鬼小名浜の記憶と、新宿の夜を歌う
鬼(おに)は、福島県いわき市小名浜出身のラッパー。故郷を綴った「小名浜」、BESと共演する「糸」、新宿ゴールデン街で生まれたバンド・ピンゾロを通して、生活の痛みも人への愛着も歌にしてきた。荒い言葉と、歌謡曲やジャズに通じる哀愁が同じ声の中にある。
バンドで歌い、DJを経験し、漢 a.k.a. GAMIとの出会いからラップへ進んだ。その歩みと制作の考え方を知り、初期の代表曲から「放浪手記」、2026年の客演や巡業の告知までをたどる。強い経歴の言葉だけで括れない、語り手としての鬼を紹介する。
CHAPTER 01鬼のプロフィール|読み方・年齢・出身
鬼は「おに」と読む。従来のプロフィールでは、本名を宇野憲佑、生年月日を1978年3月20日と紹介されている。出身の小名浜は福島県いわき市の港町で、のちに新宿ゴールデン街を生活と音楽の拠点にした。
2011年のHMV取材では、MCネームは自分で付けた名前ではないと話し、詳しい由来の説明は控えていた。身長、血液型、学校名については確かな公表を確認できていない。名前や見た目から属性を補うのではなく、本人が話したことと作品を軸に見ていく。
本人の発信は鬼のX、作品は公式配信のアーティストページから追える。次はSWIPE recalcitrantによる関連投稿で、本人の公式アカウントの投稿とは区別する。
CHAPTER 02小名浜から上京し、ゴールデン街へ
8年間のサッカーと、五木寛之の小説
子どもの頃は体を動かすのが好きで、サッカーを約8年間続けていた。家には歌謡曲やジャズのレコードがあり、ジャンルを一つに絞らず音楽を聴いて育ったと、HMVの取材で振り返っている。歌詞カードやライナーノーツを読むことも好きだった。
中学時代に読んだ五木寛之「青年は荒野を目指す」は、音楽への興味や、知らない場所へ出ていく気持ちにつながった一冊。ロックやパンクへの関心と、文章を読む習慣は、のちのラップを考える手がかりになる。
「小名浜」の歌詞には、7歳頃の父親の記憶、母と幼い妹の暮らし、家庭で受ける暴力が描かれる。鬼が書いた自伝的な語りとして読むと、港町の風景だけでなく、安心できる場所を求める気持ちも見えてくる。母親の婚姻回数や転校回数までを、この歌詞から補うことはしない。
上京を繰り返し、街に居場所を見つける
これまでの紹介では、17歳で荷物をまとめて初めて上京し、22歳にも東京で働き、3度目の上京で新宿ゴールデン街へつながったとされる。一度の転居で音楽家になったというより、行き来する時間の中で拠点を見つけた歩みだ。
小さな店の近さや匂いに、故郷の小名浜と似たものを感じ、貧しかった自分にも優しい街だったとも語られてきた。バー「久」で働いたこと、自分で「Bar DOPE」を営んだことは、人との出会いを増やした出来事だった。ここでいう店は活動歴の中の場所で、現在の営業案内ではない。
初めからラップが受け入れられていたわけではなく、ゴールデン街劇場に出られるまで10年以上かかったという回想もある。ロックやジャズの演奏家と関わりながら、街で過ごした時間を音楽へ返していった。
ロックバンドの歌い手から、DJを経て
中学卒業後、友人のナオに誘われてバンドを組み、オリジナル曲を作るのではなくBUCK-TICKなどのコピーでヴォーカルを担当したという。17歳で地元を離れた後にもロックやパンクのバンドに関わり、自身の曲でもギターを弾いてきたと紹介される。バンド活動を控えめに振り返る言葉もあるが、鬼の歌心には、ラップ以前の演奏経験がある。
ヒップホップやR&Bを聴く入口は、MTVで見たUptownのライブだったと2011年のHMV取材で説明している。DJとして同じレコードを2枚買うようにもなった。聴くこと、演奏すること、レコードを回すことが、後のラップへ重なっている。ソロやバンドに加え、MCバトルにも出場してきた。
漢 a.k.a. GAMIを知り、会いに行った
9SARI GROUPによる本人インタビュー。漢と鬼の関係をたどる映像で、楽曲のMVではない。
ラップへ進むきっかけは、収監中に雑誌で漢 a.k.a. GAMIを知ったことだったと紹介されてきた。出所してすぐMSCのライブへ足を運び、最前列から睨むように見ていた鬼が、漢に会いに来たと声をかけた。漢は初め、危ない雰囲気の人がいると感じ、鬼の立つ姿を強く覚えていたという。
