの音源の雰囲気を説明する際にLil Xanを比較対象へ挙げていた。本人が影響源として公表したという意味ではなく、当時の編集評の比較として捉えたい。
WAZGOGG「Hybrid (feat. Fuma no KTR)」
「Hybrid」を含む「New Generation」を配信で聴く
2019年7月10日発表のWAZGOGG「New Generation」に参加した曲。作詞はFuma no KTR、作曲はWAZGOGGという役割で、Fumaの単独EPとは異なる。サイバーパンクを思わせるビートと早口の組み合わせは、この時期のFumaの個性を伝える。この関係は後の共同作品へもつながっていく。
「PULSE」から「Stray Express」
2026年6月26日のEP「PULSE」は、「Stray Express」「BARBARIAN」「Gosh」「Family」「CONPASS」「おやすみや」の6曲入り。「Stray Express」ではらっぷびと、TOPHAMHAT-KYOを迎え、Fumaがプロデュース、DYES IWASAKIとTOPHAMHAT-KYOが共同プロデュースを担う。Fumaとらっぷびとがラップ、TOPHAMHAT-KYOがボーカルという役割もクレジットで分かる。
本人パートのこの短句は、音楽を一つのジャンルの乗り物へ閉じ込めない宣言になっている。続く列車や燃料のイメージと重ねると、記憶や好きな音楽を混ぜながら先へ進む曲の構図が見える。忍者という初期のモチーフに加え、今度は仲間を乗せて走る列車で、自分たちの表現を描いている。
Fuma no KTR&百足「Family」
2026年6月12日に先行配信され、「PULSE」にも収録された百足との共作。作曲にはWood Cherryが加わり、Fumaと百足が作詞、歌唱、ラップを担う。第15回高校生RAP選手権の決勝で競った二人が、初期の思い出と、その後の道のりを一曲へ持ち寄った。2026年2月の凱旋で再び対戦した関係も、単に昔の仲間というだけではない二人の背景だ。
これは公式歌詞でFumaのパートと示された短句だ。自分だけの成功を目指す語りへ、他の人の幸せも加える。後半には二人ともう一人という人数のイメージも現れ、曲名のFamilyは一緒に歩く相手へと広がっていく。共演者のバースと混ぜず、Fumaがどの言葉を担うかまで追うと、二人が一曲で応答する面白さが伝わる。
共作を重ねてきた現在まで
「Heartbreak」の後には2019年10月10日配信の「AMERICAN BABY」が続いた。内面へ沈む前作とは対照的に、愉快な一面を出した曲として紹介されている。2020年9月15日にはGAL Dが4曲を作曲した「airplane NINJA」、2021年5月22日にはillrainと共同名義の「Assassin Creed」を発表し、単曲からEPへ作品を広げた。「American Baby Pt.2」は2023年の別曲として配信されている。
SKRYU、WAZGOGGとの「How Many Boogie」や、アニメ「ポケットモンスター」のエンディングテーマ「RVR~ライジングボルテッカーズラップ~」への作詞・作曲参加も、バトル以外へ表現を広げた仕事だ。2025年には「Fuma 忍法帖」、泰斗 a.k.a. 裂固とWAZGOGGとの「RHYME & FLOW」、2026年にはSZK「namae」への参加など、単独作品と客演を行き来している。
CHAPTER 09 / SECTION 09当時のリスナーの反応
初期のファン投稿では、Ryoが面白さ、工藤がかっこよさへ反応し、きまるは忍者隊やミリタリーアサシンという言葉を挙げた。ちょこはフロウと韻の着地を評価し、百足にも触れて00世代の技術へ驚いている。DELはキョンスとの試合の楽しさを挙げ、ラプレゲ☆JapanはHARDYとの大阪の若手対決を紹介した。
シは第15回大会の紹介映像を見て大会での活躍に期待し、っょぃはFuma no KTR名義になってからの長髪や「Heartbreak」の雰囲気へ反応した。後者の投稿にある心の状態についての表現は、当時のリスナーの受け取り方であり、本人の健康状態を示すものではない。時期も対象も異なる8人の声からは、フロウの技術だけでなく、見た目や曲の変化が聴き手へ届いていたことが分かる。
CHAPTER 10 / SECTION 10よくある質問
速く走る言葉に、乗せるものが増えていく
Djtube 編集部

