TKda黒ぶち日々の経験を、次の夢へつなぐラップ
TKda黒ぶち(てぃーけーだ・くろぶち)は、埼玉県春日部市出身のラッパー。1988年3月29日生まれ。黒縁眼鏡と高速フロウで知られ、「フリースタイルダンジョン」では挑戦者としてR-指定に勝ち、のちに3代目モンスターも務めた。
MUROのビートで歌った「Dream」、働くことと音楽を重ねてきた日々、2024年の「Re:Dream」からDJ Mitsu the Beatsとの共同制作へ。バトルで返す言葉と、作品に残す言葉の両方から、その歩みをたどりたい。
CHAPTER 01 / SECTION 01TKda黒ぶちのプロフィール
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大学生活や卒業後の経験は本人が取材で話しているが、学校名はここでは掲載していない。「—」は記事に値を記載していない項目で、未婚や逮捕歴の不存在を表す記号ではない。
CHAPTER 02 / SECTION 02ヒップホップとの出会いと学生時代
RIP SLYMEを聴き、最初はDJを目指した
中学生のころ、RIP SLYMEの「雑念エンタテイメント」を偶然聴いたことがヒップホップとの出会いだった。友人からLAMP EYEの「証言」、BUDDHA BRANDの「人間発電所」も教えてもらい、聴く世界が広がった。
最初の憧れはRIP SLYMEのDJ FUMIYA。人前で歌うより、後ろで音を出す役割をやりたいと思っていた。高校1年生のとき、同級生の兄からラップをやりたいのかと聞かれ、緊張して肯定したことが、マイクを握る入口になったという。その兄からラップやステージの立ち方も教わった。
初めから堂々と人前へ出られたわけではない。黒縁眼鏡をかけた自分に向けられる視線を感じながらも、外見に関係なく、主張を持つ人ができる音楽だと信じてスキルを磨いた。やがて周囲がラップを認めてくれることも、続ける力になったと話している。
大学の教授と図書館が広げた世界
大学へ入った当初は、何を学ぶかに強い目的があったわけではなかった。転機になったのは、ジャズや黒人文化に詳しい教授との出会いだ。研究室で流れるジャズ、アメリカの社会問題を伝える映像を通じて、ラッパーが社会へ向けて発言する背景も学んだ。
そこから読書に親しみ、図書館で本を読む時間が増えた。ラップの技術だけを積むのではなく、知らなかった社会や人の考えへ触れたことが、作品の言葉にもつながっていく。
CHAPTER 03 / SECTION 03働くこと、旅すること、ラップすること
リスナーの日常に近づくために働いた
大学卒業後にはニューヨークで約1か月暮らした。街の人が昼間からヒップホップを聴き、生活の力にしている姿に触れ、自分も日常に近い音楽を作りたいと思ったという。
帰国後、仕事の悩みを話す友人へ十分な言葉を返せなかった経験から、一般企業で働くことを選んだ。自分も働く側の経験を持ち、そこから言葉を出したかったためだ。仕事と制作を並行した時間を経て、2018年には音楽へ活動の軸を移したと話している。
バトルで優勝した直後にも、寝ずに職場へ向かったことがあった。舞台の上で称賛される自分と、職場で働く自分は同じ一人の人間だ。その落差も含めて歌にするところが、夢を語るだけでは終わらないTKda黒ぶちのラップにつながる。
キャップと黒縁眼鏡のストリートスタイル
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黒縁眼鏡はトレードマーク。キャップやTシャツを合わせ、ストリートの服を自分の姿に落とし込んでいる。SupremeのTシャツや帽子を着た姿も発信してきた。スケートショップから始まった同ブランドの服と、黒縁眼鏡を組み合わせた装いが印象に残る。
「事故」という検索語と過去の本人の説明
本人は2018年2月のブログで、その前年の8月に自転車で転倒し、鎖骨を骨折したと書いている。これは2017年の出来事についての本人の説明だ。現在の新たな事故や、いまの身体の状態を示す情報としては扱わない。
CHAPTER 04 / SECTION 04TKda黒ぶちのMBTIを編集部が考える
Djtube編集部は、TKda黒ぶちをINFP寄りと推定する。本人公表の診断結果ではなく、公開取材と制作の選択を読んだ仮説だ。
自分の経験を通してリスナーに言葉を返したいと考えて就職を選んだこと、「Dream」で自分にとっての夢を問い直したこと、ひとりで旅をして考える時間を大事にすると話していることを根拠に挙げた。言葉の意味と、自分がどう生きたいかを行き来する面を重視している。
一方、そうした考えを実際の仕事や舞台で形にする行動は、ISFPなど別の型としても読める。ひとり旅が好きという一面だけで内向性を断定することもできない。事故や家庭環境を推定の原因にはしていない。
CHAPTER 05 / SECTION 05バトルで磨いた高速フロウとアンサー