漢がいなければ自分はラッパーになっていなかった、という思いも伝えている。漢は鬼を男として認め、のちに「小名浜」を作るI-DeAとつながるきっかけにもなった。憧れた相手へ会いに行ったことが、音楽を作る関係へ続いた。
CHAPTER 03親になる責任と、書くことで向き合う自分
「湊」の頃に語った、親としての責任
2011年の「湊」は、子どもの誕生を迎える時期に作られた作品。TOWER RECORDS/bounceの本人取材で、鬼は子どもの生活を支えることや、制作費が大きくなる中で生まれた責任を話した。視点が自分の過去だけでなく、周囲の人へも向いていった。
子どもから音楽の仕事を楽しそうだと思ってもらいたい。そのために自分も楽しく作り続けたいと語っている。ピンゾロを経験した後の「湊」には生の鍵盤も入り、楽器、トラック、ラップの温度を合わせることへ取り組んだ。
配偶者を一番のB-BOYかもしれないと表した、音楽への理解を示す言葉も紹介されてきた。娘が2人いるとの従来の紹介に加え、2023年9月の本人投稿にも次女への言及がある。過去の発言を、現在の家族構成や婚姻状況の確認へ広げない。
自分が聴きたい音楽と、10年後にも残る言葉
暴力や性、薬物を題材にしても、鬼のラップは強さを誇るだけで終わらない。人への批判が自分にも返り、自嘲や弱さも同じ場面に置かれる。読書で培った言葉への関心が、街の会話や生活の細部と結びついている。
聴きたいものを作ってるので。
鬼HMV、取材:二木崇(2011年5月23日)HMVのインタビューでは、周囲から求められる音楽像より、自分が聴きたいものを作る姿勢を話している。書くことで自然と自分に向き合えることも、ラップの好きなところに挙げた。10年後の自分にも納得できるラップをしたいという従来の言葉とあわせると、その時だけの刺激に頼らない制作観が見える。
CHAPTER 04鬼のMBTIはINFPを候補にした編集部推定
本人が公表したMBTIは確認できていない。公開された制作の話をもとに、ここではINFP(推定)を候補にする。Djtube編集部の解釈であり、本人の診断結果や私生活の性格を確定するものではない。
Iと読む手がかりは、自分が聴きたいものを作り、書く作業で自分に向き合うというHMV取材の発言。Nは、「小名浜」で港と街の記憶を一つの物語へつなぐ表現や、聴き手に場面を説明しすぎないという制作姿勢から考えた。ただし、内省は社交性の低さを意味せず、物語を作る能力だけでNとも決められない。
Fは、周囲の流行より自分がよいと思う音や、人との関係を作品の中心へ置く選択に注目した。Pは、HMV取材でトラックを細かく注文するのでなく、上がってきた約20曲から好みを選んだと説明した柔軟さから。ただし、作品の価値観は判断全体の傾向を証明せず、選曲方法だけでは日々の計画性も分からない。
街の匂いや、楽器と声の温度を大切にする面を重く見れば、ISFPという別の読みもある。四つの軸の根拠は限定的で、犯罪、健康や家族の出来事をタイプの原因説明には使わない。
CHAPTER 05鬼一家、ピンゾロ、街からつながった仲間
鬼一家|2008年の「赤落」と、その後の参加者
従来のプロフィールでは、鬼一家は福島県で鬼を中心に結成したクルーと紹介されている。初期をたどるアルバムが、2008年発表の「赤落」。鬼、D-EARTH、K.E.I、BLOMらによるクルーの作品で、鬼のソロ曲「小名浜」や「見えない子供見てない大人」も収録する。後に関わった輪入道を、2008年当初の編成と一緒に数えない。
ライブと録音だけでなく、建築、解体、祭りの仕事も含めて生活をともにした関係として紹介されている。「一家」の近さは音楽以外の時間にもあった。働いて生活を支えた話を、それだけで違法行為の説明へ変えることはできない。
2011年には追加曲入りの「赤落+3」も発売された。2008年の作品と、その後の再発盤は区別して聴きたい。「赤落」しか出していない、現在は全員が活動休止中といった網羅的な断定はせず、作品と参加歴からたどる。
ピンゾロ|MC、ドラム、ベースの3人が前に立つ
blackfilesstvのLIVE FILE。2020年7月14日のイベント「詩情の人」でのライブ記録で、同名のアルバムMVという意味ではない。
