CHEHONプロフィール
CHEHON(チェホン)は、大阪・鶴橋出身のレゲエDEEJAY。「みどり」の歌心、「韻波句徒」の押韻、「CHALLENGER」の挑戦する姿勢という異なる顔を持ち、THE FIRST TAKEやMCバトルを通じてレゲエの外にも知られるようになった。本名・年齢などのプロフィールから、ジャマイカ滞在、結婚にまつわるエピソード、代表曲、2026年のリリースとライブまで、その歩みをたどる。
CHAPTER 01CHEHONのプロフィール|本名・年齢・出身地
CHEHONの読み方は「チェホン」。本名は李宰洪で、大阪市生野区の鶴橋を地元とする。生年月日は1984年8月4日と紹介されており、現在は42歳。レコードを選んでかけるDJではなく、レゲエのリズムに言葉を乗せる「DEEJAY」として活動している。
血液型などには紹介記事にある値も含むため、本人公表を確認できた情報とは区別した。現在の所属や家族の状況を、過去のレーベル表記やイベントだけから決めつけることはできない。音楽活動の入口にはSony MusicのアーティストページとTuneCore Japanの作品ページがある。
本名・国籍と鶴橋の実家
2023年の逮捕報道では、本名の李宰洪と韓国籍であることが伝えられた。朝日新聞の2024年5月15日付の判決報道では、通名の米田洪二も記されている。両親も韓国人と紹介されてきた。日本で生まれ育ったことと国籍は別の情報であり、現在の帰化の有無まで報道当時の記載だけで判断するものではない。
地元とのつながりを伝えるエピソードが、鶴橋商店街のキムチ店「丸金商店」だ。実家の店を母や姉が支え、CHEHONも18、19歳の頃に店を手伝いながらライブに出ていたと紹介されてきた。下の映像は、RED SPIDERのチャンネルで公開された「CHEHONと行く 鶴橋の美味しいお店!」。楽曲のMVではなく、鶴橋を案内する企画である。
DEEJAY・ラバダブ・ダブの違い
レゲエで、リズムに乗せて言葉を歌う演者。音源を選んでかけるセレクターとは役割が異なる。
リディムと呼ぶ伴奏に乗り、持ち歌や即興を交えて歌い継ぐ実演の形式。CHEHONのバトルでのスタイルを考えるうえでも重要になる。
この記事でいうダブは、サウンドの名前などを入れて録音する専用のダブプレートを指す。音響処理を主体とする音楽の「ダブ」とは文脈が異なる。
選曲などを通じてレゲエの現場をつくるサウンドの担い手。キャリア初期のCHEHONは、デモを渡して歌う機会を増やしていった。
CHAPTER 02CHEHONの生い立ち|パンク少年からレゲエDEEJAYへ
最初からレゲエ一筋だったわけではない。2007年のbounceインタビューでCHEHONは、中学時代にパンクやミクスチャーを聴き、バンドを組んでいた経緯を話している。高校時代にはクラブに通い、ヒップホップのパーティーにも足を運ぶうち、レゲエへと関心が移っていった。
転機として語られてきたのは、18歳の頃にクラブのDJブースで聴いた7インチレコード。客として音を浴びる側から、自分がマイクを持つ側へ移った。実家を手伝いながらデモCDをサウンドマンに渡し、週末のクラブでライブを重ねた時期が、「みどり」以前の下積みにあたる。
ジャマイカ滞在と「SAYONARA JAPAN」
2010年6月30日に「Road to island」を発表し、その後はジャマイカへ。Sony Musicのプロフィールでは、1年以上の滞在を経て2012年初頭に帰国したと説明されている。約1年半の武者修行として知られる期間だ。渡航前のbounceインタビューでは、現地で腕試しをし、ジャマイカのステージに立ちたいという意欲を語っていた。
「SAYONARA JAPAN」は、「Road to island」の最後に置かれた旅立ちの曲。下の映像はCHEHON OFFICIALによるMVのショート版で、ジャマイカ生活を語るインタビューではない。
この一節で軸になるのは、成功したと言い切ることではなく、自分の力をこれから確かめるという姿勢だ。「日本を離れる」という出来事が、挑戦を実行に移す決断として聞こえてくる。
滞在中に家づくりや自給自足に近い暮らしを経験し、レギュラーダンスへの出演と制作を続けたというエピソードも紹介されている。その経験を作品の流れでたどるなら、渡航前の「Road to island」と、帰国後の「Seaview Garden」という流れである。
CHAPTER 03CHEHONの結婚・ファッション・タトゥー
ステージ上のプロポーズと「Will You Marry Me」
