MDAを使うとどうなる?
MDAを使うと、気分や見え方などが変わる一方、心拍・血圧・体温も上昇する。MDMAと比べた小規模なヒト試験では、MDAの方が主観的な作用が強く長く続き、視覚の変化や恐怖感なども強かった。ただし、これは管理された研究条件での結果で、実際の使用で同じ経過になるとは限らない。
「MDMAと何が違う?」「ラブドラッグと呼ばれるのはなぜ?」「使った後に何が起こる?」。名前やイメージが先行しやすいMDAについて、分かっている作用と、研究だけでは言い切れない部分を分けて解説する。
| 疑問 | 短い答え |
|---|---|
| 使うとどうなる? | 気分や知覚が変わり、心拍・血圧・体温にも変化が起こる。恐怖や不快感が強くなる場合もある |
| MDMAと同じ? | 別の物質。比較試験では作用の強さ・長さや視覚への影響に違いがみられた |
| ラブドラッグなら気分がよくなるだけ? | 俗称は効果や安全性の保証ではない。恐怖感や身体への負担も無視できない |
CHAPTER 01 / SECTION 01MDAを使うと心と体はどうなる?
MDAでは、気分や知覚に変化が起こり、身体にも刺激作用が現れる。楽しい気分になるという一面だけでは説明できず、不安や恐怖、不快な感覚が強まる場合もある。
見え方などの知覚が変わることがある
ヒトを対象とした研究では、MDAによる視覚の変化が報告されている。閉じた目で視覚的なイメージが現れるなどの報告もあるが、参加者によって程度は異なった。
ここでいう変化は、視力がよくなる、物事を正しく理解できるという意味ではない。自分が見聞きしているものの感じ方が変わることであり、体験談にある特定の景色や感情が誰にでも再現されるわけではない。
主観的な作用が長く続き、恐怖感が強くなる場合もある
健康な成人23人を対象としたMDAとMDMAなどの比較試験では、研究条件下で、MDAの方が主観的な薬物作用が強く、長く続いた。視覚の変化に加え、恐怖や好ましくない作用も強かった。
「作用が強い・長い」は、よい体験が増えるという意味ではない。不安や不快な感覚も含む結果であり、物質を評価する際に多幸感だけを取り出すと、研究の意味を取り違えてしまう。
気分だけでなく、心拍・血圧・体温にも影響する
| 項目 | 報告されている変化 |
|---|---|
| 主観的な作用 | 気分や薬物作用の感じ方が変わる |
| 知覚 | 視覚の変化などが起こる。程度には個人差がある |
| 不快な作用 | 恐怖感などが強まる場合がある |
| 身体 | 心拍・血圧・体温の上昇 |
「気分は落ち着いているから体も安全」とは判断できない。主観的な感覚と、体温や循環の変化は別の項目として捉える必要がある。
CHAPTER 02 / SECTION 02MDAとは?正式名称とMDMAとの違い
MDAは、3,4-メチレンジオキシアンフェタミンの略称だ。刺激作用と知覚に影響する作用を持つ物質で、日本では麻薬に指定されている。
よく似た名前のMDMAは、3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン。文字が一つ違うだけに見えるが、MDAとMDMAは別の物質であり、同じ作用の別名ではない。
また、製品の見た目や売り手の呼び名が、そのまま成分名を表すわけでもない。「エクスタシー」などの呼び名で流通するものに、どの物質が含まれているかを名前だけで確定することはできない。
CHAPTER 03 / SECTION 03MDAとMDMAを比べると何が違う?
二つを比べる際は、正式名称だけでなく、知覚への影響や主観的な作用の続き方にも目を向けると違いが分かりやすい。ただし、比較試験の結果を「必ずこちらの方が危険」「こちらなら安全」と読み替えることはできない。
| 比較する点 | MDA | MDMA |
|---|---|---|
| 物質名 | 3,4-メチレンジオキシアンフェタミン | 3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン |
| 主観的な作用 | 試験では、より強く長く続いた | 同じ試験での比較対象 |
| 視覚の変化・恐怖など | 試験では、より強い作用がみられた | MDAとの間に違いがみられた |
| 身体への影響 | 心拍・血圧・体温が上昇 | 同じく心拍・血圧・体温が上昇 |
この研究は、参加者や健康状態が選ばれ、物質も管理された条件で行われている。未知の成分を含む流通品、持病がある人、他の薬を使用している人など、条件が異なる場面の結果までは示していない。
そのため、試験での持続時間や反応を、自分が使った場合の見込み時間や安全な範囲に当てはめることはできない。
CHAPTER 04 / SECTION 04ラブドラッグという呼び名は何を意味する?