ピンゾロは、MCの鬼、ドラムのDr.Kakinuma、ベースの佐々木“TOM”孝浩によるスリーピースバンド。「新宿発チンピラJAZZラップ」を掲げ、2010年にアルバム「P.P.P」を発表した。Dr.Kakinumaは犬式、TOMはThe FUNKY PERMANENTSでの活動を背景に持つ。
バー「久」で働きながら人脈を広げていた鬼へ、「音吉」のTOMが一緒に演奏する声をかけたことが結成のきっかけとして語られている。鬼の後ろならベースを弾いてもよい、という誘いが、畑の違う3人をつないだ。
鬼はHMVの取材で、ラッパーとバックバンドという分担ではなく、3人それぞれがフロントマンだと説明した。ジャズなど別の音楽の聴き手からも反応を得た経験が、次のソロ作品で生のピアノを使う試みへつながった。2020年のライブ映像からも、初期盤の発売だけで活動を区切れないことが分かる。
輪入道、RYKEY DADDY DIRTY、演奏家との交流
MZEE団体の街を訪ねる企画。RYKEYとの交流を知る映像として掲載し、共演曲「都の奇跡」のMVとは区別する。
交流相手として、輪入道、RYKEY DADDY DIRTY、小林勝行、仏師、BES、HIKIGANE SOUNDの面々らが紹介されてきた。故郷や東京の現場で知り合ったラッパーに加え、ゴールデン街でつながったロックやジャズの演奏家も、音楽を広げた仲間だ。
輪入道は2010年から2012年に鬼一家で活動したと紹介される。仕事も生活も一緒にした時期を経て、別の活動へ進んだ後にも共演が続いた。2023年2月22日の郡山公演の告知には、鬼 feat.輪入道と記されている。
RYKEYとの接点は、八王子の仲間の間で「小名浜」が聴かれていたことだったという。RYKEYたちがゴールデン街へ鬼を探しに行き、区役所通りのうどん屋で声をかけた。鬼も若さ以上の何かを感じ、同じラッパーとして通じるものがあったと振り返っている。
RYKEY名義の「都の奇跡 feat. 鬼」でも二人は共演している。MZEE団体へのゲスト出演とは別に、音源にも関係が残る。RYKEYの作品へ鬼が客演した曲として紹介する。
CHAPTER 06代表曲|物語を語るラップから、大人の歌へ
「見えない子供見てない大人」
ソロデビュー曲として紹介される「見えない子供見てない大人」は、250枚限定の12インチ盤が完売した作品として本人取材の紹介にも登場する。「赤落」にも収録。掲載するのは、おおくわがたによる第三者の紹介動画だ。
激しい語気の後で、他人の命を奪う権利そのものを否定する。社会へ向けた怒りと、暴力を肯定しきれない視線が同居している。強いフロウを攻撃性だけで受け取らず、言葉がどこへ着地するかまで追いたい。
「小名浜」|汽笛の記憶を背に、都で歌う
2008年の「赤落」に収録された代表曲「小名浜」。HARVESTが公開する映像を掲載する。故郷と自分の歩みを綴る語りを、I-DeAの哀愁を帯びたトラックが支える。
港に向かうことと、都で歌うことが同じ汽笛につながる。故郷から離れても、記憶を捨てずに別の街で声を上げる。家庭の揺れや孤独な拘束生活の場面を通った後、この呼びかけへ戻ることで、生い立ちの記録が今を歌う理由へ変わる。
2013年のリスナー投稿と2014年の感想にも、曲の言葉への強い反応が残る。本人の経歴を証明する発言とは分けて、作品がどう受け止められてきたかを知る参照先として紹介する。
「糸 feat. BES」|子どもの目線と、つながる語り
「糸 feat. BES」は2009年の初ソロアルバム「獄窓」に収録。SCARSやSWANKY SWIPEでも活動するBESを迎え、家族の変化を子どもの目線も交えて描く。ONI – Topicの公式配信音源で、撮影されたMVではない。
泣くことを許す短い言葉が、強くあるよう求める言葉とは違う余白を作る。二人が声を受け渡すマイクリレーは、細くてもつながる糸のようだ。登場人物の気持ちを読み進める、短編小説に近い手触りがある。個別の歌唱者はここでは割り当てない。
ピンゾロ「P.P.P」|生バンドが描く夜の寂しさ
2010年のピンゾロのアルバム「P.P.P」の表題曲。Benny Goodman「Sing, Sing, Sing」をサンプリングした演奏と鬼の歌が重なる曲として紹介されてきた。掲載するrenge1973の動画は第三者投稿だ。
ネオンの華やかさより、その夜を過ごす人の寂しさが残る。誰かのそばにいたい気持ちを、枕ににじむ涙という小さな景色へ託している。バンドの演奏に乗る声の色気と、言葉の弱さを一緒に味わえる曲だ。
