「どういうラッパーのことをリリシスト(Lyricist)って言うんだろう」
「実はよくわからないので、意味を知りたい」
ヒップホップを聞く上で、リリシスト(Lyricist)は避けては通れないスラングです。
しかし、詳しく意味を知っている、しっかり説明できる人は意外と少ないと思います。
意味はヒップホップにおいて、優れたリリックを書くラッパーです。
この記事では、意味や使い方などを詳しく例文を交えつつ解説していきます。
目次
リリシスト(Lyricist)の意味
まず、意味は下記の通りです。
- リリックが優れたラッパー
一言で言うと「リリックが優れたラッパー」という意味です。
ヒップホップの楽曲においてはDJ、ビートメイカーなどのプレイヤーがいますが、ラッパー(MC)に対してのみ使うスラングです。
これだけでは少し抽象的ですが、ラッパーを評価する上でフロウ、リリック、ライム(韻)など、様々な基準があります。
その中でリリックに特化した、突出してリリックが優れているラッパーを称える時に使います。
リリシスト(Lyricist)の語源
元々の意味は、以下の通りです。
- 作詞家
- 叙情詩人
- 流行の作詞家
叙情詩とは「自らの考えや感情などの、思想的な内面の部分を表現した詩」という意味です。
また、元々ヒップホップだけでなく、歌劇なども含めた音楽全般で使う言葉です。
どの時代からヒップホップ界隈で使われるようになったかは不明ですが、ヒップホップの「自らの強い意志、考えを表現する歌詞」という特徴から、歌詞が優れたラッパーを褒め称えるスラングとして使われるようになりました。
リリシスト(Lyricist)の定義とは?
音楽は聴くリスナーの主観によって捉え方、評価が変わります。
そのため、意味だけを説明すると、抽象的な印象になってしまいます。
具体的なリリシスト(Lyricist)の定義を、以下にまとめました。
- 多くのリスナーにリリックが優れていると認められている
- 内省的、メッセージ性の強いリリック
以上、2点の定義について、詳しく解説していきます。
多くのリスナーにリリックが優れていると認められている
まず大前提として、多くのリスナーからリリックが優れていると認められていることが重要です。
一部の人にのみ認められている、ラッパー自身がリリックに強いこだわりがあるだけでは、本当の意味でのリリシスト(Lyricist)とは言いません。
業界内外問わず、本人以外の人から認められ、評価されていることが大前提です。
内省的、メッセージ性の強いリリック
元々の語源である叙情詩の意味が「自らの考えや感情などの、思想的な内面の部分を表現した詩」です。
これを踏まえた上で、ラッパーが自らの考えや感情をしっかりとリリックに反映させ、メッセージ性がある必要があります。
言葉遊びや比喩表現、ユーモアなど、耳障りが良い「聴こえ」に特化したリリックを書くことが上手いラッパーもいます。
しかし、より「自分をさらけ出し、リスナーに感動を与える、心を打つリリックかどうか」というのがリリシスト(Lyricist)である定義です。
リリシスト(Lyricist)の使い方や例文
ではここで、使い方や例文を紹介します。
リリシスト(Lyricist)の使い方
リリシスト(Lyricist)は、ラッパーに対して使うかラッパーが自らに使うスラングです。
ここで、使い方について説明します。
- 俺はリリシスト(Lyricist)だ。
- あのラッパーはリリシスト(Lyricist)だ。
日本語に置き換えると、下記のようになります。
- 俺はリリックに優れたラッパーだ。
- あのラッパーはリリックに優れたラッパーだ。
作詞家という意味もありますが、ヒップホップのスラング的な意味合いを含めると「歌詞を書くだけの作詞家」「歌詞を自分で書かないラッパー」には使いません。
広い意味で使うわけではなく限定的で、歌詞が優れたラッパーに対してのみ使います。
リリシスト(Lyricist)の日常会話の例文
使い方について説明しましたが、ここで実際に会話の中でどのように使えばいいのか、いくつか例文を紹介していきます。
- 90年代のアメリカのラッパーにはリリシスト(Lyricist)がたくさんいる。
- やはりあのラッパーはリリシスト(Lyricist)だ。