既婚と紹介されてきたCHEHONには、2017年8月17日の「BIRTHDAY BASH2017」での公開プロポーズのエピソードがある。大阪CLUB JOULEで開催されたイベントのステージに相手を迎え、結婚を申し込んだ出来事として紹介されている。下はIRIE KING TVが公開した、そのプロポーズを扱う映像だ。
結婚の申し込みが受け入れられた後に歌ったと伝えられるのが「Will You Marry Me」。曲名をそのまま現実の場面へつなげた、CHEHONらしい音楽との重ね方である。婚姻届の提出日や現在の婚姻状況、子供の有無までを、この映像だけから確認することはできない。配偶者の氏名や仕事など、私生活の特定には踏み込まない。
Will You Marry Me|プロポーズにつながった曲
「Will You Marry Me」は2015年のアルバム「RE:START」に収録。2017年のプロポーズ当日に初めて発表された曲ではない。下はSony Music Labels提供の公式音源で、ライブ映像とは別に曲を聴ける。
曲名にもなっているのは、相手の意思を尋ねる短い問いかけだ。その問いが後年のステージで現実の相手へ向けられたと知ると、作品と人生が重なる場面として聞こえてくる。発表時点とプロポーズの時点を分けることも大切だ。
バンダナとストリートウェア
バンダナと、ゆとりのあるTシャツやパーカーは、CHEHONの見た目を語る際によく挙がる組み合わせ。ANDSUNSとのバンダナのコラボレーションも紹介されてきた。着用例として挙げられるブランドを、現在のスポンサー契約と混同しないように整理すると次のようになる。
| ブランド | 紹介されてきた着用・関わり |
|---|---|
| COCOLO BLAND | Tシャツやパーカーなどの着用例 |
| NASTY DOG | ストリートウェアの着用例 |
| SUSTOS | ストリートウェアの着用例 |
| ANDSUNS | バンダナのコラボレーション |
| Carhartt | ワークウェアの着用例 |
| adidas | スポーツウェアの着用例 |
| Dickies | ワークウェアの着用例 |
ブランドを一括して「大阪発」とするより、ストリートウェアとワークウェアを組み合わせた装いとして見るほうが実像に近い。地元とのつながりは重要だが、服の出身地と本人の出身地は別である。
右腕の「鼠」と「Re:Start」
右腕の「鼠」のタトゥーは、TERRY THE AKI-06と親しい仲間たちのつながりを示すものとして紹介されている。TERRY THE AKI-06への敬意は、CHEHONの音楽的なルーツを考えるうえでも外せない。
2015年のアルバム「RE:START」の同名曲では、自分の歩みを振り返る中でタトゥーにも触れている。再出発を歌う曲と、右腕に残した文字の話が重なる。
下はSony Music Labelsが提供するCHEHON「ReStart」の公式音源。作品上の表記は「Re:Start」とも記され、同名の別アーティストの曲とは異なる。
強さの証しと言い切るのではなく、「弱いから」と自分の側の理由を置くところに、この一節の特徴がある。文字を身体に残す行為を、自分を支えるためのものとして読むことができる。ただし曲中の言葉だけで、個々のタトゥーの由来をすべて説明できるわけではない。
CHAPTER 04CHEHONのMBTI|ESFPは編集部による推定
CHEHON本人が公表したMBTIのタイプは確認できていない。本記事では、公開されている活動やエピソードを総合してESFPを候補とする。本人の診断結果ではなく、編集部による人物像の読み方であり、A/Tの区分までは付けない。
| 判断材料 | 読み取れる傾向 | 限界 |
|---|---|---|
| クラブでレゲエに触れてマイクを持つ側へ移った | 実体験をきっかけに行動へ移す | 音楽の選択だけで性格は決まらない |
| ジャマイカに渡って現地で活動した | 現場で確かめることを重視する | 長期的な目標に基づく行動とも読める |
| ステージ上で公開プロポーズした | 人前の場を表現に結びつける | 私生活全体での外向性は分からない |
| バトルで自分の形式を主張する | その場の応答と自己表現を大切にする | 舞台上の役割と普段の性格は異なり得る |
現場で得た感覚と、その場の人への働きかけを重視する点からESFPを第一候補にした。一方、将来の自分を思い描いて渡航した点はENFPとも読める。2007年のインタビューには、活動初期は観客を見る余裕がなかったという話もある。ステージに立つこと自体を、外向型の証拠にすることはできない。国籍、出自や事件をタイプ推定の根拠にはしていない。