早く話すだけではない、相手の言葉への応答
リズムを崩さず矢継ぎ早に言葉を運ぶフロウが、バトルでの大きな武器だ。ただ、速さだけで押すのではなく、相手が直前に言ったことを受け取り、リズムや言葉を変えて返す。その即興性から「瞬間最高トップオブザヘッド」とも呼ばれてきた。
音源では、気持ちよく進むビートの中へ、仕事で感じたことや未来への覚悟を置く。相手がいて初めて成立するバトルと、何度も聴かれる作品を、別々の表現として考えている。
THE罵倒2012、輪入道との決勝
掲載映像はCASTLE RECORDSによる大会DVDのCMで、輪入道との決勝を丸ごと収録した動画ではない。2012年の決勝は、16小節を3本ずつ交わす長い形式で、TKda黒ぶちが優勝した大会として知られる。
輪入道がラップを始めた経験を話すと、TKda黒ぶちも15歳で初めてマイクを握ったころをたどり、会場に入る前のセブンイレブン前で交わした握手にも触れた。相手を倒す言葉の中に、出会いの記憶と、ここまで続けてきた時間がある。
「フリースタイルダンジョン」でR-指定に勝利
NAIKA MC、崇勲と組んだパンチラインフェチズとして、「フリースタイルダンジョン」のチーム戦に出演。R-指定との1対1では、第3ラウンドまで続いた勝負を制した。
得意な高速フロウへ言葉を投げられれば、ゆっくりしたフロウでも対抗する。相手の出方に応じてラップの速度を変え、ユーモアも交えながら応答した。チームは次の般若との勝負で敗れたものの、TKda黒ぶち個人のR-指定戦は大きな反響を呼んだ。
のちには番組の3代目モンスターも担当した。挑戦する側として見せた即興力が、挑戦者を迎える側へつながった歩みでもある。
リスナーが受け取った言葉と働く姿
放送当時の反応には、勝敗だけでなく、相手に敬意を返す姿勢へ心を動かされたものもあった。ACEとの試合後の言葉に感動したという投稿や、輪入道との敬意を含んだ応酬を好む声、働きながら音楽を続けたことへのリスペクト、3代目モンスター就任を喜ぶ声が残る。2017年の隠れモンスターとしての登場にも、応援や驚きを寄せる反応があった。
特定のリスナーの受け止めを全体の総意には広げないが、ラップの速さや勝ち数とは違う形で届いていたことが分かる。
CHAPTER 06 / SECTION 06代表曲と近年の共同制作
種
「種」は、2015年末の1stアルバム「LIFE IS ONE TIME, TODAY IS A GOOD DAY.」に収録された曲。初期の作品へ戻る入口になる。時間や人生の儚さを見つめつつ、今を大切にして、やがて花になる種を育てるように生きる思いを歌う。
周りの人への感謝も含まれ、夢を自分一人の達成として閉じないところが特徴だ。ここでは本人の公式チャンネルにある同曲を掲載している。
育っていく種を希望、咲く花を理想と呼ぶ対比が続く。結果を急ぐのではなく、限られた今日を重ねながら、これからの実りへ時間を使う。その比喩の中に、未来への覚悟と周りへの感謝がある。
Dream
2018年の2ndアルバム「Live in a dream!!」収録曲。15歳でラップを始めたころから憧れてきたMUROのビートで制作した。本人にとって、曲を完成させること自体が一つの夢の実現だった。
MVはニューヨークで撮影。大学卒業後に滞在した思い出の場所へ戻ることも、もう一つの夢だったという。夢を叶えて終わるのではなく、その続きに何を見たいかを問い直す曲だ。
夢の中にいる現在から、さらに次を作る未来へ進む言葉だ。一度叶えた夢を過去の実績にせず、生活の中で描き続けるものとしている。MUROとの制作とニューヨークでの撮影という具体的な経緯も、この言葉に重なる。
Daily
2026年10月1日発表のDJ Mitsu the Beatsとの共同名義シングル。ラップと作詞はTKda黒ぶち、作曲とプログラミングはDJ Mitsu the Beats、ミックスとマスタリングは57Moveが担当した。同名アルバムへ向かう表題曲で、発売済みのシングルと、予告されているアルバムは区別して追いたい。
繰り返す毎日と、新しく何かを描くことを一行でつなぐ。遠くで暮らす相手と同じ時間を過ごしているという歌の視点が、日々の制作を単なる反復から、誰かに届く行為へ変える。ラップ担当が明記されているため、ここはTKda黒ぶちの歌唱として読める。
Walk The Walk
2026年8月13日発表。「Daily」に向かう共同制作の第2弾シングルで、東京の街を歩きながら浮かぶ考えを曲にしている。TKda黒ぶちのラップにDJ Mitsu the Beatsが音を合わせた作品だ。
何を説明するかより、積み重ねた歩みを証拠にするという言葉だ。街の信号や通りの名前と、どう生きたいかという問いがつながり、長く働きながらラップしてきた人の現在の視点として響く。
Borrowed Ride
