FRANKEN魚売りとラッパー、二つの現場を生きる
FRANKEN(フランケン)は東京都荒川区出身のラッパーです。本名は大矢とおる。高校時代からライブを重ね、築地、豊洲の市場で働きながらマイクを握ってきました。早口のフロウと「マジでそうさ」で知られますが、ユーモアだけでなく、下町、仕事、家族への思いも音源にしています。
転機になったのは2017年の「フリースタイルダンジョン」。試合には敗れた一方で、独特な言葉と、届いた反応にラップで返す姿が注目を集めました。近年も十影や黄猿との共同作品、輪入道らとの共演を続け、2026年にはSOSとの「DEEP IMPACT」、KAZEの「Tokyo頭狂」への参加、10月21日の「お小遣い3万 feat. KUTS DA COYOTE」など、客演とソロの両方で制作を広げています。
CHAPTER 01 / SECTION 01FRANKENのプロフィール
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FRANKENという名前の由来
名付けたのは先輩です。いかつい見た目に反して優しいこと、色白なこと、頭のねじが飛んだような振る舞いをすることから、FRANKENという名が付いたといいます。大柄な外見だけでなく、周囲から見た人柄やキャラクターまで含む名義です。
CHAPTER 02 / SECTION 02FRANKENの生い立ちとラップの出発点
東京の下町、荒川区で育ちました。高校ではサッカー部の先輩を通じてヒップホップを知り、友人に誘われて行ったクラブイベントで、生のラッパーの姿に衝撃を受けます。ステージが格好よかったことに加え、華やかな姿への憧れも、本人が振り返る当時の動機でした。
高校1年生のころに同級生と3人組ユニット「絶壁」を結成。名前の理由は、メンバー全員の後頭部が絶壁だったからというものです。始めて約1か月で自主企画イベントを開き、学校や駅前でもフリースタイルを続けながら、2年間に200本以上のライブを経験しました。
絶壁はその後解散し、高校卒業後はFRANKEN名義でソロ活動へ。東京を拠点に活動を続け、2006年にファーストアルバムを発表しました。2019年7月15日には、FRANKEN本人がMVとテレビの撮影について投稿し、17歳の頃に組んでいた絶壁のNOBUと撮影できた喜びを伝えています。
CHAPTER 03 / SECTION 03FRANKENの市場の仕事と家族
コンビニの常連客の一言から築地へ
2010年から、週6日、夜11時から翌午前11時まで市場で働く生活をしてきました。きっかけは、アルバイト先のコンビニの常連客に、体格を見て築地で働いてみないかと誘われたことです。翌日面接を受け、その次の日には仕事を始めたといいます。
当時は音源の売り上げやラッパーとしての人気に陰りを感じ、別の仕事でも生活の土台を作る必要を考えていました。クラブと同じように夜から始まる仕事だったことも、市場を選んだ理由です。最初は体育会系の環境が大変だった一方、続けるうちに楽しさを感じ、市場とヒップホップには通じる部分があるとも語っています。
豊洲では裏方の仕事へ
築地ではフリースタイルで客を呼び込む姿も知られていました。豊洲への移転後は、競り場で仕入れた魚を運び、売り子が売った魚を客へ届けるなど、裏方に回ったといいます。マイクで目立つ場面だけが市場での仕事ではなく、体を動かして日々を支える姿もFRANKENの一部です。
市場での経験は共作にも表れています。2018年10月6日にビリビリ〜Art Space & Barが紹介した「ダメ、豊洲市場」は、エレキング、FRANKEN、Ichi Naotoによる曲です。その投稿は築地市場の営業終了に触れ、豊洲移転に反対するハッシュタグも添えていました。2025年10月15日配信のアルバム「The Lost Tapes」には、「ダメ!豊洲市場 feat. Ichi-Naoto」の名で収録されています。
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息子へのメッセージもラップにする父親
FRANKENは結婚し、息子を育てています。SNSでも子どもとの日常を発信し、わが子がかわいくてたまらないという気持ちを隠しません。2023年4月2日には、息子へ向けた「Dear My Son」を発表しました。人を笑わせる言葉と同じマイクから、親としての率直な思いも出てきます。
