アンフェタミンを使うとどうなる?
アンフェタミンを使うと、眠気や疲労を感じにくくなる一方、脈拍・血圧・体温が上がり、不眠や食欲の低下が起こる。本人が「頭がさえている」と感じても、体が回復したわけではない。強い興奮や妄想・幻覚が現れることもあり、過量摂取では高体温やけいれんなど、命に関わる状態になりうる。
では、なぜ医療で使われる国があるのか。メタンフェタミンとは何が違うのか。この記事では、使用直後に起こる変化から、依存や中止後の不調、海外の処方薬と日本の規制の違いまで順に解説する。
| 疑問 | 短い答え |
|---|---|
| 使うと元気になる? | 覚醒・興奮を感じることはあるが、休息の代わりにはならない |
| 依存する? | 乱用によって依存が生じうる。やめた後に疲労や抑うつなどが出ることもある |
| 海外の処方薬なら日本で使える? | 海外の処方は、日本への持込みや所持・使用の許可にはならない |
CHAPTER 01 / SECTION 01アンフェタミンを使うと心と体はどうなる?
アンフェタミンの特徴は、中枢神経への刺激によって覚醒や興奮が強まることだ。眠気が薄れる、活動的になったと感じる、といった変化と、動悸や体温の上昇などの身体への負荷が同時に起こりうる。
眠気や食欲が弱まり、活動できると感じる
使用後は眠れなくなったり、食欲が落ちたりすることがある。ここで混同しやすいのが、「疲れを感じにくいこと」と「疲れが取れたこと」の違いだ。眠らずに動けるという感覚だけで、休息も栄養も必要ないとは判断できない。
集中できたという主観も、それだけで作業の正確さや健康上の安全を示すものではない。医療での治療効果と、診察や管理を受けずに使ったときの感覚を同じ尺度で扱うべきではない。
心拍・血圧・体温にも変化が起こる
| 影響する部分 | 起こりうる変化 |
|---|---|
| 覚醒・睡眠 | 興奮、眠気の減少、不眠 |
| 食欲・体力 | 食欲の低下、反復する乱用による身体的な消耗 |
| 循環・体温 | 脈拍・血圧・体温の上昇 |
| 精神状態 | 強い不安や興奮、妄想・幻覚を伴う症状 |
現れる症状や程度には個人差があり、体調や他の薬物の影響も受ける。上の表を、誰にでも順番どおり現れる経過や、症状が少なければ安全だというチェック表として使うことはできない。
過量摂取では高体温やけいれんが起こることもある
激しい興奮、著しい体温の上昇、けいれんなどは、単に「効きすぎた」で済ませられない。心臓や血管への重大な影響を含め、死亡につながる場合もある。
CHAPTER 02 / SECTION 02アンフェタミンとは何か
アンフェタミン(Amphetamine)は、中枢神経刺激薬の一つで、日本では覚醒剤取締法の対象となる物質だ。海外ではアンフェタミンを含む一部の医薬品がADHDなどの治療に使われるが、医療用途があることと、誰でも自由に使えることは別である。
また、英語の資料で使われる複数形の「amphetamines」は、アンフェタミンそのものより広い、関連する刺激薬の群を指す場合がある。薬物群についての説明を、特定の製剤の効き方や安全性へそのまま置き換えないことが大切だ。

CHAPTER 03 / SECTION 03依存・耐性と、やめた後に起こること
乱用を続けると、使いたいという欲求が強くなり、生活に問題が出ても使用をコントロールしにくくなることがある。依存は「楽しむために使う」という段階に限らない。仕事や勉強を続けるために必要だと思い込んでいる場合も、困りごととして相談してよい。
耐性と身体依存は同じ意味ではない
耐性は、反復する使用で同じ量への反応が弱くなること。身体依存は、体が薬物の存在に適応し、中止や減量によって離脱症状が出る状態を指す。どちらも重要な問題だが、この二つの言葉だけで依存症の診断が決まるわけではない。
長く使っていた刺激薬を中止した後には、強い疲労、気分の落ち込み、睡眠の乱れ、食欲の増加などが現れることがある。「寝れば元に戻る」「気力の問題だ」と決めつけず、使用歴を含めて医療機関へ伝える必要がある。
妄想や幻覚を伴う精神症状にも注意する