2026年9月14日発表の共同名義シングル。作詞とラップはTKda黒ぶち、作曲・プロデュースはDJ Mitsu the Beats。日常を扱う一連の作品の中で、一夜の非日常を切り取る曲だ。
借りている車から、一夜の時間、さらに人生へと「借りる」の意味が広がる。車を所有することより、その場で経験する時間へ価値を置く語りだ。事故や借金などの私生活を、この比喩だけから事実として決めるものではない。
You Must Learn
2026年6月3日発表の、Groove Music Academy公式テーマソング。Mummy-D、COMA-CHI、TKda黒ぶちが作詞に参加し、DJ WATARAIが作曲とプロデュースを担った。講師陣が学びと継承をテーマに制作した、共同名義の作品だ。
教える立場から、これから音楽を作る人へ呼びかける短句。知識だけでなく、学んで次へ伝える姿勢を共同曲全体で示している。歌詞のパート表示はないため、この一節をTKda黒ぶち個人のパートとは断定しない。
崇勲「RECOLLECT feat. TKda黒ぶち」
崇勲の「春日部鮫」に収録された共演曲。DJ RYUがプロデュースした。春日部の仲間としての関係が、バトルのチームだけでなく、一曲を作る場にも表れている。
DOGG a.k.a. DJ PERRO「STILL DUNK feat. TKda黒ぶち」
2019年の「NON-FICTION」収録曲。MIC JACK PRODUCTIONのプロデューサーでもあるDOGG a.k.a. DJ PERROの作品へ、TKda黒ぶちが客演した。自分のアルバムへビートを迎える関係とは逆に、別の作家の音の中でラップする例になる。
CHAPTER 07 / SECTION 07春日部の仲間とパンチラインフェチズ
崇勲とNAIKA MC、三人で作る連携
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同じ春日部出身の崇勲とは、作品やライブで共演を重ねてきた。本人のYouTubeチャンネルで崇勲のMVが紹介されていたこともあり、視聴者がTKda黒ぶちの登場を待ったまま動画が終わったという反応もあった。登場していない映像まで本人の出演作とは扱わず、仲間の作品を届ける関係として見たい。
NAIKA MCを加えたパンチラインフェチズは、三人それぞれのソロ活動を土台にしたユニットだ。「フリースタイルダンジョン」では1対1に加え、2対2や3対3の連携も見せた。二人が矢継ぎ早に言葉をつなぐ場面にも、一人の高速フロウとは違う面白さがある。
崇勲とは映画「翔んで埼玉」への出演でも名前が並ぶ。ラップの作品だけでなく、地元に関わる仕事でも接点がある。
春日部のトラックメイカーJ-TARO
同郷のJ-TAROとも音源を制作してきた。J-TAROがTwitterを始めた際には、TKda黒ぶちが春日部の音を支える人として紹介した。バトルで表へ立つ姿だけでなく、身近な作家と曲を作るつながりも、その活動の土台にある。
CHAPTER 08 / SECTION 08現在の活動とよくある質問
「Re:Dream」から共同アルバムへ
2015年の1st、2018年の2ndに続き、2019年には「Good Morning EP」、2020年には3rdアルバム「Don’t Let the Dream Die」、2024年6月8日には4th「Re:Dream」を発表した。同年には渋谷WWWで初のワンマンライブも行っている。
「Re:Dream」は、春日部から東京へ拠点を移した後の経験や、仲間に助けられたことも込めた作品。ELIONE、CHICO CARLITO、テークエム、OHZKEY、般若、BILLY LAURENT、柊人らも参加し、客演が少ない時期から制作の幅が広がった。
2026年にはDJ Mitsu the Beatsとの「365 feat. HUNGER」「Walk The Walk」「Borrowed Ride」「Daily」を順に発表。本人は同名の共同アルバムを11月に出す予定とも告知している。2026年10月26日時点で、ここに掲載した「Daily」は10月1日発売のシングル版だ。
WREPの「Timelessチャンネル」
過去の取材では、ヒップホップ専門ラジオWREPの「Timelessチャンネル」でパーソナリティーを務めていたことが紹介され、プロデューサーやヒップホップの作品も紹介してきた。2019年の取材には火曜19時、2022年の紹介には月曜20時という放送枠の記載があり、過去の時刻を現在の番組表としては載せない。
2026年10月21日のWREP公式告知では、TKda黒ぶちはyukarin(hy4_4yh)と、毎週水曜18時の「WREP 6」に出演している。新譜紹介やディベート式のフリースタイルなどを扱う番組だ。「WREP 6」の告知だけをもとに、「Timelessチャンネル」の終了時期までは断定しない。
夢の続きは、今日の一歩から
Djtube 編集部