- リリシスト(Lyricist)だけど、フロウもかっこいい。
- 自他共に認められるリリシスト(Lyricist)だ。
- リリシスト(Lyricist)すぎて、リリックを聴いて泣いてしまった。
ラッパーに対して使うスラングなので、なかなか日常会話で使う機会は限定的だと思います。
しかし、ヒップホップが好きな人同士、楽曲やMCバトルのリリックでは頻繁に使われます。
そのため、ヒップホップが好き、興味があるという人は抑えておくべき、重要度の高いスラングです。
リリシスト(Lyricist)の例文
DEV LARGE
やはり日本のラッパーも、自らのスタイルを誇示する形で使っています。
しかし、DEV LARGEは「リリシスト気取るフェイクアス」と、ディスする使い方をしています。
これはMCバトルでも使える使い方です。
リリシスト(Lyricist)の言い換え表現や対義語
更に深く意味を理解するため、言い換え表現や対義語について紹介します。
リリシスト(Lyricist)の類義語
リリシスト(Lyricist)の類義語は、リリカル(lyrical)です。
意味は「叙情的」ですが、ヒップホップなスラングでは「詩的」という意味です。
リリシスト(Lyricist)はラッパー(人)に対して使いますが、リリカル(lyrical)は感情表現に優れた感動的、心を動かされるようなリリック(言葉)に対して使います。
- あのラッパーはリリカル(lyrical)なリリックを書く。
- リリカル(lyrical)なパンチラインに、心を打たれた。
リリシスト(Lyricist)の対義語
リリシスト(Lyricist)の対義語は、マンブル(Mumble)です。
マンブル(Mumble)は、マンブル・ラップ(Mumble Rap)という一つのヒップホップにおけるジャンル、スタイルとしても有名で「リリックを度外視して、音楽的に響きのいいフロウに特化したスタイル」です。
厳密に対義語という言葉が適切かという論争は抜きにして、リリックの意味やメッセージ性を一切度外視したスタイルということで、全く逆の意味を持っています。
リリシスト(Lyricist)の英語表現と例文
ここで、英語表現について例文も紹介しつつ解説します。
リリシスト(Lyricist)の英語表現
日本語のスラングのリリシストを、英語表現にすると下記の通りです。
- Lyricist
リリック(Lyric)に「〜する人」という意味の「イスト(Ist)」を付けて、直訳すると「歌詞を書く人」です。
そこから「叙情的な書く人」から「優れたリリックを書くラッパー」という意味で、ヒップホップ界隈で使われるようになりました。
ネイティブな発音も、そのまま「リリシスト」です。
リリシスト(Lyricist)の例文
英語ではどのように使うのでしょうか。
ここでアメリカのヒップホップの楽曲を例に、どのように使うのか見てみましょう。
Big L
EMINEM
Machine Gun Kelly
THE GAME
Kendrick Lamar
90年代や2000年代のアメリカはリリックに比重をおいたラッパーが多かったこともあり、その世代のラッパーが多く使っています。
もちろん現在のヒップホップシーンでもポピュラーで、使っているラッパーもいます。
しかし、現在マンブル・ラップやトラップなどリリックにあまりこだわらないスタイルがメインストリームのアメリカでは、徐々に使用するラッパーが減ってきています。
リリシスト(Lyricist)のwikiまとめ
この記事では下記のテーマで、リリシスト(Lyricist)について詳しく紹介していきました。
- リリシスト(Lyricist)の意味
- リリシスト(Lyricist)の使い方や例文
- リリシスト(Lyricist)の言い換え表現・対義語
- リリシスト(Lyricist)の英語表現と例文
アメリカではリリックにはこだわらず、より音の気持ちよさに特化したトラップなどが主流です。
しかし、ヒップホップにおいて最も重要で、魅力の一つでもあるリリックに特化したラップは聴き応えがあります。
ヒップホップ玄人になるために必須のスラングであるリリシスト(Lyricist)の意味、使い方をマスターして、もっともっとヒップホップを好きになってください。