CHAPTER 05CHEHONとNATURAL WEAPONら、レゲエの現場でつながる仲間
NATURAL WEAPONとは、18歳の頃に堺市のクラブTEN-Gのラバダブで出会ったと紹介されている。ジャマイカでの活動も共にし、YouTubeでは「RAGGA RAGGA BROTHERS」として発信してきた。下の「Just Start」は、そのチャンネルの始動を伝える映像であり、単独の共演楽曲のMVではない。
| 名前 | 活動上のつながり |
|---|---|
| NATURAL WEAPON | DEEJAY。長年の交流、ジャマイカでの活動、RAGGA RAGGA BROTHERS |
| TAK-Z | レゲエシンガー。レゲエの現場で共演 |
| JUMBO MAATCH | DEEJAY。ライブやバトルでも接点を持つ |
| RED SPIDER | サウンド。対談や鶴橋を案内する映像でも共演 |
全員を「仲のいいラッパー」と一括りにすると、シンガー、DEEJAY、サウンドという役割の違いが見えなくなる。CHEHONの交友関係は、そうした異なる役割の人たちが同じ現場をつくる関係として捉えたい。
CHAPTER 06CHEHONの作品年表|メジャーデビューから2026年まで
2006年のミニアルバム「みどり」に続き、2008年には「LIKKLE MORE ~めぐりeye~」でメジャーデビュー。Sony Musicのプロフィールが示す作品の流れと、その後の主なリリースを並べると、ジャマイカでの経験がどこに位置するかも分かりやすい。
| 年 | 主な作品 | キャリア上の位置づけ |
|---|---|---|
| 2006 | みどり | CD作品で名前を広げたミニアルバム |
| 2007 | 「チェホンのファーストアルバム」という名のアルバム。 | 最初のフルアルバム |
| 2008 | LIKKLE MORE ~めぐりeye~ | メジャーデビューシングル |
| 2009 | RHYME LIFE | メジャーでのアルバム |
| 2010 | Road to island | ジャマイカ渡航前の作品 |
| 2012 | Seaview Garden | ジャマイカ滞在を経た作品 |
| 2013 | A PASSING POINT | 帰国後のアルバム |
| 2015 | RE:START | 「Will You Marry Me」などを収録 |
| 2016 | BEST | ベスト盤 |
| 2021 | THE CULMINATION | 久々のフルアルバム |
2010年から2012年を単なる活動の空白と見るのは適切ではない。日本を離れていた間にも現地で活動し、その経験が次の作品につながっている。
「韻波句徒」THE FIRST TAKE版
2022年5月、CHEHONはTHE FIRST TAKEの第216回で「韻波句徒」を披露した。下の映像はTHE FIRST TAKE公式チャンネルの一発撮りパフォーマンス。元のMVとは別のアレンジと実演で、言葉の置き方や息の使い方に注目できる。
同年7月13日には「韻波句徒 -From THE FIRST TAKE」として音源も配信された。クラブで親しまれてきた曲を、背景を知らない視聴者が一曲のパフォーマンスとして受け取れるようになった点が、この出演の大きな意味だ。2022年7月の配信告知時には1,000万再生突破と報じられた。ただし、これは当時の到達記録であり、現在の再生数ではない。
2026年のリリース|ソロ曲・ライブ音源・客演
2026年は新曲だけでなく、ライブ音源や客演でも名前を確認できる。以下は2026年10月18日に公式の作品案内・配信登録で確認した範囲であり、全作品を網羅した一覧ではない。
| 配信・発売日 | 作品 | 名義・内容 |
|---|---|---|
| 2026.03.21 | Yellow Badman in Jamaica (Acoustic) | CHEHON & Gacha Medz。アコースティック版 |
| 2026.04.13 | Midori (Tuff Gong Special Session) | CHEHON & Gacha Medz。既存曲の別セッション版 |
| 2026.04.20 | BROTHERHOOD | LIFE STYLE、CHEHON、808、JAGGLAの共同作品 |
| 2026.04.28 | RISING SOUL (feat. JAKEN) | CHEHON。GeGが制作に参加 |