「終わったばかり feat. 酒匂ミユキ」
「DOPE FILE」収録の酒匂ミユキとの共演曲。DOPE TOKYOの公式MVを掲載する。懐かしさのあるトラック、鬼の大人びたラップ、酒匂ミユキのスモーキーな歌声が重なる作品として紹介されてきた。
別れは一回ごとに閉じる話ではなく、後の癖にも残っていく。分かっていても同じことを繰り返す弱さが、恋愛をきれいな思い出だけにしない。初期の鋭いラップから、官能や未練も含む歌謡曲的な語りへ進む面が見える。短句は共演曲全体の言葉として扱う。
「DEAR BROTHER」|友へ向けた言葉が、自分に返る
鬼が作詞し、I-DeAが制作した「DEAR BROTHER」。DOPE TOKYOが公開するMVは2022年6月18日公開。過去の友との時間と、今も音楽を続けることを重ねるソロ曲だ。
表現を舞台の上の特別な出来事に限らず、生きる時間全体へ広げた言葉だ。友への呼びかけは、自分が音を鳴らす理由の確認にもなる。題名を実在の兄弟関係の証明にはせず、歌の中の呼びかけとして読みたい。
「背中が痛い」|横丁にある、一人の時間
「背中が痛い」は2021年12月24日配信。鬼が作詞、YU-DAIが作曲を担当した本人の曲で、ロックの影響源を紹介する映像ではない。DOPE TOKYOが公開する楽曲映像を掲載する。
酒場は誰かと騒ぐ場所だけでなく、一人で行きたい場所にもなる。のれんや酒器、慣れたやり取りが、夜の街を生活の景色へ変えていく。題名から病状を読み取らず、店を行き来する歌の中の人物へ目を向けたい。
CHAPTER 07近年の作品と、2026年の活動
2026年10月23日に確認したソロ配信の最新欄は「あの女」だが、それだけで活動を区切ることはできない。FURAIの作品への客演、DJ6月のベスト盤への収録、公式MVの公開や巡業の告知にも動きがある。ソロ、客演、編集盤を分けて追うと、現在の活動が見えやすい。
- EP放浪手記 / 鬼
- REMIX ALBUM新宿遊戯 残虐編 / 鬼 & THE BUFFALOZ
- MIX CD鬼ころし -ほぼベスト- Mixed by YU-DAI / 鬼
- SINGLE海がきこえる (feat. SOUL SCREAM) / 鬼
- SINGLEあの女 / 鬼
- GUESTyours (feat. 鬼) / FURAI
- ALBUM GUESTLAST WILL収録「YOURS (feat. 鬼)」 / FURAI
「放浪手記」|共演者と残す、土地と人の記録
「放浪手記」は2024年6月6日に配信され、7月24日にCDが発売された7曲入り作品。JAG-ME、MADJAG、0829、めしべ、梵頭、GADOROが参加する。配信日とCD発売日は異なり、土地や仲間とのつながりを曲の並びからもたどれる。
入口に選びたいのは、終曲の「白書」とソロ曲「案外普通」。「放浪手記」の公式配信で、共演と一人の語りを続けて聴ける。
「白書 feat. GADORO」|安らぎと諦めの境目
「放浪手記」の最後に置かれたGADOROとの共演曲。作曲はrough。掲載するのは2024年6月6日配信に伴うONI – Topicの公式音源で、撮影MVとは異なる。
静かに落ち着いたように見えても、それは諦めてしまっただけかもしれない。歌詞は食卓の記憶や小さな花を置きながら、その違いを問う。大きな成功を約束するのではなく、日常に残る生きる理由を拾い直す言葉として読める。短句は二人の曲全体へ帰属させる。
「案外普通」|根無し草にも、行く道はある
「案外普通」は「放浪手記」に収録された鬼のソロ曲で、制作はYU-DAI。一人前戯が公式MVとして公開した映像を掲載する。公開日は2023年12月25日で、2024年のアルバム配信より前にあたる。
根を張らない生き方でも、向かう道までは不要にならない。日常の買い物や学校を思わせる言葉と、危うい生活の語彙を近くに置くことで、普通と呼ばれる暮らしの線引きも揺れる。軽やかに見える足取りの下に、行く先を求める気持ちが残る。
リミックス盤と「鬼ころし」のミックスCD
「新宿遊戯 残虐編」は、2024年6月6日配信の鬼 & THE BUFFALOZ名義の作品。全12曲がRemixとして並び、THE BUFFALOZが作曲とリミックスを担当した。「新宿遊戯」の曲を、別の制作陣と組み直した版として聴ける。