継続的な乱用では、強い疑い深さや妄想、幻覚などを伴う精神症状が起こりうる。ただし、それを見ただけで別の精神疾患と同一視したり、本人の性格だと判断したりはできない。睡眠や食事、使用している物質も含めた専門的な評価が必要になる。
CHAPTER 04 / SECTION 04メタンフェタミン・覚醒剤原料との違い
アンフェタミンとメタンフェタミンは名前が似ているが、同じ物質ではない。日本ではどちらも法令上の覚醒剤に含まれるものの、別の成分名として区別する必要がある。
| 名称・区分 | 違い |
|---|---|
| アンフェタミン | この記事の対象。日本では覚醒剤として規制される |
| メタンフェタミン | アンフェタミンとは別の物質。こちらも覚醒剤として規制される |
| 覚醒剤原料 | 法律上の別の区分。医薬品に関する携帯輸出入の制度を、覚醒剤そのものへ適用できない |
「覚醒剤原料の薬なら事前許可で携帯できる」という案内を見つけても、アンフェタミンを持ち込めるという意味にはならない。名前の印象ではなく、成分と法的な区分を確認する必要がある。
CHAPTER 05 / SECTION 05アデロールは何が違う?関連動画
アデロールは、アンフェタミンの塩類を含む、米国などで処方される医薬品の名称だ。物質名のアンフェタミンと、製剤名のアデロールを同じ言葉として扱うと、医療制度や成分の話が混ざってしまう。
関連動画として、シラフ知らズの「EP30 アデロール」を紹介する。アデロールを題材にした動画であり、日本での処方や持込みが認められることを示すものではない。
処方刺激薬は、診断を受けた患者に医師の管理のもとで使われる一方、乱用・依存・過量摂取の危険も持つ。他人の処方薬を譲り受けたり、集中力を上げる目的で自己判断で使ったりすることは、治療とは異なる。
CHAPTER 06 / SECTION 06日本での規制と海外の処方薬
日本では覚醒剤取締法により、アンフェタミンの輸出入や製造、所持、譲渡・譲受、使用などが規制される。海外で医師に処方されたアンフェタミン製剤でも、日本へ持ち込むことはできない。
| 行為 | 覚醒剤取締法上の扱い |
|---|---|
| 不法な所持・譲渡・譲受 | 10年以下の拘禁刑 |
| 不法な使用 | 10年以下の拘禁刑 |
| 海外の処方薬の携帯輸入 | 処方を受けていても、アンフェタミンそのものの持込みは認められない |
なお、この記事を読んで、いま処方されている別の薬を自己判断で中止する必要はない。薬の扱いは成分によって異なる。薬名や渡航時の手続きが分からない場合は、医師・薬剤師や所管の公的窓口へ確認しよう。
CHAPTER 07 / SECTION 07歌詞や映画に出てくる言葉の読み方
歌詞や映画では、薬物名が興奮や不眠の比喩として使われることもある。ただし、作品の中の言葉だけを、作者本人の使用経験の証拠にはできない。
読み解く際には、成分名、製剤名、刺激薬全体を指す言葉を分けると意味を追いやすい。「アデロールの話」を「アンフェタミン類のすべて」に広げたり、作品の描写を現実の安全性の判断に使ったりしないことが大切だ。
CHAPTER 08 / SECTION 08不調・依存が心配なときの相談先
使用をやめられない、使わないと仕事ができないと感じる、やめた後の落ち込みがつらい。そうした状態は、相談してよい理由になる。本人だけでなく、家族も保健所や精神保健福祉センターへ相談できる。
地域の支援先は、厚生労働省「依存症対策」から確認できる。呼びかけに反応しない、呼吸がおかしいなどの緊急時は119番へ。通報については消防庁「119番緊急通報」も参照してほしい。
CHAPTER 09 / SECTION 09アンフェタミンについてよくある質問
- アンフェタミンは覚醒・興奮をもたらす一方、心拍・血圧・体温や睡眠に影響する。疲労を感じないことは、回復したことではない。
- 乱用では依存や精神症状、中止後の落ち込みが問題になる。困りごとは本人や家族だけで抱え込まなくてよい。
- 海外の医療用途と日本の規制は別であり、海外の処方薬でもアンフェタミンは日本へ持ち込めない。