転落事故と入院について本人が語ったこと
ニートtokyoの「初入院の思い出」で、FRANKENは2018年の事故を振り返っています。市場の仕事から寝ずにラジオ収録、渋谷のクラブ出演へ進む中で、酒が回って階段から頭から落ちたという体験です。
本人の説明では、頭の傷口をホチキスで止めてライブをやり切った後に体が動かなくなり、病院へ搬送され、脳内出血と診断されました。本人は冷静だったものの、命に関わる状態だったと振り返り、その後は後遺症なく回復したと話しています。入院中にもフリースタイルをしていたという話には、厳しい状況でもラップから離れない本人の姿が残っています。
CHAPTER 04 / SECTION 04FRANKENのMBTIを編集部が考える
Djtube編集部では、ESFPを候補として推定します。本人が公表した診断結果ではありません。2017年の番組出演後、自分への批判やからかいも反応として受け止め、SNSで一人ずつラップのアンサーを返した行動を、人とのやり取りを次の表現へ変える材料として読みました。
コンビニで仕事を勧められるとすぐに面接へ行ったこと、高校時代にラップを始めて間もなく自主イベントを開いたことにも、まず現場に入って体験から広げる傾向が見えます。一方、市場での生活を長く続けて制作を支える姿を重視すれば、ESFJという見方もできます。バトルの大げさな振る舞いを日常の性格へそのまま当てはめる推定ではありません。
CHAPTER 05 / SECTION 05FRANKENの転機とフリースタイルダンジョン
最後のチャンスと思って臨んだ2017年の出演
人気の落ち込みを感じ、ラップを続けることを諦めかけていた時期に、テレビ番組「フリースタイルダンジョン」から出演の話が来ました。長くバトルの現場から離れていたものの、本人は最後のチャンスのつもりで引き受け、特別な練習や作戦を立てずに本番へ臨んだと振り返っています。
2017年8月8日放送の4th season Rec1-1では、1回戦の呂布カルマ戦で最初のラウンドにクリティカル負け。負けた瞬間には、ラッパー人生が終わったとまで感じたそうです。試合結果の厳しさと、その後に起きた反響は別々に捉える必要があります。
「マジでそうさ」が別の入口になった
放送後は「マジでそうさ」や「ピロリアン」といった言葉、独特のキャラクターが話題になりました。Twitterのトレンドに入り、「マジでそうさ」は番組の2017年HIPHOP的流行語大賞にもなっています。FRANKEN自身もSNS、YouTube、楽曲でこの言葉を使い、からかってもらえることも喜んでいました。
批判的な投稿も多かった中で、自分に関心を持つ人がいると前向きに受け止め、届いたメッセージ一つ一つへフリースタイルで返しました。敗戦で終わるはずだった出演が、人柄を知る入口へ変わったのです。ラップをやめた仲間や連絡が途絶えた仲間にも、自分が続けている姿を見せ、活力になる存在でいたいという思いも発信してきました。
番組出演後の反響は、本人以外の投稿からもうかがえます。OWL’s FLOWは2018年12月1日、フリースタイルダンジョン出演後のFRANKENの活躍を高く評していました。これは投稿者の感想ですが、試合の勝敗とは別のところでキャラクターが受け止められた一例です。
十影、FRANKEN、DJ DEEQUITE「TOKYO INFINITY」
2025年2月26日発表の共同EPです。DJ DEEQUITEが全曲のビートを手がけ、新曲「DON DADA」と、「風まかせ」「保育園神」の別アレンジを収録。十影との育児や日常を描く作品群を、新しいサウンドでまとめ直す位置にあります。
2026年のソロ作品と共作
2026年のソロ名義では、3月2日に「カッター feat. 秀吉 a.k.a. 自称アイドルラッパー」、4月13日に「ダサいはずが癖になる」、5月1日に「Last Letter feat. 永恵」が配信されています。「ダサいはずが癖になる」では純(ZIPSIES)がビートを担当。高速ラップだけでなく、曲ごとに組む相手や表現を変えています。
