ヘロインを使うとどうなる?
ヘロインを使うと、多幸感の後に強い眠気や意識の低下が起こり、呼吸が抑えられることがある。特に危険なのは、眠っているように見えても、実際には呼吸が遅く浅くなり、命に関わる状態へ進む場合があることだ。反復使用では依存や耐性が生じ、やめたときの離脱症状も問題になる。
この記事では、使用直後の心身の変化、過量摂取のサイン、依存と離脱の違いを順に解説する。映画や歌詞で見聞きする印象と、実際の身体への作用を分けて理解しておきたい。
| 疑問 | 短い答え |
|---|---|
| 使うと興奮する? | 初期に多幸感が現れることがあるが、その後は強い眠気や意識低下、呼吸抑制が問題になる |
| 依存するとどうなる? | 使用のコントロールが難しくなり、中止すると体の痛みや嘔吐・下痢などが出ることがある |
| 使用経験があれば過量摂取を避けられる? | 耐性や成分の不確実性があり、経験だけでは危険を予測できない |
CHAPTER 01 / SECTION 01ヘロインを使うと心と体はどうなる?
ヘロインはオピオイドに分類される薬物で、多幸感、鎮静、呼吸の抑制などを起こす。刺激薬のように覚醒が強まるという説明だけでは、作用を取り違えてしまう。
多幸感の後に、眠気や意識の低下が起こる
使用直後に強い多幸感が現れることがあり、その後は眠気が強くなって、眠ったり目が覚めたりするような状態に陥る場合もある。口の渇き、吐き気、手足の重さ、瞳孔が小さくなるといった変化も知られている。
多幸感を説明することと、それを安全な体験として扱うことは別だ。気分の変化と同時に、意識や呼吸に影響が及ぶ点を見落としてはいけない。
呼吸への作用が、命に関わる危険につながる
ヘロインの重大な危険は、呼吸を抑える作用にある。過量摂取では呼吸が遅く浅くなり、意識を失って死亡する場合もある。外からは静かにしているように見えても、重い状態である可能性がある。
| 項目 | 起こりうる変化 |
|---|---|
| 気分・意識 | 多幸感、強い眠気、意識の低下 |
| 身体 | 吐き気、口の渇き、手足の重さ、瞳孔が小さくなる |
| 緊急性の高い状態 | 反応がない、呼吸が遅い・浅い・普段どおりでない、唇などの色の異常 |
すべてのサインがそろうまで待つ必要はない。呼吸や反応の異常があれば、物質名を特定できなくても救急要請が必要になる。
CHAPTER 02 / SECTION 02ヘロインとは?モルヒネとの関係
ヘロイン(Heroin)は、モルヒネから作られる薬物で、化学名はジアセチルモルヒネだ。モルヒネと関係するオピオイドだが、同じ薬として扱うことはできない。
モルヒネが医療で痛みの治療などに使われることをもって、ヘロインの自己使用が治療になるとは考えられない。薬の成分、承認された用途、取り扱いの制度、使用中の管理は、それぞれ分けて考える必要がある。
日本では麻薬及び向精神薬取締法の規制対象であり、不法な所持や使用は処罰の対象になる。
CHAPTER 03 / SECTION 03過量摂取で呼吸が止まる危険
過量摂取の危険を「本人が量を間違えたときだけ」と考えるのは適切ではない。違法に流通するものでは成分や強さが一定とは限らず、本人が予想した作用と実際の作用が一致する保証はない。
さらに、アルコールなど他の物質と一緒に使うことは、呼吸への危険を増やす。何を使ったか分からない場合も、反応や呼吸の異常があれば、様子を見るより救急対応を優先してほしい。
「いつも使っているから大丈夫」とは言えない
反復使用で耐性が生じることはあるが、それは過量摂取が起こらなくなるという意味ではない。また、使わない期間の後には耐性が低下し、以前の感覚で使用することが危険につながる。
使用経験や見た目から、安全な範囲を判断することはできない。「過去に大丈夫だった」という経験が、今回の安全を保証するわけではない。
CHAPTER 04 / SECTION 04依存・耐性・離脱症状はどう違う?