漢 a.k.a. GAMI、BES、TWIGY、輪入道、仏師、スナフキンらとの曲も含まれる。NAGMATIC制作の原曲映像とリミックス盤の音源を一緒にせず、共同名義の公式配信からたどりたい。
2025年3月26日発売の「鬼ころし -ほぼベスト- Mixed by YU-DAI」は、YU-DAIが36曲をつないだミックスCD。「獄窓」から「放浪手記」までを横断する一枚で、新曲36曲を集めたアルバムではない。
「海がきこえる feat. SOUL SCREAM」
2025年8月1日配信の「海がきこえる」は、HAB I SCREAM、E.G.G.MANを迎えた曲。DOPE TOKYOの公式MVは2026年8月22日公開で、音源と映像は年が異なる。
過去との距離を、バックミラーや信号のある道のりへ重ねていく。都市から海へ移動する風景が、振り返ることと先へ進むことを同じ場面に置く。「小名浜」の港の記憶とは別の角度から、海と人の関係を読む曲だ。短句の個別歌唱者はここでは決めない。
制作の表記は、配信ページではYU–DAI、MV概要欄ではI-DeA & YU-DAIとなっている。資料ごとの役割表記を、そのまま区別して紹介する。
「あの女」とFURAIへの客演
ソロ曲「あの女」は2025年9月15日配信。鬼が作詞とボーカル、Junkyardが作曲とその他の楽器、YU-DAIが録音、ミックス、マスタリングを担当している。公式配信から聴ける。
FURAIの「yours (feat. 鬼)」には客演で参加。2026年8月30日にシングルが配信され、同年9月30日のFURAI「LAST WILL」にも9曲目の「YOURS (feat. 鬼)」として収録された。作曲とプロデュースはRichDaddy。シングルとアルバム収録を別々の新曲として数えない。
「yours」のシングルと「LAST WILL」では題名の大文字・小文字や作詞欄に差があるが、別録音と確認されたわけではない。鬼のソロ作品とは別に、他の作り手へ声を届ける活動として追える。
DJ6月のベスト盤にも、客演の記録
2026年7月8日配信の「DJ6月BEST」には、20曲目に「好きな女 (feat. 鬼)」を収録。鬼の作詞・ラップ、DJ6月の作曲・制作がクレジットされている。収録作品の配信ページで客演の記録をたどれる。ベスト盤への収録日を、その曲が初めて発表された日と取り違えないようにしたい。
新宿ポルノと、2026年の巡業予定
2026年10月20日に保存された本人プロフィールでは、「新宿ポルノ」とともに鬼、永田雅代、THE BUFFALOZの名前が掲げられている。活動名と公演の告知であり、その言葉だけで新しいアルバムの発売を示すものではない。
本人の10月3日の巡業告知には、10月24日の渋谷Rラウンジ、10月30日の神戸バップル、11月1日の岡山クラウンなどが並ぶ。10月23日時点ではこれからの予定だ。10月16日の長野については別途不参加の告知があり、告知された日程を一律に出演実績とはしない。来場前には本人と会場の最新案内を確認したい。
CHAPTER 08服役経験と「獄窓」から、後の作品へ
鬼は2011年4月20日のOTOTOY本人取材で、服役した経験や薬物に手を出した過去を自ら話している。同年のHMV取材では、2009年の初ソロアルバム「獄窓」に、収監中に書いた歌詞も多く入っていると説明した。
OTOTOYでは2009年末を生活を変える転機に挙げ、後の「湊」では、自分だけを主張するのでなく周囲の人へ問いかける視点を語った。過去の経験をどう表現し、そこから語り方がどう変わったかが、作品をたどるうえで大切になる。
これらは本人が当時説明した経験であり、逮捕の回数、初回年齢、罪名を網羅する記録ではない。歌詞や小説の出来事を、人物や事件を同定した法的事実へそのまま置き換えない。
CHAPTER 09鬼についてよくある質問
CHAPTER 10街と人の記憶を、言葉と歌へ変えていく
小名浜の記憶、東京へ出てきた時間、街の仲間との生活。鬼はそれらを、鋭いラップだけでなく、生バンドや歌謡曲の手触りも使って語ってきた。曲を並べると、同じ人の視点が少しずつ外へ広がっていく。
初期のソロとクルー作品、ピンゾロ、近年の共演。それぞれを聴き進めながら、誰に呼びかけ、何を残そうとしているのかへ耳を向けたい。
街で生きた時間が、歌の余韻になる
Djtube 編集部