黄猿と組んだEP「The Mature Flow」は2026年6月10日配信。先行曲「DownTown Spirit」やMAKAを迎えた「Real Talk」など4曲を収めています。8月11日には井原涼との7曲入り作品「Take It Eazy」も配信され、共同名義の制作を重ねています。
CHAPTER 06 / SECTION 06FRANKENのバトルスタイル
晋平太との戦極MCBATTLE第17章
戦極MCBATTLE公式が公開した、2018年2月17日の晋平太との対戦映像です。矢継ぎ早に言葉を放つフロウ、独特な言葉の選び方、相手に返すユーモアを含め、テレビの短い場面だけでは収まらないバトルでの姿をたどれます。
FRANKENの笑いは、単にふざけて言葉を並べるだけではありません。早口の中でも緩急を付け、自分の負け方や見られ方まで話題にして場を動かします。ただし、バトルには相手へのディスもあり、誰も傷つけないと一括して美化できるものではありません。
戦極BATTLE TOWERⅡの敗者復活戦
FRANKEN、BATTLE手裏剣、がーどまんの三者の応酬を含む、変則形式の敗者復活戦です。公式タイトルには、ゆうま、Amateras、JAYPAYらも記載されています。KICK THE CAN CREW「地球ブルース~337~」のビートに乗る、立場もキャラクターも違う参加者の対戦です。
YO 何だか分からないけど毎回負けるぜ お客さんはマジで湧いてくれるのに なんで フリースタイルダンジョンでもマジでそうさ
今日は勝ちたい よかったら僕に清き一票
ノリノリ ローリンローリン この場でホーミンホーミン 集まるホーミーホーミー
言っちゃったな 清き一票 媚び売った時点で1人死亡
客が盛り上がるのに負けてしまう、と自分を笑いにしたFRANKENは、勝ちたい気持ちを投票の呼びかけへつなげます。そこをがーどまんが媚びだと切り返し、BATTLE手裏剣はリズムのノリで応じます。同じビートでも、何を武器にして返すかが違います。
がーどまん マジでYouTubeでは好調みたいだけど スキルが上がってないな キノコみたいな頭を食べれば僕もハイになれるのかな
またアクセル全開 ブレーキなし クラッチならもう狂ったまんまだぜ
一人一人の価値観だぜ だーどまんの価値 これで一丁上がり
次のやり取りでは、FRANKENが相手の髪型とYouTubeでの活躍を使って返します。最後はがーどまんが勝利しましたが、自虐をその場の笑いへつなぐFRANKEN、フロウで押すBATTLE手裏剣、発言の隙を突くがーどまんという違いを一度に見られる対戦です。
CHAPTER 07 / SECTION 07FRANKENの音源と代表曲
早口は音源でも軸になる技術です。豊富な言葉を使いながら、ふざけた曲、ラブソング、家族へのメッセージ、地元への思いまで題材を広げています。キャラクターを知ってから聴くと、冗談を押し切る力と、飾らない言葉で思いを伝える力の両方が分かります。
「お小遣い3万 feat. KUTS DA COYOTE」
2026年10月21日に配信された、KUTS DA COYOTEとの共演曲です。ビートは同年の黄猿とのEP「The Mature Flow」に続きKUVIZMが担当。10月22日にはFRANKEN自身のチャンネルでMVも公開しています。
曲全体で反復されるフックでは、やめたくてもやめられない衝動を、抜け出しにくい渦にたとえています。題名の身近な金額と、破滅へ加速する大げさな自己描写との落差が、この曲のユーモアにも不穏さにもつながります。実際の家計や病歴の申告として受け取るのではなく、生活の言葉を極端な人物像へ広げる表現として聴ける曲です。
FRANKEN & 太尊「ゴメン ゴメン」
太尊と組んだMVで、FRANKEN自身のチャンネルが公開しています。二人名義の共作であり、バトル映像やFRANKEN一人のソロ曲とは異なります。ユーモアを音源の形で押し出す側面を知る作品です。
相手に謝る曲でありながら、敵として名指すのは自分の弱さです。公式MVのFRANKENバースでは、酒の失敗や人を失う後悔も歌われています。ふざけたキャラクターの陰にある自己批判を、ユーモアと同じ曲の中へ置いていることが分かります。
「俺は誰だ feat. 輪入道」