| 2026.04.29 | naimononedari | CHEHON。Dr. BEATZが制作に参加 |
| 2026.05.13 | Make Your Fire feat. CHEHON | BAGDAD CAFE THE trench town「Phoenix」収録の客演曲 |
| 2026.06.06 | 三途の川を渡らなかった奴の歌 | CHEHON。Dr. BEATZが制作に参加 |
| 2026.06.10 | HAPPY FLOWER LIVE (BAGDAD RIDDIM SECTION Session) | CHEHON & HAPPY FLOWER MUSIC。全5曲のライブ作品 |
| 2026.09.30 | ニッポン改革 (Remix) | SPICY CHOCOLATEの作品にCHEHONが参加 |
「HAPPY FLOWER LIVE (BAGDAD RIDDIM SECTION Session)」は「韻波句徒 Medley」などを含むライブ作品。「みどり」の別セッション版と同様、元曲の初出年と、新しい演奏版の配信日を分けて見る必要がある。客演では「Make Your Fire」と「ニッポン改革 (Remix)」のように、CHEHON以外の名義で出る作品も追いたい。
作品情報:Midori/RISING SOUL/naimononedari/Phoenix/三途の川を渡らなかった奴の歌/HAPPY FLOWER LIVE (BAGDAD RIDDIM SECTION Session)/ニッポン改革 (Remix)。
ニッポン改革 (Remix)|世代をまたぐ客演
2026年9月30日配信の「ニッポン改革 (Remix)」は、SPICY CHOCOLATEの作品。般若、CHEHON、漢、ARARE、3Li¥en、775が参加している。2013年の原曲と、今回のリミックスを区別して聴きたい。
下は、Universal Musicの2026年10月1日付案内から公開された公式MV。CHEHONのソロ曲ではなく、複数のアーティストが参加するリミックスの映像である。
Universal Musicの案内は、曲全体のメッセージを「目を覚ませ」と説明している。原曲にも参加したCHEHONに加え、複数の世代の演者が同じ作品に集まる。個人の代表曲としてだけでなく、レゲエとヒップホップの人脈が交わる一曲として、これまでの共演歴と並べて捉えたい。
2026年のライブとBATTLE SUMMIT III
ワンマン「CHEHON ONEMAN LIVE -KING OF STAGE-」は、6月19日に大阪・なんばHatch、7月3日に東京・豊洲PITで開催された。8月11日のBATTLE SUMMIT IIIではRed Eyeとタッグを組んで出場。2026年10月現在、これらは今後の予定ではなく、すでに行われた公演・大会である。
大阪公演の主催者案内、東京公演のABEMA配信ページ、ABEMAの大会開催後発表で、それぞれの実施情報を確認できる。2022年のBATTLE SUMMITではMOL53と対戦して初戦敗退と紹介されており、2026年は2on2という別形式への参加だった。
秋には、10月4日の「渋谷レゲエ祭2026」(川崎CLUB CITTA’)の出演者として、主催者からCHEHONの名前が発表された。「播州ごじゃフェス」への出演予定も2026年8月時点で紹介されていたが、個別の出演実績とは区別して捉えたい。
CHAPTER 07CHEHONの声とフロウ|ガナりではなく、こぶしと韻
CHEHONらしさは、地声に近いトーンにこぶしを絡め、日本語の韻を連続させるところにある。レゲエ特有の節回しと、ヒップホップにも通じる押韻の密度が同居している。
単にガナれなかったから
この発言は、力強くガナる声を出せなかったことを、自分の歌い方へつなげた説明だ。同じインタビューでは、トラックに合わせてメロディーを考え、曲を書いていく制作の仕方にも触れている。声の大きさだけではなく、節と語尾の動きに耳を向けると持ち味が分かる。
TERRY THE AKI-06への敬意や、大阪でレゲエとヒップホップが接する環境も、その押韻を考える手がかりになる。ジャンルを一方に塗り替えるというより、レゲエの土台を持ったまま隣の現場にも出ていく。その姿勢が、後にMCバトルでのスタイルの議論にもつながった。
CHAPTER 08CHEHONの代表曲|歌詞と聴きどころ