MDAやMDMAは、親密さや一体感を連想させる「ラブドラッグ」という俗称と結び付けて語られることがある。しかし、これは医薬品の効能名でも、必ず人を好きになることを意味する言葉でもない。
気分の変化が起こることと、人間関係がよくなることは別だ。薬物作用中に親密に感じたという話から、相手の本心や関係の改善を証明することはできない。
また、MDAでは恐怖や不快な作用も報告されている。「ラブ」という柔らかい呼び名だけで、知覚や体への作用を捉えないことが大切だ。俗称のイメージと、物質について分かっていることを分けて読もう。
CHAPTER 05 / SECTION 05MDAの危険性と、分かっていないこと
MDAの作用を理解するうえで重要なのは、分かっている危険を過小評価せず、同時に、研究されていないことまで断定しない姿勢だ。
急性の心身の変化を、体験談だけで見積もれない
心拍・血圧・体温の上昇、恐怖や知覚の変化が起こることは、ヒトの研究でも示されている。実際の使用では、物質の成分、体調、他の薬物などの条件が研究と異なるため、個人の体験談だけでは危険の程度を見積もれない。
特に、流通品の名前と成分が一致するとは限らない。「MDAとして受け取った」という情報だけで、起きている症状の原因を一つに決めることはできない。
小規模な急性試験で、長期的な安全性までは分からない
一回の管理された試験で大きな問題が観察されなかったとしても、反復使用や長期間の使用が安全だという証明にはならない。逆に、MDMAの研究結果をそのままMDAの結果として紹介することも適切ではない。
「依存しない」「脳に影響が残らない」と保証できる根拠はなく、MDAについての長期的な影響や個人ごとの危険を、この小規模試験だけで確定することはできない。
CHAPTER 06 / SECTION 06MDMAとの比較に関連する動画
比較対象のMDMAを題材にした、シラフ知らズの「EP1 MDMA」を紹介する。これはMDAそのものの動画ではなく、MDMAについての関連動画だ。名称や体験談を混同せずに見てほしい。
MDMAの動画で語られることを、すべてMDAでも起こることとして読み替えることはできない。二つの違いについては、前の比較表も合わせて確認してほしい。
CHAPTER 07 / SECTION 07日本での規制と法定刑
MDAは日本で麻薬に指定され、麻薬及び向精神薬取締法によって規制される。「MDMAではないから規制の対象外」ということはない。
| 行為 | 法定刑 |
|---|---|
| 不法な所持・譲渡・譲受 | 7年以下の拘禁刑 |
| 不法な使用 | 7年以下の拘禁刑 |
薬物名や俗称の知識は、合法かどうかを推測するための抜け道にはならない。成分の分からないものを、別の名前なら安全・合法だと考えることはできない。
CHAPTER 08 / SECTION 08使用後の不調や不安を相談するには
意識や呼吸の異常など緊急性がある場合は119番へ。強い不安や知覚の変化が続く、使用をやめられない、何を使ったか分からず不安という場合も、一人で原因を決めつけず医療機関へ相談してほしい。
薬物使用に関する継続的な悩みは、保健所や精神保健福祉センターなどで相談できる。窓口は厚生労働省「依存症対策」、緊急通報は消防庁「119番緊急通報」を参照してほしい。
CHAPTER 09 / SECTION 09MDAについてよくある質問
- MDAは気分や知覚を変化させ、心拍・血圧・体温にも影響する。恐怖や不快な作用が強くなる場合もある。
- MDMAとは別の物質であり、比較試験の結果やMDMAの体験談を、自分への作用や安全性の保証には使えない。
- ラブドラッグという俗称は、効果や安全性の保証ではない。日本では麻薬として規制されている。