ヘロインの依存を理解するには、「繰り返し使いたくなること」「同じ反応が出にくくなること」「やめると不調が出ること」を分けると分かりやすい。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 依存症 | 使用による問題があっても、使用をコントロールすることが難しくなる状態 |
| 耐性 | 反復使用によって、同じ量への反応が弱くなること |
| 身体依存・離脱 | 体が薬物に適応し、中止や減量で身体的・精神的な不調が現れること |
やめたときには、痛みや消化器症状が出ることがある
離脱症状には、落ち着かなさ、筋肉や骨の痛み、不眠、嘔吐、下痢、寒気、強い使用欲求などがある。つらさを避けようとして再び使うことが、使用を続ける一因になる。
こうした不調を「我慢できない性格」と片づけると、治療につながりにくくなる。依存は医療や支援の対象であり、離脱のつらさと、その後の再使用を含めた支援を考える必要がある。
身体依存だけで依存症のすべてを説明できるわけではない
薬物が体から抜ければ、その人の困りごとがすべてなくなるとは限らない。強い使用欲求、生活上の問題、支援につながりにくい状況なども関わる。短期間の中止だけを目標にするのではなく、継続して相談できる先を持つことが大切になる。
CHAPTER 05 / SECTION 05反復使用で起こる健康と生活への影響
継続する使用では、依存に加え、身体の健康や日常生活にも問題が広がりうる。注射による使用に関連して、皮膚・血液・心臓の感染症や、HIV・ウイルス性肝炎などの感染リスクも知られている。
ただし、これらをすべてヘロインの成分だけが直接引き起こす問題として並べるのは正確ではない。物質そのものの作用、使用のしかたに伴う危険、生活や受診への影響を区別する必要がある。
医療や支援につながる意味は、単に「もう使わない」と決めることだけではない。体の不調を調べ、依存への治療や生活の立て直しを一緒に考えることにもある。
CHAPTER 06 / SECTION 06シラフ知らズのヘロイン関連動画
ヘロインを題材にした動画として、シラフ知らズの「EP5 ヘロイン」を紹介する。
映像や体験談の印象だけでは、呼吸抑制や過量摂取の危険は判断できない。本人の語りと、周囲が確認する反応・呼吸の状態を分けて考えてほしい。
CHAPTER 07 / SECTION 07日本での規制と法定刑
ヘロインは、日本では麻薬及び向精神薬取締法の対象だ。同法ではヘロインに関する規定が設けられており、他の麻薬の説明をそのまま当てはめることはできない。
| 行為 | 法定刑 |
|---|---|
| 不法な所持・譲渡・譲受 | 10年以下の拘禁刑 |
| 不法な使用・施用を受ける行為 | 10年以下の拘禁刑 |
「麻薬ならどれでも所持・使用は同じ刑罰」とは限らない。また、刑罰の重さと、目の前の人への救急対応は別の問題だ。意識や呼吸の異常があれば、先に命を守る行動を取ってほしい。
CHAPTER 08 / SECTION 08映画や歌詞の描写をどう読むか
映画や歌詞では、ヘロインが陶酔や破滅のイメージと結び付けられることがある。しかし、そうした表現は、使用後に何が起こるかを正確に予測する資料にはならない。
多幸感を強調する描写でも、実際には鎮静と呼吸抑制の危険がある。また、作品に薬物名が登場することだけを理由に、作者や出演者本人の使用を断定することもできない。
CHAPTER 09 / SECTION 09本人・家族が相談できる窓口
緊急の異常があれば119番へ。使用をやめたい、離脱がつらい、家族の使用が心配という場合は、保健所や精神保健福祉センターなどへ相談できる。本人がまだ受診を決めていない段階でも、家族が相談先を探すことはできる。
相談できる支援先は厚生労働省「依存症対策」から確認できる。緊急通報については消防庁「119番緊急通報」を参照してほしい。
CHAPTER 10 / SECTION 10ヘロインについてよくある質問
- ヘロインでは多幸感の後に強い眠気や意識低下が起こり、呼吸抑制が命に関わる。反応や呼吸の異常は119番へ。
- 依存、耐性、離脱症状は関係するが同じ意味ではない。使用経験や耐性があっても、過量摂取を防げるわけではない。
- 使用をコントロールできない状態や離脱のつらさは、医療・支援の対象になる。本人も家族も相談先につながれる。