初めて聴くなら、歌心から入る「みどり」、言葉の動きが際立つ「韻波句徒」、前へ進む意志を歌う「CHALLENGER」の3曲が入口になる。同じ声でも、メロディーと韻の重心はそれぞれ違う。
みどり|恋人への呼びかけに重ねた主題
「みどり」は2006年にCHEHONの名前を広げた曲。下はmusicmine inc.が公開する公式MVで、相手に語りかけるメロディーと歌い口を聴ける。恋愛の歌の形を取りながら、大麻を重ねた表現として知られている。
相手に名前を付け、「とりこ」と呼びかけることで、聴き手はまず恋愛の情景を受け取る。別の主題が重なる構造が、覚えやすいメロディーと結びついた曲だ。楽曲の題材を説明することと、現実の薬物使用を勧めることは別である。
ミニアルバムについては、インディーズアルバムランキングで22位に入ったとも紹介されている。ただし集計名や対象期間は明らかでない。ヒット後には地方で歌う機会やダブの依頼が増え、生活が音楽中心へ変わったと紹介されている。週末のライブ、ダブ録音、昼夜が逆になるほどの制作というエピソードは、一曲が活動の規模を変えたことを伝える。ただし現在も同じ頻度で依頼があるとまでは言えない。
韻波句徒|レゲエに出会った衝撃を言葉にする
「韻波句徒」の読み方は「インパクト」。18歳頃にレゲエから受けた衝撃を表した曲として紹介されている。癖のあるフロウから矢継ぎ早に韻が飛び出すダンスホールチューンで、押韻にはヒップホップとの接点も感じられる。下のCHEHON OFFICIALによるMVは、その言葉の流れをたどる入口になる。MVの公開年と曲そのものの発表年は同一ではない。
衝撃を「イナズマ」という身体的なイメージで表し、そこから次の語句へ韻をつないでいく。意味だけを追うより、語尾が連なってリズムを押し進める感覚に注目したい。THE FIRST TAKE版と聴き比べると、同じ言葉が伴奏や実演によってどう届き方を変えるかも見えてくる。
CHALLENGER|ジャマイカへ向かう前の決意
2010年2月10日リリースの「CHALLENGER」は、Stephen “Di Genius” McGregorが手がけた楽曲。下はCHEHON OFFICIALのMVショート版。ジャマイカ渡航前に、自分を挑戦者と位置づけた時期の一曲だ。
「今は」と「このままで終わらない」が、現在地と未来を一つの文で結ぶ。すでに成功した人の宣言ではなく、まだ変わる途中にいる人の言葉として響くところが、この曲の励ましになる。渡航を歌う「SAYONARA JAPAN」と続けて聴けば、決意が行動へ移る流れを追える。
YouTuberのヒカルが、18歳からのテーマソングとしてこの曲を挙げたというエピソードも紹介されてきた。2016年7月7日の投稿として紹介されてきた話で、この曲を聴きながら仕事に打ち込んでいたという内容だ。当時のリスナーが曲を自分の生活に重ねた一例である。
| 曲 | 聴きどころ | 入口にしたいとき |
|---|---|---|
| みどり | 恋愛の語り口に別の主題を重ねるメロディー | 歌心から知りたい |
| 韻波句徒 | こぶしと押韻が連続するフロウ | 言葉の技術を聴きたい |
| CHALLENGER | 現在地と未来をつなぐ決意 | 挑戦を歌う曲を聴きたい |
| SAYONARA JAPAN | 日本を離れる決断 | キャリアの転機を追いたい |
薬物を題材にした曲を避けたい場合は、「CHALLENGER」から入る方法もある。声量で押し切るタイプだけを想像せず、言葉と節の運びを聴くと、CHEHONの音楽の幅を捉えやすい。
CHAPTER 09CHEHONのMCバトル|ラバダブと即興がぶつかった2試合
CHEHONのMCバトルは、自分の持ち歌を組み替えて歌うラバダブを軸にしつつ、即興で韻も踏む「レゲエとヒップホップの中間」に位置するスタイルである。この立ち位置そのものが、バトルの現場で何度も論点になってきた。
下はRED SPIDERによるCHEHONとNATURAL WEAPONの対談「フリースタイルバトルに出る理由!」。試合映像そのものではなく、バトルに向き合う立場を知るための対談である。
即興の応酬を重く見るバトルでは、持ち歌の使用が争点になることがある。すべての大会で禁止されているという意味ではない。一方でレゲエのラバダブは、持ち歌を場に合わせて組み替えること自体が形式として成立している。この前提の違いが、以下の2試合で正面からぶつかった。
試合での挑発を、人物についての事実認定と混同しないように読みたい。
CHEHON vs 呂布カルマ|真ADRENALINE
アドレナリンチャンネルが公開する、真ADRENALINE準決勝第2試合の映像。CHEHONの1バース目は自身の楽曲「戦国ラガ無双」を使ったラバダブだった。