輪入道のような強い相手と一対一でやりたいとFRANKENが声をかけて実現した共演曲です。2022年4月29日配信で、TRIGGABEATが制作を担当。二人の言葉とラップを正面からぶつける作品になっています。
ここで反復されるのは、自分の名前ではなく、自分が誰なのかという問いです。思いを隠すことと自分が分からなくなることが続けて書かれ、外へ強く見せる姿だけではない揺れが表れています。普段のユーモアとの違いも、この曲を知る手がかりです。
「下町プライド feat. 黄猿、はなび」
東京の下町で活動する黄猿、はなびを迎えた曲です。それぞれの地元への愛情を持ち寄り、FRANKEN一人の地元紹介ではなく、同じ土地の感覚を共有する共演になっています。
江戸っ子、お風呂、アイスの値段までが、勢いのある語感で並びます。下町への愛情を抽象的な誇りだけで終わらせず、毎日の暮らしで触れるものの名前に落としているところが面白さです。
「TOKYO MONEY feat. KIMO JAMES」
2枚目のEP「TOKYO MONEY」のリード曲で、Kimo Jamesを迎えています。上の音源は、2025年9月17日にBOMB SOUNDから配信された版です。当時のSPECIAL EDITIONのPVも、映像版としてたどれます。USを意識したフロウとハードな韻の運びに、活動初期の粗削りな勢いも残ります。
ここでは周りのMCとの差を主張する言葉と、週末を楽しむ気持ちがつながっています。上手さを誇るだけでなく、最後まで自分の勢いを保って場を楽しむという姿勢が、後のFRANKENのキャラクターにもつながる部分です。
FRANKEN × SOS「DEEP IMPACT」
2026年6月15日にパフォーマンスシリーズULTRA SMASHの第23回で発表したSOSとの共演です。早口を武器とする二人が、下町の誇りや休日出勤、思い通りにならない現実といった題材を、一つのパフォーマンスへ持ち寄っています。
FRANKENの早口を、一人の特殊な持ち味として見るだけでなく、別の高速ラップの使い手と並んで聴く作品です。仕事や日々の生活を題材にする方向も、市場で働きながら制作してきた本人の経歴と合わせてたどれます。
KAZE「Tokyo頭狂 feat. FRANKEN」
2026年8月17日発表のKAZE名義の曲にFRANKENが参加しています。作詞はKAZE、音楽は理貴。仕事の合間に人と会うことや、東京で生きる人とのつながりを扱った曲です。曲中で語られるKAZEの経験を、客演したFRANKEN自身の服役や病歴へ読み替えることはできません。
東京を繰り返す短いフックが、仲間と過ごす具体的な日々を一つの場所へ結びつけます。街の名前を成功の象徴だけにせず、そこで誰と生活しているのかへ戻る曲として聴けます。引用は曲全体のフックで、FRANKEN一人の自伝として採った言葉ではありません。
CHAPTER 08 / SECTION 08FRANKENと仲間の関係
下町の仲間である輪入道、十影、黄猿に加え、Marukido、掌幻、ゆうま、ACE、晋平太らとも交流があります。あべみかことの共作もあり、缶チューハイをいつも持っていると評されたことも。年齢や出身、性別に縛られず共演する関係が、曲の題材の広さにも表れています。
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輪入道の初ステージを見た出会い
ニートtokyoで二人が振り返るのは、西麻布のCLUB XROSSでの出会いです。輪入道は17歳のころで、ビートボクサーとともに全編フリースタイルの初ライブを披露しました。FRANKENは自分より格好いいと感じ、ライブ後に自分から声をかけたといいます。
後輩の最初のステージを見て受けた衝撃が、その後の交流と「俺は誰だ」の共演へつながっています。上下関係の紹介だけでは分からない、相手のラップへの評価から始まった関係です。
CHAPTER 09 / SECTION 09FRANKENについてよくある質問
FRANKENの再浮上は、バトルの勝敗だけで決まったものではありません。負けた後も相手やリスナーへ言葉を返し、市場の仕事と制作を続けてきました。笑いを入口に、下町や家族の曲へ進むと、同じ早口の中にある話題の広さが見えてきます。
現場で働き、現場で言葉を返す
Djtube 編集部