CHEHON:自身の曲「戦国ラガ無双」を使い、大阪の現場からマイクを握るラガマフィンとして登場した。
呂布カルマ:一期一会のビートに用意したものを披露するのは惜しいと問い、即興を促した。
呂布カルマは即興での応答を求めた。
CHEHON:最初に持ち歌を選んだのは意図的で、自分のやり方に口を出される筋合いはないと返した。
呂布カルマ:何をしてもよいと認めつつ、用意したものは惜しいという立場を繰り返し、内側から出る言葉を求めた。
CHEHONはわざと1バース目にネタを置いたことを明かすが、呂布カルマは主張を変えない。どちらかが相手の土俵に乗ることなく、スタイルウォーズの形のまま進行した。
CHEHON:自分で選んだ歌詞を披露したことは悪くないと主張し、相手の作品や売上にも言及して対抗した。
呂布カルマ:自分の勝利は決まっていると主張し、星や私生活のイメージを交えて挑発した。
CHEHON:勝敗が初めから決まっているなら出場しないと反論し、誰にも勝つ機会があると主張した。
呂布カルマ:舞台に立つ者の気持ちを認めながら運命を持ち出し、大阪から来た相手に自分の言葉で主張するよう促した。
この試合の勝者は呂布カルマ。勝敗と、ラバダブをどう評価するかという論点は分けて考えたい。ラバダブという形式そのものの是非が、勝敗とは別に論点として残った試合である。
CHEHON vs ミメイ|戦極MC BATTLE 第21章
戦極MC BATTLE公式が公開する、2020年2月15日の第21章でのミメイとの一戦。CHEHONは1バース目で、スナフキンが試合で自分の曲をサンプリングしたことを称賛した。対するミメイは「みどり」のサンプリングで応じる。
CHEHON:スナフキンによる自分の曲のサンプリングを称賛し、関西スーパーや会場に触れながら挑んだ。
ミメイ:高校時代に心斎橋でラップに出会ったと歌い、相手の曲をサンプリングする自分のスタンスを示した。
ここで、繰り返し「ネタ」と指摘されてきたことへの反論が出る。
CHEHON:相手の曲のサンプリングが認められる一方で自分の歌を歌えばネタと言われる違いを問い、対戦相手の曲を使うことに異議を唱えた。
ミメイ:自分はネタとは言っていないと否定し、バトルとラバダブの違いを指摘。サンプリングの話に1バースで応じたと返した。
ミメイはバトルとラバダブの形式の違いを正面から返した。
CHEHON:相手の声やラップ、風貌を挑発し、日付と名前を掛けた表現の後で髪型には好意的に触れた。
ミメイ:髪型を自分のスタイルだと返し、相手の後半が詰まったと指摘して即興で応じたと述べた。
この試合はCHEHONの勝利となった。2試合を並べると、勝敗とは別にCHEHONが問いかけていた、他人の曲のサンプリングは認められる一方で自分の曲を歌うとネタと言われるという評価の違いが浮かぶ。
CHAPTER 10CHEHONの逮捕報道と2024年の判決
2023年9月、CHEHONが大麻取締法違反の疑いで逮捕されたと報じられ、その後、別の大麻リキッド所持容疑での再逮捕や起訴も報道された。逮捕時の容疑と、その後の裁判の結果を分けて確認する必要がある。
朝日新聞の2024年5月15日付報道によると、名古屋地裁岡崎支部は同日、懲役10カ月、執行猶予3年の判決を言い渡した。逮捕の報道だけで止めず、執行猶予付きの判決まで含めて整理すると、経過は次のようになる。
| 時期 | 確認できる報道上の経過 |
|---|---|
| 2023年9月24日 | 大麻所持容疑で逮捕されたと報道 |
| 2023年10月 | 再逮捕と起訴が報道される |
| 2024年5月15日 | 名古屋地裁岡崎支部で懲役10カ月・執行猶予3年の判決 |
判決後の上訴や法的状態の変更は確認できていない。また、楽曲の表現から別の違法行為を推認することはしない。
CHAPTER 11CHEHONについてのよくある質問
CHAPTER 12CHEHONのまとめ
CHEHONの歩みをつなぐのは、鶴橋のクラブでマイクを持った経験と、自分の歌い方を手放さず別の場所へ出ていく姿勢だ。「みどり」で広がった歌声は、ジャマイカ、THE FIRST TAKE、MCバトルと、違う条件の現場を通ってきた。
代表曲だけを聴くなら「みどり」「韻波句徒」「CHALLENGER」。人物像も知りたいなら、渡航を歌う「SAYONARA JAPAN」やNATURAL WEAPONとの活動へ進むと、曲同士のつながりが見えてくる。2026年のライブ音源や客演は、その過去を今の演奏・共演へつなぐ入口になる。
